- 公開日:2022/05/16
- 更新日:2024/05/16
公開型研修「リクルートマネジメントスクール」では、研修スキルと各分野の専門性の高さを兼ね備えた「トレーナー・講師」が受講者から人気を得ています。本連載では、トレーナー・講師の担当コースに対する考えや想い、感じていることなどを紹介していきます。また、自律的な学びの最前線で何が起きているか語っていただきます。 第2回は、3時間研修コースの「企画を通す力を高める!」を担当する富沢講師です。
講師プロフィール
マキシマイザー株式会社 代表取締役 富沢 裕司(とみざわ ゆうじ)氏
両立思考の専門家として人材育成とコーチングに取り組む。三洋電機にて在ドイツ半導体販売拠点へ経理財務の責任者として赴任。管理部門統括を経て欧州拠点長を務める。帰国後、コンサルティング会社の経営共創基盤、部品メーカーのマブチモーター、人材育成企業のプレセナ・ストラテジック・パートナーズを経て現職。大手企業向け研修として論理思考、問題解決思考、リーダーシップ、プレゼン、交渉力などのテーマで講師登壇経験多数。
■ リクルートマネジメントスクールの担当コース
企画を通す力を高める! 〜上司・他部署・お客様への依頼がスムーズに進む5つの「両立思考」〜
あらゆるものごとに両面があることを知れば、企画を通せるようになる
――簡単な自己紹介をお願いします。
富沢:大学卒業後、電機メーカーに入社して海外拠点の経理財務責任者や欧州拠点長を経験した後、コンサルティングファームと事業会社を経て、人材育成の専門家になりました。かれこれ十 数年ほど、多種多様な研修の講師を務めています。特にロジカルシンキング、問題解決思考、戦略思考の研修を得意としてきました。
――3時間研修コース「企画を通す力を高める!」について教えてください。
富沢:私は今、「両立思考®」という独自の方法論を提唱しており、それ に基づいた研修を増やしています。リクルートマネジメントスクールの「企画を通す力を高める!」もその1つです。企画を練ることは大事ですが、それだけでは何事も前に進みません。企画を通すことも同じくらい大切です。ごく簡単に言うと、両立思考を身につければ、社内外で企画・依頼・お願いを通す力を高められるのです。ビジネスシーンの具体的な事例と演習を通して、実践的なノウハウを3時間で伝授します。
例えば、多くの人は感情配慮と論理配慮のどちらかが得意で、どちらかを苦手としています。しかし、企画や依頼を通すときには、感情だけでも論理だけでもうまくいきません。「感情と論理の両立思考」が大事なのです。特に多いのは、論理的にはしっかりしているけれど、相手の感情面への配慮が足りない企画書です。反対に、感情配慮は上手にできているのに、論理的に説明できていない企画書もあります。どちらのタイプもなかなか通りません。ところが、相手の感情を踏まえながら、論理的に説明できるようになれば、企画や依頼、お願いは驚くほど通りやすくなるのです。
ちなみに、私自身は論理配慮が強いタイプで、感情配慮を高める必要があると感じるときがあります。そこで私は今、心理学や人間の弱さについての本をよく読むようにしています。感情や愛について学んでいるんですね。自分の強み・弱みが分かれば、このように弱みを補って、感情と論理を両立させていくことができます。
また、企画を通す際には、「自分の目的と相手の目的の両立思考」も欠かせません。3時間研修コースで最初によくやっていただく演習の1つは、「自社を相手にお薦めすること」です。自社の良いところを語るだけでは、自社のお薦めはうまくいきません。相手の目的やニーズが分かってはじめて、自社を的確に薦めることができるようになります。
――オンライン研修ならではのこだわりはありますか?
富沢:この約2年で、250日ほどオンライン研修を担当してきました。 私のこだわりは、「チャットを最大限に活用した全員参加型研修」にしていることです。研修中、 何度もチャットに書きこみを促し、皆さんが書いたチャットをいつも全員分読み上げています。なぜなら、人は人に伝えるとき、はじめて真剣に考えるからです。チャットを通じて、受講者一人ひとりが自ら考え、周囲から学んでいただける場にしようと努めています。チャットを重視する一方で、ブレイクアウトルーム(少人数に分かれて対話する仕組み)は多用しません。特に3時間研修コースは短いので、ブレイクアウトは一度だけにしています。
個人が「自律」を考えるときは、組織の「規律」と両立させることが大切だ
――自律時代の「個人の自律」をどのように捉えていますか?
富沢:企業によって状況が違うと感じています。おおざっぱに言えば、日本の大企業はこれまでおおむね規律を重視してきました。対して、(中小企業は経営者次第ですが、)どちらかといえば最近は自律重視型の経営をしてきた会社が多いですね。
いずれにしても、今後は大企業も中小企業も、総じて社員に自律を求めることは間違いありません。受け身の社員を生み出すわけにはいかないからです。規律重視型だった会社には、今まさに大きな変化が起きているでしょう。しかし、だからといって、組織の規律を守る必要がないというわけではありません。当然ながら、ガバナンス、コンプライアンス、制度などの規律は厳然として存在しつづけ、むしろ厳しくなっています。つまり、ここでも「自律と規律の両立思考」がものをいうんですね。自律だけでもダメ、規律だけでもダメで、両方をバランスよく捉えることが大切です。一人ひとりが組織の規律を守ったうえで、いかに主体的に考え、活動するかが求められるわけです。
陽だけでなく陰も含めた「ありのままの自分」を認めよう
――両立思考の根底にはどのような考え方があるのですか?
富沢:私は2018年頃から、あらゆることを2つに分けて考えるようになりました。そうしたら見事に何でも説明がついたのです。並行して西洋哲学と東洋哲学を研究していたら、中国哲学の「陰陽思想」にたどり着いたんですね。陰陽思想とは、あらゆるものごとは陰と陽の二つに分けられる、という考え方です。私は陰陽思想をベースにして、二分思考、二元思考、両輪思考、両面思考といった言葉を考え、試行錯誤の末、2021年に「両立思考®」に思い至りました。
ですから、両立思考の根底には陰陽思想があります。陰陽思想のポイントは「陰を否定しない」ことです。私たちも世界も、陰と陽の両方があってはじめて完璧なんです。自分のなかに陰があるのは当たり前であって、陽だけでなく陰も含めた「ありのままの自分」を認めて、愛することが極めて大切です。ありのままの自分を認めて愛さないと、いつまで経っても強くなれず、変わることもできません。例えば、私は先ほど、自分には感情配慮に弱点があると言いました。この弱点を認めることが変化の第一歩なんですね。
ありのままの自分を愛することができれば、相手のことも愛せるようになります。自分目線と相手目線の両立思考の奥には、こうした考え方があります。陰陽思想は、多くの方の参考になるはずです。
――これから研修を受講する方にメッセージをお願いします。
富沢:これまでお話ししたこと以外にも、「短期策」と「長期策」、「ヒント」と「答え」、「積極」と「謙虚」など、私はさまざまな両立思考のあり方を重視しています。3時間でできるだけのことをお伝えして、仕事にダイレクトに役立てていただこうとしています。そのために、若手の方にもベテランの方にも、できるだけ納得感の高い進行を心がけています。
例えば、本当に自分自身を変えるコツとして、私は「PCにキーワードを貼り付ける」ことをお勧めしています。そうやって、キーワードを日々無意識にインプットしつづけるのです。そのくらいのことをしないと、人は変わりません。私は、受講者の皆さんが変わりたい方向に動けるようサポートしています。
私はこれまで多くのビジネスパーソンとお会いしてきましたが、「仕事のやり方や考え方を少し変えるだけで、見違えるように結果が出るようになるのに」という方がたくさんいました。私としては、特にそうした方々を支援して、変わるお手伝いをしたいと思っています。ピンときた方はぜひ受講していただけると幸いです。
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