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連載・コラムテレワーク下での強いチームづくりノウハウとは?

リモートでもチーム力を高める「動機の源泉」の生かし方

リモートでもチーム力を高める「動機の源泉」の生かし方
執筆者情報
営業統括部
シニアソリューションプランナー
三国 剛

プロフィール

テレワークでのコミュニケーションが続くなか、リモートでのチーム力強化についてご相談をいただくことが一気に増えた。弊社では、マネジメント研修の場などを通じて、テレワーク下でのチーム力強化に必要なノウハウを伝えることを始めている。今回はそこでお伝えしている内容を紹介したい。貴社の人材育成にお役立ていただけると幸いである。

テレワーク下での管理職の不安とは?

図表1は、「テレワーク下での管理職の不安」について聞いた調査結果である。
結果を見ると、特に人・チームの側面の不安が強いことが分かる。なかでも「部下の間でのコミュニケーションが減り、チームビルディングができないと感じる」という悩みは深刻そうだ。

ある会社からは、「テレワーク下でチーム力の強化なんて夢物語である。チーム力を前提としない仕事のアサインやマネジメントを志向している」という話を伺ったこともある。しかし、本当にそれでいいのだろうか?
実は、テレワーク下でも、チーム力強化は可能だ。実際にいくつかの会社で、そのノウハウを1日研修として提供し、役立つと好評いただいた。

<図表1>テレワーク下での管理職の不安
● 基本的な業務管理の不安もあるが、部下の心身の健康把握や、部下間のチームビルディングなど人・チームの側面の不安も同様に高い
● 移動・集合の制限が続くなかで、業務指示の範囲にとどまらない、テレワークでのコミュニケーションの必要性が高まっている

<図表1>テレワーク下での管理職の不安


・半数以上の管理職が、「部下がさぼっていないか心配である」と答えた
・テレワーク未経験者がより不安なのは「部下に必要なときに業務指示を出したり、指導をしたりがしづらい」 「部下の間でのコミュニケーションが減り、チームビルディングができないと感じる」こと。経験者でも、6割以上が不安に感じている
・経験者の方がより不安なのは、 「部下の心身の健康の悪化の兆候を見逃してしまうこと」。7割近くの管理職が感じている

テレワーク下でのチームの状態は?

なぜ、テレワーク下でのチームビルディングは難しいのだろうか。一見当たり前のことに思えるかもしれないが、ここではその要因について丁寧に見ていきたい。
テレワーク下でありがちなチームの状態は図表2の、左の振り子のような状態である。具体的にどういうことか、例を挙げてみよう。

私がお伺いしたあるSIerの課長は、部下60人を抱えていて、「1カ月で60人と1on1ミーティングをした」という。そして、その1on1ミーティングを毎月やるのだ。その課長の部下を思う気持ちと根性には頭が下がるが、こんなことはいつまでも続けられるはずもない。どこの会社も課長は激烈に忙しいのだから、それでは近いうちに課長自身が擦り切れてしまう。「何かいい方法ないですかね?」は、彼の切実な声だ。
その職場は、まさに左の振り子のような状態といえる。つまり、上司と部下という縦のラインはつながっているが、部下同士の横のつながりをつくり出せていないのだ。まずこれがテレワーク下で陥りやすい状況である。

<図表2>ありがちなチーム状態とつくりたいチーム状態

<図表2>ありがちなチーム状態とつくりたいチーム状態

多くの管理職のマネジメントの現状

次に、実際のマネジメントの現状について見ていきたい。
図表3は、弊社がある企業に提供したマネジメント研修のなかで使われたアウトプットの一例である。手帳やスケジューラーを見ながら1週間のマネジメント行動を思い出して付箋に書き出していただき、模造紙に貼り分けたものである。

<図表3>あるマネジメント研修でのアウトプット(1):日常のマネジメント行動の分類

<図表3>あるマネジメント研修でのアウトプット(1):日常のマネジメント行動の分類


この研修では、忙しいプレイングマネジャーが仕事の管理(業績達成)と部下育成の両立を果たせるようになることを目的としている。「マネジメント行動実態の見える化」のセッションで出来上がった模造紙を見ると、仕事の管理に比べて部下育成のマネジメント行動が少ないのが一目瞭然である。しかし、それ以上に少ないのが人間関係(チームワーク)に関するマネジメント行動である。付箋の数はたった1枚である。これで、職場の人間関係が良いのなら問題ないのだが、図表4をご覧いただきたい。今度はマネジャーの困りごとを付箋に書き記して分類していただいたところ、「人間関係の悩み」の分量が多かったのだ。つまり、マネジャーは人間関係(チームワーク)に困ってはいるものの、現実としては、ほとんど手を打てていないのである。

<図表4>あるマネジメント研修でのアウトプット(2):マネジャーの困りごと

<図表4>あるマネジメント研修でのアウトプット(2):マネジャーの困りごと


その後、その企業から「やはりチーム力強化の研修を提供してほしい」と依頼を受けた。そこで、1日版の「直行直帰やテレワーク下でのチーム力強化」を目的とした研修を開発、提供した。受講したマネジャーは約100名。先日その企業を訪問した際に、従業員満足度調査の結果を教えていただいた。チームワーク力強化研修を受講した約100名の職場の職場満足度は、全国平均が5点満点中3.2のところ、全体平均が4.0を上回る結果だったという。必ずしも研修だけの成果とはいえないが、予想を上回る結果に研修を開発した私も驚いたたくらいである。

なぜチーム力は必要なんですか?

ここまでお伝えしたテレワーク下でのチーム力強化を中心に、チームワーク強化のポイントについて述べていく。

まずは研修内のセッションでの盛り上がりポイントである。皆さんもご一緒に考えてみていただきたい。ある職場の会議で下記のようなことが起こった。

「すみません。話の腰を折るようで申し訳ないのですが、それより私は時間を無駄にしたくないんです。なるべく早く会議を終わらせてもらえませんか? チームの目的ははっきりしているし、各自、目標も持っているのではないですか? チームでそのようなことをあらためて話し合う意味がどこにあるんですか? そもそも営業はチームでやるものなのですか?」

せっかく、チーム力の強化について話し合おうとした会議で、若手からの想定外の反論があった。

……実際にこういう場面に出くわした管理職も多いのではないだろうか? しかも、若手は皮肉ではなく純粋に質問している。このような意見が出るとは思っていなかった管理職は、二の句が継げなくなってしまう。
皆さんは対応方法をいくつ思いついただろうか? ひと昔前であれば、会社にとって必要なことだから、と回答すれば済んだかもしれない。しかし、今の時代それだけでは不十分だ。

本研修のなかでは、4つの観点での回答を提示している。なぜ4つも必要なのかと思われるだろう。今の時代の部下は、昔よりも納得を求める。加えて難しいのは、納得のいくポイントが人によって違うことだ。そのため、それぞれに合わせて納得のいく理由を提示する必要がある。

その4つの観点を紹介しよう。
(1)「目標達成を重視する」部下は、「目標達成に向けて、土壇場で粘るエネルギーが蓄積されるからだよ」と言われると納得しやすくなる。
その他に部下が重視するポイントとして、(2)「顧客対応面の効用」(3)「学習・育成面の効用」(4)「安心感・モチベーション面の効用」という3つの観点があり、相手の観点に合わせて意味づけを行うことが重要なのだ。
実際、メンバーの声を聞いてみると、それぞれ1つか2つ響くものがあるようだ。

チーム状況の見える化

無事、メンバーが納得感を持ちチームの状況について話し合える土台ができたら、次にチームの状況を見ていく。

<図表5>良いチームの7つの要素のレベル

<図表5>良いチームの7つの要素のレベル


上の表は、「良いチームの7つの要素」について、レベル0〜3に分けて状況を可視化するためのチェック表である。この表は管理者とメンバーで相互チェックをして、チームの現状について話し合うことに活用できる。現状認識を共有したら、次は、どんなチームを目指すかみんなで話し合い、具体的な取り組みテーマや行動を決める。このチェック表は、コロナ禍以前から存在しており、実際に弊社の職場でも年に1回くらいの頻度で、このチェック表に照らして、「自分たちはどんなチームになりたいか?」について議論している。どのような職場でも明日から活用が可能だ。

このチェック表の内容について、少し解説を加えたい。
「レベル0」とは、メンバーが変わって「初めまして」の状態である。さらにレベル1、から3は、チームが成長していく過程が表現されている。レベル3が一番良い状態である。

ここで読者の皆さんにクイズです。「業績No.1として表彰されるような営業グループはどのレベルでしょうか?」

……答えは、「レベル2」である。
多くの読者が頭の中で「レベル3」と答えたのではないだろうか? しかし、実際にはレベル3のグループは、優秀なメンバーが栄転してしまうので次年度には解散してしまうのだ。その後には新人が補充され、またレベル0からチームを作り直すことになる。
つまり、チームビルディングにおいては、「レベル0」から「レベル1」への上げ方、または「レベル1」から「レベル2」への上げ方が分かればいいわけである。これは、全員出社でもテレワークでも同じなのだ。

ここまで紹介してきたが、「テレワーク疲れ、ともすれば職場型モチベーションのメンバーが孤独感に苛まれている状態でどうやってレベルを上げればいいんだ?」と思う方もいるだろう。それでは、次に進もう。

平時と非常時(混迷時)では、チームビルディングの手順が違う

ここまで、
・チームビルディングの効用、意味づけの仕方について、
・良いチームの7つの要素レベルチェック表で、レベル0か1へ、レベル1から2に上げればよい
ということをお伝えしてきた。

ではいよいよ、「どうやってチームのレベルを上げていくか?」について述べていこう。
ご存じの方も多いと思うが、下記が強い組織(チーム)の3要素(バーナードの3要素)といわれている。

<図表6>強い組織(チーム)の3要素

<図表6>強い組織(チーム)の3要素


3要素とは「共通の目標」「協働の意欲」「(本音の)コミュニケーション」である。
我が国と欧米では文化的な背景が少し違うので、(本音の)を付け加えている。

この3要素の作り方が、実は平時と非常時では違うのだ。平時では、まず共通の目標をセットして、次に協働の意欲と本音のコミュニケーションを整えていくのが一般的である。多くの職場で、期初に方針や計画について共有する会議を行い、その後に懇親会などを通して、人間関係を深めることだろう。それを図表にすると下のようになる。

<図表7>平時と非常時のチームビルディング

<図表7>平時と非常時のチームビルディング


これが非常時では、順番が変わる。まず、人間関係、つまり協働意欲と本音のコミュニケーションを先につくって、その後に共通の目標をトッピングする。図表にすると下のようになる。

<図表8>「非常時」のチームビルディング

<図表8>「非常時」のチームビルディング


私が多くの企業の課長クラスと接していて感じるのは、平時と非常時では強いチームのつくり方の手順が違うことをご存じない方が多いということだ。一方、どの会社にも「あの人のところに配属すると、目立たなかったメンバーが活躍している」とか、「不景気な時でも好業績をキープしている」という名物部長や名物課長といわれる人物がいて、彼・彼女らにこの図表を見せると、共感してくれるのだ。
「良いチームの7つの要素のレベル」でいうと、「開放」「相互信頼」「協働意欲」をまず先に高めるということになる。

では、どうやってテレワーク下でこれらを高められるのか? 平時でだって難しいという声が聞こえてきそうである。

短時間で一気に、「開放」「相互信頼」「協働意欲」を高める方法

テレワーク下では、みんなで集まって朝礼をやるわけにもいかない、昭和のように全員参加必須で飲みに行って意気投合するわけにもいかない。休日にみんなでバーベキューをするのも難しい。そんな状況のなかで「開放」「相互信頼」「協働意欲」を高めることが可能なのか? 
もっとも、上記に並べた手法は私もたくさん経験してきたが、個人的にはやらないよりはマシという程度であった。皆さんも、一体感につながったケースもあったし、さほど効果を発揮しなかったケースもあったと感じているのではないだろうか?
昔から「同じ釜の飯を食う」というが、これはただ単にランチを一緒に食べるという意味ではなく共通体験を持つことを指す言葉である。読者の皆さんも思い出してほしい。絆といえるような人間関係は、悔しがったり、喜んだり、時には喧嘩したり、認め合ったり……という物語を共有しているはずである。

かれこれ25年前の話であるが、ある会社から相談を受けた。「新任役員たちが、いつまでたっても率直に突っ込んだ話し合いをしない。うちの役員室は大部屋で、お互いに顔が見えるところに座っているにもかかわらずだ。そこで新任役員たちにパーティーを組ませてアルプスの縦走をさせた。がけ崩れで道がなく、ここで手を離したら相手が死ぬという場面を乗り越えたり、夜はテントで語り合ったりして、助け合いながら踏破した。そうしたら、一気に何でも話し合える仲になった。本当によかった。ただし、この施策には大きなリスクがある。新任役員たちが本当に命を落としてしまうかもしれない。危険がなくて同じような効果がある施策考えてよ」
この時は残念ながらニーズに応えることができなかったが、こういうことが共通体験なのである。
共通体験で大事なのは、(1)物語の共有と、(2)お互いの動機の源泉を理解し尊重することである。この2点が担保されれば、心理的距離を縮め、相互リスペクトが発生することが分かってきた。
物理的な体験の共有がなくても、互いの物語と動機の源泉を共有することができれば、良好な人間関係を構築できるのではないか?と考えた。そうすれば、アルプスの縦走し命を危険にさらさなくて済む。

もう1つのポイントは、「構築時間」と「場所」の問題である。人間関係の構築に何カ月もかけていられない。なおかつオンラインで、リアル同等の人間関係を構築する必要がある。そのため、短時間かつオンラインでできるノウハウを形にした。
これは、合理的な左脳の世界ではなく、情緒的な右脳の世界の話なので、体感しないと納得できないかもしれない。その無理を承知の上で書いてみようと思う。
弊社のマネジメント研修「QUADRANT (クアドラ)」のコンテンツに「部下の動機の源泉を10分で言い当てる」訓練がある。これを応用するのだが、その前に動機の源泉とはどんなものか参考までに動機の源泉のリストを添付しておく。

<図表9>動機の源泉のリスト
動機の源泉にもさまざまなものがあります。

<図表9>動機の源泉のリスト


この動機の源泉は、一人ひとり固有のものであり、個々人の充実感と密接な関係があることが分かっている。人は、動機の源泉が生かされているエピソード(物語)を充実感が高いと感じ、動機の源泉が台無しにされたエピソード(物語)を充実感が低いと認識する傾向がある。

この充実感が高かったエピソードと、逆に低かったエピソードを共有することで、その人の動機の源泉を探るというノウハウなのだが、これをチームぐるみで行う。動機の源泉をめぐってのセッションは、みんな楽しそうである。しかも、「自分自身初めて気づきました」という方々が3〜4割程度いる。

この動機の源泉をわずか10分で明らかにする相互インタビューは、会議室で実施してもオンラインで実施しても、同等の効果が出るように設計してあり時間は6人で120分程度である。
因みに「良いチームの7つの要素のレベル」で人間関係に関連する項目は、「開放」「相互信頼」「協働意欲」であるが、この動機の源泉の相互インタビューを実施する前後では、これらのレベルが明らかに変わってくる。

もう1つ、チームぐるみで動機の源泉を共有している事例をご紹介したい。これはある自動車会社の開発のチーフマネジャーに取材した話である。そこのプロジェクトルームは、プロジェクトメンバー全員の動機の源泉が短冊になって壁に貼り出してあった。さらに一人ひとりに動機の源泉があるように、各部門にも動機の源泉があるということで部門の動機の源泉も貼り出していた。

車の開発で何が大変かというと部門間の調整だそうだ。車というのは1つのパッケージであるため、例えば、室内を広くしようとすれば、エンジンルームを狭くしなくてはならない。エンジン部門には、エンジンに対するこだわりがあるので、それは大変なせめぎ合いになるそうなのだ。それに対して、動機の源泉をお互いに理解し合っていると、この調整の時間が最小限で済む。調整の時間が最小限で済むということは、開発の納期を短縮でき、これは競争優位性になるということ、と胸を張っていらっしゃった。

以上、非常時でテレワーク状態でも、短時間かつオンラインでも強いチームをつくる研修の中身をもとにチームワークづくりのノウハウをお伝えしてきた。ご興味のある方はぜひ、お問い合わせいただきたい。


リモートでもチーム力を高める「動機の源泉」の生かし方
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