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若手営業職の早期育成・即戦力化にフォーカス

若手営業職を、お客様本位の営業に戦力化する。

  • 公開日:2011/06/13
  • 更新日:2024/03/25
若手営業職を、お客様本位の営業に戦力化する。

雇用の流動化や職業観・価値観の多様化などさまざまな環境変化が起こる中、多くの企業では今、若手営業職の早期育成、即戦力化が大きな課題となっています。こうした状況に対応すべく、弊社では若手営業職を対象にお客様本位の考え方と商談スキルの習得を目指す営業力強化研修FOCUSⅡをリリースしました。今回は、プロジェクトの中心として開発に関わったトレーナーから、若手営業職を取り巻く環境やプログラムの特徴などをお伝えします。

お客様本位の営業には、「考え方」と「商談スキル」のどちらも欠かせない。
トップセールスとの違いを理解し、ギャップを埋める。
「顧客満足」と「収益追求」は二者択一ではなく、統合すべきもの。

お客様本位の営業には、「考え方」と「商談スキル」のどちらも欠かせない。

私は10年前にトレーナーになり、これまで主に顧客接点におけるコミュニケーション領域を中心とした研修を担当してきました。「単なるスキル研修に終わるのではなく、モチベーションアップに少しでも貢献したい」。受講者の皆さんには、いつもそんな思いを持って接してきました。しかし、5、6年ほど前からでしょうか、企業を取り巻く環境が大きく変化していく中で、特に若手営業職に対して、その難しさを痛感するようになってきました。受講者は総じて素直で真面目、理解力も高くベースとなる知識を予め仕入れている方も多くなっています。営業で大切なのは“話すこと”より“聞くこと”といった情報も、今はほとんどの受講者の方が知っており、ロールプレイなどを行ってもそつなくこなしていきます。

ただし、それはお客様の反応が自分の想定の範囲内だった場合です。想定外の場面に直面すると、どうしよう、“自分は”どう対応すればいいのかと、自分に意識が集中してしまい、目の前のお客様がサインをたくさん出してくれているのに感じ取る余裕がない。コミュニケーション場面での柔軟性や当意即妙の対応力が、あきらかに弱くなっているように感じます。また、営業の喜びを素直に表現できる人が少なくなってきているようにも感じるのです。こうした脆弱な土台の上にどれだけスキルを積み上げてもお客様本位の営業はできず、企業の求める成果は上がっていかないのが現実です。このような若手営業職にどのように営業のおもしろさを伝えモチベーションを高めることができるのか、当時はとても悩みました。

自分は何のためにお客様との商談に臨んでいるのか、営業としての自分の役割は何なのかといった「考え方」と、具体的にどのように商談を進めるか、すなわち「商談スキル」は、営業の両輪です。そしてこの2つをバランス良く発揮しているのが、いわゆるトップセールスと呼ばれる人たちです。FOCUSⅡのベースとなっているFOCUSは、トップセールスたちの考え方と商談スキルを体系的に学び、身に付けていただくための研修として開発されましたが、どちらかというとスキル学習にウエートが置かれていました。なぜなら「考え方」は日々の仕事やアフター5を通じて、先輩や上司との人間関係の中で自然に培われていたからです。私が“若手”と呼ばれていた時代が、まさにそうでした。しかし、時代環境が大きく変わる中、そうした機会はかなり少なくなってきているのが実態ではないでしょうか。そこで、考え方と商談スキルの2つをもう一度しっかり両輪として組み合わせ、プログラムを再構築したのがFOCUSⅡです。

トップセールスとの違いを理解し、ギャップを埋める。

今回のFOCUSⅡの開発にあたり、私たちはトップセールスが持つ「お客様本位の考え方」とはどういうものかを改めて明らかにしたいと考えました。そもそも営業職であれば、お客様のお役に立ちたいという思いはあるはずです。では、トップセールスと成果を上げられない営業ではどこが違うのか。さまざまな階層の営業職の取材を通じてわかったことは、お客様のお役に立ちたいという“思いの強さ”が決定的に違うということです。例えば生命保険の営業の場合、最適な提案のためには、お客様の生活や人生設計についてできるだけ聞き出していく必要があります。しかし、これらはかなり突っ込んだ個人情報ですし、収入などは聞きにくいものです。お客様からも言いにくそうな反応が返ってくるのが普通です。そこで怯んでしまうんですね。「自分はこの人に何か悪いことをしている」と。しかし、トップセールスは何のてらいもなくズバッと踏み込んでいきます。この情報を聞かなければ、お客様の役に立つことはできないと本気で思っているからです。この思いの強さは、やはりお客様にも伝わり、お客様を動かすのです。思いの強さというのは非常に抽象度が高い表現ですが、私たちは今回それをできる限り言語化しました。そして習得すべき商談スキルと関連付けていきました。
またFOCUSⅡでは自分自身の考え方や商談スキルをふりかえる時間をかなり多く設定しています。トップセールスの考え方や商談スキルを鏡として、自分自身の役割や商談スキルの現状をじっくり考えていただくわけです。こうしたふりかえりの観点を持っていれば、受講後の日々の業務がいかに忙しくともいつでも自分を点検することができるようになります。

「顧客満足」と「収益追求」は二者択一ではなく、統合すべきもの。

営業職にとって「お客様本位」が大切なことはわかる。しかし、所詮キレイごとに過ぎないのではないかと考える若手もいます。昨今の営業環境からすると、こうした考えになってしまうのは無理もない面もあります。経営理念にいくらお客様本位と書かれていても、日々マネジャーから業績圧力をかけられたら信じられなくなります。ここで若手が陥りがちなのは、「お客様本位」と「収益を上げること」を二者択一でとらえようとしてしまうことです。実際に今、企業の目的は? と聞かれたら、ほとんどの営業職は収益を上げることと答えるのではないでしょうか。しかし、これは必ずしも正しいとはいえない認識です。なぜならお客様から支持されなければ、企業は存続できないからです。現に、収益のみを追求した結果、市場からの退出を余儀なくされた企業もあります。企業は公器とは、まさにその通りなのです。このことを理解していない若手が驚くほど多いのです。二者択一は非常に短絡的な発想であり、営業としての可能性を狭めています。「お客様本位」と「収益を上げること」は二者択一ではなく、本来統合すべきものなのです。企業を存続させるためには収益は絶対必要なわけですし、自社が存続してこそお客様のお役に立つことができるわけです。問題は、そのことをお客様の前で堂々と言えるかどうかなのです。これはFOCUSⅡの直接的なテーマではありませんが、考え方と商談スキルを両輪としたお客様本位の営業ができれば可能になります。受講者の皆さんにはぜひ意識してほしいと思っています。
厳しい言い方ですが、二者択一になってしまうのは現実から逃げているからなのではないかと思います。昨今の厳しい市場環境の中で私が願うのは、厳しい現実と向き合いながらも、営業という仕事に喜びや醍醐味を見出してほしいということです。

そして、上司の皆さんにお願いしたいのは、そういう若手を逃げずに受け止めてほしいということです。研修はインプットするだけでなく、咀嚼して、アウトプットすることで格段と学習効果が高まります。受講者が研修から帰ってきたら、首根っこをつかまえてでも報告させ、自分が理解できるまで説明させる。こうしたコミュニケーションから新しい時代の営業職の育て方が生まれてくるように思います。

7月のセミナーでは、今回ご紹介したFOCUSⅡで学ぶ「商談コミュニケーション力」はもちろん、営業キャリアが浅い方に求められる「対人対応力」も併せてご紹介いたします。
営業キャリアの浅い方の育成をお考えの皆さま、是非ご参加ください。

執筆者

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人材開発トレーナー

高橋 常祝

1960年生まれ。大手旅行代理店に入社。支店で法人営業を7年間担当。その後、本社に異動、グループリーダーとして法人営業施策や営業担当者の教育を担当。この時の経験がトレーナーとしてのベースに。一方で地域の活性化というテーマに興味を抱くようになり、通産省(当時)の外郭団体に転職し、中小企業振興事業に携わる。販路開拓課長、情報企画課長、指導課長を歴任するが、指導課長として職員の人事評価システムをはじめとする人事制度構築や、人材開発関係の業務が中心となる。2001年、リクルート(現 リクルートマネジメントソリューションズ)のトレーナーとなり、現在に至る。

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