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なぜ、上司は部下と向かい合えないのか

評価フィードバック面談研修(FCMP)の現場から

  • 公開日:2005/01/01
  • 更新日:2024/03/25
評価フィードバック面談研修(FCMP)の現場から

この一年間で、もっとも多く担当したプログラムのひとつに、評価フィードバック面談を題材にして、業績を上げながら同時に部下を育成していくマネジメント姿勢・原則を身につける研修(FCMP)があります。ご存知のように、今、成果主義の賛否をめぐる書籍も平積みされています。上司と部下とのコミュニケーションがクローズアップされています。このFCMPの現場ではどのようなことが起きているか、一側面ではありますが、ご紹介させていただきます。

「面談は気が重い」と感じているマネジャーが増えている
「部下が前向きに割り切るって、どういうこと?面談の目的が鍵をにぎる!」
「ロールプレイングでのフィードバックがおみやげに!」

「面談は気が重い」と感じているマネジャーが増えている

この研修の導入では、マネジャーの持っている悩みを、それぞれ受講者に語っていただきます。その際に「面談は気が重い」と口にする人が増えています。その背景には「納得しない部下」が増えていることがあげられます。多くのマネジャーが、評価面談の目的を「伝えること」「納得してもらうこと」に止めてしまうがために、部下は「説得されている」ように感じ取り、ますます納得しないという悪循環がおきているように思います。
また、受講者が「面談は気が重い」と感じる背景には、専門分化や技術革新がすすみ、部下の業務の各論が見えないこと。また、自分よりも年上の部下、逆に、若手部下で価値観が共有できないといった組織構成が複雑になっていることが要因になる場合もあるようです。
また、本人は非常に頑張ったのだけれども、相対比較で低い評価をつけざるを得ない現実もあります。気が重くなるのは当然かもしれません。
「じゃあ、どうしましょう?」が、この研修のねらいです。

「部下が前向きに割り切るって、どういうこと?面談の目的が鍵をにぎる!」

この研修では「面談の目的を自分の言葉で明確にする」というシーンがあります。もちろん、前述の「伝えること」「納得してもらうこと」も大事な要素ではありますが、それだけでは部下は前進してくれません。口ではいくら「育成のため、業績向上のため」と言っても、マネジャー自身が真に納得し、自分の言葉で語れなければ、部下には見抜かれてしまいます。
先日、ある大手メーカーの部長が研修最終日に、「二日間の研修の間、目的を言語化することをやり続けたことで、大きな発見があった!」と感想を述べられました。たしかに、その方の最終日のロールプレイングは見事でした。そのロールプレイングは、仕事で真剣に悩んでいる部下に対する評価面談という設定で、その方が上司を、私が部下役に回りました。その部長は、部下役である私の話をひたすら聴き、親身になって対応され、おもわず目頭があつくなる思いをしました。
「この人がそこまで考えてくれるのなら、前向きに割り切ろう!」と私自身が本気で思えたのです。部下は「マネジャーの面談の目的」を敏感に感じてしまうことを、改めて私も実感いたしました。
当然のことながら、評価においては、合理性・整合性を追求することは大事ですが、前述のように、部下から見ると時には理不尽な評価もありえます。そのときに必要なのは、部下自らが前向きに割り切ってくれるかどうか。そのために、まずはマネジャーが目的を持って、きちんと部下に向かい合えるかどうかが不可欠なことだと感じています。

「ロールプレイングでのフィードバックがおみやげに!」

この研修では、ロールプレイングを通して得る“気づき”も多様でかつレベルの深いものが多い事も特徴です。受講者各人が、上司役だけでなく、部下役にもなります。この際に、部下役になりきることが大事なポイントで、ここで改めて部下の気持ちになって、実感することも多いようです。
「一方的に話されるとこんなにつらいのか!」「質問のあとの沈黙はもう少し待ってほしかった」といった率直なものから、「グッときた。この人の言うことなら信頼できそう、ついていくよ」といった暖かいフィードバックもあり、上司役を演じた受講者にとって大きなおみやげになっているようです。
また、ある会社では「聴くことがなかなかできない」といったマネジャーの共通テーマがあり、三日コースで「傾聴」を学習しながら、ロールプレイングを実施したこともあります。ここでは、何回もロールプレイングを繰り返していきますが、多くの人が「聴くと訊く」の違いのコツをつかんで帰っていかれました。
もちろん、テクニックだけでなく、マネジャーが「どういう目的でのぞむか」、「真剣な姿勢で聴けるかどうか」が最も大事なことだと感じていただけたようです

この研修は、単なる面談のスキル研修ではありません。最終的にはマネジャー自身のマネジメント姿勢、特に部下育成に対して深いレベルで共感していただける考え方(発想法)を用意しています。また、研修では、概念論ではなく、部下時代の体験を語り合うなど、地に足のついた討議を進めます。コーディネート役である私自身も、多くの方の原動力や熱い思いに接することができ、大きな刺激を受けている研修なのです。
研修の最後に、
「(会社にもどったら)さっそくあいつに一声かけてやりたい!」
「部下の立場に立ったら、フィードバック面談がどれほど必要なのかを痛感しました」
といった言葉を残して帰って行かれる受講者の背中を見ると、私も疲れが吹き飛ぶ思いがします。

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