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企業事例

一人ひとりの働きがいの向上を支援したい キリンホールディングス

共創とリアルな接点を増やすために本社オフィスをリニューアル

  • 公開日:2023/03/17
  • 更新日:2024/05/16
共創とリアルな接点を増やすために本社オフィスをリニューアル

これからの社内のつながりを考えるときに鍵を握るのが、オフィスだ。キリンは2022年6月、グループ本社をリニューアルした。従業員それぞれが描く「働きがい」を後押しするオフィスのあり方を考え、カタチにしたという。リニューアルの目的や背景、使用状況などを人事総務部 企画・組織開発担当 主査の秋葉美樹氏に伺った。

リニューアル後は想定通り出社率が上昇
“リアルな接点”を増やし、リモートワークのマイナス面を解消したい
価値観や行動の変容を後押しし働きがい向上を支援したい

リニューアル後は想定通り出社率が上昇

リニューアルしたキリングループ本社のオフィスは高層ビルの4フロアを占めており、「ゲストラウンジ」「ミーティング・エリア」「カジュアルコミュニケーション」「情報共有・収集」と、機能別で4エリアに分かれている。キリンはリニューアルと同時にフリーアドレス制を導入しており、従業員は仕事の目的に合わせて適切なフロア・エリアを柔軟に使い分けることができる。「フロアを集約して総面積を約2割削減し、出社率50%を想定したオフィスにしました」

特に重視しているのが、有機的なレイアウトだという。「変化やメリハリを大事にしています。例えば、カジュアルコミュニケーションのエリアの中央には、キッチンカウンターやソファーを設置して気軽に集える“共創空間”を設けました。ミーティング・エリアは大小のスペースを複雑に配置し、1on1ブースも設けて、目的に合わせて使い分けやすいように工夫しました」

リニューアル後の出社率は、想定通りだという。「出社頻度は、事業部や部門ごとに方針を出してもらっています。業務によってリアルとリモートの適正バランスが異なるからです。主に企画、調査や分析を行う業務はリモートが多めで、対話が大事な業務はリアルが多めになる傾向があります。出社日は週2回程度が多いですが、なかには月1~2回程度の場合もあります。出社によってできる組織貢献もあるため、基本的には事業部や部門が求める頻度の出社を従業員にお願いしています。

人事総務部の場合、週2回+αを出社の目安としています。一例ですが、週1回はチーム全員で同じ日に出社し、対面でミーティングや相談をしています。週1回は自分の業務や都合に合わせて自由に出社します。チーム外とのコミュニケーションがある場合は、追加でもう1日出社します。今のところ異論や不満は出ていません。人事総務部のメンバーは、このくらいがちょうどよいと感じているようです。

リニューアル後はフリーアドレスとなり、各部署がそれぞれの個人ロッカーの近くに自然と集まることが多いですが、以前よりも部署間の座席の境目があいまいになり、他部署とのコミュニケーションが格段に増えています」

もちろん、子育てや介護などには柔軟に対応している。「会議室にはマイクスピーカーを標準装備しており、例えば家庭の事情で早く帰ったメンバーとのハイブリッドミーティングも日常的に行われています」

“リアルな接点”を増やし、リモートワークのマイナス面を解消したい

オフィスリニューアルの主な目的は“共創”と“リアルな接点”を増やすことにある、と秋葉氏は語る。「コロナ禍にリモートワークが増えたのは悪いことではありません。集中できる時間やプライベートの自由時間が増えました。営業は、訪問しにくかった遠隔地の得意先ともオンラインで簡単にお話しできるようになりました。リモートワークには明らかなメリットがあります」

ただ一方で、リモートワーク中心だとリアルな接点が失われ、偶然の出会いが少なくなってしまうマイナス面もある。「以前は、社内で知り合いとバッタリ会って話したり、同僚と立ち話で軽く相談したりするなかで、思いがけない新情報を手に入れたり、面白いアイディアが生まれたりしていました。また、ランチや飲み会のようなオフのコミュニケーションにより生じる接点もあります。しかし、リアルワークが減ると、そのように偶然を生かしてイノベーションを共創する機会が少なくなります。

またリモートワークでは、困っているときに周囲に相談するチャンスや、上司や先輩から声をかけてもらえるチャンスも減りました。新入社員をはじめ、業務に習熟していない社員にとっては大きな問題です。さらに、ちょっとした息抜きの雑談をしにくくなったために、人間関係を築けていない社員の孤独感も増しています」

こうした問題を解決するには、リアルなコミュニケーションを増やす必要がある。「私たちは、オフィスを“共創空間” “リアルな接点・つながりを生む場” “企業ブランドを感じる場”の3点に再定義してリニューアルを進めました。その根底にはオフィスワークを活性化し、リモートワークのマイナス面を解消したいという想いがあります」

企業ブランドを感じる場としては、先ほど紹介した共創空間で、さまざまな社内イベントの開催を促しているという。「先日は、ワインの新商品の試飲会がありました。こうしたイベントが増えることは、社内ブランド体験にも新たな出会いの創出にもつながると考えており、私たち人事総務部も歓迎しています」

価値観や行動の変容を後押しし働きがい向上を支援したい

このオフィスリニューアルは、キリンが推し進める「働きがい改革」の一環でもある。

「コロナ禍の最中に、多くの従業員の価値観や行動が大きく変容しました。人事総務部では、一人ひとりの変容をさらに後押しすることで、働きがいの向上を支援したい、と考えています。

ポイントとなるのは、環境変化を“機会”と捉え、仕事の意義・目的を確認しながら、仕事そのものの継続的な見直しに一人ひとりが取り組むことです。なぜ今キリンで働くのか、なぜ今の仕事をしているのか、どのようなキャリアを積みたいのか、これから世の中に対して何ができるのか、といったことをよく考えてもらいたい。さらにいえば、自らの人生にも照らして、自分は仕事を通じて何を実現したいのかも問い直してもらいたいと願っています。それが、自分の働きがいを形成することにつながるからです。

私たちは、新オフィスがその後押しをする場として機能することを目指しています。今後は風土づくりを進めたり、ナレッジシェア文化を醸成したりしながら、オフィスワークの満足度をより高めていきたい、と考えています」

【text:米川 青馬 photo:柳川 栄子】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol. 69 特集1 「つながり」を再考する より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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