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公開日:2023/01/30
更新日:2023/01/30

THEME 組織開発

企業事例職場マネジメントのPDCAを回す意識調査の活用 アイシン

地道な改善と進化で職場が主役の人・職場づくりへ

地道な改善と進化で職場が主役の人・職場づくりへ

アイシンは15年ほど前から意識調査を継続して行い、調査から分かった“従業員の声”を職場に届け、現場の人・職場づくりに活かし続けてきた。15年の軌跡、直面してきた課題、現在地、これから目指す場所などについて、株式会社アイシン 人事部 主査 大澤昭彦氏(写真左)・同 人事戦略室 企画グループ 主幹 福西亮太氏(右)・同 人事戦略室 統括グループ 出口賀央里氏(中央)に詳しく伺った。

人・職場づくりの目指す姿に向けて改善・進化し続ける意識調査



アイシンが意識調査を始めたのは2007年のことだ。2014年頃からは、マネジメントの実践度の把握から、人・職場づくり全般に目的を拡張した。

「会社の人・組織課題に合わせ職場の実態を把握するために、経営理念・アイシンウェイや方針などの浸透度、働きがい・キャリア志向・生産性向上・ワークライフバランスなどに関する設問を加えながら改善・進化させています。2017年からはグループ一体での組織風土変革をねらい、順次グループ会社へ拡大し、各社の人・職場の現状把握、活動支援を開始しています」(出口氏)

「2021年にアイシン精機、アイシン・エィ・ダブリュが経営統合し、新生アイシンとなりました。その際に改めてグループ経営理念・グループウェイを策定し、実現に向けて取り組んでいます。2022年の重点テーマは、“チャレンジに向けて一歩踏み出す人・職場づくり”です」(大澤氏)

「多様な人材の共創・挑戦。個々人のプロ化。個を活かすマネジメント。この3つの観点を常に意識し推進することで、個人は働きがい向上と人生の充実を、会社は新たな価値の創造を実現することが人・職場づくりの目指す姿です。この実現に向けて現状を把握するために欠かせないのが意識調査です」(福西氏)

職場が主導して意識調査を職場課題の整理・解決に活用



アイシンが意識調査を行う上で、一貫して大事にしてきたことがある。「一番大切にしているのは“声を届ける”こと。意識調査は、社員の皆さんの貴重な時間を使って答えてもらった本音の声です。管理職はもちろん、現場の社員一人ひとりにも結果をきちんと共有しながら、全員参加の職場づくりが進むように使っていきたい。

だからこそ、各部署には意識調査の“振り返り”をしっかり行ってください、とアナウンスして、職場のみんなで振り返る場を設けてもらっています。加えて役員まで巻き込んだ全員参加の職場づくりとなるよう、各本部やカンパニーの上位階層での振り返り会にも力を入れています」(出口氏)

振り返りの主な目的は、職場課題の整理と解決だ。「この3年ほどは、“働きがい”に焦点を当て、その背景にある職場風土・マネジメントの状況を把握するためにも意識調査を活用してください、と盛んに呼びかけてきました」(大澤氏)。その効果もあって、各部署が主導して意識調査を活用し、職場課題の整理とアクションを進めて職場マネジメントのPDCAを回す動きが活発になっている。

意識調査は良質な対話を引き出す材料だ



「とはいえ、意識調査をどう活用してよいか分からない部署や、見えてきた職場課題への打ち手が単発にとどまる部署も多いのが実情です。全社に対しては、『ぜひ人事に声をかけてください。一緒になって課題を整理し、解決していきましょう』と呼びかけています」(大澤氏)

2022年は、一部の職場からの相談を受けて、人事が職場に入り込み意識調査を活用した職場改善に伴走した。調査の読み解き支援だけでなく、分析方法や現場の悩ましさにも寄り添って一緒に考えた。「調査結果を手元に置きながら、現状を率直に対話することで、大きな気づきを得ていたのが印象的でした」(出口氏)。網羅的な意識調査では、各組織のありたい姿や取り組みの効果確認として必要な点だけを読み解くサポートが効果を発揮する。現在は、データ分析を担うTQM・ISO推進部が、50部署ほどの読み解きや分析を支援している。

地道な取り組みが、意識調査の活用度を高める原動力になっている。「意識調査は、いわば職場の健康診断です。年に1度、自分たちのアクションがどれほど課題解決に効き、職場をより健康にできたかを確かめるツールとして使ってください、と繰り返し伝えています。2022年は多くの職場が精力的に活動しており、意識調査の注目度がいつも以上に高まっていると思います」(福西氏)

これらのプロセスにおいて、人事が重視しているのが対話だ。「意識調査は、良質な対話を引き出す材料だということを、改めて認識しています。例えば、部の振り返り会で調査結果を管理職の手元に置くと、それを見ながら自然と話し出すのです。“このグループはなんでこの数値がこんなに高いの?”と誰かが質問したことをきっかけに、工夫や知恵を交換し合うことがよくあります。反対に、どのグループも同じ数値が低く、“みんな同じことで悩んでいるんですね”と共感し合うこともあります。管理職の間でも職場内でも、こうしたコミュニケーションを起こすことが一番大事なのです。2022年は意識調査の読み解きを目的とした勉強会も計画しています。より良い職場づくりをメンバー一人ひとりが考え、悩み、深め合う対話を引き続き支援していきたいです」(福西氏)

トップダウンとボトムアップの改善活動を両輪で回している



以上の取り組みの結果、変化は着実に起こっている。「例えば、読み解き支援を行った部署では、部全体のアクションプランを受けて、各職場がそれぞれのアクションプランを主体的に立て、独自に実行しています。意識調査の活用が部全体に浸透したことを実感しました」(出口氏)

「ある工場では、メンバーからチャレンジしたいアイディアを募り、工場長や室長が出てきたアイディアを一切否定することなく背中を押し続けました。その結果、職場主導の主体的なアクションが増え、職場改善につながっています。こうした事例が徐々に増えてきました」(福西氏)

ここまで職場主導の話をしてきたが、一方では人事部が中心となって全社の課題整理とアクションを行っている。「毎月の部長連絡会や経営層と組合の労使懇談会など、話し合いの場を定期的に設け、全社や各組織の階層、労使間など、さまざまなアクションを進めています」(福西氏)。こうしてトップダウンとボトムアップの改善活動を両輪で回していることも特筆すべき点だ。

「経営統合後の転換期に、各部署と人事が一緒になって人・職場づくりを盛り上げ、継続・定着し、文化にしていくためにどうしていくか。さらに追求したい課題です。実際には悩みや失敗も多く、決して順風満帆ではありません。それでも職場マネジメントのPDCAを愚直に回し続けることがチャレンジする職場風土を作ると信じ、今後もたくさんの汗をかいて改善・進化させながら進んでいきます」(大澤氏)



【text:米川 青馬 photo:角田 貴美】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.68 特集2「エンゲージメントを高める組織学習サイクル」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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