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企業事例

メンバーシップ型の新しいかたちを体現する レバレジーズ

企業の成長には俊敏性が必須 社員のWill尊重による自由と働きがいが鍵

  • 公開日:2022/09/16
  • 更新日:2024/05/16
企業の成長には俊敏性が必須 社員のWill尊重による自由と働きがいが鍵

2022年版「働きがいのある会社ランキング」大規模部門第3位を獲得、「顧客の創造を通じて関係者全員の幸福を追求し、各個人の成長を促す」というユニークな企業理念を掲げるレバレジーズ。社員に働きがいを提供し、成長実感を約束する背景にはどんな仕組みがあるのだろうか。同社の藤本直也氏にお話を伺った。

社会課題の解決を目指して拡大する事業
採用と配置に力を入れ抜擢を繰り返す
事業部間の壁は低く人事権は弱く

社会課題の解決を目指して拡大する事業

レバレジーズの創業は2005年で、ITや医療、介護、さらには若年領域における人材事業、Webメディア事業、M&Aコンサルティング事業など、40を超える事業を、国内および海外4カ国で展開する。従業員数約1400名、平均年齢20代半ばの若い会社である。

事業の目的は社会課題の解決だという。分かりやすい例が、グループ会社が手掛ける最も古株の事業、レバテックフリーランスだ。IT業界は多重下請け構造になっているため、例えば三次請けの会社と五次請けの会社とでは、同じ仕事をしていても前者の方が圧倒的に報酬が高い。当然、社員の給料にも違いが生じる。

この問題を解決するのが、レバテックというプラットフォームなのである。発注元と元請け会社の案件をすべて引き受け、フリーランスのIT人材に直接発注する基盤となる。多重下請け構造を解消しながら、IT人材にキャリアアップを促し、好待遇を約束するというわけだ。「それぞれの業界の不便や不満、不都合を解消していくのがわれわれの事業の共通目的」と、執行役員の藤本直也氏が説明する。

採用と配置に力を入れ抜擢を繰り返す

人事の根幹となっている方針を聞いてみた。「採用と配置で8割が決まるというポリシーで人事を行っています。適材を採用し、適切な配置を行い、抜擢する。それが個人の成長を促し、組織を拡大させる基本だと」

新卒・中途の割合は半々で、応募者は社会貢献意欲と自己成長意欲がいずれも高い人材だという。ほとんどが20代だ。後述するように、キャリアの柔軟性や選択肢の幅広さに惹かれ、応募する人も多い。選考にあたっては、コミットメントが高く結果を出せる、納得すればそれまでの行動を変えられる柔軟性がある、混沌とした状況にストレスを抱えにくい、という3点を重視する。

採用時から本人のWill(やりたいこと)を明確にして初期配属を決める。そこまでが、いわば採用担当者の仕事になっている。

では抜擢はどうか。「当社は年間成長率130%以上を常に意識して経営をしています。結果、3年で会社の規模が倍になる。後輩がどんどん入ってきますから、成長した人材を、いろいろな形で抜擢できる。意図的な抜擢もあれば、組織拡大による自然な抜擢も起こります」。実際、同社は創業以来、右肩上がりで成長し続けている。

今の職種や部署を変わりたいと思ったらどうするのか。実はそれを事前に察知するツールがある。月1回のアンケートだ。組織に対するエンゲージメントを測ると共に、異動希望を出せるようになっている。エンゲージメントのレベルが明らかに下がっている場合、人事が面談し、別部署への異動を働きかけることもある。異動を希望する場合も、適正な理由によると確認できれば、実現する。かなり機動的だ。「その前提として、週1回もの頻度で行われている上司・部下間の1on1があります。そこでは業務報告ではなく、キャリアの話が中心。『最近どう?』『これからどうしたい?』。上司はこの2つだけ聞けばいいと。部下のキャリアに寄り添う時間をしっかりとっています。この1on1がきっかけの異動も結構あります。

キャリアにおいては本人のWillを最優先とし、会社や上司がそれを後押しするというやり方です。『この仕事をお願いします』ではなく、『あなたは何をしたいのか』から始まるんです」

事業部間の壁は低く人事権は弱く

異動ではなく退職という形にはならないのか。「多くの企業なら外部に委託するマーケティングやシステム開発などの仕事を内製化しており、さまざまな職種が社内にあります。事業領域も広いので、別の仕事にチャレンジしたい場合、転職しなくてもかなうことが多い。それもあって、退職率は同業のIT企業と比べて半分以下です」

とはいっても、先述したように、同社には40以上もの事業があるから、異動先の目星がつかない社員も多いはずだ。

それを見越して、LCP(レバレジーズ事業部横断プログラム)という仕組みが走っている。2つから成り、1つは事業部交換留学制度。他事業部のミーティングに参加したり、営業に同行したりすることができる。もう1つが社内勉強会制度。月1回、各事業部の部長やマネージャー、成績優秀者などが講師として登壇する勉強会で、誰でも参加できる。他にも、各事業部で毎月開催されるキックオフには他事業部の社員も参加できるし、部署を超え、「憧れの先輩」に1on1をやってもらえる制度もある。

柔軟なキャリア選択という意味では、社内副業という制度もある。「別事業の仕事を手伝い、時給換算でお金がもらえる仕組みです。なかでも新規事業は人材不足になりがちですから、システム開発が遅れ気味のとき、手伝ってくれる人を社内で募り、社内で副業をしてもらうことが多い」

ところで、正社員には転勤がつきものだ。海外でも事業を展開し、国内にも約20の支店をもつ同社ではどうか。「転勤はありますが、本人の同意が必須です。うちには『何々を命ず』という辞令そのものがないんです」

同社は「仕事に人をつける」欧米式のジョブ型ではなく、「人に仕事をつける」日本式のメンバーシップ型だといえるが、従来の日本企業と異なるのは、キャリアにおいては人事や上司にお任せではなく、本人のWillを最大限に尊重する点だ。そうした発想はどこから来ているのか。「この時代、成長企業と非成長企業を分けるものは、俊敏性だと思います。その俊敏性を担保するのは知識ではなく、人です。さまざまなノウハウやテクノロジーが2、3年単位で次々に入れ替わるので、それに応じた教育や研修を提供しづらいのです。だとしたら、優秀で前向きな人を採用し、自由を重んじた、その人たちの働きがいを最大化するような仕組みを作り、長く残ってもらえるようにすればいい。結果、会社に俊敏性がもたらされ、強くなり、本人もハッピーになる」

人事権の弱いメンバーシップ型、という新しいタイプの日本企業といえるかもしれない。

【text:荻野 進介 photo:伊藤 誠】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.67 特集1「個人選択型HRMのこれから」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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