- 公開日:2020/02/21
- 更新日:2024/03/18

高校生を主な対象とするオンライン学習サービス「スタディサプリ」。そのサービスの1つに、学校向け事業がある。ここでは、その事業を新規営業主体から、「活用」第一の組織に変えた事例を紹介する。
株式会社リクルートマーケティングパートナーズ まなび事業統括本部 教育機関支援統括部 支援企画部 部長 池田脩太郎氏にお話を伺った。
あるときビジネスの成長率が伸び悩んだ
リクルートマーケティングパートナーズは、2012年にスタディサプリの提供を開始し、翌年から学校向け事業を始めた。事業のサービス責任者・池田脩太郎氏によれば、初期は営業するだけ売れたという。「風向きが変わったのは2016年で、あるときビジネスの成長率が伸び悩みました」
当時の顧客数は、日本の全高校5000校のうち1000校程度。伸び代はあるのになぜ伸びなくなったのか。主な原因は解約率の高さだった。「高校の数が限られる以上、学校向け事業では継続利用が肝心。何とかして解約率を下げなくてはなりませんでした」
活用重視の営業に変えるため時間をかけて合意をとった
池田氏たちがさらにデータを調べて発見したのは、宿題配信機能を継続して利用する先生が一定数いる学校では、スタディサプリが「活用」されているとみなされ、ほぼ解約されない事実だった。「これが分かったことで、“活用重視”へ舵を切りました」
当時の営業活動は新規中心で、販売後の活用は学校・生徒任せになりがちだった。そこで池田氏たちは活用フォロー重視の営業に変えることを決めた。その際、時間をかけたのが合意形成だ。組織変革には、全員の目線を一致させることが最重要と考えたからである。「まず部長層で合宿をしました。分かったのは、そもそも顧客が先生か生徒か保護者かという認識が各自違うこと。私たちは、導入を意思決定する先生を顧客と決定。合意形成の第一歩です」。顧客が明確になったことで、セグメントごとの提供価値などをスムーズに決められたという。
次は、営業部のミドルマネジャーたちだ。「現場を知る彼らからは、具体的な不安が多く出ました。スマートフォン禁止の学校があるなか、宿題配信をKPIに置いて達成できるのか、といった不安です。彼らにはビジョンと事実を示しました。今後、日本の教育がデジタル化するのは明白で、デジタル活用を始めている学校が生徒・保護者の支持を得ている以上、学校向け事業を推進する私たちは活用促進を避けられない。詳しく説明して理解を得ました」
その上で、活用促進の「型」を作って営業メンバーとの合意形成に注力し、組織一丸となって全国推進するなかで、数々の創意工夫やナレッジが生まれてきた。「活用を促すことで感謝してくれた先生、伸びた生徒などの成功事例にスポットを当て、積極的に評価・表彰を行うと共に、そのナレッジを全国のメンバーに伝えました。そうやって次第に大きなうねりを作り、営業文化を変えていきました」
カスタマーサクセス部を新設新規営業と分業する体制へ
池田氏たちは、並行してプロダクトサイドの合意形成も図った。「活用促進には、先生向けの業務支援システムの充実も必須です。そこでプロダクトサイドも経営陣で合宿し、マネジャーやエンジニアの合意をとりました」
この丁寧な合意形成が功を奏し、彼らは急速に活用重視の組織へ変わった。結果、宿題配信機能を活用する先生が急増し、偏差値40クラスの高校からMARCH合格者が出るなど、成功事例が次々と出ている。狙いどおり解約率は大きく改善し、再び成長軌道に乗った。
2019年には、活用フォローに特化したカスタマーサクセス部を新設し、新規営業部と分けた。「両者は適性が異なるため、分業で成果がより高まりました。今後は、生徒の学力向上と希望進路実現を支援すべく、さらにサービスを充実させていきます」
【text:米川青馬】
※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.56 特集2「環境変化に適応できる営業組織を作る」より抜粋・一部修正したものである。
本特集の関連記事や、RMS Messageのバックナンバーはこちら。
※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。
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