働き方改革と職場の学び リクルートライフスタイル 社員の「学び」を促し生産性を向上させる

ITを使って「未知の領域」へと事業を拡大していかなければならない時代、営業スタイルも大きく変化している。どうすれば一人ひとりの生産性を高め、業績を向上させつつ、個々人の生活の満足度も上げていけるのか。社員の「学び」を促し、生産性向上につなげた事例として、「ガリレオCHALLENGEプロジェクト」について、株式会社リクルートライフスタイル 企画統括室 人事部 企画グループ 兼 組織・人材開発グループ グループマネジャー 神山良太氏、企画統括室 人事部 組織・人材開発グループ 沖 早織氏に取材した。


2016年度から3カ年計画でさまざまな施策をスタート

「じゃらん」や「ホットペッパーグルメ」などのメディア事業を多く手掛けているリクルートライフスタイル。近年は「Airレジ」など、システムを活用しながら顧客の業務効率を上げる支援事業にも力を注ぐ。
「未知の領域へと事業を拡大していくなかで、営業のスタイルも従来とは大きく変わってきています。加えて、営業を担当するのは雇用期間に定めのある契約社員がメイン。したがって、人は常に入れ替わります。さらに全国にある事業所ごとの特性も考慮しなければならない。そのような状況のなかで、どうしたら生産性を高め、業績を向上させ、個々人の生活の満足度も高められるのかという観点からスタートしたのがガリレオCHALLENGEプロジェクトでした」と、人事部マネジャーの神山良太氏は語る。

ガリレオCHALLENGEプロジェクトは、2016年度から3カ年計画でスタートした。地動説を唱えたガリレオ・ガリレイにちなみ、業績向上のためには長時間労働は避けられないという今までの常識を疑い、意識・行動変革を行うという意思を込め、その名を付けた。「働き方を変えてみる、休み方を変えてみる」を基軸にさまざまな施策を展開したプロジェクトで、1年目は「意識する」ことを目標に置いた。

生産性向上を一過性のムーブメントで終わらせないよう、「リクルートグループの“ボトムアップ”文化を生かし、強制ではなく、自らの意思で生産性向上に挑戦する風土を作ることを目指した。そのために初年度の腹落ちを丁寧に行った」と、担当した沖早織氏は振り返る。

定期的に「生産性」をテーマに、著名人を招いたトークイベントを開催。全社員に送る社内報には毎日、生産性に関するコンテンツを載せてもらった。

2年目に掲げたキーワードは、「変えてみる」だ。具体的な取り組みは、大きく3つ。1つは、全社表彰制度に「ガリレオ部門」を新設。生産性向上に関する取り組みで成果を上げたものであれば、個人でも組織でもエントリーできるようにした。現場の営業が1件当たり5時間かけて作成していたレポートをITツールの導入により2分で完成させられるようにしたケースが大賞を受賞した。

加えて、組織のなかで自発的に始まった生産性向上の取り組みを1年かけて募集し、イントラネットでシェアする「ガリナレ(ガリレオ・ナレッジ)」も実施。拠点が離れているチームの朝会をテレビ会議に変えたり、暗黙知化していることをすべて明文化したマニュアルを作成したり。

全国の事業所から1年間で500件近くのナレッジが集まった。「ガリ×データ活用」と称し、プロジェクトチームが事務局となってプロダクトを開発するIT部門と営業や企画部門などをつなぎ、データの力で生産性の問題を解決する橋渡し役も担った。

ガリナレが定着したことにより、現場では「そのミーティング必要ですか?」「この書類は定型化しませんか?」などの声があがりやすくなったという。

アウトプットすることで「学び」効果を促進

「ナレッジをアウトプットして共有することにより、現場が『これ無駄だよね』と感じたことを気軽に声に出し、会話できる機会を創出できたことが大きかった」と神山氏は語る。

そのような積み重ねを経て、3年目に掲げたキーワードが「成果を出す」だ。この段階では、組織長の生産性向上のスキル装着・実践を目的に研修を実施。研修は間を空けて2日間行われた。事前に業務時間を調査し、1日目はその結果を分析して生産性向上のためのアクションプランを立て、2日目には実践したアクションプランがうまくいったかどうかを振り返った。

「研修では、イントラサイトに集まった事例を1枚の紙にまとめ、これをヒントに自分の組織でどうアレンジするか計画してください、とお願いしました。実際に取り組んで成果の上がった事例がすでにあるなかでの研修だったため、納得感も大きかったのだと思います」と、沖氏は語る。

3カ年を経た今、平均労働時間は確実に減り、業績も好調を維持している。半期に1度の組織と個人の状況を測るエンゲージメントサーベイでも、成果が見えているという。

「サーベイでは、生産性が上がっているか、働きやすくなっているかなどといったダイレクトな質問もしています。組織長にはそれらの情報も定量的に入ってきますし、時には定性的なコメントがフィードバックされることもあります。そのため組織のなかで生産性向上がうまく進んでいるのかどうかを組織長が把握しやすく、意識変革も起こり始めているのかなと思います」(神山氏)

仕事以外の時間が増えインプットの幅も広がった

プロジェクトを通じて仕事に割く時間が減り、家族と過ごす時間や趣味・ボランティアなどの時間など仕事以外の活動に費やせる時間が増えた効果も大きかったという。結果的にインプットの幅も広がり、それが巡り巡って業績向上につながるなどの好循環が生まれつつある。

「生産性は本来、休む、学ぶ、遊ぶなど、個々人のハピネスと相乗効果を生んで上がっていくもの。このプロジェクトを始める以前は、業績を伸ばすためには労働時間が長くなるのもしょうがないと思い込んでいた組織長もいたことでしょう。研修を通じ、業務効率を上げられれば労働時間を減らしても業績は維持できることや、短くなった労働時間分を社外のインプットの時間に費やした方が結果的に業績向上にもつながりやすいということを多くの組織長が実感し、メンバーも同じだと納得してもらえたのではないでしょうか」と、沖氏は指摘する。

3カ年を経た今年度は、期間限定のプロジェクトとしてではなく「当たり前」に各組織で生産性向上に取り組んでいる。

【text:曲沼美恵】

※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.55 特集1「職場の学びはどう変わるか」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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