人事データベースにおける適性検査の活用 サッポロビール 適性検査の結果を異動時の重要資料に

採用試験で用いられる適性検査。使い方次第で、採用だけに使うのはもったいないほどの示唆が得られる。サッポロビール株式会社 人事部 人事グループリーダー 赤羽尊弘氏、マネージャー 竹内利英氏に、人事諸データを統合するオンライン上のデータベースにおける適性検査の活用についてお話を伺った。


長年の蓄積による人事担当者の経験と勘を裏づけ

誰をいつ、どこに配置するか。ジョブ型ではなく、メンバーシップ型雇用が一般的な日本企業においては、特に総合職の場合、異動は欠かせない。ただし、的確に行うには、大量の情報と、試行錯誤を繰り返すことで身に付く人事の“経験と勘”が必須となる。

サッポロビールは、正解のない異動という場面において、長年の蓄積による人事担当者の経験と勘を裏づけするために、各所に散らばっていた諸データを統合するオンライン上のデータべースを構築した。2018年春のことだ。

そこには、各社員の属性や経歴はもちろん、異動希望先、業績評価、上司のコメントなど、ありとあらゆる人事情報が収められている。なかでも目玉となっているのが、採用時に行われた適性検査の結果である。デジタルのデータが残っていない社員約2000名には改めて受検してもらい、整備した上で、異動を決める際の重要資料として活用している。

職種別データを作成

まずは業務用営業、家庭用営業、マーケティング、製造といった具合に職種を分けて適性検査の数値を分析し、職種別の特徴が分かるようにした。

人事部マネージャー、竹内利英氏が語る。「データが異動先の職種の特徴に合致しており、なおかつ、その職種への異動希望者、という括りで候補者を引き出してくることもできます。紙の資料もデジタル化しましたので、これまでのように経験と勘に頼るだけではない、さまざまな切り口による総合的な判断が可能になりました」

さらには、組織の状態も把握できる。「例えば、適性検査の結果によって、仕事に向かうマインドが論理的か感情的かという横軸、その進め方が挑戦重視か秩序重視かという縦軸で分けると、全員が4象限のどこかにプロットされます。一人ひとりのタイプの違いは個性なので良い・悪いということではないのですが、組織ごとの全体像を可視化すると、その組織がうまく機能している理由、していない理由が見えてきました。例えば、疲弊している組織ではメンバーのタイプが二極化していました。実際に、メンバー間や上司・部下の間でうまくコミュニケーションがとれていないようでした」(竹内氏)

こうした状態を、異動という手段のみで改善するのは難しい。各自が自らの、あるいは上司が部下の適性検査の結果を理解した上で、相互理解を深め、相手を尊重する行動をとるようになれば、人間関係は良くなり、状況は改善できるという。

マネジメントにも適用可能

そこで、次の段階として同社は、そうしたデータをマネジメントに生かすことを考え始めた。

人事グループリーダーの赤羽尊弘氏が解説する。「上司と部下のコミュニケーションスタイルを見直す新しい取り組みを始めました。具体的には、単なる目標管理にとどまらずに、緊密なコミュニケーションを通して上司が部下に寄り添い、成長を促すワン・オン・ワンのミーティングです。それをうまく回すためには、上司が部下という人間をもっと深く知る必要がある。その材料として、適性検査の結果を活用しようと考えています」

同社の人事は毎年、すべての事業所を回り、個人の働きぶりや組織の様子をヒアリングしている。その内容が、異動候補者選定の重要な材料にもなってきた。「今後は、ヒアリングの場に適性検査の結果を持ち込むことを考えています。上長から、各メンバーの結果や組織の全体状況を共有してもらう。その上で、一人ひとりに寄り添い、強みを伸ばしていくマネジメントが可能になるような材料やアドバイスを、人事として提供していきたい。それによって、社員全員が自分の能力や魅力を十二分に発揮できる状態が実現できたら本望です」(竹内氏)

【text:荻野進介】

※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.54 特集2「企業における適性検査活用の新潮流〜測定から活用へ〜」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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