優秀な若手が集まる環境とは ユーザベース 「自由」と「責任」2つのバランスを軸にカルチャーを作る

2008年の創業以来、成長を続けるユーザベース。米国のクオリティ経済メディア「Quartz」を買収するなど、海外展開も意欲的だ。その勢いに惹かれて優秀な若手層も多く入社しており、グループ全体の社員数は300人を超える勢いだ。創業10年を迎えた同社で、挑戦し続ける組織づくりに取り組んでいるのがカルチャーチームだ。株式会社ユーザベース カルチャーチーム HRマネージャー 宇尾野 彰大氏にお話を伺った。


情報は原則オープン「自分で決める」ことが成長させる

企業の大小を問わず人材を惹きつける要素は、事業が成長し続けていることだろう。ただし、それだけでは不十分だ。「重要なのは自分らしく働けること、やりたいことを思う存分、自由にやれる環境があることだ」と、カルチャーチームHRマネージャーの宇尾野彰大氏は指摘する。個人の成長と会社の成長が連動している限り、会社の成長が止まらなければ組織の一員である個人も成長し続けることができる。では、どのような環境と仕組みがあれば、2つを連動させることができるのだろうか?

宇尾野氏は、重要な要素の1つとして同社が大切にしている「自由主義」を挙げる。ユーザベースでは「スーパーフレックス」制度のもと、働く場所や時間は自由。事前の相談はあっても、明示的な稟議を通す必要はない。人材の評価軸として最も重要視しているのは「誠実である」かどうか。それを分解して、採用時に見る観点として「オープンコミュニケーション」「素直さ」「自責」「自己認知」の高さや有無を大事にしている。

「採用面接でも『今の印象だと、私たちはこう感じているため、この後には進めないかもしれません』ということを正直に誠実にお伝えして、その反応やどのように返答するかを見ることもあります。日常業務では、相互信頼ができていることを前提に、年齢や役職に関係なく『あなたのここが素晴らしいが、ここは直した方がいい』と明確に言い合うオープンなカルチャーがあります。チームや個人の目標からのズレを修正していくためにも、マネジャーとメンバー間のフィードバックは3カ月に1度行い、自己認知を高める努力をします。また、入社して3カ月間は違うチームのメンター役がつき、気軽なコミュニケーションのなかから、本人が『やりたいこと』の背中を押しています」

最近は新卒を含めて年80人近くを採用。組織の3分の1を新しく入った人が占めている。人事施策に関しては、試行錯誤のものも多くある。

「新卒採用も今年から本格スタートしました。例えば、インターンシップに来た学生に対して、一方的に配属を決めるのではなく、どの事業の何をやりたいかを自分で決め提案してもらうことにも挑戦しています。そのために必要な情報は惜しみなく提供する。配属先を会社や人事が決めるのではなく、本人が勝ちとるスタイルがあってもいい」

給与テーブルは原則として社内でオープン。職位と期待役割や職務要件含めた内容が全社にオープンにされている。職位を公開しないこともできるが、管理監督者以上は全員、公開している。これもオープンなカルチャーを象徴する施策の1つだ。

「自由には責任が伴う。自由であり続けるためには、責任を果たすことが当然求められるし、責任のラインを明確にすることも重要だと考えています。責任は自由を奪うものではなく、自由であるためのもう片方の翼。2つが両輪としてうまく回っている限り、コンフォートゾーンから抜け出せる環境を作り出せると思っています」

明確なバリューがあるからこそ互いを信頼できる

ユーザベースは商社・金融出身の新野良介氏と金融・コンサル出身の梅田優祐氏、エンジニア出身の稲垣裕介氏の3人が創業した。現在の企業文化は、バックグラウンドの異なる3人の個性がぶつかり合うなかから生まれてきたという。

「ビジョナリータイプの新野と少年のような無邪気さを残したプロダクトオーナー気質の梅田。稲垣はエンジニア出身で、オペレーションを整えたり、細部を設計したりするのが得意です。創業間もない頃、稲垣の出社時間が遅いことに対して、営業で走り回っていた梅田が不満を抱いた。稲垣には、前日の夜間にメンテナンスを行ったという理由があったのです。ただ、オープンに話さなかったことが原因で、お互いに不信感が募っていったそうです」

その過程で学んだのは「オープンに話すことの重要性」だ。多様なバックグラウンドをもつメンバー同士が信頼できる文化を作るには、異能を才能と尊重し、お互いの景色をオープンに交換する。そう決めてから組織がうまく回るようになったことが、「自由主義」の原点だ。

ユーザベースでは「ミッション」と「バリュー」に基づく経営を徹底している。「経済情報で、世界を変える」というミッションを掲げ、行動基準を「7つのルール」という言葉で浸透させている。社員数が30人を超えた頃、組織が混乱したのをきっかけに作られたもので、「自由主義で行こう」「創造性がなければ意味がない」「ユーザーの理想から始める」「スピードで驚かす」「迷ったら挑戦する道を選ぶ」「渦中の友を助ける」「異能は才能」で構成されている。それぞれの項目をさらに具体的な行動に落とし込んだのが31の約束。一つひとつを「Do」と「Don’t」に分け、どのような行動が奨励されるのかを、小冊子にして入社時に配っている。

「ミッションを達成するためのチームであり、そのチームを束ねる考え方として7つのルールがある。それ以外の、ミッションや事業成長に関連しないルールは極力排除する。この考え方が共有されているから、各々が自律して動ける。だからといいますか、人材開発ということはほとんど意識したことがありません。人を育てるよりも“育つ”環境を作ることに注力しています」

宇尾野氏によれば、「チームの成果が上がらないのはコミュニケーション、つまり人と人との間に問題がある場合が多い」。社内にコミュニケーション上の問題があれば、チームリーダーの求めに応じて現場に介入し、問題解決をサポートしている。

自由と責任の文化が才能を惹きつけ、その背中を後押しする環境が事業の成長を加速させる。それがさらに才能を惹きつけるという、良い循環が生まれている。

【text:曲沼美恵】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.52特集1「リテンションマネジメントを超えて ―若手・中堅の離職が意味すること―」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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