自分らしさを発揮できる環境作り freee メンバーの成功が会社の発展へとつながる

AI(人工知能)を使ったクラウド会計サービスなどを展開するfreeeに、「人事部」という名の部署はない。代わりにあるのは「メンバーサクセスチーム」。5つの価値基準を基盤に個々人の「らしさ」を引き出す組織づくりについて、マネージャーの古塚大輔氏にお話を伺った。


会社と従業員との関係性は
マネージャーとタレントの関係に近い

2012年創業のfreeeは、クラウド会計ソフトなど中小事業所対象のサービスを手がけるベンチャー企業だ。従業員数は約300人。その3分の1をエンジニアが占めている。創業してからの約3年間、いわゆる人事に関する業務はGoogle出身でCEOの佐々木大輔氏とCOOの東後澄人氏が担当していた。組織的な体制へと移行したのは従業員数が100人規模に近づいた2015年10月で、それと同時に人事や総務などのバックオフィス機能を「メンバーサクセスチーム」という名称で集約した。その3カ月前に転職してきて組織人事を率いることになったのが、古塚大輔氏だ。

「部署名に関しては、目的をそのままチーム名にしたら分かりやすいし、従来の人事・総務というくくりでは発想できないソリューションも提案として出てくるのではないかと、社長と2人で話し合いながら決めました」

チームの目的は「従業員が働きやすい環境を作ること」。部署名には、一人ひとりが働きやすい環境を作ることで個々人が成長し、会社の成功を牽引していけるような組織を作っていきたいという願いを込めた。

「freeeが考える会社と従業員との関係性は『管理する者・される者』ではなく、芸能界でいうマネージャーとタレントの関係に近いと思います。プロの世界では、タレントさんが気持ちよく演じてくれないと番組や企画は成功しません。会社も同じで、プレイヤーである従業員が個々の『らしさ』を発揮しながら気持ちよく仕事ができる環境でなくては発展しないでしょう」

同様のことは、従業員と管理職の間にもいえる。それを象徴しているのが、社内でマネージャーを指す際に使われている「ジャーマネ」という言葉だ。

「すべてをメンバー中心で考えた場合、管理職はあくまでメンバーを支える役割を果たす人という考え方になります」

1対1のミーティングは
評価ではなくレビューのため

従業員が主役とはいえ、会社である以上、「嫌でもやってもらわなくてはならない仕事」もあるだろう。自分らしくありたいという個人の希望と会社として「やってほしいこと」を擦り合わせる機会として重要なのが、ジャーマネとメンバーとの間で開く1対1のミーティングだ。

「弊社ではこれを『1on1』と呼んでいます。1on1は、メンバーが業務上困っていることだけに限らず、キャリアの話などなんでもジャーマネに共有できる機会であるだけでなく、ジャーマネからメンバーに対して成長を主眼に置いたフィードバックなどをする機会で、両者の信頼関係を構築する基礎になっている取り組みです。1on1でできるだけリアルタイムにフィードバックを行い、3カ月に一度行うレビューでは、ジャーマネがそれまでのフィードバックを総括します。このレビューは評価ではないのであくまでも『レビュー』と呼んでいます。給与と連動した、いわゆる『評価』は、4人の経営陣から成る委員会で決めています」

正式なレビューは3カ月に一度だが、日常的に安心して本音を吐き出せる場があることが納得感や互いの信頼関係構築に有効だと考えるため、どの部署でも、週に1回は必ず小規模なレビューを実施している。その際、共通の「ものさし」として機能するのが言語化された価値基準だ。

freeeでは「本質的(マジ)で価値ある」「理想ドリブン」「アウトプット→思考」「Hack Everything」「あえて、共有する」といった5つの価値基準を設け、ポスターを作成したりイベントを開催するなどして浸透させている。

「言葉はユニークですが、内容的にはそれほど奇をてらっているわけではありません。『本質的(マジ)で価値ある』はユーザーにとって本質的な価値があると自信をもって言えることをする。『理想ドリブン』は理想から考え、現在のリソースやスキルにとらわれず挑戦し続けるという意味。これらは、社長とCOOが考えた言葉に対して従業員が意見し、親しみやすいコピーを考えるなどして自分たちの腑に落ちる表現に変えたものです」

自分たちの意見を反映して作られた言葉であれば納得しやすく、会議の場などでも「それってマジ価値なの」「理想ドリブンでやってみようか」など気軽に使える。価値基準を意識してもらうための取り組みとしては他に、従業員同士に1対1のリレー形式で価値基準に関するインタビューをしてもらい、それを全社で共有したり、エース級のメンバーで価値基準委員会を作り、経営陣の影響を受けずに自分たちが打ちたい施策を打ったりもしている。

「気をつけているのは、価値基準の定義をあまり押し付けすぎないようにするということです。意識はしてほしいのですが、解釈の幅はあっていい。内容はシンプルなので人によって認識の違いも出るでしょうが、そこを無理に統一しないようにしています」

意見を聞く姿勢と場があるから
安心して本音を吐露できる

「何ごとにおいても意見を聞く姿勢があるのがfreeeの特徴」と古塚氏は言う。会社が常に正しい答えをもっていて、メンバーはそれに従えばよいという考え方ではなく、メンバーはいつでも会社に対して自由に意見を述べることができ、必要があれば会社もそれに対して柔軟に対応していく。そうしたカルチャーが浸透しているからこそ、メンバーも安心して自分らしさを発揮できるのではないかという。

例えば従業員が言いたいことを自由に吐き出せる場の1つに、「メンバーサクセスアワー」がある。これは古塚氏のチームメンバーが週替わりで、従業員からの苦情や相談を対面で受け付けているもの。他に、メールフォームを通じて匿名で投書できるホットラインも設けている。

「聞いたすべてを解決できるわけではありませんが、どんな意見も一生懸命に聞きます。いつでも自分の意見が言える環境があるということが安心感につながり、ひいては会社と従業員との信頼構築へとつながっていくのではないでしょうか」

【text:曲沼美恵】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.47 特集1「職場での「自分らしさ」を考える」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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