店舗運営改革に向けた店長のマネジメント力強化 オートバックスセブン 店長研修の前後で行動変化を測定し結果をフィードバック

日本初のカー用品ワンストップショップ「オートバックス」が誕生したのは、1974年。それから40年以上が過ぎ、今後もお客様から選ばれ続けるために、店舗運営改革をしようとしている。
「店長を通じて店全体を変える」という同社の、研修効果へのこだわりについて、株式会社オートバックスセブンオートバックスチェン本部 チェン人事部 教育グループ 野口裕司氏、浜田俊哉氏にお話を伺った。


現場力を高めるために店長のマネジメント力を強化

オートバックスセブンが店舗運営改革の観点から店長研修に力を入れるようになったのは、2012年度からだ。そのねらいについて、フランチャイズ(以下FC)店舗で勤務するスタッフの教育を統括するオートバックスチェン本部チェン人事部教育グループの野口裕司氏が説明する。

「顧客層の広がりや競合の台頭などにより、品揃えに頼った販売だけでは、なかなか収益が上がりにくくなってきました。そうした営業面での課題が1つと、もう1つはそれに伴う人材育成。従来の背中を見せる育成法では、なかなか人が育たないという現実が顕著になってきていたのです」

創業以来、同社は「カー用品のオートバックス」という看板を掲げて営業してきた。昨今は、それを「クルマのことならオートバックス」と、整備や車検、ガソリンスタンドなど車に付随する諸々のサービスも含めた総合サービス業へと転換している。経営方針の変化に伴い、求められる接客能力にも変化が生じていたのだが、現場はなかなかそれに対応しきれていなかった。顧客最優先の店舗にしたくても、オペレーションが悪くて接客モレが出たり、スタッフの提案力が不足したりしていた。

同じ教育グループで研修を担当している浜田俊哉氏が補足する。

「それまでは商品知識を学ぶための研修はしても、人を育てるという意識も風土もなく、店舗マネジメントを学ぶ機会を加盟店さんにお任せしていました。しかしながら加盟店任せでは、なかなか市場変化のスピードに対応しきれていない状況が見えてきました。売上の低下によりモチベーションは下がり、離職していく、そのような兆しも見えてきており、まず現場力を高めるために店長のマネジメント力を強化しなくてはということになったのです」

約600人の店長に3年かけてマネジメント研修

オートバックスは、全国に約600のFC店舗を持つ。まずはその600店舗の店長を対象に、3年かけてマネジメント意識を浸透させるための研修を実施した。

「初年度はマネジメントの基本、2年目はコーチングスキル、3年目はPDCAの回し方というように、毎回研修の成果と課題を検討しながらテーマを変えていきました。また、職場に帰ってから、どのような売り場にするのか、どのようなマネジメントをするのかをアクションプランシートを使って具体的に計画してもらい、実践につなげていきました」と野口氏。研修の前後には、店長の行動変化を探る360度サーベイを実施した。

「具体的には、店舗スタッフに対して声をかけるようになったか、彼らの話を聞くようになったかなど。上司・部下の双方から見て、言動にどのような変化があったのかを細かく質問していきました」(浜田氏)

初年度に関しては明確な行動変化という形ではあまり出てこなかったものの、意識面では随分と変わったのを感じたという。マネジメントの意識が皆無だった状態から、まずはそれが必要だと認識してもらう段階へ。分析の結果、全体的に見て店長のコーチングスキルが低いことも明らかになり、2年目の研修では、そこを重点的に強化することにした。

「サーベイの結果は個票にして、本人にもフィードバックしました。それぞれの強いところ・弱いところを分析し、過去と現在を比較しながら課題が見える形にしました。それにより、店長の言動にも少しずつ変化が見られるようになってきました」(野口氏)

現場での成功事例を取材し他店舗に紹介

3年の取り組みを通じて、店長のマネジメント意識は高まり、より接客頻度を上げるオペレーションの工夫もなされるようになった。しかし、スタッフのお客様との会話スキルにはまだまだ課題があった。個々のスキルをもっと磨かなければ、お客様の満足度は上がらない。そうした問題意識から、4年目には店長を集めた「ロールプレイング研修」を実施し、それを店舗に持ち帰ってもらうよう促した。

「店舗に対して案内を送る際などに使う“店舗ポータル”という仕組みがあり、研修後にはそれを通じたアンケート調査を行いました。回答を寄せてくれた店舗のなかから、定期的にロールプレイを実施している店を訪問し、その様子をビデオで撮影するなどの取材もさせてもらいました」(野口氏)

取材した店舗ではもともと30分かけて朝礼を実施していたという。研修後は、そのうち約10分間を顧客への声のかけ方などをお互いに学び合うロールプレイに充てるようになっていた。ビデオに撮った内容は、FC法人の幹部(店舗を運営する法人の経営層)に向けた研修で、先行事例として紹介した。

「店長が学んできたことを行動に移すには、FC法人の幹部にも方針を理解し、店長をサポートしてもらう必要がありますから、こうした情報を共有しておくことは大事です。加えて、店舗内にも店長の考え方を理解してくれる協力者が必要です。そのため、今年は各店舗のナンバー2を対象に、オペレーションのイロハの研修を行っています」(野口氏)

近年は店長の世代交代も進み、プレイングマネジャー的な役割を担わなくてはならないケースも増えている。店長の負担を減らす意味でも、そうしたナンバー2の育成は重要だという。

営業部門との連携も強化し効果検証から売上向上へ

「実は、研修の効果検証には、本来もっと営業部門との連携をとるべきだ、というのがわれわれの持論なんです」と、野口・浜田両氏は口を揃えて指摘する。 2人とも、もともとはFC店舗の売上の支援、管理をする部門の出身だ。

「カウンセラー(スーパーバイザー)は月に2、3回の頻度で店を回っていますから、その都度、研修のことに触れてもらうだけでも随分と効果があるはず」(浜田氏)

売上向上という目的に照らし合わせれば、人事部も営業部門も目指す方向性は同じ。同社ではすでに営業部門にもオブザーバーとして研修に参加してもらい、最近は研修企画などのワークにも一緒に参加してもらうなど連携を強めている。

「今後はそのような本部内での連携をさらに強化しながら、研修内容の充実とその効果検証、さらには実際の売上向上へとつなげていければいいと考えています」(野口氏)

【text:曲沼美恵】



※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.43 特集1「研修効果を高める─実践につながる研修デザイン」より抜粋・一部修正したものです。
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※記事の内容および社名・所属・役職等は取材時点のものとなります。

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