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導入事例

人事改革に取り組むために、まずは“人事部”改革から 「戦略人事部強化キャンプ」で部員の心に火をつける

日本特殊陶業株式会社

人事改革に取り組むために、まずは“人事部”改革から 「戦略人事部強化キャンプ」で部員の心に火をつける
  • 公開日:2019/02/08
  • 更新日:2024/04/14

事例概要

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背景・課題

日本特殊陶業は、スパークプラグをはじめとした内燃機関用製品の製造・販売という主力事業が、これまでの企業成長を支えてきました。しかし、100年に1度といわれる自動車業界の環境変化にともない、主力製品の将来的な需要減への対応が深刻な課題です。この課題に対峙すべく、人・組織戦略の大きな転換が必要な状況でした。

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検討プロセス・実行施策

人・組織改革を進める上で、まずはそれらを実施する主体者である“人事部”の改革が不可欠と考え、戦略人事部を強くするための「戦略人事部強化キャンプ」に取り組むことになりました。リクルートマネジメントソリューションズと二人三脚でゼロからつくり上げ、実施しました。

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成果・今後の取り組み

「戦略人事部強化キャンプ」がきっかけとなり、人事の役割をより主体的に考えるメンバーが増えました。取り組みを通じてHRスペシャリストを育成し、グループ全体の約1万5000名を観て、育て、活かすことができる戦略人事部づくりを目指しています。

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背景・課題

主力製品スパークプラグの需要が激減する時代が、いずれ来る

主力製品スパークプラグの需要が激減する時代が、いずれ来る

当社は1936年に創業し、その翌年からスパークプラグの製造を開始しました。主力製品は現在もスパークプラグや酸素センサをはじめ、ガソリンやディーゼルを燃焼させて動力を生み出す内燃機関で走る自動車向けのものです。これらの部品は、内燃機関の必要がない電気自動車(EV)には当然のことながら使われません。したがって、この先EV化が進むと、スパークプラグや酸素センサの需要は激減します。当社の売上の8割を占める主力ビジネスが、大幅に縮小してしまうのです。

これまでは、スパークプラグと酸素センサを製造できる企業は世界でも限られていたため、ビジネスとしては非常に安定していました。内燃機関で走る自動車に必ず必要な部品ですから、リーマンショックなどの経済危機にも大きく揺らぐことはありませんでした。

このように、非常に安定して成長してきたなかで求められてきた人・組織と、これから求められる人・組織は全く違ってきます。自動車業界の環境変化に対峙していくために、事業構造の変化が必要な時代がやってきています。そして、それにともない、求められる人物像やスキルなども、今までと大きく変化する必要があるのです。しかし、当社では、採用や研修など、これからの変化を見据えた人事施策を十分に打つことができていない状況でした。

人・組織改革に取り組むために、まずは“人事部”改革からスタート

人・組織改革に取り組むために、まずは“人事部”改革からスタート

マーケットのルールが変わり、人・組織戦略は今までと全く違うものが求められます。しかし、そこに正解はありません。戦略人事部にとっても、これまでの正攻法が通じないなかで、絶えず新しい挑戦をしていく必要があります。そのために、今までとは違う視野・視界や、人事としての知識・スキルを身につけなければいけません。これから人・組織改革を目指していくことを考えると、先に取り組むべきは“戦略人事部”の改革ではないかと考えました。

“人事部”改革に取り組むために、多くの人事部を知るリクルートマネジメントソリューションズのソリューションプランナーやトレーナーと、まずは現状把握から行いました。結果、さまざまな改革ポイントが見つかってきたのです。

検討プロセス・実行施策

ゼロから戦略人事部強化施策を練り上げる

ゼロから戦略人事部強化施策を練り上げる

“人事部”改革を通じて戦略人事部を強くするために、「この施策があったからこそ、この会社が変わったんだと振り返ることができる施策にしよう」という言葉を交わし、リクルートマネジメントソリューションズのソリューションプランナーやトレーナーと何度も打ち合わせを重ねました。最初は、リクルートマネジメントソリューションズとして実績のある、人事知識やスキルを身につける研修などを検討しましたが、最終的に、人事としての根幹となる「人事として何を成し遂げたいか(WILL)」を全員が固めることを、最初のねらいとして設定しました。前例のない人・組織改革を実施していくために、それぞれのWILL(~したいという情熱)が何よりも大切だと考えたからです。

施策の名称は、名付けて「戦略人事部強化キャンプ」です。プロ野球のシーズン前に行う「キャンプ」という位置づけなので、そこで何か結果を残す必要もありません。キャンプ終了後、実際に人・組織改革を実施していく日常を“本番”と捉えたときに、そのための準備であるという意味が込められています。キャンプに向けた事前課題を自主トレ、キャンプ中に配属された新入社員をゴールデンルーキーと呼んでいました。

人事の心に火をつける「戦略人事部強化第1キャンプ」

人事の心に火をつける「戦略人事部強化第1キャンプ」

「第1キャンプ」は、月1回ペースで3日間(Day1~Day3)行いました。参加するのは、新人を含めた戦略人事部の約50名全員。Day1のテーマは、「そもそも人事とは何か?」「戦略人事とは何か?」。Day2のテーマは、「これまでの人・組織の強みは?」「これから求められる人・組織は?」。これらの答えをリクルートマネジメントソリューションズのトレーナーは一切提示せず、部員一人ひとりが考え抜いたものを持ち寄り、チーム内で話し合いをした上で、発表しました。これは「キャンプ」であって、一般的な「研修」とは異なるからです。

「そもそも人事とは何か」「戦略人事とは何か」という問いに対して、絶対的な回答はないと考えています。今後は、答えのない時代に対峙していく必要がありますし、これらの絶対的な答えのない問いに対して自らの意思を込めた答えを見いだし、主体的に考えて行動できるHRのスペシャリストに近づいていくことがねらいです。そのため、自分の頭で考えることが何よりも重要なので、トレーナーから何かを学ぶ一般的な研修スタイルではなく、人事担当者一人ひとりが自分なりの答えを持ち寄って、人事の根本的な役割を見つめ直す場をつくることにしました。

キャンプを実施する度に、リクルートマネジメントソリューションズのソリューションプランナーとトレーナーと共に振り返りを行い、次回以降のテーマや内容について話し合いをしました。おおよそのDay3までの組み立ては当初からあったのですが、一人ひとりのキャンプや日常での変化、感想などを着実に捉えながら、柔軟に内容を組み立てました。

2018年9月から11月は「戦略人事部強化第2キャンプ」を実施。戦略人事部の「人を観る」「人を育てる」「人を活かす」という3大バリューに関して、「人を観るとはどういうことか」「人を観ることにどのような意味があるのか」など、第1キャンプ同様、人事としての根本的な問いに対して、一人ひとりが深く考えました。そして、2019年2月に1年間の総まとめとして「第3キャンプ」を実施する予定です。

成果・今後の取り組み

キャンプ後の日常に見えた“変化の息吹”

キャンプ後の日常に見えた“変化の息吹”

まだまだ“人事部”改革は道半ばですが、「人事として何を成し遂げたいか(WILL)」や、「人を観る」「人を育てる」「人を活かす」というキーワードが職場で聞こえるようになってきました。一歩ずつ一歩ずつ変化していると感じています。

これまではMUST(やらなければいけないこと)に追われており、人事としてのWILL(やりたいこと)を持つことが難しい状況でした。しかし今回のキャンプを通じて、WILLを大きく育てている社員も出てきています。「変化の時代を生き抜くために、今までは採れなかった層の学生を採用するために、魅力的な採用担当になりたい」「社員の笑顔を増やす施策をたくさん打っていきたい」など、いろいろなWILLを表明してくれています。そのほかにも、WILLを実現するためにはCAN(できること)を伸ばす必要があるということで、キャリアコンサルタントの資格取得に向けて踏み出した社員も出てきました。

また、毎回キャンプ実施後には「振り返りシート」に新しい気づきを書いてもらい、振り返りを行いました。それに対して、私がコメントを書いて本人に戻しました。キャンプのテーマについて、日常の場であらためて考えてもらうことがねらいです。一例ではありますが、ある社員の書いた文章から、キャンプの手ごたえを感じることができました。シートには、こんなことが書かれていました。「『人を観る』というテーマを第2キャンプで考えたあとに保育園の先生たちを見ると、まさに『人を観る』ことを実践していると感じました。先生たちは全員で子どもたちの状況について話し合っているし、一人ひとりの子どもたちに対して接し方を変えています。素晴らしいと感じましたし、私自身も一人ひとりの社員を観て、それぞれに合ったものを考えていきたいと思います」。これを読んで、変化の一端を垣間見ることができましたし、自分の役割について真剣に深く考えている証しだと思い、とても嬉しかったのを覚えています。

今後、戦略人事部の強化の先に見据えているのは、戦略人事部員みんながそれぞれのWILLを持ちながら、「人を観る」「人を育てる」「人を活かす」を国内外問わず、会社全体で行うことです。グローバル全体で約1万5000名の社員がいますが、いつも誰かが社員一人ひとりを観ていることが大切だと考えています。もちろん、本社人事の約50名で全世界の一人ひとりを観て、育て、活かすことは難しいです。しかし、将来的には世界各拠点の人事メンバーと協働して、それを可能にしていくことを考えています。

ありがたいことに、「日本特殊陶業は良い会社ですね」と評価してくださる方が大勢います。しかし、「強い会社ですね」と言われたことはありません。「プラグと共に去りぬ」ではないですが、強さがないと「ただの良い会社」で終わってしまいます。だからこそ、できるだけ早く、会社組織全体を強化する戦略人事部をつくり上げたいですね。

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ソリューションプランナーの声

吉田尚平の顔写真

未曽有の環境変化を乗り越えるために、お客様と共に挑戦をしていく
戦略人事部強化キャンプはそのための第一歩
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ
ソリューションプランナー 東海営業部1グループ 吉田 尚平

これからの環境変化に対峙すべく、人・組織戦略の転換に関するご相談をいただくことが増えています。特に東海エリアでは、100年に1度といわれる自動車業界の急激な環境変化を見据え、現場に求められる人・組織が大きく変化しています。それにともない、各社の人事部が仕掛ける人・組織戦略も大きな転換が求められており、「既存事業の生産性向上」+「新規事業の創出・拡大」という両面を捉えた人事戦略が必要になってきています。

しかし、このように言葉で表すのは非常に簡単ですが、この変革は一筋縄ではいきません。これまでの自動車業界の発展を支えてきた人・組織戦略からの転換は、一朝一夕に成し得るものではなく、私たち自身も発想を変えながら、お客様と一緒になって試行錯誤し、答えのないなかでお客様と共に挑戦をしていく必要があると思っています。

その挑戦の足がかりとして、人・組織改革の主たる担い手である「人事部から変えていく」というプロセスは非常に重要だと思っています。日本特殊陶業様の「戦略人事部強化キャンプ」も、社員皆様の個と組織を生かし続けるために絶対に必要なステップだと思い、戦略人事部の皆様と本音の意見を交わしながら、前例のないなかでゼロからつくり上げていきました。

ただし、キャンプの成功が真のゴールではありません。これからが人・組織改革の”本番”です。キャンプはシーズンのためにあります。現在起こっている未曽有の環境変化を乗り越え、どのような時代になろうとも、お客様の個と組織が輝き続けるために、皆様と一緒に挑戦を続けていきたいと思います。

取材日:2019/02/08

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企業紹介

日本特殊陶業株式会社

1936年(昭和11年)10月26日創立。スパークプラグおよび内燃機関用製品の製造・販売と、ニューセラミックおよびその応用商品の製造・販売、その他を行う。環境・エネルギー、次世代自動車、医療といった新たな事業にも挑戦している。

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