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調査レポート

個人選択型HRMに関する実態調査レポートシリーズ 第2回

個人選択型HRMを後押しする人材マネジメントや評価の特徴とは

  • 公開日:2022/06/20
  • 更新日:2024/05/16
個人選択型HRMを後押しする人材マネジメントや評価の特徴とは

弊社、組織行動研究所では、企業各社において、仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような施策がどのように検討され、導入、活用されているのかを調査し、296社の回答結果を報告書「ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメント─社内キャリアの可能性を広げる施策導入・活用のポイントと社内公募制度、副業・兼業制度の運用実態─」にまとめ発表した。本調査レポートではその報告書の内容を、全6回シリーズでご紹介していく。


第1回 ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメントにつながる個人選択型HRMとは、その導入実態
第2回 個人選択型HRMを後押しする人材マネジメントや評価の特徴とは
第3回 社内公募制度導入125社の運用実態と制度活用のポイント
第4回 副業・兼業許可74社の運用実態と非導入130社の懸念
第5回 異動・配置のポリシーミックスと組織能力への影響~個人選択型・選抜型・底上げ型・欠員補充型
第6回 個人選択型HRMの導入・活用に向けた3つのポイント

調査概要
「キャリア自律」の方針が明確であるほど、 個人選択型施策導入が進む
企業規模を問わず「キャリア自律」方針との関連が強いのは 「社内公募制度」「副業・兼業の許可」など
個人選択型施策の導入・活用に関連するもう1つの要因 「自己」と「仕事」についての情報開示
まとめ

調査概要

本調査の調査概要は図表1の通りである。

<図表1> 調査概要

<図表1> 調査概要

第1回では、仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような、個人選択型の23施策(図表2)の導入・検討および活用状況を確認した。

第2回では、それらの導入・活用をサポートする人材マネジメントや評価のポリシーに着目する。

<図表2> 個人選択型の23施策

<図表2> 個人選択型の23施策

「キャリア自律」の方針が明確であるほど、 個人選択型施策導入が進む

図表3は、企業が社員に対して、仕事やキャリアを主体的に選択すること(以下「キャリア自律」)を求める度合いを、一般社員(年代別)と管理職層(課長層・部長層以上)それぞれについて聞いた結果である。20代前半までの一般社員にキャリア自律を「強く求める」企業は2割を下回るが、20代後半~30代前半では27.0%、30代後半~40代前半では32.1%まで上昇する。

<図表3>社員に「キャリア自律」を求める度合い(年代別)

貴社では、社員に対して個人が仕事やキャリアを主体的に選択することを、どの程度求めていますか。社員区分それぞれについて、あてはまる度合いをお答えください。<単一回答/n=296/%>

<図表3>社員に「キャリア自律」を求める度合い(年代別)

そして、すべての対象において、キャリア自律を求める度合いが強いほど、第1回で紹介した23の個人選択型施策が多く導入・活用されていた。図表4はキャリア自律を求める度合いが同じ企業群ごとに導入している施策数を平均してグラフ化したものである。キャリア自律を求める度合いの強い選択肢から順に、施策導入数の平均値のグラフが階段状に表れている。「導入しており、制度対象者に一定以上活用されている」施策の数に限定して平均値を算出した場合も、同様の傾向がみられた。

<図表4>キャリア自律を求める度合いと個人選択型施策の導入数(年代別)(n=296)

<図表4>キャリア自律を求める度合いと個人選択型施策の導入数(年代別)

※導入数:各社が23の個人選択型施策のうち、「導入しており、制度対象者に一定以上活用されている」「導入しているが、制度対象者に十分活用されていない」を選択した数を平均した値

企業規模を問わず「キャリア自律」方針との関連が強いのは 「社内公募制度」「副業・兼業の許可」など

「キャリア自律」方針と、個別施策の導入・活用の関連も確認した。相関係数を示した図表は細かいのでここには掲載していない。ご関心のある方は、報告書p.6を参照いただきたい。

次のような施策は、従業員規模を問わず、キャリア自律を求める度合いが強いほど導入される傾向がみられた。

5. 社内公募制度(会社の内部で各部署が人材を募り、人材を確保する制度)
7. 高度専門人材の個別処遇(相場に合わせた条件提示)
8. ジョブ型人材マネジメント(職務記述書の整備・職務等級・職務給の導入など)
10. テレワーク・在宅勤務制度
12. みなし労働時間制(裁量労働制など)
16. 副業・兼業の許可
19. 目標管理制度(部下自身が目標を立て、遂行する制度)
20. 上司とのキャリア相談(1on1ミーティングでの会話などを含む)

他方、従業員規模により違いがある施策もあり、次のような施策は、1000名以上企業において、キャリア自律を求める度合いが強いほど導入される傾向がみられた。

1. 配属先の職種や事業などを特定した採用
2. 自己申告制度(従業員が人事担当部署に直接、異動やキャリア形成への希望を伝える制度)
3. 手挙げ型研修(人事や事業が指名するのではなく、希望者を募って行う研修)
4. カフェテリア型研修(提示されたメニューの中から受講者が選択して受講する研修)
9. 社内FA制度(従業員が経歴・スキルを自ら売り込んだり、異動希望先を指定したりする制度)

個人選択型施策の導入・活用に関連するもう1つの要因 「自己」と「仕事」についての情報開示

ここまで「キャリア自律」方針と個人選択型施策の関連をみてきた。しかし、制度が活用されていくためには、制度対象者の側にも、選択する準備が整っていなければならないだろう。そこで、個人選択型施策の導入・活用の促進要因をめぐるもう1つの観点として、情報開示の取り組みとの関連を検討した。

検討したのは2種類の情報開示である。1つは評価制度において「学習指向の評価」と名付けた傾向がどの程度あるかである。「学習指向の評価」は、“評価結果を育成的なフィードバックに活かすことが重視される” “失敗を咎めるよりもチャレンジしたことが評価される”などの5項目で測定した。このような特徴をもつ評価は、自己の能力や適性を試す機会を与え、その結果についての上司の見立てを本人に知らせる、「自己の能力や適性」についての情報の開示であると解釈した。

もう1つの情報開示は、「他部署・経営情報の開示」である。「他部署・経営情報の開示」は“他部署の戦略や業務をお互いに知るように、情報公開や説明がなされている” “経営・事業上の意思決定に関わる議事録などが公開され、その経緯が共有されている”の2項目で測定した。社内にどのような仕事があり、それらがどのような背景をもつのかという、「社内の仕事」についての情報開示と解釈できる。

この「自己の能力や適性」と「社内の仕事」についての情報開示の度合いと、個人選択型施策の導入・活用もまた、関連している。図表5は、「学習指向の評価」「他部署・経営情報の開示」の実践度ごとに企業を3群に分け、それぞれの施策導入数を平均し、グラフ化したものである。「学習指向の評価」「他部署・経営情報の開示」の実践度合いが強い順に、施策導入数の平均値のグラフが階段状に表れている。「導入しており、制度対象者に一定以上活用されている」施策の数に限定して平均値を算出した場合も、同様の傾向がみられた。

<図表5>情報開示の取り組みと個人選択型施策の導入数
貴社において、以下のことはどの程度あてはまりますか。
<単一回答/n=296>

<図表5>情報開示の取り組みと個人選択型施策の導入数 貴社において、以下のことはどの程度あてはまりますか。

まとめ

個人選択型施策は、活用が容易なものばかりではなく、これから活用促進に取り組む企業も多くあるだろう。そのようななか、「キャリア自律」の明確な方針と、「自己」と「職務」についての情報開示が、個人選択型施策の導入・活用と深く関連していることが示唆された。

組織のなかで、個人が仕事やキャリアを選択していくことは簡単なことではない。個人の意思や多様性を尊重する明確な方針を示すことと、選んでいくための情報を増やすこと。個人選択型HRMへのシフトを意図する企業や人事にできることは、個別施策導入だけではない。

次回以降の第3~5回では、個別施策に光を当てていく。シリーズ第3回は、社内公募制度について掘り下げる。

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