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調査レポート

個人選択型HRMに関する実態調査レポートシリーズ 第1回

ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメントにつながる個人選択型HRMとは、その導入実態

  • 公開日:2022/06/10
  • 更新日:2024/05/16
ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメントにつながる個人選択型HRMとは、その導入実態

弊社、組織行動研究所では、企業各社において、仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような施策がどのように検討され、導入、活用されているのかを調査し、296社の回答結果を報告書「ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメント─社内キャリアの可能性を広げる施策導入・活用のポイントと社内公募制度、副業・兼業制度の運用実態─」にまとめ発表した。本調査レポートではその報告書の内容を、全6回シリーズでご紹介していく。


第1回 ジョブ型時代のキャリア自律とタレントマネジメントにつながる個人選択型HRMとは、その導入実態
第2回 個人選択型HRMを後押しする人材マネジメントや評価の特徴とは
第3回 社内公募制度導入125社の運用実態と制度活用のポイント
第4回 副業・兼業許可74社の運用実態と非導入130社の懸念
第5回 異動・配置のポリシーミックスと組織能力への影響~個人選択型・選抜型・底上げ型・欠員補充型
第6回 個人選択型HRMの導入・活用に向けた3つのポイント

調査の目的と調査概要
本レポートシリーズの目的
個人選択型23施策の導入・検討および活用状況
「自己申告制度」「上司とのキャリア相談」の限界 ジョブ型・複線型の導入や第三者とのキャリア相談の導入が進む
導入率は低いなかでも活用度の高い「有望施策」
まとめ

調査の目的と調査概要

労働者の価値観の多様化、労働力人口の減少、「キャリア自律」、「ジョブ型」の導入、「働き方改革」など、組織・人事マネジメントの潮流は、個人が選択する場面を増やす傾向にある。

そうであるならば、個人にとって魅力的であり、そして組織にとっても有益な選択肢を社内に多くデザインすることが、企業人事が取るべき次の一手となるのではないか。それらは具体的にどのような施策であり、何が導入や運用のポイントとなるのだろうか。その時、狭義のタレントマネジメントと呼ばれるような企業主導的な人材育成・活用はどうなっていくのだろうか。

そのような問題意識から、今回私たちは、1つの試論として、「個人選択型のHRM」へのシフトについて検証した。

本調査では、個人選択型のHRMを、「仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような施策群による人材マネジメント」と定義した。

これまでは比較的典型的なキャリアモデルに収斂されていた日本社会・日本企業のキャリア形成に選択肢を設ける取り組みであり、どちらかといえば中央集権的にデザインされてきた日本の人事マネジメントに、市場原理の要素を取り入れることで、個人と、仕事、働き方、キャリアなどのマッチングのバリエーションを広げる取り組みといえるだろう。

調査概要と回答企業の内訳を図表1、図表2に示した。

<図表1> 調査概要

<図表1> 調査概要

<図表2> 回答企業の内訳

<図表2> 回答企業の内訳

本レポートシリーズの目的

本調査およびレポートの目的は、個人選択型HRMのWhat/How/Whyを明らかにしていくことである。いまだスタンダードとはいえない個人選択型HRMのこれからを見通すために、どのような施策が導入・検討されているのか(What)、どのように導入・活用がうながされるのか(How)、何を目的として見据えればいいのか(Why)を考えるレポートシリーズである。

WHAT:どのような個人選択型施策が導入・検討されているのか
 HOW:どのように個人選択型HRMの導入・活用がうながされるのか
▶ WHY:何を目的として見据えればいいのか

第1回は個人選択型の23施策の導入・検討および活用状況、第2回はそれらの導入を後押しする人材マネジメントや評価の特徴について、第3回は社内公募制度、第4回は副業・兼業許可、第5回は異動・配置についてそれぞれ光を当てたうえで、第6回は個人選択型施策の導入・活用のポイントを考察する。

では早速、個人選択型施策の導入・検討および活用状況と関連要因についてみていこう。

個人選択型23施策の導入・検討および活用状況

仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような23の施策をリストにし、「導入しており、制度対象者に一定以上活用されている(以下「導入/一定活用」)」「導入しているが、制度対象者に十分活用されていない(以下「導入/活用不十分」)」「導入検討中」「導入・実施されておらず、予定もない」「回答できない」の選択肢のうちいずれにあてはまるかを回答してもらった。

図表3は「導入/一定活用」「導入/活用不十分」「導入検討中」と回答した企業の割合を示したものである。前提として、全体的に従業員規模1000名以上での導入率が高い傾向がみられた(規模別・業種別の集計は報告書p.4を参照のこと)。

<図表3>個人選択型施策の導入・活用状況

貴社における以下の施策への取り組み状況をお答えください。単一回答/n=296/%>

<図表3>個人選択型施策の導入・活用状況

「自己申告制度」「上司とのキャリア相談」の限界 ジョブ型・複線型の導入や第三者とのキャリア相談の導入が進む

導入率が高いものの、活用が不十分とする割合も高い施策は、「高難度施策」といえるだろう。

2.自己申告制度(従業員が人事担当部署に直接、異動やキャリア形成への希望を伝える制度)
20.上司とのキャリア相談(1on1ミーティングでの会話などを含む)

などがあてはまる。いずれも導入が進む現在のトレンド施策であり、これから活用を促進していくフェーズといえるだろう。

一方、導入検討中の選択率が高く次のトレンドとなりそうなのは、

6.複線型人事制度(管理職相当の処遇が得られる専門職キャリアの明示)
8.ジョブ型人材マネジメント(職務記述書の整備・職務等級・職務給の導入など)
23.メンターやカウンセラーとのキャリア相談

などである。

社内にある仕事を明確化・多様化し、個人の選択する力を養う相談相手を増やすという観点から、先行導入されている自己申告制度や上司とのキャリア相談を補完する施策といえるだろう。自己申告制度があっても、社内にある仕事が不明確であったり単一的であったりすれば申告しがいがないし、第三者との面談が、セカンド・オピニオンを示してくれることでキャリア形成への意欲やアイディアが増すことも十分に考えられる。

導入率は低いなかでも活用度の高い「有望施策」

現時点で導入率は高くないが、導入企業中で活用十分とする割合が高い施策は、今後ほかの企業が導入していく際にも活用が進みやすい可能性のある「有望施策」といえる。図表4は、個人選択型施策の導入率(横・X軸)、導入社数中の活用率(縦・Y軸)、導入検討率(円面積)をかけ合わせたもので、左上のエリアが「有望施策」にあたる。

4.カフェテリア型研修(提示されたメニューの中から受講者が選択して受講する研修)
9.社内FA制度(従業員が経歴・スキルを自ら売り込んだり、異動希望先を指定したりする制度)
12.みなし労働時間制(裁量労働制など)
13.時間限定正社員制度(所定労働時間未満・週5日未満の勤務など)
22.360度評価・多面評価(上司以外の同僚や部下が評価者に加わる)

などが、「有望施策」に該当する。

<図表4>個人選択型施策の導入率(横軸)×導入社数中の活用率(縦軸)×導入検討率(円の大きさ) (n=296)

<図表4>個人選択型施策の導入率(横軸)×導入社数中の活用率(縦軸)×導入検討率(円の大きさ)

※図中の番号は以下のリストに対応

番号リスト

まとめ

「個人選択型HRM」に関する調査レポートシリーズの第1回として、個人選択型施策の導入・検討および活用状況と関連要因について報告した。本調査で検討した23施策において、導入や導入検討が進んでいる企業が多くみられ、仕事、働き方、キャリアに関する従業員による主体的な選択の機会を増やすような「個人選択型HRM」へのシフトが既に起こり始めていることが感じられた。

しかし、個人選択型施策の導入や活用度にはばらつきがみられる。導入や活用が進んでいる企業に共通してみられる要因は何だろうか。第2回は、個人選択型施策の促進要因を探る。

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