人事の専門知識・スキルに関する意識調査 人事のキャリア意識や仕事のやりがい

弊社機関誌RMSmessage27号特集にて「人事に求められているもの」を考えるにあたり、人事担当者自身が専門知識・スキルの必要性や内容についてどのようにとらえているのか、その実態を把握するために定量調査「人事の専門知識・スキルに関する意識調査」を実施しました。本レポートでは、同調査の結果の一部から、人事担当者のキャリア意識や仕事のやりがいについてご紹介します。


調査概要

調査概要は図表01のとおりです。調査結果のうち、RMSmessage27号調査報告「人事の専門性に関する実態調査〜人事担当者は、人事に必要な専門知識・スキルをどう認識しているか」では、
・人事の仕事を進めるうえで重要な専門知識・スキル
・人事の専門性向上のための取り組み
・専門知識・スキルの必要性
・専門知識・スキルの学習経験
について報告しました。このレポートでは、人事としてのキャリア意識や仕事のやりがいについて、その傾向を紹介します。

図表01 「人事の専門知識・スキルに関する意識調査」調査概要

人事としてのキャリア意識、仕事のやりがいに関する調査項目

人事担当者が専門性をどれぐらい必要と認識しているか(※以下「専門性必要度」)、そしてその専門性の内容は、担当する業務内容によって異なることは容易に推察されます。今回の調査では、専門性必要度の認識に関係すると思われるものとして、業務内容に加えて、キャリア意識や仕事のやりがい(自己適応感、仕事の意味づけ)といった内発的な要素を想定しました。調査項目は図表02のとおりです。

図表02 人事のキャリア意識や仕事のやりがい 調査項目

専門性必要度の回答傾向

キャリア意識や仕事のやりがいの傾向について紹介する前に、まず、人事としての専門性必要度について確認しておきます。全体の回答傾向は、図表03のとおりです。また、担当する業務内容や所属部門によって、どれぐらい傾向の違いがあるかを確認するために、各項目の平均を業務内容、所属部門別に比較しました(図表04)。

全体として、「人事には専門知識・スキルが必要」と積極的に思っている(「とてもあてはまる」「あてはまる」)のは半数強で、消極的な肯定(「ややあてはまる」)も含めると9割近くは必要だという回答が得られました。所属部門別には大きな差は見られないものの、担当業務別には「採用・人材開発・労務・配置・企画」が最も必要性を感じているという結果でした。

ただし、RMSmessage27号でも報告したように、何を「専門知識・スキル」と捉えているかについては、コミュニケーション力などの職務遂行能力や自社についての知識、実務知識や労働法規・労務知識が中心であり、それ以外の人事特有の専門知識・スキルについては認識のばらつきが大きいことが確認されています(詳細はRMSmessage27号調査報告を参照ください)。

図表03 人事としての専門性必要度 n=300
「つぎの行動や考えはどれくらいあてはまりますか」
(6:とてもあてはまる、5:あてはまる、4:ややあてはまる、3:あまりあてはまらない、2:あてはまらない、1:まったくあてはまらない)

図表04 人事としての専門性必要度
(6:とてもあてはまる、5:あてはまる、4:ややあてはまる、3:あまりあてはまらない、2:あてはまらない、1:まったくあてはまらない)

人事としてのキャリア意識、仕事のやりがいの回答傾向

続いて、キャリア意識(人事キャリア継続意向、ゼネラリスト志向)、自己適応感(仕事のやりがい、適性認知)、仕事の意味づけ(自社での人事の重要性、人事の仕事への問題意識)についての全体傾向(図表05)、業務内容別傾向(図表06)、所属部門別傾向(図表07)を紹介します。

■キャリア意識
●「人事の仕事で専門性を極めていきたい」と積極的に思っている(「とてもあてはまる」「あてはまる」)のは3分の1程度で、消極的な肯定(「ややあてはまる」)も含めると3分の2程度はそう思っている。一方で、「人事の仕事はゼネラリストとしての自分のキャリアの一通過点に過ぎない」という設問に対しても、ほぼ同じ割合で選択されている。

 ◆業務内容別には得点の高低差はあるものの、「採用・人材開発」「労務」はゼネラリストというよりも「人事の仕事で専門性を極めていきたい」という傾向が強く、「採用・人材開発・労務・配置・企画」「企画」はゼネラリスト傾向のほうが強い。

 ◆所属が人事部門である場合、「人事の仕事で専門性を極めていきたい」という傾向が「ゼネラリストとしてのキャリアの一通過点」を大きく上回っている。一方、スタッフ部門の場合はその逆で、「ゼネラリストとしてのキャリアの一通過点」という傾向のほうが強い。

■自己適応感
●人事の仕事へのやりがいや、自分に向いていると思うかどうかについては、積極的な肯定は3割程度、消極的な肯定まで含めると7割程度がやりがいや適性を感じているとの回答。

 ◆担当業務別では、「採用・人材開発・労務・配置・企画」の平均が最も高い。

 ◆所属部門別では、仕事のやりがい、適性の自己認知ともに、人事部門の人の平均が最も高い。

■仕事の意味づけ
●「自社で人事人材の育成が計画的にされている」については、消極的な肯定まで含めた回答は5割強だったが、積極的な肯定に限定すると2割強となり、他の質問に比べると選択率が低い。

 ◆業務内容別には、「採用・人材開発」「採用・人材開発・労務・配置・企画」が高く、「労務」「採用」が低いほうだった。

 ◆所属部門別には、顕著な傾向の違いは見られなかった。


●「自社は人を大事にする会社だと思う」については、積極的な肯定は3割強、消極的な肯定まで含めると3分の2は肯定的な回答。

 ◆業務内容別には、「採用」「労務」に比べて「企画」「人材開発」のほうが、自社が人を大事にする会社だと思っている傾向が確認された。

 ◆所属部門別には、事業部内スタッフ部門に比べて人事部門やスタッフ部門のほうが、自社が人を大事にする会社だと思っている傾向が確認された。


●人事の役割に関する問題意識については、積極的な肯定は4割強、消極的な肯定まで含めると8割強が「これまでどおりではいけない」と思っている。

 ◆業務内容別には、「採用・人材開発・労務・配置・企画」が最もその傾向が強く、「人材開発」が最もその傾向が弱い。

 ◆所属部門別には、顕著な傾向の違いは見られなかった。

図表05 人事としてのキャリア意識、仕事のやりがいなど n=300
「つぎの行動や考えはどれくらいあてはまりますか」
(6:とてもあてはまる、5:あてはまる、4:ややあてはまる、3:あまりあてはまらない、2:あてはまらない、1:まったくあてはまらない)

図表06 人事としてのキャリア意識、仕事のやりがいなど<業務内容別>
(6点:「とてもあてはまる」〜1点:「まったくあてはまらない」、選択肢は図表05に同じ)

※業務内容は「採用」「人材開発」「労務」「配置・異動」「制度企画」の複数回答で得られたものから、回答数の多い組み合わせを用いた。( )内は人数。

図表07 人事としてのキャリア意識、仕事のやりがいなど<所属部門別>
(6点:「とてもあてはまる」〜1点:「まったくあてはまらない」、選択肢は図表05に同じ)

※( )内は人数。

人事の専門性必要度とキャリア意識・やりがいとの関係

最後に、人事としての専門性必要度とキャリア意識・やりがいとの間にどのような関係があるのかについて、項目間相関を用いて確認しました(図表08)。ここでは、企業によって役割や位置づけが異なる度合いが大きいであろう事業部内スタッフ部門やスタッフ部門の人事ではなく、人事部門に所属する対象者に限定することにしました。

図表08 人事の専門性必要度との関係
「人事という仕事には専門的な知識・スキルが必要だ」との項目間相関

※**・・・相関係数は 1% 水準で有意

人事の専門性必要度の認識は、キャリア意識のうち「人事キャリア継続意向」と、自己適応感の「仕事のやりがい」「適性認知」の項目と統計的に有意な相関関係が確認されました。現在、将来にわたって、人事という仕事へのコミットメントが高いほど、専門性の必要性を感じているようです。また、計画的に人事人材が育成されていると思っているかどうかとも関係がありました。これは、会社から人事部門への専門性向上への期待を受けとめたものとしても解釈できます。

参考までに、他の所属部門との比較も掲載していますが、事業部内スタッフ部門、つまり事業部人事では少し違う傾向を示していました。自己適応感との関係は同様ですが、自身のキャリア意識とは関係がなく、仕事の意味づけに関係があるようです。スタッフ部門では、キャリア意識、自己適応感ともに関係があるのは人事部門と同様ですが、仕事の意味づけの3項目との関係が確認されました。事業部内スタッフ部門やスタッフ部門は、人事部門に比べると、人事キャリア継続意向が低い点では共通していますが、それが専門性必要度と関係あるかどうかについては傾向の違いがあるようです。業務内容、人事の役割、社内関係者への関わり方・価値提供の仕方による違いが現れているのかもしれません。

人事における専門知識・スキルの必要性は、業務上の必要性と関係があるものの、同じ業務内容を担当している中でも専門性必要度の認知にばらつきが見られるのには、今回見てきたようなキャリア意識、自己適応感、仕事の意味づけが関係しているのかもしれません。つまり、「今後も人事の仕事を続けていきたい」「仕事にやりがいを感じる」「真剣に取り組む意義がある」と思えると、専門性が必要で、それを高めていこうという考えに至るのではないでしょうか。人事としての専門性を高めてほしいと思うのであれば、人事がそう思える環境を整備し、所属部門による傾向の違いもふまえて、それぞれの役割に応じた期待のかけ方が求められるとも言えるでしょう。

人事に限らず、ホワイトカラーの専門性の定義や専門性向上のための施策には、統一的な見解が得られていない状況です。今回の人事の場合においても、必要な専門性の内容やレベルは各社の人事が置かれた状況によって異なるため、企業の人事力を向上させるにはそれに応じた打ち手が必要になります。今回の調査結果は限られたデータではありますが、人事の専門性を考える際の一助になれば幸いです。

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