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従業員意識調査の実践的な活用方法

従業員の声を経営改革に生かすヒント

  • 公開日:2005/06/01
  • 更新日:2024/05/16

皆さんは、“従業員意識調査”と称した「組織における方針の浸透度合い」「職場活性度」「職務への満足度」などの組織特性を問われるアンケート調査(サーベイ)に回答したことがあるでしょうか。

人材マネジメント領域においては、定量的にその状況を把握することが難しいため、定性的な組織上の強みや課題を定量的に把握することを可能にする“サーベイ”は重宝です。
特に、その会社で働く従業員に回答してもらう「従業員意識調査」は組織・人材マネジメント上の課題を探る重要な情報を提供するものとなります。

近年では、数年前に導入した成果主義人事制度の浸透度や運用状況の従業員視点からの意見収集、CS(顧客満足)活動のいっそうの加速化を目指したES(従業員満足)の把握とその向上施策の展開など、従業員の声を経営の情報として取り入れ、活用していこうという取り組みが盛んになってきています。

本特集では、経営企画や人事企画部門主管で多くの企業で行われている“従業員意識調査”の意義と実施の留意点、調査結果を経営改革に生かしていくヒントを提示していきたいと思います。

目次
環境変化が目まぐるしい今、企業が抱えている悩み
「目に見えない構造」(組織のソフト構造)を把握する重要性
現状診断から始まる課題解決プロセスの重要性
経営改革の第一歩としてサーベイ(従業員意識調査)を活用するメリット
従業員意識調査の設計/選定のポイント
組織のソフト構造として把握すべき領域
御社にあてはまる状況は?
従業員意識調査実施の留意点
従業員意識調査

環境変化が目まぐるしい今、企業が抱えている悩み

皆さんの企業では、以下の状況がどの程度あてはまるでしょうか?

  • 経営理念、ビジョン、方針など従業員には繰り返し発信しているつもりだが、なかなか浸透せず、現場において実行されない。
  • 今流行のさまざまな経営管理手法を導入してきたが、なかなか効果を実感できない。
  • かつては花形だった事業が業績不振に陥っている。抜本的な立て直し策を立てる必要があるが、遅々として進まない。
  • 研究開発部門の組織体制を抜本的に見直した。しかし、新商品がなかなか出ないし、新商品につながるシーズもつかみきれていない。
  • 人材マネジメント施策を成果主義の方向にダイナミックに変えてきた。しかし、本当に効果があがっているのか、つかみきれない。
  • 事業戦略の転換とともに、あるべき組織像を提示していきたいが、豊かに描き出せない。また、自社がどの程度魅力的な組織といえるのかがわからない。
  • 「CS(顧客満足)」や「ES(従業員満足)」が大事といわれるが、具体的に何をしたらよいかわからない。
  • これから合併を控えているが、組織・人事面の融合がうまくいくのか不安だ。
  • 全国に営業所を構えて事業を展開している。各店舗ごとの活性化が重要と認識しているが、ミドルマネジメント層の活力がない。

現在、現象面として起こっている上記のような状況について、どのようなことが原因だとお考えですか?
制度やシステム(組織のハード構造)に問題があるので、新しい制度や仕組みを構築しよう・・・とさまざまな試みを実行しても、またうまくいかないということがよくあるのではないでしょうか。
それは、なぜでしょうか?

「目に見えない構造」(組織のソフト構造)を把握する重要性

種々の経営施策を推進していくには、「目に見える構造」(組織のハード構造)に着手すると同時に、「目に見えない構造」(組織のソフト構造)に関心を向ける必要があります。「目に見えない構造」は「目に見える構造」以上に人々の行動を規制することが多いからです。

事業戦略の変更、組織体制や人事制度の改革など「組織のハード構造」の変更・変革を行うことは組織に一定のインパクトを与えますが、それらをうまく機能させたり、現状を打破するためには「組織のソフト構造」に潜む課題を十分に認識していくことが重要といえます。

「目に見えない構造」(組織のソフト構造)を把握する重要性

現状診断から始まる課題解決プロセスの重要性

現状を変えよう、打破しよう、新しいものに取り組もう・・・とさまざまな試みをしても、組織の「目に見えない構造」(組織のソフト構造)が邪魔していることがあります。
このような場合には、先を急ぐよりもいったん立ち止まり、山積された課題が真の課題なのかどうか見つめ直すことが、よりよい課題の対応策や変革行動に近づけることにもなります。

課題を見つめ直すための方法のひとつとして、第三者からの評価も重要ですが、“改善・改革”を強力に推進するためには、企業活動の担い手である従業員の立場からの自己評価による気づきを促すことが有効です。
しっかりとした現状認識を出発点に、下記のような 課題解決 のための“Plan-Do-Seeサイクル”を精度高く、スピーディーにまわしていくことが企業のあるべき姿の実現(=経営改革)のポイントとなります。

現状診断から始まる課題解決プロセスの重要性

経営改革の第一歩としてサーベイ(従業員意識調査)を活用するメリット

従業員視点から、組織の現状を把握する手法はさまざまありますが、広く効率的に情報収集が可能な“サーベイ”が有力な手段となります。
“サーベイ”という手段を活用するメリットは、以下の3点にまとめることができます。

見えないものの可視化

  • 普段は 「なんとなく 」 「断片的 」にしか把握できない組織の風土やコミュニケーションの状態を、全体的・体系的に数値で把握することができる。

議論のプラットフォーム

  • 経営幹部や従業員が組織の現状について共通の材料で議論することができる。
  • 個々の立場では気がつかなかった組織の問題や強みを発見することができ、関係者に"共有された認識"を形成することができる。
  • サーベイ結果をもとにした関係者の議論自体が、組織内コミュニケーションを改善する。

変化の測定

  • 定期的に実施することにより、組織の状態変化を把握することができる。

もちろん、定量的なサーベイだけではなく、インタビューや自由記述などの定性情報を付加することで、現状の背景にある要因をより深く分析することができ、経営上の打ち手の方向性をつかむことができます。

従業員意識調査の設計/選定のポイント

実際に従業員意識調査を実施する場合、調査そのものは自社で作成するか、外部の調査機関(コンサルティング会社など)が提供するものを活用することになります。
弊社においては、さまざまな目的に沿った従業員意識調査の提供が可能ですが、調査を設計/選定する際のポイントとして以下の項目をあげています。

診断領域-フレーム-測定手法の適切な組み合わせが選択されていること

  • 調査領域、フレームワーク、質問項目、回答方法など、現状の問題意識に対してもっとも有効な結果が期待できる構造・設計となっている。

具体的で、回答しやすい調査項目となっていること

  • 抽象的で多様な解釈が可能な質問ではなく、日常の組織活動や個人行動など、回答者の誤解がなく判断できる具体的なレベルの質問が用意されている(もしくは、回答しやすくなるような工夫がされている)

不要なバイアスが排除されていること

  • 匿名性が確保され、回答者が安心して率直に回答することができる。

妥当性・信頼性が確保されていること

  • 同じことを何度も聞いていたり、複数のことを同時に質問したりしていない。
  • 調査のカテゴリーや測定尺度の妥当性が検証されている。
  • 多様な組織・集団での実績がある。

組織のソフト構造として把握すべき領域

想定させる

組織のソフト構造を把握する場合、弊社では、以下の領域について調査設計しています。

  • 組織を構成する従業員一人ひとりの行動や意識はどうか(従業員一人ひとりの行動)
  • 従業員が集まった最小単位の組織である職場はどうか(第一線の職場活性度)
  • 職場をリードする役割であるミドルマネジャーはどうか(ミドルマネジャーのマネジメント行動)
  • 同一のミッションのもといくつかの職場が束ねられた単位である部門や事業部全体としての風土や活性度はどうか(部門や事業部全体の特徴)
  • 部門や事業部をリードする役割であるシニアマネジャーはどうか(シニアマネジャーのマネジメント行動)
  • 会社全体をリードする経営トップ層はどうか(経営トップ層のリーダーシップ)
  • これまで築かれてきた組織文化の特徴はどんなものか(組織文化の特徴)

上記の領域に加えて、以下のような領域も測定していきます。

  • 各種の施策が結果として理解・浸透しているか(方針や戦略・経営施策の浸透度・実行度)
  • さまざまな組織活動の結果として従業員は満足しているか(従業員の満足度)
  • 自社や自事業部は激しい環境変化に適応していくパワーがあるか(環境変化へのケイパビリティ)
    組織のソフト構造として把握すべき領域

御社にあてはまる状況は?

皆さんの企業ではどのような状況がぴったりあてはまるでしょうか?弊社では、各企業の状況や事前の仮説に応じて、 最適な調査をご提供しています。

  • 従業員満足度の向上を目指して施策を実施したがその効果があがっているのだろうか?
  • 企業価値創造に向けては「従業員満足度」が欠かせない。現在の満足度をどうやって測定するのだろうか?
  • BSC(バランススコアカード)や経営品質向上プログラムに取り組もうとしている。従業員満足がポイントとなるが、どのように取り組めばよいのだろうか?
  • 日々の業務に忙殺され、従業員が疲弊している。各組織の状況はどのようになっているのだろうか?
  • 現場の元気がない。ミドルマネジメントに活を入れたい。
  • 日ごろの職場におけるコミュニケーション課題を探りたい。

従業員意識調査実施の留意点

実際に調査を実施する場合は、以下の点に留意して取り組んでいきます。

1 調査領域を吟味すること

従業員意識調査の領域は前ページで示した通り多様です。自社で起こっている問題についての仮説検証型として調査領域を設定するのか、網羅的に課題を把握するものとするのかなど、事前の調査領域の設定は慎重に行う必要があります。

2 実施目的を明確にすること

なぜこのような調査が必要なのか?何を知るためのものなのかを明確にし、従業員に事前にしっかりと説明することが必要です。いきなり調査冊子を配布されて、 「期限までに回答してください 」では、協力する気にはなれません。また、調査結果がどのように使われるのかを明示するとともに、匿名性の担保も重要な要素といえます。

3 結果は必ずフィードバックすること

調査に協力したからには、その結果がどうなっているのかは従業員の気になるところです。実施から間をあけずに、適切なフィードバックが必要となります。全社の結果は、従業員全員にオープンに、また職場単位の結果は各職場の長を中心にフィードバックするなど、“フィードバック対象とその内容”ならびに、イントラネットや研修、人事が各職場行脚でフィードバックするといった “手段”を決めるなど、 「誰に、どのような手段を使って、どのレベル 」の情報をフィードバックするのかを事前に企図しておくことが重要です。
フィードバックのない調査を繰り返し実施したとしても、だんだん従業員は本当の意見を回答しなくなるでしょう。つまり、フィードバックのない調査は、逆に従業員の不満足につながるという皮肉な結果を招くことにもなるのです。

4 結果開示をゴールにするのではなく、それをきっかけにした職場の行動改善につなげること

調査はフィードバックすると安心してしまうことが多いのですが、フィードバックすることがゴールではありません。調査によって明らかになった問題の解決に向けてアクションを起こさなければ意味がありません。企画者は、アンケート調査結果をきっかけに、各職場において具体的なアクションが起きるような仕掛けをしておくことが大切です。

前提として、このような調査結果を経営指標として掲げ(たとえば、BSC(バランススコアカード)における学習と成長の視点の1指標とおくなど)とともに、部門長レベルには目標管理の目標のひとつに加えるなど、評価指標との結び付けをすることはインパクトがあります。目標を個人的に担った人は、課題改善に向けて、何をしたらよいか必死に考え、アクションを起こそうとするでしょう。

本来であれば、自然にこのような動きが起これば良いのですが、重要と思っていてもなかなかできないことも多いでしょう。評価指標として加わることによって、本気度が増すという効果があります。

また、職場の行動改善の促進に向けて、人事部門のスタッフが社内コンサルタントとして職場ミーティングをリードしたり、職場ミーティングのやり方をマニュアル化したり、各種の調査結果活用のためのサポートツールを充実させることも重要な取り組みといえます。

図4 サーベイ結果を用いた職場改善・改革プログラム

従業員意識調査

ここまで解説してきた内容は、当たり前のことと思う方も多いかもしれません。しかし、コストとパワーをかけて“従業員意識調査”を実施しても、「やりっ放しで活用されていない」という状態に陥っている企業は多いのが実情です。

調査実施の意義を再確認し、実施におけるちょっとした工夫を行うことで、経営、従業員の双方にとって非常に意味あるものにできます。 本特集が、皆さんの企業で展開される“社員意識調査”の見直し・設計にあたって、多少なりとも参考になれば幸いです。

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