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特集

今、あらためて「現場力」に着目

マネジャーのヒューマンスキルについて考える

  • 公開日:2006/07/01
  • 更新日:2024/03/30

企業経営環境が複雑化、高度化する一方で、業績が回復するにつれ、企業は「今」よりもさらに先へ目を向けるようになってきました。高い業績を挙げ続けるために、将来を見据えて人材を育成し、あるべき組織の姿を求めて有効な手立てを模索しています。その一つとして、今、あらためて「現場力」に着目し、現場マネジメントを通じて成果を生み出すマネジャーの役割と、そのヒューマンスキルが注目されています。

本特集では、古くて新しいテーマとして、マネジャーのヒューマンスキルとその能力開発の視点について、取り上げてみたいと思います。

目次
マネジャーに求められるヒューマンスキルとは
マネジャーのヒューマンスキル、重要性の背景 ~今あらためてヒューマンスキルが注目される理由~
マネジャーのヒューマンスキルの現状
マネジャーのヒューマンスキル開発
『きく・はなす・みる』リリースにあたって

マネジャーに求められるヒューマンスキルとは

1.カッツの理論

マネジャーに求められる能力とは、何でしょうか?

ハーバード大学の教授であるロバート・カッツ氏は、以下の3つを挙げています。

【1】 テクニカルスキル(業務遂行能力)
【2】 ヒューマンスキル(対人関係能力)
【3】 コンセプチュアルスキル(概念化能力)

この3つの能力は、マネジメントの階層毎で求められる割合が違っています(図参照)。

マネジャーに求められるヒューマンスキルとは1

とはいえ、最近では、トップマネジメントでもテクニカルスキル(業務遂行能力)が求められる割合が大きくなる傾向にあります。また、ロワーマネジメント(監督者層)であっても、職務によってはコンセプチュアルスキル(概念化能力)が必要とされることも多々あります。変化の時代を象徴するように、マネジャーにもさまざまなスキル開発が求められているのではないでしょうか。

本特集では、この中でも、【2】ヒューマンスキル(対人関係能力)にスポットをあててみたいと思います。

2.ヒューマンスキルとは

一般に、ヒューマンスキルとは「相手や集団との関係を円滑に豊かにしていく力」といえます。
これをマネジャーとしてのヒューマンスキルに置き換えてみると「目的達成のために相手や集団に働きかけ、相互作用していく力」となります。したがって、マネジャーのヒューマンスキルとは、目指す「目的」によってその内容も異なってくるのです。

3.ヒューマンスキルに含まれるスキル

ヒューマンスキルとは広い概念であり、目的により個別のスキルとして、リーダーシップ/コミュニケーション/ファシリテーション/コーチング/プレゼンテーション/交渉力/調整力などとよばれています。

4.リテラシー

ヒューマンスキルを開発しようとすれば、個々の目的に応じて個別スキルを開発することになりますが、それぞれを一つ一つ、全部マスターしていくのは至難の業です。そこでヒューマンスキルの土台となる基礎部分を分解してみると、次のとおりになります。

【ヒューマンスキルのリテラシー】

  • きく(話を聴く、質問する)
  • はなす(話を効果的にする)
  • みる(集団のプロセスをみる)

ここでは、これらを3つを総称して「ヒューマンスキルのリテラシー」と呼ぶことにします。
この、「ヒューマンスキルのリテラシー」の開発を通じ、個別のスキルも開発されていくのです。

マネジャーに求められるヒューマンスキルとは2

参考文献:Katz,R.L. 'Skills of effective administrator' Harvard Business Review(1955)

マネジャーのヒューマンスキル、重要性の背景 ~今あらためてヒューマンスキルが注目される理由~

最近になってマネジャーのヒューマンスキルの重要性が叫ばれています。
この章では、「なぜ、今ヒューマンスキルなのか・・・」その背景をあらためて考えてみたいと思います。

1.環境変化からの要請

環境変化のスピードが速く、事業モデルの変更や、商品開発のサイクルが短くなってきています。
そのため、マネジャーは

  • 現場の情報をいち早く吸い上げる必要がある
  • 現場で、どう適切に対応するかが問われる

状況にあるといえます。
いずれにせよ、現場のマネジャーが部下の意見を集約し、対応策を練る必要があり、メンバーの意見を「引き出す」「まとめる」などのヒューマンスキルが要求されます。

2.企業収益からの要請

近年、企業業績は上向き傾向にありますが、永続的に業績を確保しようとすれば、部下育成は必要不可欠です。ただし、部下(人材)育成は時間がかかり、短期的には成し得ません。例えば、OJTを通じて部下を育てようとする場合、部下の気持ちを聴いたり、将来目指そうとするキャリアや夢を聴くことも必要となります。

同時に、部下の行動を見て、きちんと評価し、的確にフィードバックを行うことも重要です。
部下の気持ちや意向を引き出したり、適切なフィードバックを行う場面でも、ヒューマンスキルが決め手となってくるのです。

3.メンバーの欲求、価値観の多様化

最近の部下の価値観は多様化しています。上司の価値観では推し量れないことも多いでしょう。そういった場合、まず部下に聴いてみることが大切です。今までであれば、上司の考え方を熱く語る(伝える)ことで、部下もそれなりに上司の考え方を理解し、その指示に従ってきました。

ところが、今はまず部下の考えを聴き、自分の考え方と統合した上で部下に伝えないと、十分納得してもらえません。これには、大変なエネルギーを要します。しかも、ヒューマンスキルが伴わないと、満足に伝えるのは難しいのです。仮に、一つ一つの言動には納得がいかなくとも、上司を理解し、上司を信頼していればまだついてきてくれますが、これがなかなか難しいのです。まずは部下とじっくり向き合って話をすることから始める必要があるのです。

マネジャーのヒューマンスキルの現状

前章では、ヒューマンスキルが重要といわれる背景をご説明しました。
この章では、マネジャーのヒューマンスキルの現状を、研修の現場をとおして考えてみたいと思います。

1.研修で見られるマネジャーのヒューマンスキルの現状

「研修の中で見ると、マネジャーのヒューマンスキルは低下しているといえる」

リーダーシップが低下している

当社のアセスメントプログラムの中で「統率力」は下降傾向にあります。実際に研修場面を見ても、自分の考え方で引っ張っていく力は弱くなっていると感じます。力強く引っ張るより、他者の力を借りて調整に回る人が目立ちます。

葛藤を避ける傾向が強くなっている

グループ討議中、グループの見解を作り上げる場面において、年々葛藤を避ける傾向にあると感じます。何となく決まる、強く言った人にあえて逆らわない、相手の意見に踏み込んでいかず論破しない、などの現象が目立ちます。

感情表現が少なく淡々としている

議論する、相互理解をするといった場面でも、自己の感情をストレートに出す人が少なくなっています。従って、討議も淡々として終ります。(一方で、課題は時間内にきちんとクリアすることが多いのですが・・・)

「この現象は必ずしも研修だけでなく、職場でも起きている傾向と思われる」

受講生(マネジャー)の発言で、「部下と飲みには行かない」、「部下とメール以外では話をしない」、「面談のときも突っ込んで話をしない」、「一緒に行動しないので直接アドバイスをすることもない」、「会議も事務的に終わる」などの意見をよく耳にします。職場でもヒューマンスキルの低下はおきているといえます。

2.考えられる低下の原因

ヒューマンスキルが低下してきた原因はいくつか考えられます。一つは成果主義の導入により、チームで活動するより、個人の実績を挙げることに一生懸命で、協働や人との関わりが少なくなってきていることが挙げられます。

もう一つは、IT化により、コミュニケーションのあり方がEメール主体にシフトしたことです。
Eメールでのコミュニケーションと、FACE to FACEでのコミュニケーションでは相手への伝わり方が違います。Eメールでは相手との感情のやりとりが限られ、生の感情のぶつかり合いは生まれません。隣の人とメールで挨拶することではヒューマンスキルは高まらないのです。

マネジャーのヒューマンスキル開発

ヒューマンスキル開発とは

マネジャーのヒューマンスキル開発では、「きく・はなす・みる」というリテラシーを高めることで土台が開発されるといいましたが、本当にそれだけで十分なのでしょうか。ヒューマンスキルの開発においては、単なるスキルの習得だけでなく、同時に「自己理解」と「感受性」を磨くことも欠かせない要素のひとつです。

マネジャーのヒューマンスキル開発

『きく・はなす・みる』リリースにあたって

リクルートマネジメントソリューションズの取り組み

弊社にとって「ヒューマンスキル」とは、トレーナー育成の「柱」といっても過言ではありません。
トレーナーとしてお客様の前に立つには、約1年間もしくはそれ以上の養成期間を経て、一定の基準を満たして初めて、正式デビューとなります。マスターすべきプログラム数だけでも相当数にわたりますが、トレーニング技術におけるコアスキルであり、トレーナーとしての土台ともいうべきものが、まさにこの「ヒューマンスキル」なのです。

研修受講生と向き合い、彼らを支援して目的を達成させるためには、

  • 自分(トレーナー自身)を知り、
  • 相手を知り、
  • 今置かれている「場」、「プロセス」を的確に感じとる

ことがまず求められます。

そのためには、形式的なスキルの実践にとどまらず、「きく(話を聴く、質問する)」、「はなす(話を効果的にする)」、「みる(集団のプロセスを見る)」の徹底したトレーニングと的確なフィードバックのやりとりの中で、自己の内面を洞察し、感受性を高めていくことが重要です。そうした結果、ヒューマンスキルが高まるともいえるのです。

前述のとおり、マネジメント力へのさらなる期待とともに、ヒューマンスキル開発への要望も高まりつつあります。こうしたご要望を受け、弊社では単なる形式的なスキル修得としてこれを捉えるのではなく、これまで培ってきた観点、ノウハウをベースに、マネジメントを支える土台として、実践につながるプログラムをご提供させていただくことになりました。それが、『きく・はなす・みる』研修です。

皆様のご要望に応え続けていくべく、今後とも忌憚ないご意見、ご要望をいただければ幸甚に思います。

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