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いま求められる育成のアタリマエ転換

新人・若手を育てるOJT推進の隠れた鍵

  • 公開日:2010/02/08
  • 更新日:2024/04/11
新人・若手を育てるOJT推進の隠れた鍵

大手メーカーのA社は、昨年新たに指導社員制度を導入し、新人若手育成に本格的に乗り出しました。背景としては、バブル崩壊後の厳しい環境の影響で、本来強みであった育成風土が弱くなり、結果として「中堅社員の離職増加」 「新人・若手の伸び悩み」 「メンタル不全社員の増加」を招いているという問題が発生していました。これらの問題から、会社の将来に危機感を感じ、その解決の糸口となる取り組みとして指導社員制度に着目しました。

しかし多くの企業が同様の制度を導入していますが、効果をあげているところは少ないのが現実です。それはなぜでしょうか?

今回の特集では、さまざまな工夫を行い、結果として期待以上の成果を出すことに成功したA社の指導社員制度(以降:OJTリーダー制度)についてご紹介しながら、新人・若手の育成推進について考えていきます。

目次
新人・若手が育たないのは誰のせいか?
「育つ企業」「育たない企業」その違いとは?
「アタリマエ転換」が三重苦問題を解決する!
誰から「アタリマエ転換」するか?(A社の場合)
「アタリマエ転換」の理解

新人・若手が育たないのは誰のせいか?

多くの企業が導入しているOJTリーダー制度ですが、人事や現場の方から「なかなか機能しないし、結局新人・若手が育たない」という相談を良く受けます。こうした相談に共通する原因の一つとして、新人・若手を取り巻く環境を事実ベースでおさえず、見た目に分かりやすく実行しやすい施策(=対症療法的なアプローチ)をしていることが挙げられます。

しかし昨今、新人・若手を取り巻く環境は大きく変化しています。現場で育成が進まない要因として、どのような環境変化が起こっていて、それがどれくらい育成の現場に影響を及ぼしているのかを捉えることが施策検討の出発点になります。

【図表1 新人・若手が育ちにくい構造】

【図表1 新人・若手が育ちにくい構造】

図1のように、新人若手が育たないのは誰かのせいではなく、構造的な問題と捉えることが重要です。

「育つ企業」「育たない企業」その違いとは?

図1のように新人・若手が育たない構造は各社共通であっても、新人・若手が育っている企業はあります。
では、新人・若手が「育つ企業」と「育たない企業」の違いはどこにあるのでしょうか。
下図は弊社がさまざまな企業の研修やコンサルティングをお手伝いする際に、OJTリーダー制度を導入している企業においてよく聞かれる声の代表的2パターンです。

「育つ企業」「育たない企業」その違いとは?

同じ制度を導入しているのに一体何がこの違いに影響しているのでしょうか?

「アタリマエ転換」が三重苦問題を解決する!

「育たない企業(図2)」では、新人・若手が「育たない構造(図1)」を理解せず、何となく今までの延長線上の考えから、OJTリーダー制度が対症療法的施策になってしまっているようです。確かにそれぞれの声は事実を指していますが、育たない原因をお互いのせいにして誰も行動しないため、当然育成の効果が出にくくなります。

一方、「育つ企業(図3)」では、各々が「新人・若手が育たない構造(図1)」を理解し、問題を誰かのせいにすることはしていません。育ちにくい環境を前提として捉えた上で、今まで行ってきた施策に工夫を加えて取り組んでいます。そういった企業は時間と手間をかけながら、少しずつ育成効果が出てきています。

この比較から、育成の効果に差をつけるのは、どのような施策を行うのかではなく、施策の前提としての育成に取り組む意識や姿勢の違いといえそうです。この意識や姿勢こそが、育成の鍵となります。つまり、企業全体で新人・若手を「育成する腹くくり」ができるかどうかが、新人・若手が育つかどうかを決めると言えるでしょう。

このように新人・若手育成に取り組む意識や姿勢が変わることを、弊社では育成の「アタリマエ転換」と呼び、昨今の新しいビジネス環境下で育成効果をあげるためのインフラの一部として考えています。環境変化に応じたアタリマエ転換を起点に、現場の実態をふまえて施策を設計・実行へと展開した先に、三重苦を解消する育成効果が待っているのです。

【図表4 三重苦問題の解決には、「アタリマエ転換」が必要】

【図表4 三重苦問題の解決には、「アタリマエ転換」が必要】

誰から「アタリマエ転換」するか?(A社の場合)

ではこの「アタリマエ転換」をする時に、まずは誰から転換すると企業全体へ展開していきやすいのでしょうか?今回は人事や経営発信で、「アタリマエ転換」が全社へと展開したA社の例を見てみましょう。

A社は当初、新人・若手が「育たない企業(図2)」の状態で、従来の延長線上の施策として、「OJTリーダー研修」と、上司やOJTリーダーに対して日々の実践状況を管理する「シートの提供」という方法を考えていました。しかし人事・教育担当課長と人事担当役員が「アタリマエ転換」の必要性に気づき、現場が動くための方法を考え取り組んでいきました。実際には下図のように、担当課長が研修実施後職場に直接様子を聞いたり、担当役員自ら何箇所もある事業所に出向いて新人・若手育成(=OJTリーダー制度)の重要性を説明したりしました。

このことが結果として、現場の職場を動かし、期待以上の効果をあげることができました。このことは経営会議でも大きな話題になり、改めて育成風土の回復による競争力の向上につながるとして、現在も全社一丸となって取り組み続けているところです。

【図表5 A社の「アタリマエ変換」が及ぼした影響】

【図表5 A社の「アタリマエ変換」が及ぼした影響】

「アタリマエ転換」の理解

アタリマエ転換は誰から、どこから発信するから展開しやすいということはありません。逆に言えばその発信は誰からでもどこからでもできるということです。
重要なのは、アタリマエ転換を理解し、企業全体で新人・若手育成をしていく「腹くくり」をすることを起点に、その「アタリマエ」に応じた施策を講じていくことが、新人・若手を育成することになり、さらには企業の成長につながると言えるでしょう。
日々より高い成果を求めて試行錯誤を繰り返す皆様に、この特集が少しでもお役に立てれば幸いです。

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