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特集

シニア人材の活性化

シニア人材が自分と組織のためイキイキと働くには

  • 公開日:2010/12/05
  • 更新日:2024/04/11
シニア人材が自分と組織のためイキイキと働くには

「高年齢者雇用機会安定法」の改正により、2013年までには社員を65歳まで雇用延長することが義務付けられています。そのため各企業では、制度を整えるのはもちろんのこと、 「シニア社員」に力を発揮し前向きに働いてもらうための施策を進めているところも多くみられます。

一方 シニア社員たちも、制度面の変化だけでなく、急速な外部環境の変化に伴い、過去の経験が通じなかったり、仕事の難易度が高くなり、自分自身も大きな変化を求められる状況にあります。 そのような環境の中で、仕事・職場・会社に対しての不安や不満を抱え、働くモチベーションがあがらない方も少なくありません。
しかしながら、この環境で企業が高い生産性を上げ、競争に勝ち抜いていくためには、このシニア人材の活用は、重要な人材マネジメントテーマの一つとなっています。

今月の特集ではシニア人材の活用の実態とその対応について、2010年5~6月に240社にご回答いただいた「人材マネジメント実態調査2010」やシニア人材に関する研究の結果も踏まえながら、具体的な取り組み施策について述べていきたいと思います。

目次
持ち味が発揮しきれていない正社員の存在する理由と対応策
シニア人材の志向の違いとモチベーション
シニア層活用化に向けた研修テーマ
働く側の意識改革へのアプローチ
セカンドキャリアを想定した準備

持ち味が発揮しきれていない正社員の存在する理由と対応策

シニア層の現状を企業はどのようにとらえているのでしょうか?
弊社「人材マネジメント実態調査2010」では、ミドル・シニア層の実態について人事ご担当者の方に以下の質問をしました。(図表1)

社員が能力・持ち味を発揮しきれていない理由はさまざまですが、最も選択率が高い「個人の専門性が仕事と合わない」(40.9%)のほか、「適切な仕事の不足」(35.9%)、「適切なポストの不足」(33.3%)と、個人の専門性と組織の要請のミスマッチが、能力や持ち味を十分に発揮することができない最大の理由であることがわかります。
また、「上司の指導力不足」(36.7%)と高く、年下の社員が上司となるといった状況が増えていく中で、上司がどのように関わり、マネジメントしていくかという点も重要であるといえます。

では、そのような「本来の能力・持ち味を発揮しきれていない正社員」に対し、企業では、どのような施策をとっているのでしょうか。(図表2)

持ち味が発揮しきれていない正社員の存在する理由と対応策

多くの企業では「配置転換」(71.7%)により対応しています。次いで、「キャリア研修」の実施(25.3%)、「スキル向上研修」の実施(23.6%)、「上司の指導力強化プログラムの導入」(16.9%)という順となっています。

しかし、ポストが限られている中、配置転換を中心とした対応には限界があり、根本的な解決策にはなりません。今後更なる厳しい環境変化に対応するためには、シニア層がイキイキと働いて貢献してもらうことが重要であり、それにはシニア層のモチベーションを高めるとともに「シニアが活躍できる環境づくり」が必要と なってくるのです。

それでは、このような状況の中、シニア層の方々はどのように感じているのでしょうか?

シニア人材の志向の違いとモチベーション

弊社では、中高年のキャリア意識の実態について、調査研究を行ったところ、志向の違いによるモチベーションの源泉の違いを見ることができました。

本調査では調査対象とした中高年を管理職志向の方と専門志向の方に大別しています。管理職志向/専門職志向 について、「あなたは管理職(組織やグループを統括・運営する立場)にどれくらいなりたいですか」、「あなたは専門職(専門的視点から企画や商品開発・研究を行う立場)にどれくらいなりたいですか」という項目に対して、それぞれ5段階(なりたくない~とてもなりたい)で回答し、より高い評定値をつけたほうの志向に当てはまるとしたものです。
(両方に同じ評定を行ったものについては分析から除外。管理職志向が132名、専門志向が202名)

この調査の結果から、管理職志向の人は
 ●昇進可能性がなくなると、キャリアの見通しに不全感を持ち、働く意欲が低下する
 ●一方で管理職志向であっても、キャリアを通じて自分の専門性がつみあがっていると思うと、仕事のやりがいは上がり、その結果キャリアの見通しの不全感や働く意欲の低下は改善される
 ●昇進とは別に、専門性を高めることでまだまだ自分が組織に貢献できると感じられることで、動機づけられる可能性が考えられます。

一方、専門職志向の人は、
 ●昇進可能性がなくなると働く意欲が低下するが、管理職志向の人とは理由が異なり、「このままだとやりたい仕事ができそうにない」と考えるのではないか
 ●キャリアを通じて自分の専門性がつみあがっていると思うと、キャリアの見通しの不全感も、働く意欲の低下も改善され、その効果は管理職志向の人よりも大きい
 ●昇進可能性にせよ、キャリアを通じた専門性の向上にせよ、専門職としてやりたい仕事ができることが働く意欲の源泉であるのではないかと考えられます。

この調査では志向に応じてデータを分けましたが、実際のところ管理職志向と専門職志向ははっきりとわけることができないケースも多くあるため、施策を検討する際にはこの点を考慮することが必要になります。
弊社においても、シニア層の活用をテーマとしたお客様からのご相談やご要望をいただくケースが大変増えてきています。では、このように志向の異なるシニア層のモチベーションを高めるためにはどのような施策が考えられるのでしょうか。

シニア層活用化に向けた研修テーマ

ここで、あらためて、弊社にてシニア層活性化テーマの案件として、ここ最近研修施策でお手伝いをさせていただいているケースについて整理すると、大きく以下の2つにまとめることができます。

ケース1.「退職~再雇用後」65歳までの活性化
研修目的:自分自身を取り巻く環境について主体的に受け止め、65歳退職までの期間を、一人ひとりがいきいきと、やりがいを持って仕事に取り組んでいくきっかけ作りと実際の業務遂行で具体的に活用できるヒントを獲得する。
報酬は雇用条件の変更により大幅にダウンするが、業務内容は基本的に継続される状況。仕事に対するモラールの停滞を解消し、前向きに働いてもらうための意欲転換を促す。
受講対象:定年退職年齢到達、再雇用対象者

ケース2.「役職定年者」のモラール向上
研修目的:直面した環境の変化を主体的に受け入れ、これからの会社人生における自らの会社への貢献領域を決定し、前向きに仕事に取り組んでもらうための意欲転換を図る。
役職を退いた立場となっても、後輩管理のサポートに主体的に取り組んでほしい。後輩社員の育成に力を注いでもらいたい。
受講対象:役職定年者(部課長)

ケース1は、先に前ページでご紹介した「専門職志向」、ケース2は「管理職志向」の方の状況への対処に近いと言えます。

また、2つのケースには、対象者の置かれている状況において共通している点があります。それは、
(1)「会社都合(自分の影響できる範囲外)により、自分の仕事における役割、立場、状況が変化する(した)」
(2)「変化に直面した後も会社側から今後の活躍を期待されている」

ということです。
このような「自分自身の意に沿わない変化」を乗り越えるきっかけをいかに短い研修の場でつかむことができるか、そのためにどのような仕掛けを行うかが、シニア層の活性化を目的とした研修では重要となってきます。

働く側の意識改革へのアプローチ

では、シニア層の活性化をテーマとした研修ではどのような仕掛けや取り組みが効果的なのでしょうか。ひとつの事例をご紹介します。

フランクリン・コヴィー・ジャパン社が提供する「7つの習慣(R)」プログラム※をシニア層活性化に向けたソリュー ションのベースとして活用した研修では次のようなアプローチをおこなっています。
研修参加を通じて、自分自身と徹底してしっかりと向き合っていただくこと、そして、自分の身に起きている変化 を受け入れ、効果的な対応を取っていたただけるように促していくための4つのステップです。

(1)自分が直面している現実について考える
・現在の自分は、今までの自分の選択(意思決定)の結果であること、これからの人生を選択していくのも自分であることを認識していただく。
・自分を取巻く現実や環境の変化に対応したパラダイム(ものの見方、考え方)の転換が必要であることを理解していただく。

(2)自己を再認識する
・現在までの自分を振返り、自身の強み、価値を認識することで自信を持っていただく。

(3)個人の人生目的(ミッション)を明確化し、会社からの期待との整合性を図る
・理想の将来を獲得するためには、自分としてどのような選択をしていくのが効果的なのかについてじっくりと考える。

(4)残された、今後の仕事人生でどのようなことに具体的に取り組んでいくかを決める

先の2つのケースにおいては、特に「自己リーダーシップ」の発揮に向けてのコンテンツを中心に、シニア層活性化のテーマに合わせたアレンジメントを行うことで、この「7つの習慣」を効果的に活用しているのが、大きな特徴です。
自分自身と徹底して向き合っていただくのみならず、「人生という広い観点で自己と向き合い(仕事軸だけではない)、仕事以外の役割(例として、父親、友人、後輩社員の育成担当など)を考えながら自らの人生の設計図を描くことで内発的な気付きを促す」アプローチを取っているのが、他研修と比較して大きく違うポイントです。

また、一方的な講義だけではない、映像やゲーム、グループディスカッションなどを効果的に活用し、五感に訴 えかける仕立てで展開してことももう一つの特徴です。
これらの独自のアプローチにより、押し付けではない形で自然と自己と向き合い、深い気付きと今後の仕事人 生を前向きに捉えていけるためのきっかけを得ることができるという点で、お客様からも高い評価を得ています。
※「7つの習慣(R)」は、継続して成果を出し続けるための効果的な生き方とは何かをテーマとした、リーダーシップ研修としては世界で大きな評価を獲得している研修プログラムです。

セカンドキャリアを想定した準備

シニア層の活性化は非常に困難な人材マネジメント課題であり、研修をやったから即解決するというものではありません。しかしながら、「シニア社員」に力を発揮し前向きに働いてもらうことは不可欠であり、そのためには「シニア層が活躍できる環境づくり」と「シニア層の意識改革」は重要な取り組みとなります。

シニア本人への意識改革のための研修の必要性はますます高くなってきていますが、この意識改革は、60歳の定年直前では遅く、役職定年の少し前50歳前後に行ってその後20年間のセカンドキャリアを想定した準備を始める必要があると考えます。

また、シニア層の置かれている状況、抱えている課題は個別性が非常に高く、より個別の対処が必要な状態に限らず、職場の活力と生産性を高めるためにも、カウンセリング(パーソナルセッション)により個別の対応をする企業もあります。また、研修では今後の働き方やマネープランなども踏まえたライフ設計も含めた研修をする企業もありますし、本人だけでなくシニア層の上司となる管理職のマネジメント力向上を主旨とした研修を行う企業もあり、日々多くのご相談をいただきます。

最後に、先ほどご紹介した「7つの習慣」プログラムを提供しているフランクリー・コヴィー・ジャパン社においては「7つの習慣」のアレンジメントではない、シニア活性化に特化した新商品「マスターピース」の開発も進んでいます。

「シニア人材の活性化」というテーマではありますが、この変化の速い時代において、企業が勝ち続けていくには、シニア層に限らず、働く人々全てが活性化され、高い成果を上げていくことが望まれています。そのためにも、組織で働くことの意味を実感し、高い意欲をもって職場に戻れるような施策を行うことが、今人事 には求められているのではないでしょうか。「働く人々の活性化」これはシニア層だけに限定される課題ではないのです。

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