特集
組織営業で勝つための営業マネジメント力強化
いかにプレイーヤーから転換し専門性を高めるか
- 公開日:2011/03/14
- 更新日:2025/04/22
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ CRソリューション事業部
エグゼクティブパフォーマンスコンサルタント 伊藤 正裕
「組織営業力の強化を通して、顧客ニーズへの対応力を高め、業績向上を図りたい。しかし、やるべきことが多く、何から着手すべきかがわからない」「現場が短期の数字づくりばかりに追われて疲弊してしまっている」 「売れる人と売れない人の差が激しくなっている」営業部門トップからこれらの声をよくお聞きします。
私どもはこれら組織営業力の問題を解決していく際に、まず組織営業の中核となる現場の営業マネジャーが機能しているかどうか、機能していないのであればどこに要因があるかを見つけ、対策を考えます。
今回の特集では、「組織営業で勝つための営業マネジメント力強化~いかにプレイヤーから転換し「営業マネジメント」の専門性を高めるか~」と題し、個人力ではなく、組織力で勝つための「営業マネジメント」に求められる機能とその体系的な強化策についてご紹介をしていきたいと思います。
最近よくお聞きする営業マネジメントの問題
営業部門トップから寄せられる問題の背景にはさまざまなことがあります。商品・サービスが複雑化し、競合と差別化しにくくなってきていること、お客様のニーズの変化・高度化によりかつての販売手法が通用しなくなり、簡単に成果が出にくくなっていること、マネジャーのプレイヤー化、人材・雇用形態の多様化、M&Aによる組織風土の融合といった組織課題など、業種業態による違いはあるものの、営業組織にかかる負荷は高まるばかりです。
そのような中、営業部門に伺うと必ず話題になるのが現場の責任者である営業マネジャーの問題です。
コンサルティングの現状把握フェーズで、営業部門のトップや営業企画セクションの責任者からよくお聞きする、営業マネジメントの問題の一例を以下に示しています。貴社営業部門の営業マネジャーに、このような問題はありませんか。
【最近よくお聞きする営業マネジメントの問題】

営業マネジャーに選抜される人の多くは、高い実績をあげてきたハイパフォーマー。マネジャーになっても率先して成果を出すべく奮闘されています。にもかかわらず、なぜこのようなギャップが生まれてくるのでしょうか?
その理由は、営業マネジメント業務こそ、プレイヤーからマネジャーに転じた際の視点転換や、業務遂行にかかわる「営業マネジメント」という専門性を持つことが求められるにもかかわらず、実情はそれまで培った経験と勘を頼りに、個人技で組織業績向上の責任を担い続けていることが多いことにあるのではないかと考えています。
組織業績向上ために重視される営業マネジメントの機能とは?
では、組織業績向上のために求められている営業マネジメントの機能とはどのようなものでしょうか?弊社が独自に行った営業管理職200名に対する意識調査(インターネット形式)で、組織業績向上に最も重要と思われる営業マネジメントの機能を聞いたところ、選択率の高かった回答は以下の2つでした。
・「方針・戦略に基づいて具体的な計画を立て体制を作ること(全体選択率38%)」
・「営業プロセス管理し、実践場面でメンバー指導していくこと(全体選択率32%)」
組織業績向上のためのマネジメント機能という点において、現職の営業マネジャーは、中長期視点でのメンバー育成、チーム・職場風土づくりよりも、具体的な計画や体制構築、メンバーの実践指導に重きを置いていることがわかります。
【営業管理職にお聞きした組織業績向上に必要な機能】

また、調査結果で興味深かったことは、減収企業の回答者に比べ、増収企業の回答者は「営業プロセス管理と実践場面でのメンバー指導」にも重きを置いている人が多かった(41%)ことです。
言い換えれば、増収企業の営業管理職は、多忙な営業マネジメント業務の中でも、立てた計画が実行されるように日々の実践場面でプロセスを検証しながらメンバー指導に向かい、PDCAを回すことに重きを置いているということができます。
高まる営業マネジメントの専門性
営業マネジャーの最大の関心事は業績の達成とメンバー育成の同時実現、これらを質高く継続的に実現できるかどうかは前述の調査結果で重視されていた「戦略に基づいた具体的な計画立案と、プロセス管理」にかかっています。組織営業力を高めるためには、これまで培ってきた経験と勘から離れ、メンバーが再現性高く行動できる基準を示し、メンバー間でも問題解決やノウハウ蓄積ができるような仕組み・風土づくりを意図的に行う必要があるのです。個人ではなく組織で勝つための仕組みづくりそのものといえます。
BtoB営業を例にとって、戦略立案を計画にブレイクダウンしていくステップ(プロセス基準の構築)と、日々の営業マネジメントでプロセス管理する営業マネジメント活動を図示しました。
【プロセス基準の構築とプロセス管理(B to B営業の例)】

大まかに言えば、左側があるべき営業の基準と目標達成の筋道=「マネジメントの基準」、右側がその基準と筋道に基づいた活動ギャップの是正=「日々のマネジメント活動」ということになります。組織営業力を高めるためには、これら両輪でPDCAを回し、揃って質を高めていかなければなりません。
組織営業を推進する営業マネジャーに求められることは、先が見えないながらも、仮説をもとに目標達成のための戦略を掲げ、あるべき活動プロセス基準を明確にし、日常のプロセス管理を通して検証を繰り返しながらより確度の高い戦略や活動プロセス基準に見直していくといった、組織全体の活動の質を高めていくことではないでしょうか。その仮説検証をスピーディーに回し、自立的に活動改善できる組織こそ、真に強い営業組織といえるのです。
ここで申し上げたいのは、そのために身につけるべき営業マネジメントのスキルは数多く(図の※印)、現場のマネジャー任せにせず、体系立てて身につけていく必要があるということです。主なスキルを以下に記します。
・マーケティング・戦略策定スキル
(マーケティング理論を実際の戦略構築に活用するためのフレームワーク)
・営業プロセス構築スキル
(計画した顧客価値を、営業活動プロセスに具体化するためのフレームワーク)
・計画策定スキル
(営業計画、商談計画づくりのためのフレームワーク)
・プロセス管理スキル
(プロセス管理の考え方・進め方、基準に基づいて管理するスキル)
・面談、指導スキル
(メンバーを動機づけ、成果と成長に向けて指導するためのコミュニケーションスキル)
・ファシリテーションスキル
(メンバーの意見を引き出しながら合意形成するためのコミュニケーションスキル)
・問題解決スキル
(問題を明確にし、要因を掘り下げ、あるべき方向に解決するためのフレームワーク)
「個々人の頑張りでモノが売れた時代」から、組織営業力を高めることで「顧客満足を起点に売り方を磨いていく時代」へと変化していく中で、営業マネジメントの専門性は高まるばかりと感じています。
営業マネジメントの体系的な強化方法
こうした営業マネジメントの専門性を身につけ現場で活用いただくために、弊社では営業組織の研究を重ね「営業マネジメントシリーズ」商品ラインアップを充実させてまいりました。
現場のマネジメントの実情や課題の重要度に応じて、体系的な営業マネジメント力強化をしていただくことができるようになっています。私どものこの考え方とラインアップは、多くの営業部門にご支持いただき、導入いただいています。
【リクルートマネジメントソリューションズ「営業マネジメントシリーズ」商品ラインアップ】

これら研修プログラムを活用しながら営業マネジメント力を体系的に強化していくためには、以下の5つがポイントとなります。
1.目指す営業組織づくりに向けて腰を据えた取り組みであることを明示する
2.上司・部下を巻き込んだ組織全体の施策として展開する(営業マネジャーを孤軍奮闘させない)
3.変化のプロセスを見える化(会議場面での共有、事例展開など)し、賞賛することで変革に勢いをつける
4.PDCAサイクルが回せる仕組み(マネジメントツールなど)をつくり、運用改善を図ることで組織定着を促する
5.営業トップ自らが本気になって施策を牽引する
詳細は別の機会にお伝えできればと思いますが、共通していえるのは、一過性の取り組みにしないということです。現場、企画事務局、営業トップが一体となって取り組みを推進していくことで、大きな成果に繋がるものと確信しています。
確実な問題解決のためには
私どものコンサルティングでは、目指す営業組織づくりに向けてあるべき状態が組織に定着し、自立的に改善・進化ができるところまでさまざまな支援をさせていただいております。いただくご要望は、営業担当個々人の営業能力を引き上げることにとどまらず、組織営業力を高めるための仕組みづくりまで広い範囲に及んでいます。確実な問題解決のためには、中長期視点で腰を据えた営業組織づくりをする覚悟と、組織営業の中核となる営業マネジメントの現状をあらためて見直し、体系的に強化を図ることがますます重要になってきているのではないでしょうか。
今回は、営業マネジメント力強化を起点に組織営業力を高めていく取り組みについてご紹介させていただきました。貴社営業部門の強化に、本特集がお役に立てれば幸いです。
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