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成功確率を高める実践的な施策をご紹介

「女性管理職登用」5つのポイントとは?

  • 公開日:2013/10/11
  • 更新日:2024/04/11
「女性管理職登用」5つのポイントとは?

2013年8月に弊社で開催し、大好評を博したセミナー「女性管理職登用を推進するポイント」をもとに、女性活用・登用の成功確率を高める実践的な施策をご紹介します。

かけ声だけで終わっている女性の管理職登用
MustとCanで主体性を引き出す
PDCAサイクルで成長を支援する
経営層のコミットで実現性を高める
一過性に終わらせない意志を

かけ声だけで終わっている女性の管理職登用

突然ですが、質問があります。
あなたの会社では、女性管理職の登用を推進していますか? 「はい」とお答えくださった人に、さらに質問です。それは、どのような理由からでしょう。

現在、政府の働きかけも影響し、多くの企業が女性の活躍を推進しています。しかし、その理由を明確に答えることのできる企業は決して多くはありません。その中には「世論を受けて、なんとなく」といった声も珍しくなく、目的が曖昧ゆえに、かけ声だけで終わっているケースもあるようです。

一方で、ここに一つの調査結果があります。企業の女性の活躍の現状に関する調査データですが、過去5年間で女性管理職が大幅に増えた企業は業績も向上しているという興味深い傾向が見られるのです(※1)。ここからは、女性管理職の登用という新たな価値創造が、企業の業績増大に寄与している可能性があるとも言えるのです。こうした調査結果の影響もあり、女性管理職登用に注力する企業は今後もさらに増えることが予測されます。しかし、そこには一つの壁が立ちはだかります。肝心の女性側の意識です。

●昇進意欲の高い女性は少数派

では働く女性の意識について見てみましょう。とある調査(※2)によれば、女性は男性に比べて「仕事より家庭生活を優先する」と回答する人が多く見られました。さらに別の調査(※3)によれば、現在、役員として活躍している女性であっても、就任当初は「長く働きたい」「出世したい」という意向を持っていた人は少数であったことがわかりました。つまり、企業側が女性管理職の登用に意欲的でも、意欲を持った対象者を探すことは容易ではないと言えるのです。

では、この女性活躍というテーマについて、次章より成功確率を高めるポイントをご紹介します。

※1:「ポジティブ・アクション(女性活躍推進)とセクシュアルハラスメント防止に関するアンケート調査」2010年6月 みずほ情報総研株式会社
※2:「男女共同参画白書 平成24年版」内閣府男女共同参画局
※3:「女性役員の『一皮むける経験』」works review 2006

MustとCanで主体性を引き出す

前述した通り、もともと昇進意欲が高い女性は少数です。世帯主となることを意識している男性は昇進を当然のこととして目指す傾向があるのに対し、女性は昇進からは距離を置くという、心理的傾向があるのかもしれません。また、女性特有のライフイベントと昇進のタイミングが重なるという理由からも、意欲的になりきれない実情があります。

ならば、昇進意欲の高い女性だけにフォーカスすれば良いのではないか、という考え方もあるでしょう。確かに、そのような女性は会社の働きかけがなくても自走できるため、支援する側の負担を軽減できると言えなくもありません。しかし、労働人口の減少を視野に入れれば、そのような少数派の自主性だけに期待していては、企業内で管理職を担う人材が不足することが予測されます。これからは優秀であるにも関わらず、昇進意欲が低い、もしくはほぼない女性を、会社や上司の働きかけによって管理職への昇進を動機づけする必要があると言えます。では、具体的な施策についてご紹介します。

図表1:女性の“WillL”を引き出す“Must”と“Can”

図表1:女性の“WillL”を引き出す“Must”と“Can”

本人の昇進意欲を引き出すために、会社や上司はどのように関わればいいのでしょうか。
意欲の低い女性に、いきなり「管理職になりたい」という“主体的な意志=Will”を求めても共感は得られません。Willを引き出すためには、“会社や上司からの期待=Must”と“期待に応えられないかもしれないという不安の軽減=Can”に働きかけることが有効です。

女性の特性として、周囲の期待を受けてから自分自身の期待値を調整する傾向があるといわれています。だからこそ“Must”においては、会社や上司からの期待・要望を明確に伝え、本人が持ちうる選択肢を広げるような働きかけが重要です。具体的には、「女性の力が必要である」「あなたたちは選ばれた存在である」といったメッセージを経営層から直接本人に伝えることや、自らの役割を自覚する研修、人事制度の意図を伝えるガイダンスなどが有効です。

もうひとつ“Can”。女性は男性に比べ、成功不安(※4)が強いといわれています。そのため、失敗に対する不安を軽減し、成功を支援する施策が必要です。具体的には、身近にロールモデルをつくったりする「役割・業務で成功するための支援」と、就業時間バリエーションを持たせる制度などの「長く働き続けるための支援」の2軸で後押しします。

女性本人の“Will”を、いかに引き出すか。それが、何よりも大切なポイントです。

※4:成功したいという達成意欲や能力が高くても、成功することによって起こる否定的な結果に対して不安を抱き、成功を回避しようとする動機のこと。

PDCAサイクルで成長を支援する

本人の“Will”を引き出す会社・上司の関わり方をご紹介しましたが、もう一つ意識してほしいことがあります。それは、女性の働き方の多様性についての観点です。男性に比べてライフイベントが多く、結婚や出産、育児、さらには親の介護といった環境要因がキャリアに影響しかねない女性に対し、配慮のない一様なマネジメントを行えば、昇進意欲の向上や維持は期待できないでしょう。会社・上司が一人ひとりの状況を理解し、最適な形で女性の成長を支援することで、はじめて管理職を目指そうという意志が生まれるのです。
そのために有効な施策が、成長サイクル=PDCAの導入です。

図表2:上司の「育成サイクル」と、メンバーの「成長サイクル」

図表2:上司の「育成サイクル」と、メンバーの「成長サイクル」

上司側のPDCAの起点となるのは、メンバーへの理解です。多様な働き方に理解と配慮を示すとともに、メンバーがどのような局面で力を発揮するのか、逆にくじけるのかを把握し、ふさわしい成長機会(仕事)を付与しながら動機づけていきます。また、一貫して見守りながら、定期的にプランの検証と見直しを行います。女性は比較的「理解してもらっている」「見守ってもらっている」という実感が成長の原動力となりやすいため、このサイクルを介して女性本人の自己開示を促すとともに、期待を伝えることが効果につながるのです。

加えてメンバー側には、自らが描いたキャリアビジョンにそった成長テーマを設定し、実践を通して成長を重ねるためのPDCAを回すよう促します。このとき「いつ結婚するかわからない」「いつ子供を産むかわからない」「いつ夫が転勤になるかわからない」という予測しにくい問題が出てきますが、仮説を含めてキャリアビジョンを描くことが重要となります。この点を踏まえ、将来に目を向けてもらう必要があります。

PDCAサイクルを回すうえで忘れてはいけないのは、会社にとっては管理職の女性比率の向上が目標であっても、本人にとっては手段でしかないという点です。単に「管理職を目指せ」と伝えれば、相手は違和感を覚えるでしょう。管理職という仕事を通じて実現できること、昇進によって手にできるものを示唆するようなコミュニケーションが大前提と言えます。

経営層のコミットで実現性を高める

これまでは、昇進意欲が低い女性を動機づける働きかけについてご紹介しました。ここからは、現場で経験を通じて高めた本人の志気を停滞させず、会社全体で施策を推進していくポイントについてご紹介します。

まずは、女性活躍の目的と効果、そして現状の把握が重要です。登用に注力する理由・目的を回答できない企業が多いと前述しましたが、その点が明確でない時点で推進力はかなり弱まると言えます。会社全体で、女性管理職の登用に力を入れる目的とその効果、現状に関する共通認識を持ち、そのうえで具体的な期限を設定し、ありたい姿を描きます。

またありたい姿の言語化においては、「女性が生き生きと働く職場」などの曖昧な表現だけでは推進力は期待できません。「○年後までにマネジャー以上の女性比率○%を目指す」など、具体的に数値化し、対象者や優先順位、難易度を明確にすることが大切なのです。事業計画と同じく、KPI(評価指標)の設定も有効です。

ご参考までに以下の図を例示いたします。個社ごとに内容や期間は異なりますが、女性活躍推進施策の進め方として参考にしていただけるフレームかと思います。

図表3:女性活躍推進の効果的な進め方

図表3:女性活躍推進の効果的な進め方

※参考資料 ”The New Rules: How to Succeed in Today’s Post-Corporate World” J.P.Kotter 著 Free Press 刊 1995

図表3にもありますが、成功確率を高めるポイントとして、経営層のコミットがあげられます。ありたい姿を言語化したうえで、経営層から女性管理職登用の必然性を発信してもらうのです。頭では理解しながらも、現場は効率優先で女性の登用を先送りにしてしまうケースも多いので、トップダウンの施策を行うことで、現場の動きの促進が期待できます。

では、経営層を巻き込むにはどうすれば良いのでしょう。
ひとつの施策としては、インタビューが効果的です。とりわけ、ありたい姿を言語化するプロセスで実施することができれば、会社の方向性の確認と、経営層のコミットを引き出す働きかけを同時に行うことができます。インタビュー実施時に言語化をはかることで、その後の女性管理職登用の必然性を発信してもらう際にも、よりリアルなメッセージが期待できるでしょう。

一過性に終わらせない意志を

最後に、各章でご紹介した、女性管理職登用の成功確率を高めるポイントを整理しましょう。

●女性管理職登用の成功確率を高めるポイント

1. 昇進意欲の高い女性は少数派。意欲の低い人の自主性(Will)を引き出す働きかけが必須
2. PDCAで成長を支援。働き方の多様性を理解し、一人ひとりに合わせたマネジメントを
3. 女性管理職登用の理由、目的、ありたい姿を言語化し、全社で共通認識を持つ
4. 期限を設ける、KPIを設定するなど、必ず数字で行動計画をたてる
5. 経営層を巻き込み、直接メッセージを発信してもらう

一つひとつは、決して難しい取り組みというわけではありません。成功させようという強い意志があれば、どれも実践できる可能性が高いと言えます。

最後にひとつ、付け加えさせていただきます。
今、女性活躍支援は時宜にかなった一つの潮流かもしれませんが、こうした流れは今始まったものではなく、過去にも同様の傾向はあったのです。第1次とされるのが、男女雇用機会均等法が施行された昭和61年。その後、改正男女雇用機会均等法や、次世代育児支援対策推進法などが施行された年にも同様の動きがあり、現在は第5次ブームにあたるといわれています。
しかし、周囲を見回しても女性管理職として活躍している人は、まだまだ少数です。これまでも女性活用の気運が高まったものの施策が持続せず、結果的に「流行」「一過性」に終わってしまったのではないでしょうか。

女性の向上心を裏切らず、誠実に向き合う意志を持って施策を推進する。そうした姿勢を感じてもらうことが、何よりも大切なことかもしれません。

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