セミナー報告 RMSmessageライブ2013 グローバル競争力再考 ―現地マネジメントの視点から―

2013年2月7日(木)、組織行動研究所主催のセミナー「RMSmessageライブ2013 グローバル競争力再考 ―現地マネジメントの視点から―」を開催し、企業の人事ご担当者を中心とした約100名の方々にご参加いただきました。

本セミナーは、弊社機関誌『RMSmessage』との連動企画として、年に1度実施しております。3回目となる今回は同上誌24号(2011年8月発行)、25号(2011年11月発行)、30号(2013年2月発行)にわたって特集した「グローバル競争力」について、海外現地拠点強化のためのマネジメントを題材に議論を深めました。


「RMSmessageライブ2013 グローバル競争力再考 ―現地マネジメントの視点から―」 開催概要

開催日時:2013年2月7日(木) 14:00〜17:00
場   所:グラントウキョウサウスタワー 41階 アカデミーホール
プログラム:
<第一部>
○セッション1:「グローバル競争力」を考えるための環境認識と問題提起
          リクルートマネジメントソリューションズ 組織行動研究所 主任研究員 吉川 克彦
○セッション2:講演
          糸木 公廣 氏(元ソニー・コリア社長、シンクグローブ・コンサルティング代表)
          八幡 誠 氏 (日産自動車株式会社 人事本部 グローバルタレントマネジメント部)
<第二部>
○パネルディスカッション
  ファシリテーター:野田 稔 氏 (明治大学大学院 グローバル・ビジネス研究科 教授)
  パネリスト:糸木 公廣 氏/八幡 誠 氏/吉川 克彦


業績のいい現地法人の特徴とは?

第一部では、まず小所の主任研究員吉川より、グローバル展開した企業が、現地拠点を強化していくために、人と組織の視点で何を行っていくべきかについて問題提起を行いました。具体的には、グローバル統合するだけではなく、ローカルでのイノベーションを起こしていくことが、求められていると確認した上で、それを実現するための、本社と現地法人との連携のあり方と、HRMの取り組みについて、小研究所が実施した調査結果の速報を基に論点の提示を行いました。なお調査は、現地法人における人事施策や体制に関して、2012年12月に、日本・アメリカ・ヨーロッパを本拠地とする多国籍企業の、中国にある現地法人の人事部門を対象に行ったものです。

本調査に回答した企業を、業績指標で高群と低群とに分けて比較したところ、いくつかの特徴が見えてきました。まず本社と拠点の連携のあり方については、グローバルで共通の枠組みをもちつつも、権限は極力現地にゆだね、現地のHRが戦略人事を行っている企業の方が、成果が高いということが分かりました。
また、HRMのプラクティスについては、業績の良い企業群の特徴として、社員個々人の評価や昇進の基準を明確にしている、本社のナレッジがきちんと伝達されているなどの点に加え、組織を超えた交流などの組織開発の取り組みや、長期的な関係構築を重視するようなプラクティス、例えば長期雇用を前提に、福利厚生を重視するような特徴が見られました。これらの結果を報告し、「ローカルでのイノベーションを起こしていくためには、現地社員を仲間として巻き込んで、長期的な信頼関係を構築していくことが重要なのではないか」という意見を提示しました。

一方で、タレントマネジメントの取り組みについては、拠点の短期業績には直接関係がありませんでした。グローバルでの人材の中長期的な登用・育成管理が、各拠点の短期的なパフォーマンスUPにはつながらない場合もあるのだろうと解釈し、だからこそ、企業の中長期成果のための投資として、拠点に任せずに本社が責任をもってやらねばならないのではないか、という見解を示しました。

それでは、現地法人においては、実際にどのように現場を巻き込み、成果を上げていけばよいのでしょうか。また、本社人事はどのようにタレントマネジメントを行っていけばよいのでしょうか。それぞれ、元ソニー・コリア代表の糸木氏、日産自動車人事本部グローバルタレントマネジメント部の八幡氏よりご講演いただきましたので、一部をご紹介します。

19年間の海外赴任では、常に、“人”が関心事だった

まずは、どのように現地の社員を巻き込み、信頼関係を構築して、組織のパフォーマンスへとつなげていけばよいのかについて、現地拠点トップの視点から元ソニー・コリア社長であり、19年間で9カ国に赴任し、2度の社長賞を受賞した糸木氏にご講演いただきました。

糸木氏は、前職のソニーに在籍時、多くの海外拠点を盛り立てて業績向上へと導いた、まさに現地法人マネジメントのプロフェッショナルです。例えば、ソニー・コリアでは、サムスン、LGの本拠地のある韓国において、従業員の士気が下がっていたなか、ビジネスと士気の再興を実現されました。

糸木氏は、ご自身の現法マネジメントを振り返り、19年間の海外赴任では、常に、“人”が関心事だった、と話されました。「現地の従業員の心をどう掴むか、という点に軸足を置いたマネジメントを行ってきました」。ときに、「従業員志向が過ぎる」と指摘されたこともあったといいますが、のちの円滑な工場閉鎖やビジネスの進展を見て、「そのやり方は正しかったな」と、言われたそうです。

■現地法人リーダーが担うべき役割
厳しい風雨のような環境で、湿った練炭に火を起こす

では、現地の人の心を掴み、動かすことで、成果につなげていくようなマネジメントを実現するにはどうしたらいいのでしょうか。糸木氏は、現地法人リーダーに何よりも必要なものは「関係構築力」である、と話されました。
「海外では、阿吽の呼吸は通用しない。だからこそ、自分のことをきちんと可視化して、相手と信頼関係を作って、仕事をやってもらう必要がある。そこには、信頼関係を構築する力が必要なんです」。

現地の社員は往々にして、新任の赴任者に対して「どうせ自分たちのことは分かってくれないだろう」「どうせいるのは2、3年で、本社ばかり見ているのだろう」「何を考えているか分からない」といった見方をされることがあるのだといいます。

そのような見方を乗り越えて信頼を得るために、大事なことは、現地を深く理解し、溶け込むことである、と糸木氏は力説しました。自分が現地に対して、学び、理解し、尊重しようという姿勢、赴任期間、現地のメンバーと一緒にそこでの目標を目指すこと、この組織・国・皆のために働こうとしていること、そういった決意を持ち、そして、そういう自分を分かりやすく、親しみやすくオープンに可視化していくことを心がける必要がある、というのです。

■“お手並み拝見”の韓国社員の目が変わる

糸木氏が近年初の邦人社長として、極めて厳しい市場環境のソニー・コリアに赴任した当初、社員は、「“お手並み拝見”という雰囲気だった」と、糸木氏はそのときを振り返りました。
そのような環境のなか、糸木氏は前述の思いを行動に移すべく、社員との信頼関係を構築し、彼らを活性化するアクションを、最初の1年間に数多く行っていきました。
例えば、普段聞けない若手の声を掘り起こすために、社員を小グループに分けてお酒を飲む会を30回も開催。そこでは、まず自分が飲み、そして聞くことに徹し、決して糸木氏の方から、諭したり、反論しないようにしたといいます。「どうして?」「そうなの」と、相槌を入れながら、話をじっくりと聞いていき、彼らの本音を引き出していったのです。
糸木氏はその後、その意見を1つ1つフォローしていったといいます。
また、文化を理解するために、糸木氏はアジア圏では旧正月は毎年現地に残り、風習に従って過ごし、普段は隠れている伝統や因習を学ぼうと努めていました。そこで、韓国では一般家庭を訪問して正月の儀式に触れたと言います。そしてそれをブログなどで紹介し、可視化して社員に報告したそうです。
また、権限委譲も強く進めましたが、それを象徴したのがオフィスの移転時に場所の選定とレイアウトを社員に委ね、タスクフォースを組んで進めてもらったことでした。任せているからには極力、口を出さないと決めて見守っていたところ、非常にいいオフィスができ、さらに面白い手法としてメディアにも掲載されたりしたことで、社員の誇りや活性化につながったということでした。これ以外にも全社でのイベントを催したり、人事施策・ルールの変更も大胆に行っていきました。

そういった活動のなかで、当初の冷ややかな雰囲気が変わり、赴任後3カ月後には、「日本人社長も悪くない」という声になり、半年経つと「単なる見せかけでなく、この人は“ちゃんと”やっている」という反応に変わり、やがて1年後には、「心をつかむことができた、と感じた」といいます。結果、赴任後2年で、業績も大幅に向上する結果となりました。

糸木氏はこの結果をこう振り返りました。
「この業績は、私がやったのではありません。現地にいる現地社員がやってくれたことなんです。その時の現地の社員とは、言わば優秀な豆炭が風雨の中でちょっと湿った状態で、それに赴任者が息を強く吹きこんで火を起したというのが、私のやった現地でのPeople Managementといえるでしょう」。

■現地法人リーダーから、人事への期待

そのような糸木氏が、最も支援を受けたと感謝しているのが、このようなPeople Managementを一貫して支援してくれた上長や人事部門とのこと。残念ながら事業部門は業績自体の方に目が行ってしまうので、“現地法人での人の育成”にまでは、なかなか支援が届きません。
赴任者は前述のように、着任初日から、この人は本社を見ているのか、自分たちを見ている人かを試され、また、しばしば本社のグローバル方針と現地最適化との両立に悩むものです。「それを本社でも認識して、共に対応していくか、も重要」と、糸木氏は強調されました。

加えて、人事から赴任者への継続的な指導も重要と仰いました。「私は若いとき、赴任地に出張してきた人事部長からにこう言われたことがあります。『あなたのやり方はとてもよい。家族的でローカルからも慕われている。でも、将来大きな組織に移った場合は難しくなるよ。そこでも、どのようにすれば同じようなことができるかを考え続けなさい』と。その言葉どおり、その後ずっと、大きな組織でも、どのように個々への語りかけや親しみを実現できるかを考え続けてきました。それが、赴任後半での良い結果につながっています」。
このような“人”の視点、長期的な視点で、赴任者にアドバイスし、将来のリーダーを育成するのは、やはり人事の仕事ということでしょう。

現地法人リーダーも、初めからひとり立ちできるわけではありません。人事には、“関係構築力”のある人材を見極めて選抜し、それを継続して支援育成してほしいものです、と糸木氏は締めくくりました。「どこの会社でも、グローバル化のためには会社全体が変わらなければならないし、その中で人事は長期的な”人“の育成の観点から、本社の各部門を啓蒙し、カルチャーの変化をもたらす主導的な役割を果たしていってほしいと思っています」。

本社人事が目指すタレントマネジメントの限界

次に本社の視界から、リーダーを継続的に輩出していけるような仕組みをどのように構築し運用していけばよいのか、日産自動車人事本部グローバルタレントマネジメント部の八幡誠氏より、本社が担うべきグローバル規模のタレントマネジメントについてご講演いただきました。

日産自動車は、周知のとおり、自動車販売台数の86.5%を海外で販売し、190カ国に事業を展開する日本屈指のグローバル企業です。

同社のグローバルHRマネジメントについては、1999年にスタートした日産リバイバルプランにおける一連の取り組みを抜きにして語ることはできないといいます。そのなかでも特に注目すべきは、組織開発の取り組み、具体的には組織体制と意思決定ラインの改革、そしてパフォーマンスマネジメント方法の改革とのことでした。

まず組織体制については、地域別・機能別のマトリックス組織によるマネジメントの体制と、グローバルでの意思決定を行うための体制を整備し、機能と地域のコンフリクトを通じ、最適な意思決定をしていくことができる体制を整えました。
また、パフォーマンスマネジメントの仕組みについては、マネジャーの人事制度を統一し、全世界のマネジャー以上の職務に対して共通の評価制度、報酬のスキームが導入されました。さらに、5つのマインドセットと5つのアクションで構成された日産WAYをまとめ、世界統一の行動指針として浸透させていきました。こうして同社は、グローバル組織としての体制が整い、人財の多国籍化も進んでいったとのことでした。
「従業員のグローバルでの配置や経営会議メンバーの多国籍化が進んでいます。現在、全世界のTOP100ポジションのうち、約半数が外国人となっています」。

■日産のグローバルマネジメントを支えるタレントマネジメントの概要

では、日産のタレントマネジメントについて、実際にどのような取り組みを行っているのでしょうか。講演では、人財の採用、発掘、育成という観点から、取り組みをご説明いただきました。

Attract & Recruit ブランディングと人財採用
採用活動では、グローバルの採用ウェブサイトの設置やリンクトインなどのSNSツールの活用を通じエンプロイヤー・ブランディングの強化を図ることで、グローバルでの日産のイメージを伝えることに注力している例を共有していただきました。また、新興国のリーダーを育てていくために、世界各国のトップMBAスクールから人財を採用し、育成プログラムに参加させている、とのことでした。「実際に6つのビジネススクールから9か国籍の人財を採用し、地域や部門をまたぐローテーションを行って育成しています」。

Identify & Develop 社内の人財発掘・育成
また、社内の人財発掘のための取り組みも共有していただきました。経営会議メンバーが集まって議論を行う人事諮問委員会では、主要ポストへのサクセッションプラン(後継者計画)の議論に加え、社内の誰がどのような能力をもっているのか、例えばクロスファンクションのプロジェクトができる人なのか、といった話題について、毎月議論を行っているといいます。

そうして発掘したハイポテンシャル人財には、将来のリーダーとして養成していくためのディベロップメントプランが個人別に検討されるそうです。
八幡氏は、同社が人財育成を考える上で重視していることとして、3E(人の成長は70%は経験に、10%が教育、20%がコーチングやメンタリング等によってもたらされる)の考え方を紹介し、チャレンジングな仕事へのアサインを中心に、研修などを組み合わせて育成プランを作っている例をご紹介くださいました。また、部門横断でのビジネス経験も積ませていくために、現職についたまま、クロスファンクショナルチームで行うプロジェクトの仕組みも実施していたり、海外派遣やルノーとの人財交流も行っており、プロジェクトアサインを通じた人財育成を行っている、ということでした。

■タレントマネジメントは 企業の戦略達成のために

このような取り組みを、構築することはもちろん、全世界で実行するということは並大抵ではありません。これらの仕組みを作り運用する上での姿勢について、八幡氏は「タレントマネジメントは企業の戦略実現に貢献するものでなければなりません」と語りました。

八幡氏が所属するグローバルタレントマネジメント部が立ち上がったのは、2011年4月。その際、どのようなビジョン・ミッション・フレームワークで活動をしていくか、議論を行ったといいます。
そうして、日産が継続的に発展していくために、同部が目指すビジョンは、グローバルリーダーが多数いて、成長し続けていく状態を作るということ、そのためのミッションは、そういったグローバルリーダーとなる人財にとって魅力的で、成長することができ、定着していくような仕組み・プロセスを作り、運用していくことである、と定義したそうです。そして、何よりも、「タレントマネジメントはビジネスの目的ありきであり、日産の戦略実現に貢献するものでなければならないと考えています」。

同社の中期経営計画である「Nissan Power 88」は、2016年までに、グローバルでマーケットシェア8%、営業利益8%を目指すというものです。期間中に300万台以上の販売台数増加を目標としており、拡販していく先はBRICs、中東、ASEAN……といったように、主に新興国となります。それを、いかにスピーディーに実現していくのかという点が、重要なテーマとなっています。
この戦略の実現のために、タレントマネジメントの観点からは、各機能の長だけではなく、ビジネスを引っ張り業績を上げていくことができる人財(ビジネスリーダー)や、相対的に層が薄いものづくり領域以外の人財(マーケティング・コミュニケーションなど)の強化も、計画的に行っていく必要があるとのことでした。さらに、新興国においては、新しい組織を確立していく中で採用・人財育成・リテンションが重要となる、とのお話がありました。

パネルディスカッション −3つのKey Questionを紐解く

第二部では、明治大学大学院野田稔教授のファシリテーションによるパネルディスカッションを行い、論点をもう一段掘り下げた、活発な議論が展開されました。ここでは、その一部をご紹介します。

■Key Question 1 本社人事と現法人事・経営者の役割分担とは



まず議論の皮切りとなったのは、本社人事と現地法人人事との連携のあり方です。この点について、そもそもコミュニケーションの量・質を高めるべきであることや、本社と現地との間でコンフリクトが起こったとしても、きちんと「本当にあるべき状態とは何か」を議論していく姿勢が重要であり、そのためにも本社からの一方的な意思伝達ではなく、相談できる段階で現地法人を巻き込むことや、共に議論ができるよう現地法人側のHRの養成も重要であることが語られました。

コミュニケーションの量について…
・「グローバル人事として、地域人事とのコミュニケーションをどれだけ高められるかが全て。組織長クラスから担当者レベルまで、すぐに電話をかけるなど密度の高いコミュニケーションができている状態が理想的」(八幡氏)
コンフリクトに対して…
・「本社からの一方的な伝達ではなく、現地法人も意見を言えるようなコミュニケーションは大切」(糸木氏)

■Key Question 2 Japanese ManagementとGlobal Management

次に、日本のマネジメントとグローバルマネジメントの違い、およびグローバルマネジメントに変化させていく場合のポイントについて、特に意思決定の観点から議論がなされました。具体的には、日本のマネジメントはどうしても意思決定の基準やプロセスが不透明で、日本人以外が参加しづらいのではないか、という点を問題として指摘し、グローバルマネジメントを実現させる上では、閉鎖的な中で意思決定を行うのではなく、そのルールやプロセスを誰にでも分かりやすく示していくこと、また、意思決定の基準も明文化していくことがキーなのではないか、という意見が交わされました。

・「国ごとの文化背景の差異を乗り越えていくためには、企業のWayや行動規範がソリューションになりえるのではないか」(八幡氏)

・「例えばネスレは社員が判断する際に大切にすべき観点を示し、判断の基準と順番が明確になっている」(野田氏)

・「判断基準の順番について、日本企業では全部大事というかもしれない。でも、順位がある方が、グローバルでの伝達は早いのではないか」(吉川)

■Key Question 3 グローバルリーダーをどう育てるのか

リーダーを継続的に輩出していく上では、まずリーダー自身が、後継者への引き継ぎに時間と労力を割いて、後継者をじっくりと養成しなければならないということ、そして、リーダーの要件については、必ずしもそれまでの実績は、現地法人のリーダーとしてのパフォーマンスにつながらないこともありえるし、関係構築力やコミュニケーションを諦めない体力・持久力なども重要になる、という意見が交わされました。

また、育成のステップに関しては、ファストトラックにのせ、ローテーションさせて育成する方法について議論がなされ、新卒採用との連環方法の難しさや、選抜されなかった人のモチベーション低下の問題などにも触れながら、いずれにせよ、人事が組織の中で孤軍奮闘したり、仕組みを作るのみで満足するのではなく、全社の文化として浸透させ、全社で動かしていくべき取り組みであるという議論がなされました。

そして最後に、人を通じてしか成果は出せない以上、海外拠点でも、現地の人に影響を及ぼせる人がいないと駄目だということ。その際、効率的にそういう人を確保し、育成できるような仕組みや環境を用意できるかがポイントであり、だからこそ人事もプロフェッショナル化しないといけない、とまとめ、本ディスカッションは締めくくられました。

会場からの質問と回答
Q.日産自動車のサクセッションプラン運用時の壁と乗り越え方とは?
・サクセッションプランに候補者を載せること自体が目的になってしまうこと。本当に後継者となりうる候補者なのかどうかを見極めるため、ライン長と同じくらい、人事がその候補者のことを知っていないといけないと思っている(八幡氏)

Q.経営と本社人事の役割分担について どんなに人事側が頑張っても、結局経営がきちんとやらないと、うまくいかないのではないか?
・だからこそビジネスリーダー育成が重要であり、人事としては、優秀なリーダー候補が継続的にきちんと浮かび上がってくる仕組みを作ることが重要 (野田氏)
・自分は、人事と連携し視界を共有してきた。人事が対岸という感覚はない。人事との信頼関係は現地法人の経営にとって、とても重要(糸木氏)
・個別の拠点には貢献しないがグローバルでは必要、ということは、本社人事が担うべき。(吉川)


本稿の終わりに、参加された方のご感想をご紹介します。

参加された方のご感想 〜印象に残った点〜 (抜粋)

■現地トップ、本社人事2つの異なる立場からの示唆
・本社HQ人事部門と拠点人事部門の役割分担が時として統制と裁量の二律背反に陥るという問題点が議題として提示され、各々の立場で各人が話されていたので、課題認識がイメージしやすく、まるで1つの会社のなかでグローバル人事方針の会議をしているかのような臨場感に溢れていた
・グローバル統合とローカル適合のバランスはとても大事であり、現場(ローカル)での現地社員との関係構築は優先課題となるくらい、重要である。つまり、本社寄りばかりの視点では、現地化は成功しない
■本社人事と現法人事・経営者の役割分担
・HQがグローバルの人事方針を提示し、拠点が地域特殊性を加味した独自の人事方針を提示する。そのなかで、いわばブリッジ的な役割としての拠点リーダー人材育成が重要である
・ローカライズ、グローバライズ、どちらかではなく、両方重要であるということ。両方やらなくてはいけない。仕組みのなかでできる事と、ローカルの人間関係構築でできること、この双方を人事は把握する必要がある
■人事のプロフェッショナル化
・事業部門から見て、どういう人事部門であれば有効な支援ができるのかについて考えるきっかけになった
■グローバルリーダーをどう育てるのか
・後継者育成、リーダーがリーダーを育てる、ということ
・現法社長の育成には時間がかからない(時間ではない)
■ピープルスキル
・ピープルスキルの重要性、これを科学する難しさ
・知識スキルだけでなく、人間力がとても重要だということ
■信頼関係・関係構築力
・「関係構築力」の大切さと実行の難しさがよく伝わってきた。これが実を結んだとき、従業員のモチベーションが上がり、会社の業績に表れたこともとても説得力があった。このことは海外だけでなく、国内においてもある意味必要となる内容だと感じた
・「関係構築力」のお話。この力が大切なことは一般的に聞かれることだが、本日お話を聞いて、その効果の大きさを実感した
■パネルディスカッションでの議論の深掘り
・講演はもちろん、パネルディスカッションは本音が出ていて大変面白く、学びが深まった
・本社からの視点/現地からの視点、制度/現場(実務)。難しいディスカッションだが、うまくまとまっていた


組織行動研究所では、今後も企業の人と組織マネジメントにおける中長期的な課題解決のヒントとなるようなテーマを設定し、セミナーを開催してまいります。

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