外見や言動をまねることで学習し成長をとげる 「まねび」から始める 新人育成OJT実践のポイント

先日、故勝新太郎氏の映画「座頭市」を久しぶりに鑑賞しました。デジタルリマスター版ではありましたが、画面をはみ出さんばかりの迫力は相変わらず。いつの間にかその世界に惹きこまれていました。

生前の勝氏は、「演じる役によって性格がかわる」といわれるほど徹底した役作りで有名でした。
身に着けるものはもちろん、立ち姿から口ぶりまでいっさいを「まねび」、役の醸し出す空気を演出したといいます。

学習心理学では、こうした「まねび」のことを「モデリング」といいます。何がしかのお手本(モデル)の外見や言動をまねることで、人は学習し成長をとげる。 「まねび」は「学び」にほかならないと考える理論です。

この「まねび=学び」というコンセプト、実は新人育成OJT(On-the Job-Training)のしかけとして、近年積極的 に取り入れられています。ブラザーシスター制度、メンター制度、OJTリーダー制度など、呼称はさまざまですが、いずれもお手本となりうる先輩社員をあてがい、新人の定着や戦力化を促すことがねらいです。

各企業はなぜ、「まねび」を新人のOJTに取り入れつつあるのでしょうか。そして、上手に活用するためのポイントとは何でしょうか。本特集は、新人育成OJTの背景と現状を俯瞰した上で、その実践のポイントと、弊社の支援サービスをご紹介します。


OJT見直しの背景と取り組み・運用の課題

新人育成OJT見直しの背景
●新卒採用と職場をとりまく変化

新人育成OJT見直しの背景には、新卒採用と新人を受け入れる職場、それぞれの変化があります。団塊世代の大量退職や労働人口の減少を見越して、各企業は新人の採用数を拡大しつづけています。しかし、売り手市場の厳しい採用競争を勝ちぬき、せっかく新人を採用したにも関わらず、その指導や育成に十分な時間と人を割けていないのが現状です。
日々の指導・育成による底上げが手薄になることで、本人の資質や、アサインされた仕事、配属先の人・風土といった偶然のめぐりあわせによって、新人の成長は左右されやすくなります。順調に成長してくれれば問題ありませんが、伸び悩み、最悪のばあい早期離職に至ることもあるでしょう。こうした背景から、新人育成OJTの見直しは数多くの企業で喫緊の課題ととらえられ始めているのです。
そんな中、職場の中堅社員を新人のOJT担当に任命した上で(=OJT担当制度の導入)、新人の指導・育成、不安や悩みの解消を図る企業が増えています。

【新卒採用をとりまく変化】
・求人意欲の回復による入社者の増大
・転職志向の高まりによる早期離職リスクの増大 etc.
【職場をとりまく変化】
・マネジャーのプレイヤー化
・新人が担当する業務の高度化による、指導難易度の高まり
・膨大な業務量や高い成果圧力による、コミュニケーション不足 etc.


各社の取り組みと運用上の課題
●OJT担当制度の概要

では、各社が導入を進めているOJT担当制度を概観してみましょう。
導入企業によってその呼称はさまざまですが、概ね下記の表のように整理できます。新人の定着と戦力化や早期離職の防止はもちろん、OJT担 当を担う若手〜中堅社員やマネジャーの育成、ともに学ぶ育成風土の醸成など、いくつかの目的を包含して導入されることが一般的です。

制度運用にあたっては、年間の育成計画の作成や、育成の進捗を確認するためのシート類の整備、OJT担当間の意見交換会の設定など、育成に関する情報をどう還流させるかに各社とも力を入れています。 自社のOJTの状況にもよりますが、これまで新人を受け入れたことがなく、育成のノウハウが蓄積されていない職場が多くなっている現状を考えると、 基本設計から運用設計まで、人事セクションが中心となって進めることが制度のスムーズな立ち上がりや浸透には不可欠といえるでしょう(図表1)。

●運用上の問題

しかし、他の人事諸制度と同様、制度設計が終わったからといって、そう簡単に「やれやれ一安心……」というわけにはいきません。

・「担当を入れたとたん、マネジャーが育成を丸投げするようになった」
・「OJT担当が育成に前向きでなく、結局、誰も新人に関われていない」
・「指導が人によってまちまちで、新人が戸惑っている」

など、現場での制度運用がうまくいかないことも少なくないからです。(図表2)
「導入したけど実態は……」ということにならないよう、導入した制度を現場が上手に活用し、新人育成を進めるにはどうすればいいのか。 次節からは、そのポイントをみていきます。

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