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営業担当の営業力強化について

「売れる」営業担当に必要なこと

  • 公開日:2008/09/08
  • 更新日:2024/04/11
「売れる」営業担当に必要なこと

最近よく耳にするお客様の課題は、新人・若手の早期戦力化です。とりわけ営業組織においては、営業担当の営業力が業績に直接影響を及ぼすために、企業の最重要課題の一つとなっています。

しかし一方で、採用競争が激化する中で、苦労して採用した新卒やキャリア採用の若手営業担当がなかなか育たず、本人も営業の面白さを感じられないままに早期に離職・異動してしまうというケースも少なくありません。モノが売れにくい今の時代、若手営業担当を取り巻く環境は一層難しくなっています。

では、そうした困難な環境下で「売れる」営業担当を育成するには、何が必要なのでしょうか?

営業担当の育成には、大きく2つの側面があります。それは、個人の側面と組織の側面です。今回は、この2側面を整理した上で、主に個人の側面に焦点をあてて、売れる営業担当の育成に必要な取り組みをご紹介したいと思います。

営業力強化の視界(個人の側面と組織の側面)
成果につながる行動のための3要素
営業担当に共通して求められる営業スキル(1) 【商談スキル】
営業担当に共通して求められる営業スキル(2) 【対人スキル 】
営業担当の早期育成モデル例

営業力強化の視界(個人の側面と組織の側面)

まず、営業力強化の視界について考えてみましょう。

営業力とは、「営業行動の結果として得られる成果」を生み出す力です。営業力を左右するのが、行動を起こす「個人」そのものであり、個人に影響を与える「組織」です。営業力強化においては、この2側面それぞれに対応を考えることが必要です。

個人の側面
個人の側面とは、営業担当自身の意欲・姿勢や知識、スキルなどです。そもそも求められる成果や期待される役割を理解していること、成果につながる営業行動をおさえ実行できていること、営業に必要な知識やスキルを持っていることが大切です。次ページ以降では、この要素について詳しく触れていきたいと思います。

組織の側面
組織の側面には、主に「仕組み」「マネジメント」「組織風土」の3つの要素があります。営業力強化というと、営業担当個人の育成ばかりを考えがちですが、個人に大きな影響を与える組織の3要素も含めて営業担当の育成を考えることが大切です。

仕組み
営業担当を育成するための教育・研修制度やOJTの仕組みのことです。企業人の能力のうち70%以上は職場での経験、すなわちOJTを通じて開発されるといわれていますが、最近ではこのOJTがなかなか機能しないともいわれています。新人の育成担当を改めて任命する企業が増えているのもその表れです。今後は、OJTを補完する教育・研修制度の整備も求められます。

マネジメント
主に職場の上司の関わりです。上司の部下育成に関する心構えや育成に必要な知識・スキルの有無が営業担当の成長を大きく左右します。

組織風土
「お互いの成果やナレッジを積極的に共有する」「売れてなくても、あるいは上司・先輩にも、ものが言える」「みんながお客様を第一に考える」など個人や組織を強化することにつながる風土を指します。

営業担当者の成果創出モデル

成果につながる行動のための3要素

ここからは、営業力強化における個人の側面について見ていきます。

営業担当が成果につながる行動をとっていれば、業績はあがるはずです。成果につながる行動をとるためには、その行動を生み出す「意欲・姿勢」「知識」「スキル」が求められます。個人の側面では、主にこの3要素の能力開発をすることが大切になります。なお、ピラミッドの底辺にある「性格・志向・知的能力」は、主に採用の領域です。

そして、3要素の中でも業種・業界を問わずほぼ共通した内容の習得を求められるものが、「スキル(営業スキル)」です。普遍的なものだからこそ、習得しているか否かが他の営業担当との行動、ひいては成果における顕著な違いになって表れるともいえます。営業スキルにはさまざまなものがありますが、「商談スキル」と「対人スキル」が、お客様との接点で求められる2大営業スキルといわれています。

成果につながる行動のための3要素

営業担当に共通して求められる営業スキル(1) 【商談スキル】

では「商談スキル」「対人スキル」とは具体的にどのようなスキルを指すのでしょうか?

まず、商談スキルについて考えてみましょう。商談スキルを体系的に整理したのが、下図です。商談スキルは、お客様にアプローチして、ニーズを聞き、提案をして、クロージングするという商談の流れをスムーズに進めるために必要なスキルです。ここで大切なことは、商談は営業担当が自分の都合で勝手に進めてもうまくいかないということです。営業担当の提案する商品・サービスの購入を決めるのはあくまでもお客様なのです。したがって、図の一番左の列に「顧客の心理」とあるように、お客様の購買心理にあわせて、営業担当は適切な行動をとる必要があります。こうしたお客様の購買心理に対応した営業担当の適切な行動を「商談スキル」と呼びます。

商談の5段階と商談スキル

こうしたお客様の購買心理に対応した適切な行動をとるには、営業にのぞむスタンス=お客様本位が大切です。

売れない営業担当にありがちなのは、下表にあるような「営業担当本位の営業」です。売上などの実績を優先するあまり、商品・サービスを提供することに主眼が置かれます。とかく説得調になりがちで、仮に取引が成立しても、短期的な取引で終わる傾向があります。

売れる営業担当は、まずお客様の満足を優先し、お客様が抱える問題を解決するための解決策を提供しようとします。したがって、説得というより相談にのりながら、お客様と一緒に問題を解決していくという関係になります。結果として高い顧客満足を得られるので、長期的な取引につながっていきます。

売れる営業担当には、お客様本位のスタンスを踏まえた商談スキルの習得が必要なのです。

営業にのぞむスタンス

お客様本位の営業   営業担当本位の営業
お客様の満足優先   実績優先
解決策を提供     商品を提供
相談にのる      説得する
長期的な取引     短期的な取引

営業担当に共通して求められる営業スキル(2) 【対人スキル 】

次に、対人スキルについて考えてみましょう。

商談スキルが「商談そのもの」に焦点を当てていたのに対して、対人スキルは文字通り「人」に焦点を当てています。商談スキルを身につけて、セオリーどおりにやっていても、現実の営業では当然うまくいったりいかなかったりします。その大きな要因の一つが人なのです。お客様にもいろいろなタイプの人がいます。したがって、同じやり方をとっても、あるお客様には受け入れられるのに、違うお客様には受け入れられないことがあります。

売れる営業担当は、人のタイプを理解していて、タイプにあわせた対応をしています。つまりお客様によって自分の行動を変えているのです。売れない営業担当は、それができないために、苦手なタイプのお客様をつくっています。

実は、人のタイプは科学的に分類されています。その根拠となる代表的な行動科学の理論がソーシャルスタイル理論です。

〔ソーシャルスタイル理論について〕
ソーシャルスタイル理論によると、人はその行動傾向によって4つのタイプに分類できます。行動傾向とは、習慣化された行動のことで、行動のクセのようなものです。行動傾向には「自己主張度」と「感情表現度」の2つの尺度があります。

自己主張度は、自分の意見を主張するか、相手の意見を聞くかです。感情表現度は、感情を率直に表すか、感情表現を抑えるかです。この2つの尺度の組み合わせで4つのタイプ(ソーシャルスタイル)が生まれます。

4つのタイプには、図1のような主な特徴があります。どのタイプにも優劣はなく、それぞれプラス面とマイナス面の両面をもっています。大切なことは、営業担当自身が自分のタイプを知ることと、お客様のタイプを見極めて、タイプにあわせた適切な対応をすることです。

図1 4つおソーシャルスタイル/図2 スタイル別対応法

ソーシャルスタイル理論を学ぶと、各スタイルの行動傾向がわかります。また、相手のスタイルの判別方法もわかります。相手のスタイルがわかれば、相手の行動の予測がつきますから、自分の行動を調整して、相手に受け入れてもらえるような行動をとることが可能になります。

スタイルに合わせた適切な行動は研究の結果わかっています。図2は、その研究結果を A)人との接し方 B)時間の使い方 C)意思決定の方法 という3つの観点で整理しています。これは営業をする上でも重要な観点です。

スタイル別対応例 1)エクスプレッシブのお客様に対して

相づちを打ちながら熱心に話を聞くことが効果的です。せっかちですから、仕事はスピーディに進め、気持ちが盛り上がったら、一気にクロージングしたほうがいいタイプです。その際に、「今だけ」「あなただけ」といったインセンティブを用意することができれば、意思決定してもらうのに効果的です。

スタイル別対応例 2)アナリティカルのお客様に対して

まじめに礼儀正しい態度で接します。ゆっくり話し、相手に考える時間を与えます。沈黙が続くこともありますが、気にしなくていいのです。意思決定にも時間をかけますので、資料やデータを提示して、一つひとつお客様の疑問や不安を解消していきます。

このように、相手のタイプによって効果的な対応法は大きく異なります。売れる営業担当は、対人スキルをも習得し、誰からも受け入れられ、結果としてどんなお客様とも良好な人間関係を構築しているのです。

営業担当の早期育成モデル例

ここまで、売れる営業担当に必要な2大スキルについて見てきましたが、営業担当の育成には、スキル習得以外の能力開発を含む育成体系の整理も大切です。スキルや知識をそれぞれ開発するだけでなく、自社の営業担当の育成モデルをつくり、必要な意欲・姿勢、知識、スキルを効果的に習得できるように育成体系全体を整理するのです。特に新人~若手期間をどのように過ごしたかは、その後の営業担当としての人の成長を大きく左右します。下記には、新人~若手期間の営業担当の育成モデル例を挙げました。すぐに体系全体を整えることは難しいかもしれませんが、理想のモデルを描きながら、施策を実施していくとよいのではないでしょうか。

また、営業担当を育てることの70%以上は職場のOJTですが、そのOJTが必ずしもうまく機能しない状況においては、Off-JT(研修など)の見直しが求められます。弊社でも、前述の「商談スキル」「対人スキル」を開発する研修をご提供しております。ご興味があれば、ぜひお声掛けいただければ幸いです。

営業担当の早期育成モデル例
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