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研修はどう現場で活かせるかが大事

現場で活かせる研修とは?

  • 公開日:2007/07/01
  • 更新日:2024/04/11
現場で活かせる研修とは?

少子化、企業間競争激化、2007年問題を踏まえた新卒採用市場の競争激化は、毎日のように新聞など各種メディアで取り上げられています。

採用には「どれだけ優秀な人材を確保するか」という課題がありますが、ポテンシャルの高い人材を確保しても、「どれだけ現場で早期に活躍してもらえるか」という教育課題に同時に取り組まなくては、企業力の強化には結びつきません。また、現実には「優秀な人材がどれだけ自社にとどまって力を発揮してくれるか」という、若年層の早期退職問題も教育ニーズの高まりの一因となっているようです。

一方、現場も忙しく人材不足になっている中で、「OFF-JT」である研修に出すからには「それだけ実効性のあるものでなくては」という、現場やトップ層からの要求が高まるのも当然のことです。

そのような環境の中、研修についてご相談いただく企業担当者の方からは、「研修は受けて終わりではなく、どう現場で活かせるかが大事」「一過性の研修ではなく、長期的なプランを考えたい」というお声を多くいただくようになりました。数年前の、MBA取得や海外留学といった選抜人材のビジネススキルを高めるという社員教育から、現場全体の力を上げることに直接結びつくような研修プランへと、教育課題の重点テーマは移っているのです。

本特集では、公開コースを利用した「現場で活かせる研修プラン」を組み立てるポイントを、ご好評いただいているセミナーのセッションや事例を交えながらご紹介いたします。

公開コースを使った研修プラン
「現場で活かせる研修プラン」活用事例
研修プランの作成
氷山モデルを使った研修プランの検討
人気公開コースのご案内

公開コースを使った研修プラン

まず、一社単独の講師派遣型と違って、公開コースの場合は下記のようなメリットがあります。

・一人ひとりに合わせて研修プログラムを選択できる
・社員一人ひとりが仕事の都合のいい日を選んで参加できる
・他社の受講者と一緒に受講するので、刺激を受け、異業種交流の場としても活用できる

現場が忙しくなり全員が同時に職場を離れることが難しくなっているという背景、他社の人材との交流によって刺激を受けてほしいというニーズの高まりなどから、公開コースという手法を取り入れていきたいという企業は増えています。

実際に受講者アンケートなどからも、同階層の他企業の方と研修の中で議論していくことによって新たな発見や刺激を受けた、などのお声をいただくことが多く、スキル型だけではなく階層型の研修でも十分にメリットをご活用いただいています。

一方、自社に合わせてカスタマイズすることができない、その後のフォローがしにくいのではないか、などの不安の声をいただくのも事実です。次ページから、研修導入のプランニングや事前事後のフォロー策を、事例を交えてご紹介させていただきます。

「現場で活かせる研修プラン」活用事例

A社は社員数約150名の独立系ソフトウェアハウスです。

競争の激しいIT業界の中で、コストではなく技術力の高さを自社の強みとし、高度な知識・技術を持つ社員を育成するために人材育成においては下記のような方針をお持ちです。

・技術志向であり、その分野への興味関心の強い人材を採用する
・アットホームで「やりたいことができる」風土で能力を高めていく

上記の方針を体現できる風土づくりのため、下図のように弊社の公開コースを体系的に利用されています。

【公開コース 導入事例 A社】

公開コース 導入事例 A社

一時期はその都度必要な社外研修を単発的に利用されていましたが、体系的に組み合わせて行うことが効果的なのではないか、という社内からの声を受けて全体像を構築されました。

IT業界におけるシステムエンジニアの仕事においては、高い技術力と併せてコミュニケーション力、交渉力、マネジメント力など、ヒューマンスキルも欠かせません。

A社では早いうちから、「技術者のヒューマンスキル向上研修(FOUND)」を受講することで、お客様とのコミュニケーション力を身につけさせているのです。

また、係長・リーダークラスが「マネジメントの原理原則を学ぶ管理者基礎研修(MBC)」を受講し、部下育成の観点を強めることにより、研修を受けたメンバーに、お客様とコミュニケーションが必要な仕事を任せたり、新人をできるだけ現場に同行していくなど、実践の場を与えることによる相乗効果が出ています。

マネジメント層はMBCを受講した数年後「現場の元気を引き出して業績達成を実現するためのマネジメント研修(FDM)」を受講し、さらに自らのマネジメント力に磨きをかけます。

さらに、A社では1クラスに出る自社の受講者の人数が多くならないように調整されています。
これは、公開コースを活用することによる異業種交流の効果を大事にされているからです。

A社の研修プラン活用のポイントは下記のようになります。

1.異業種の人と交流できる公開コースなので、1開催につき自社からのメンバーを少人数にする
2.受講者に事前に受講目的を伝える
3.受講後には所属長に報告書を提出。さらに面談を実施し、面談報告書を人事に提出している

このようにしてA社では、公開コースを活用した研修プランの構築・運用により、現場力をより高めることに成功しました。

研修プランの作成

ここでは、弊社「公開コースを利用した研修プランを考える」セミナーでご好評いただいている、研修プラン構築のためのノウハウやそのためのツールと、それらを使ったセッションの一部をご紹介いたします。

A社の事例にあったように、研修プラン作成の前に自社を取り巻く環境からどのような人材育成課題があるかを検討するのは、最初の重要なステップです。

セミナーではこのステップの体験として、業界/事業/人事の中での環境変化についてまず挙げていただきますと、「業界内のグローバル化」「経験が少ない若年層の社員の増加」「雇用形態の多様化」など、さまざまなお声をいただきます。

また、それぞれ挙げていただくだけでなく、環境変化とその課題についてグループ形式でのディスカッションも行っています。皆さん初対面の方ですが、他社担当者との話し合いの中で共通の課題に出会ったり、さまざまな情報交換をされながら毎回非常に盛り上がるセッションです。

ディスカッションを通して下図の課題マップを作成いただくのが、セミナーの初めのステップとなります。

【ワークシート:貴社の教育研修の現状は?】

ワークシート:貴社の教育研修の現状は?

その後いくつかのステップを経て、最終的にはセミナー内で研修プランを簡易的に作成いただいています。

ご紹介しているツールは特に複雑なものではありませんが、セミナー内での作成は講師や他社のご参加者の方との意見交換を通していろいろな観点を入れていただくのがポイントです。

年4回ほど定期的に開催しているセミナーなので、ぜひご活用いただければと思います。

氷山モデルを使った研修プランの検討

また、研修プラン全体像と合わせて、どのような内容の研修を導入していくかももちろん重要なポイントになります。
それらの点について、下図の「能力構造の氷山モデル」を用いてご紹介いたします。

【能力構造の氷山モデル】

能力構造の氷山モデル

例えば、「課長層のマネジメント力を強化する」ことを人材育成上の課題においたとして、氷山モデル上のどのポイントを強化していくか、またどう組み合わせていくかが、次の検討課題となります。

一般に、人が何らかの成果、あるいはそれに必要な行動をとるためには、知識やスキルや態度などと、行動のベースとなる性格・資質などが必要になります。1 の性格・資質は、比較的変化しにくい部分なので、採用時や昇格時に適性検査などで判断していくポイントです。育成上では、比較的育成が容易である 2 ~ 4 の知識・スキル・態度の強化をねらいます。

・そもそも管理職に昇格したばかりなのでその役割を認識する必要がある。
→2.知識
・管理職としてさらにステップアップするための意欲や自分の価値観を見直してほしい。
→4.態度

上記のように課題を具体化して強化すべきポイントを判断します。
また、長期的にはこれらを組み合わせて考えていくことも重要です。

例えば、弊社公開コースのプログラムにある「マネジメントの原理原則を学ぶ管理者基礎研修(MBC)」は、主に2.知識の部分を強化する研修です。

なお、MBC研修の中では講師から一方向で原理原則をお伝えするのではなく、まず自分だったらどう考えるか、日常職場でどのように振る舞っているかを出しながら考え、ディスカッションを行っていきます。
最終的には、今後職場で管理職としてどのようにマネジメントしていくかの行動計画を立案します。

このように、実際に現場で起こっていることを題材にしながら進んでいく研修を選択していくことも、「現場で活かせる」研修プランづくりのポイントとなります。

人気公開コースのご案内

ここまで研修プランづくりのポイントをいくつかご紹介してきました。
複数の研修を階層間または時系列で組み合わせていくことが効果的とお伝えしましたが、最後に弊社公開コースにて、よくご利用いただいている組み合わせについてご紹介したいと思います。

A) 管理職と中堅層の強化(MBCとSBC)

前章でご紹介した「マネジメントの原理原則を学ぶ管理者基礎研修(MBC)」と併せて、現場での中心活躍メンバーである中堅層に対して「中堅社員基礎研修(SBC)」をご利用いただくパターンが増えています。

SBCは、若手を卒業して自分の仕事だけではなく自組織の動きを考えて、後輩指導や上司の補佐などの役割に新たにチャレンジしてほしいタイミングでご利用いただくのに最適な研修です。

管理職層と中堅層が自組織の運営を同じ目線で考えていくことができることにより現場での活用度が高まります。

B) 原理原則とマネジメント行動の振り返り(MBCとLDP)

同じく「マネジメントの原理原則を学ぶ管理者基礎研修(MBC)」に併せて、同じ受講層に振り返りとして「リーダーシップ開発研修(LDP)」をフォローとして組み合わせてご利用いただくパターンです。

「リーダーシップ開発研修(LDP)」では、360°サーベイを活用して行動面からのマネジメント意識の振り返りを行います。

原理原則を学び半年ほど現場で実践し、それを360°サーベイを題材にして振り返ることにより、マネジメント行動の定着を図ります。また、研修受講後の職場フィードバックミーティングにより、受講者だけでなく職場全体の行動改革をねらいとした、実践的な取り組みにご利用いただけます。

C) 新入社員の早期戦力化(8つの基本行動とFBP)

最後にご紹介したいのは新入社員に向けての取り組みです。
採用市場の激化、若年層の早期退職などにより、新入社員の定着、早期戦力化は、多くのお客様で大きな取り組み課題となっています。

「8つの基本行動」は、ビジネスマナーと仕事の基本を身につけていただく新入社員導入研修です。
学生から社会人になる新入社員が、マナーと仕事の基本を身につけると同時に、今後の職場に向けて抱えているさまざまな不安を払拭していただくのが大事なポイントです。

「新入社員ブラッシュアップ研修(FBP)」は半年~1年を振り返り、現在の不安や不満の払拭と、自己成長のための目標設定を行う研修です。視野がせまくなり、さまざまな壁にぶつかりがちな新人に対して周囲の視野を入れて不安を解消していくことは、今後の成長のための欠かせないステップです。

公開コースでは、他社の新人と知り合い、仕事についての悩みなども共有することにより、大きな安心とまたいい意味での刺激にもつながっています。

なお、セミナーの中ではこのほかいくつかの研修や組み合わせパターンについてもご紹介しています。
他社の方と意見を交わしながら、楽しんで研修プランの作成体験ができる内容となっておりますので、お時間に合わせてぜひご活用ください。

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