“自分ごと”を引き出すマネジメントのポイントとは 今改めて、「目標によるマネジメントの実践」を考える

公開日:2009/05/11
更新日:2017/11/08

成果主義の象徴的な仕組みでもある目標管理制度。導入率は80%を超えたともいわれます。企業で働く人に「目標とは?」と尋ねると、「必ず達成すべきもの(≒ノルマ)」「会社・上司との契約・約束」「達成度に応じて評価が変動し、賃金などの報酬を左右するもの」「上位組織からブレイクダウンされてくるもの」などと答える人が多いようです。

高い業績圧力のもと、マネジャーとメンバーの間で目標をめぐって交わされる会話も「目標を達成できるかどうか」だけを中心に据えたものとなり、ともすると育成的観点でのかかわりが希薄になりがちです。

また、今後ますます業績へのプレッシャーが高まるにつれ、業績への責任感が強いマネジャーであればあるほど、自然と「目標を達成できるかどうか」に関心が集中する傾向は強まると思われます。

しかし、「目標の達成」をめぐる会話に終始するマネジャーのかかわりだけで、「これは、何としてでも取り組むんだ!」と本気になって仕事に向かえるメンバーは限られています。

では、メンバーが「目標」を“自分ごと”と捉えて取り組み、前に進むことを支援するマネジメントのポイントとは何でしょうか

今回の特集では、目標をめぐるコミュニケーションに焦点をあて、「メンバーが『目標』を“自分ごと”と捉えて取り組み、前に進むことを支援するマネジメントのポイント」をご紹介します。


メンバーが目標を“自分ごと”と捉えて前に進む3+1のポイント

メンバーが「これは自分の目標」と思って、本気で取り組むのはどんなときでしょうか。

弊社では、以下の3つのパターンと、その前提として「マネジャー自身の目標の捉え方」があると考えています。


【図表1 目標を“自分ごと”と捉えて前に進む3つのパターン】

まず、前提である「マネジャー自身の目標の捉え方」については、「目標=必ず達成すべきもの(ノルマ)」とだけ捉えるのか、「目標=組織の目標達成につながるものであると同時に、メンバーにとっての意味、育成・成長視点を込められるもの」と捉えるのかで大きく違ってきます。業績圧力が高まるほど前者に偏りがちですが、マネジャーの目標の捉え方が広がることで、目標に込める意味、メンバーとの会話やかかわり方が随分と変わります。

この前提を押さえた上で、上記3つのパターンを、各メンバーに合わせて使いこなすことが、「目標」を“自分ごと”と捉えて前に進むことを促すマネジメントのポイントです。

次のページからは、事例も交えながら、各パターンのポイントを見ていきたいと思います。

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