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特集

若手営業職の早期戦力化

リクルート流、研修活用法!

  • 公開日:2007/04/01
  • 更新日:2024/04/11
リクルート流、研修活用法!

リクルートでは、2001年よりCV(Career View)職という期間限定の契約社員制度を導入しました。CV職の中心となっているのは若手営業担当。彼らの早期戦力化は、大きな課題となっています。3年間という限定された期間に、いかに業績に貢献してもらい、本人たちの次のステップに向けてのスキルアップ、キャリアアップにつなげることができるか?そんな中、グループ会社の1つであるリクルートHRマーケティングのFM部門では、弊社の営業向け研修であるFOCUSを活用することによって、大きな成果を上げています。

今回は、実際に施策を企画運営された担当者へのインタビューを交えてご紹介いたします。

人間は忘れる動物。研修をやりっぱなしでいいのか?
リマインド研修にマネジャーを引っ張り出す。そこにはどんな狙いが?
研修内容を営業組織全体の共通言語にし、OJTを活性化する
担当部署の情熱と創意工夫で、研修の効果を最大化させる
<参考>学習効果を継続的に高めるために

人間は忘れる動物。研修をやりっぱなしでいいのか?

リクルートHRマーケティング(以下、リクルートHRM)は、〈リクナビNEXT〉〈B-ing〉〈とらば~ゆ〉〈フロム・エー〉〈タウンワーク〉などリクルートが発行する求人広告の代理店として、人材採用に関する総合サービスを行っている会社です。従業員数1392名(2007年3月1日現在)のうち営業職がおよそ6割を占め、2003年11月から採用を開始したKE職(契約営業職=リクルートのCV職にあたる)を中心に若手がどんどん増えてきている状況です。

同社のFM部門(From A Media:アルバイト・パート部門)では、入社後の研修体制としては、まず1ヵ月間の営業導入研修を行い、3ヵ月後にSTAR(対人スキル向上研修)を、そして1年後にFOCUS(商談スキル向上研修)という流れになっています。

「入社して1年後というのは、彼らにとって踊り場の時期にあたります。当社の営業の仕組みを理解し、スピード感ある中で実践していくことで成果が見えてくる反面、業務に対するマンネリ感も出始める。FOCUSを行うのは、ちょうどそのタイミング。FOCUSは営業職としてベーシックかつ汎用的なスキルを習得するには最適な研修だと思っており、会社発足時より取り入れています」(大島美由紀さん 人事部)

FM部門における営業研修の位置づけ/研修と現場でのギャップ

同社にとってFOCUSは、新人営業の卒業試験のようなもの。その後は研修で学んだことを各自現場で活用しながら次のステップに進むというやり方をとっていました。こうした方法について疑問を感じたのは、社内のナレッジ委員会でした。メンバーの一人である高橋雅弘さん(営業企画部)は言います。

「1年目以降も勉強会などを通じて、キャリアのある先輩の成功体験を共有する機会などを提供していましたが、果たしてちゃんと営業力として身に付いているのか? そんな議論をしていくうちに、むしろ現状を把握でき、営業シーンで活用できるロールプレイをやった方がいいんじゃないかという意見が出てきた。その際にFOCUSをベースにすれば、スキルが習得できているかどうか確認できるし、営業プロセスにおける自分の弱点を認識して強化・克服ポイントを知ることができると考えたのです。FOCUSは非常にいい研修だと思いますが、やりっぱなしではやっぱり忘れますからね」こうした背景をきっかけに、同社でFOCUSのリマインド(振り返り)研修がスタートすることになりました。

リマインド研修にマネジャーを引っ張り出す。そこにはどんな狙いが?

では、同社のリマインド研修がどのように行われているかを簡単に紹介することにしましょう。開催はクオーター(3ヵ月)に1回、リマインド研修の対象者はFOCUSを受けてから3ヵ月以上経過している人。またKE職だけでなく、社員、代理店などすべての若手営業職を対象にしています。

リマインド研修の内容はロールプレイのみで構成されています。営業プロセスを【アプローチ編】【ヒアリング編】【プレゼン・クロージング編】の3つに分け、それぞれ担当者を相手にロールプレイを行っていきます。結果は独自に作成した診断書をもとに合否が判断され、合格すれば次のステップへ。3プロセスすべて合格なら修了証が受け取れます。1回でクリアできなかった場合には担当者役のEM(エグゼクティブマネジャー)・GM(グループマネジャー)から個別にアドバイスを受けて、再チャレンジが可能。それでもクリアできなかった人には「相談部屋」が設けられており、できない理由についてEM・GMとじっくり相談ができるようになっています。これらはすべてナレッジ委員会が中心となって、FOCUSを自社に合うようにカスタマイズしたものです。

【ロールプレイ大会の進め方(全3時間)】

ロールプレイ大会の進め方(全3時間)

各プロセスでも「相談部屋」でもアドバイスを担当するのは、EM・GMです。
「EM・GMが参加して直接メンバーにアドバイスをするところがこのリマインド研修のポイントであり、非常に大きな意味があると思っています。このリマインド研修を企画した私たちが、いちばんこだわった部分ですね」(高橋さん)
なぜEM・GMに参加してもらうことにこだわったのか?じつはそこにこのリマインド研修のもう一つの狙いがあります。

研修内容を営業組織全体の共通言語にし、OJTを活性化する

STARやFOCUSは受講するだけでなく、そこで得られた考え方やスキルが組織全体で共有化されることではじめて真の効果を発揮します。そのためにはメンバー間、あるいはマネジャーとの間のOJTを通して常に確認されている状態が必要となります。しかし、こうした状態を作り出すのはなかなか容易ではありません。リクルートHRMのFM部門も同様の課題を抱えていました。急速に組織が大きくなったことでEM・GMやチーフの人数が増え、各拠点での運用の強弱によってメンバーの成長が左右されてしまうようなケースが発生するようになったのです。

「期間が限定されているKE職の場合は、最初が肝心です。クライアントの課題を聞き出して、採用を通して解決できた。こうした成功体験をいかに早く得ることができるかがその後を大きく左右します。KE職の配属は新規開拓事業部隊が多いので、最初はどうしても受注率が低い。受注率を上げていくためには数をこなしていかないといけないのですが、なぜそうする必要があるのか? その意味をEM・GMなりチーフがきちんと語れるかどうか。悩んでいるときに的確なアドバイスができるかどうか? それがないと、なかなか成功体験をつかむ機会が得られず、もう一歩先のステージへ進めないというケースも出てきてしまう」(大島さん)

リマインド研修を企画するにあたってEM・GMの参加にこだわったもう一つの大きな理由がここにあります。「いろんな営業職のロールプレイの相手をすることによって、メンバーの実情がわかります。足りない部分がわかればどんなアドバイスをすればいいか考え、他のEM・GMと比較することもできる。つまりロールプレイに参加し、メンバーの相手となることで自然とマネジメントの均一化が図れるわけです。さらにフィードバックを行うためには、EM・GM自身が研修の内容をきちんと理解できていなければいけません。意外に忘れているんですよね、これが(笑)」(高橋さん)

リマインド研修は、EM・GM自身がスキルやマネジメントをもう一度振り返り、STARやFOCUSのポイントが営業組織全体のナレッジとして共通言語化される機会にもなっているのです。

【FOCUSのフレームが共通言語化】

マネージャーとのミーティング場面/日常のフィードバック場面

担当部署の情熱と創意工夫で、研修の効果を最大化させる

リクルートHRMのFM部門でのFOCUSリマインド研修は2006年の10月から始まり、今年(2007年)の2月で3回目が終了しました。具体的にどのような効果を上げているのでしょう。

「まだ回数が少ないので、リマインド研修が売上にどう結びついているかの検証はしっかりとはできていません。でも、現場の反応は非常にいいですね。若手メンバーの場合、FOCUSの内容を本当の意味で営業シーンで生かせるようになっています。動機づけやクロージングのシーンなど、「こういうふうにやればいいんですね」という声は多く上がっています。一方、リマインド研修でメンバーの実態に気づいたEM・GMが、きめ細かなアドバイスを行ったり、営業同行を増やすなどOJTにも変化が現れています。これらは今後営業の早期戦力化にもつながっていくのではないかと期待しています」(高橋さん)

<参考>学習効果を継続的に高めるために

以上、ご紹介したリクルートHRMのFM部門の事例を通して、FOCUSという一つの研修がやり方次第で2倍にも3倍にも効果を上げることができるという可能性の一端を感じていただけたのではないでしょうか。もちろん、そのためには人事や関係スタッフの理解や情熱、あるいはリマインド研修内容でご紹介したように創意工夫も欠かせない要素であることは言うまでもありません。

「リマインド研修のたびに会場を確保したり、EM・GMに声を掛けて引っ張り出すのは結構なパワーがかかりますが、それで営業職が力を付けてくれたらこんな嬉しいことはありません。特にKE職の場合は、3年間という限定ですので、できるだけ有意義な時間を過ごしてほしい。ここでの成功体験が次のステップに必ず生きてくるはずですから」(大島さん)

<参考>学習効果を継続的に高めるために

<参考>学習効果を継続的に高めるために
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