「人材マネジメント実態調査2010」からの考察 「人事の役割」とは

人材採用、人材開発、人材配置、人事考課、賃金管理、組織開発など、人事部門の仕事には実にさまざまな「機能」に関わるものがあります。皆様ご自身、「あなたの仕事は何ですか?」と質問されれば、「採用に携わっています」と回答される方も多いかもしれません。
それでは、「あなたの仕事の役割は何ですか?」と質問された場合、皆様どのように回答されるでしょうか?
「定められた経営戦略・事業戦略を推進することのできる人材配置を行うこと」
「企業理念の理解を深めるための浸透施策を行うこと」
「従業員の意欲を高めるための教育研修を企画・実行すること」
「人的リスクが起きないように制度と仕組みを構築すること」
など、それぞれの機能の目的を明確にして回答される方もいらっしゃるかもしれませんし、もしかしたら回答に窮される方もいらっしゃるかもしれません。
今月の特集では、本年5〜6月に実施した「人材マネジメント実態調査2010」の結果の一部をご紹介し、あらためて皆様にこれから求められる「人事の役割」について考えるきっかけを得ていただければと思います。
- P1:人事の4つの役割
- P2:人事は経営の戦略パートナー?
- P3:今後利用意向が高まる、戦略パートナーとしての成果指標
- P4:高業績企業群は従業員の実態により注目
- P5:人事の役割は人と戦略をつなぐ「かけ橋」
人事の4つの役割
「人事の役割」を定義したフレームの代表的なものの一つが、『MBAの人材戦略』で著名なミシガン大学のデイビッド・ウルリッチ教授が提唱した以下4つの分類です。
1. 戦略パートナー(Strategic Partner)
2. 管理のエキスパート(Administrative Expert)
3. 従業員のチャンピオン(Employee Champion)
4. 変革のエージェント(Change Agent)
このフレームは、人事が経営や従業員に提供する価値をもとに構築されたものであり、提唱されて10年以上経過していますが、人事の役割を考える上では有効なフレームと考えられます。それを参考に、今回は以下4つの役割を定義しました。
【人事の4つの役割】

Human Resource Champions: The Next Agenda for Adding Value and Delivering Results, 1997, David Ulrichを参考に作成
今回の調査では、240社に及ぶ人事の方々に「4つの役割」それぞれに優先順位をつけていただきました。次にその結果をご紹介します。