グローバルビジネスの成否を決める! 日本人海外赴任者育成の鍵とは?

昨今、日本企業の海外事業展開の拡大に伴い、日本からの海外赴任者は増加傾向にあります。数の増加に加え、その赴任先も欧米先進諸国からアジア・ラテンアメリカなどの新興国へ、そして、その対象も管理職だけでなく中堅社員・若手社員へと広がってきているようです。

このような傾向が加速するのに伴い、昨今、海外赴任者に関するご相談をいただくことが多くなりました。
例えば「赴任者の人選はこれまで事業部に任せてきた。しかし、赴任者が増える中、人事として共通の基準を考えたい」「海外人材が固定している。もう10年近く特定の国に赴任している人も少なくない。後任を送り込みたいが、誰が適任なのかがわからない」「英語力、実務能力のどちらを重視すべきか?英語ができても仕事ができなければと思うものの、つい見えやすい語学で判断してしまう」など、その「人選」における悩みの一例です。一方、その育成に関しても、「これまでは内示後2ヵ月程度で赴任させてきたが、『もっと準備期間が欲しかった』という声が海外赴任経験者からあがっている」などの声が聞かれます。「赴任してから鍛えられる」「赴任してみなければわからない」とはいうものの、実際には、現地に適応できず帰任せざるをえないケースも発生しているようです。

では、赴任者に求められる要件とはどのようなものなのでしょうか?
また、海外赴任を成功させるためには、どのようなサポートが有効なのでしょうか?
今月の特集では、弊社がこれまでに行ってきた海外赴任者へのインタビューと、赴任者育成を支援した事例を基に、そのヒントをご提供していきたいと思います。


海外赴任者が直面した「困難な現実」とは

海外赴任者に求められる要件と、望ましい育成やサポートのあり方を明らかにするため、弊社では、2010年〜2011年にかけて、多様な業種・多様な赴任国にまたがる15社30名を超える海外赴任者・赴任経験者、その中でも特に、現地でマネジメントを担った人に対してインタビューを行ってきました。インタビューは、以下の観点で行いました。

 Q1.海外赴任したマネジャーは、どのような「現実」に直面するのか?
 Q2.海外赴任者がその現実を乗り越えるための「成功の鍵」には、どのようなものがあるのか?
 Q3.海外赴任を成功させるには、どのような具体的方策が必要なのか?


はじめに、赴任者が共通に直面していた現実を見ていきましょう。
今回は(1)タテヨコに同時拡大する職務の重圧、(6)日本の組織への再適応について解説いたします。

◆タテヨコ同時拡大する職務の重圧・・・「職務拡大」への適応
多くの赴任者が苦労していたのが「職務拡大への適応」です。日本では主任や係長であった人が、赴任と同時に現地法人で部長職位に就くことも珍しくありません。しかも、自分とは価値観が異なる部下を抱え、日本での経験則が通用しないビジネス環境の中で、経営に近い意思決定や方針策定を行うことが求められるのです。加えて、日本では経理のスペシャリストであった人が採用に労務にコンプライアンス対応…と、未経験の職種を兼務するケースも多く存在します。この傾向は、長年安定稼働している現地法人ではなく、立ち上げ期の現地法人に赴任した人に顕著に現れていました。このような「タテヨコ職務拡大」の中で、ローカルスタッフに業務を任せず一人で業務を抱え込んでしまうと、成果があがらないどころか、最悪の場合、メンタルヘルスを発症する可能性すらあるのです。

◆日本の組織への「再適応」
赴任時の職務拡大に対応するかのように、帰任後、「日本への再適応」に苦労する赴任者も少なくありません。海外で大きな権限を与えられ、スピーディにダイナミックにビジネスを動かしてきた赴任者は、日本組織の「根回し」や「合議的」意思決定などの組織特性に馴染むことができず、そのストレスから新天地を求め、果ては、離職してしまう人も稀ではありません。このことは、本人だけでなく、グローバル化を急ぐ企業にとっても大きなマイナスです。「修羅場」に直面する「海外赴任」は「グローバルリーダー」が育つ貴重な機会といわれています(参考:Developing Global Executives (McCall,2002))。 にもかかわらず、日本への再適応問題を放置すれば、赴任経験者ばかりが海外赴任を繰り返し、グローバル人材が固定化してしまう=多くのリーダー候補者に海外赴任機会が与えられない、赴任者の学びが組織知として共有されない、などの問題へとつながりかねないのです。

  1. 1
  2. 2
  3. 3
  4. 4
  5. 5
お問い合わせはこちらから
WEBからのお問い合わせ
資料請求・お問い合わせ
[報道関係・マスコミの皆様へ]
取材・お問い合わせ
電話でのお問い合わせ
0120-878-300

受付時間
/ 8:30~18:00 月~金(祝祭日除く)

※フリーダイヤルをご利用できない場合は
03-6331-6000へおかけください。

SPI・ReCoBookに関するお問い合わせ
0120-314-855

受付時間
/ 9:00〜18:00 月~金(祝祭日除く)

記事のキーワード検索
Page Top