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2013年新入社員意識調査

ゆとり世代の新入社員は何を求めているのか?

  • 公開日:2013/05/22
  • 更新日:2024/04/11
ゆとり世代の新入社員は何を求めているのか?

リクルートマネジメントソリューションズでは、毎年、新入社員に社会人としてのスタートをきるにあたっての意識調査を行っています。今春の新入社員は、何を大切にして働きたいと思い、どのような期待と不安を持っているのでしょうか? 実際の研修場面で見られた特徴も踏まえながら、調査結果を解釈していきます。

調査は、「新入社員が入社にあたり、どのような期待や不安を抱えているのかを定量的に明らかにすること 」を目的に、5つの質問についての選択肢のうち、当てはまるものを最大3つまで選択する形式で行いました。2013年3月21日~4月16日に、全国各地で開催した新入社員導入研修「8つの基本行動」の当該期間での受講者1,115名(男女比=約6:4/最終学歴:大卒以上=約84%/300名未満企業比率=約65%) を対象としています。

言われたことをやれば仕事は終わり?
「研鑽できる職場」よりも「居心地のよい職場」
情熱を持って伴走してくれる上司が理想
対人関係を重視する新入社員
なぜ時間いっぱい、繰り返しやらなかったのか?

言われたことをやれば仕事は終わり?

はじめに、今年の新入社員は、社会人として働いていくうえで何を大切にしたいと思っているのでしょうか?(図表1)

【図表1:「社会人として働いていくうえで大切にしたいことは何ですか?」】

選択率上位の順位は2年前からほぼ変わらず、「まずは社会人として、周囲と良好な関係を築きながら着実に仕事ができるようになりたい」という思いに大きな変化はないようです。
2012年との差を詳しく見ると、今年は「何事も率先して真剣に取り組むこと」の選択率が上がっています。一方で、「何があってもあきらめずにやりきること」「仕事で高い成果を出すこと」の選択率が下がっています。

「高い成果を出すためにやりきりたい」というよりは、「何事もやってみて、まずは確実に仕事をこなしたい」と思っているようです。

研修場面においても、今年の新入社員は指示された課題をきちんとこなし、コツを掴むのも早い人が多く見られました。一方で、より高い成果を目指して自分なりに工夫したり、自主的に繰り返し課題に取り組んだりする人は、あまり見られませんでした。
したがって、「言われたことをやれば、仕事は終わり」という受け身の姿勢に留まらないように、上司・先輩は、できたことは認めつつさらなるチャレンジを後押しするようなサポートをしていく必要があるかもしれません。

「研鑽できる職場」よりも「居心地のよい職場」

次に、新入社員はどのような職場で働きたいと考えているのでしょうか?(図表2)

【図表2:「どのような特徴を持つ職場で働きたいですか?」】

昨年も上位であった「お互いに助けあう」「活気がある」の選択率が今年はさらに上がり、「アットホーム」も引き続き高い選択率となりました。また、「皆が一つの目標を共有している」も選択率が上がっています。一方で、今年は「遠慮をせずに意見を言い合える」「お互いに個性を尊重する」の選択率が下がりました。

「職場で互いのやり方や主張をぶつけあいながら研鑽する」というよりは、「活気のある居心地のよい職場で、みんなと足並みを揃えながら働きたい」という傾向が今年はさらに強まったことがうかがえます。

研修場面でも、今年の新入社員は開始直後から参加者同士で打ち解け、和やかな雰囲気を作っていました。一方で、互いに積極的に指摘しあって、チームとして成果を高めていこうという場面は、例年に比べて少なかったようです。
居心地のよい雰囲気づくりは大事ですが、時には厳しい指摘もしながら、より高い成果を目指していくための意識付けが必要かもしれません。

情熱を持って伴走してくれる上司が理想

続いて、新入社員は上司に何を期待しているのでしょうか?(図表3)

【図表3:「上司に期待することは何ですか?」】

昨年と上位項目の順位はほとんど変わらないものの、「相手の意見や考え方に耳を傾けること」の選択率が大きく下がっています。一方、「言うべきことは言い、厳しく指導すること」「仕事に情熱を持って取り組むこと」「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」の選択率が上がりました。

今年の研修場面で特徴的だったのは、トレーナーからの厳しい指摘に対して、前向きに、時に嬉しそうに受け止めている様子が見られたことです。また、参加者全体の前では全く質問が出ないものの、休憩時間になったとたん、個別に質問にくる人が列をなしていたことも印象的でした。

昨年の新入社員の求める上司像「適度な距離感のある厳しい上司」と比較すると、今年は「仕事のプロセスにおいても、丁寧に、時に厳しく、情熱を持って伴走してくれる上司」を求めているようです。

対人関係を重視する新入社員

さらに、社会人として「これから身につけたい力」と「仕事・職場生活をするうえでの不安」を尋ねました。(図表4&図表5)

対人関係を重視する新入社員

最も身につけたい力では、例年と同様に「コミュニケーション力」で、今年はさらに高い選択率となりました。また、「プレゼンテーション力」の選択率も、年々上がってきています。一方、今年は「専門知識」「論理的思考力」「語学力」の選択率が下がりました。

「専門知識や自ら考える力をつけて自立する」というよりは、「対人スキルを身につけ、周囲と良好な関係を築いて協働できるようになる」ことを望んでいるのかもしれません。

反面、仕事・職場生活をするうえでの不安では、例年選択率の高い「仕事についていけるか」「先輩・同僚とうまくやっていけるか」「私生活とのバランスが取れるか」の選択率は下がったものの、全体の順位は昨年と同じ結果となりました。その中で、今年選択率が上がっている項目を見ると、「自分が成長できるか」「上司とうまくやっていけるか」などが挙げられます。

これらの調査結果から、今年の新入社員は特に対人関係を重要視しており、その中で自分も成長していきたいと考えていることがうかがえます。もちろん対人関係は大切ですが、それだけでなく現実の仕事で自分ができる限りのアウトプットを出し、成果を上げる力を養うことにも意識を向けてもらう必要がありそうです。

なぜ時間いっぱい、繰り返しやらなかったのか?

今年の新入社員導入研修において、次のような印象的な場面がありました。

あるグループが、ロールプレイの練習時間がまだ余っているにもかかわらず、全員が何もせずに終了時間を待っていました。そこで、担当トレーナーが「なぜ時間いっぱい、繰り返しやらなかったのか?」と理由を尋ねると、「残り時間では全体を通しての練習はできそうもないので、止めておこうと思ったからです。」という返事が返ってきたそうです。
このエピソードからも、「少し無理をしてチャレンジするよりは、確実に仕事をこなしたい」という強い意識が見て取れます。

10年ほど前の新入社員研修を思い起こすと、「自分達が納得のいくまでやりきりたい」という思いが強く、時間を無視して延々と続けてしまい、「時間内に最大の成果を出すことが、仕事では重要なのだ」と指摘される場面をよく目にしました。

いつの時代も新入社員の「成長したい」「役に立ちたい」という思いは同じです。しかし、どのように成長したいのか、何を大事にしていきたいのかは、数年の間でも大きく変わってきているのだと実感します。

その時代ごとの新入社員が最大限成長していくためには、どちらが良い・悪いではなく、強みと弱みを理解した上で、指導・サポートすることが求められるのではないでしょうか。

新入社員の特徴を踏まえた上司・先輩からの関わりによって、彼ら・彼女らの「成長したい」「役に立ちたい」という思いが一日でも早く形になり、社会人としての活躍に繋がることを願っています。

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