連載・コラム
管理職に必要なコーチング力の重要性
2024年 コーチング力向上施策に関する実態調査
- 公開日:2024/05/07
- 更新日:2024/05/09
若手からシニアまでメンバーが多様化し、マネジメントの難度が高まるなか、マネジャーは従来の管理統率型のマネジメントに加え、自律共創型のマネジメントを取り入れることが求められています。
自律共創型のマネジメントを実践するための有効な武器として、「コーチングスキル」はマネジャーの必須スキルとして認知されつつあり、弊社の支援のなかでも、マネジャーの皆様向けに、職場で使えるコーチングスタンスやコーチングスキルの学習機会をご提供することが増えています。
今、企業で奮闘するマネジャーにコーチングスキルがどの程度必要とされており、実際にどういった取り組みが行われているのでしょうか。本調査結果を今後の人事施策検討にお役立ていただければ幸いです。
- 目次
- 調査概要
- 管理職に対するコーチング力の必要性
- コーチング力向上施策の導入企業
- コーチング力向上施策の導入目的
- コーチング力向上施策の継続意向
- マネジメント上のコミュニケーション課題
- 管理職のコーチング導入意向
- まとめ
調査概要
管理職に対するコーチング力の必要性
人事担当者の8割以上が自社管理職にコーチング力の必要性を感じている一方で、現状に満足しているのは約2割程度(図表1、2)
- 人事担当者に「自社管理職に対するコーチング力の必要性」(図表1)について聞いたところ、「必要」「やや必要」の合計が83.8%だった。
- 一方で、「自社管理職のコーチング力の現状」(図表2)に対する回答は、「十分である」「やや十分である」の合計が20.5%だった。
→自社管理職に対してコーチング力を身に付けることが必要と感じている人事担当者が多い一方で、その現状に満足している割合は低く、コーチング力については今後の強化が求められていると考えられる。
<図表1>自社管理職に対するコーチング力の必要性(n=690名)
Q:あなたの勤務先の管理職(ミドルマネジャー)にコーチング力は必要だと思いますか。
※コーチング力とは、「管理職(ミドルマネジャー)が、メンバーに対してコーチング的な関わり方を効果的に活用する力」としてお考え下さい。
<図表2>自社管理職のコーチング力の現状(n=690名)
Q:あなたの勤務先の管理職(ミドルマネジャー)のコーチング力について、期待と照らして、現状はどのような状態でしょうか。
コーチング力向上施策の導入企業
管理職向けコーチング力向上施策の導入企業は全体の7割弱(図表3)
- 人事担当者・管理職層に「自社管理職向けコーチング力向上施策の導入状況」(図表3)を聞いたところ、施策導入企業の割合は68.8%だった。
→コーチング力向上施策の導入企業は約7割を占めており、マネジャーの必須スキルとして認知されつつある。
<図表3>自社管理職向けコーチング力向上施策の導入状況(n=2419名)
Q:あなたの勤務先では、現在管理職(ミドルマネジャー)に対して以下の様な施策・取り組みを導入していますか。
*ここでの「管理職(ミドルマネジャー)」は部長・課長クラス以上を想定してお答えください。
*コーチング力とは、「管理職(ミドルマネジャー)」が、メンバーに対してコーチング的な関わり方を効果的に活用する力」としてお考え下さい。
【コーチング力向上のための施策】
コーチング力向上施策の導入目的
管理職向けコーチング力向上施策の導入目的は「社員の主体性・自律性の向上」。8割以上が導入効果を感じている(図表4、5)
- 施策導入企業の人事担当者に「自社管理職向けコーチング力向上施策の導入目的」(図表4)を聞いたところ、選択率1位になったのは、「社員の主体性・自律性の向上」(34.2%)だった。次いで、「目標達成/業務完遂」(31.9%)、「生産性の向上」(31.0%)だった。
- また、「自社管理職向けコーチング力向上施策の導入効果」(図表5)に対して、86.4%が何らかの効果を感じており、なかでも「管理職(ミドルマネジャー)の継続的な行動変容につながった」が最も効果を感じられた回答であった。
<図表4>自社管理職向けコーチング力向上施策の導入目的(n=345名)
Q:【管理職(ミドルマネジャー)向けコーチング力向上施策】導入の目的・背景は何ですか。3つまで選択してください。
※3つ以上当てはまる方は主な目的・背景を3つお選びください。
<図表5>自社管理職向けコーチング力向上施策の導入効果(n=345名)
Q: 勤務先での【管理職(ミドルマネジャー)のコーチング力向上施策】によって、現時点で得られた効果はありますか。あてはまるものをそれぞれお選びください。
[管理職向けのコーチング力施策によって、最も得られた効果(ひとつ)]
コーチング力向上施策の継続意向
施策導入企業の施策継続意向は8割以上、施策非導入企業の新規導入意向は過半数を占めている。施策非導入企業の「施策導入への期待」は「社員の主体性・自律性の向上」。(図表6、7)
- 施策導入企業と施策非導入企業それぞれの人事担当者に「自社管理職向けコーチング力向上施策の導入意向」(図表6)を聞いたところ、施策導入企業では80.9%が施策継続意向を持っており、施策非導入企業では55.4%と過半数が導入意向を持っていた。
- 施策非導入企業の人事担当者に「自社管理職向けコーチング力向上施策の導入への期待」(図表7)を聞いたところ、選択率1位になったのは、「社員の主体性・自律性の向上」(41.4%)だった。次いで、「生産性の向上」(38.2%)、「目標達成/業務完遂」(31.9%)だった。
→施策非導入企業の過半数が今後のコーチング力向上施策導入に意欲的であり、今後も管理職向けコーチング力向上施策の導入が進んでいくことが予想される。また、非導入企業の「施策導入への期待」の1位は「社員の主体性・自律性の向上」であり、施策導入企業と同様に重視されている様子がうかがえる。世のなか的に「社員の主体性・自律性の向上」が強く求められていると思われる。
<図表6>自社管理職向けコーチング力向上施策の導入意向(n=690名)
Q: あなたの勤務先では、今後公式施策として【管理職(ミドルマネジャー)向けコーチング力向上施策】の導入・実施したいと考えていますか。※すでに導入・実施されている場合も、今後も導入・実施したいかでお答えください。
<図表7>自社管理職向けコーチング力向上施策の導入への期待(施策非導入企業)(n=345名)
Q:【管理職(ミドルマネジャー)向けコーチング力向上施策】の導入に際して期待していることは何ですか。以下から3つまで選択してください。
マネジメント上のコミュニケーション課題
マネジメントコミュニケーションの課題は「率直に何でも話せる雰囲気づくり」「メンバーの仕事への意欲向上支援」「職場のチームワーク」の3つ(図表8、9)
- 人事担当者に自社管理職の「マネジメントコミュニケーションの課題」(図表8)を聞いたところ、選択率1位になったのは、「率直に何でも話せる雰囲気づくり」「メンバーの仕事への意欲向上支援」だった。次いで、「職場のチームワーク」だった。
- 同じく、現場管理職に「マネジメントコミュニケーションの課題」(図表9)を聞いたところ、選択率1位になったのは、「職場のチームワーク」だった。次いで、「メンバーの仕事への意欲向上支援」「率直に何でも話せる雰囲気づくり」だった。
→上位3つの課題は、人事担当者と現場管理職の両方で共通していた。とくに、「メンバーの仕事への意欲向上支援」は、マネジメントコミュニケーションの課題に対処する際に、打ち手の1つとしてコーチング力向上施策を検討することが有益だと考えられる。
<図表8>マネジメントコミュニケーションの課題(人事担当者から見た自社管理職)(n=690名)
Q:マネジメントにおける他者とのコミュニケーション場面において、あなたの勤務先の管理職(ミドルマネジャー)の課題だと感じていることはありますか。あてはまるものをそれぞれお選びください。
[勤務先の管理職(ミドルマネジャー)の課題だと感じていること(3つまで)]
<図表9>マネジメントコミュニケーションの課題(現場管理職)(n=349名)
Q: 勤務先でのマネジメントに関してお聞きします。日々発生する他者とのコミュニケーション場面において、課題に感じていることはありますか。あてはまるものをそれぞれお選びください。
[日々発生する他者とのコミュニケーション場面において、特に課題に感じていること(3つまで)]
管理職のコーチング導入意向
コーチングの手法を取り入れたいと考える現場管理職は過半数を占める(図表10)
- 現場管理職に「コーチング手法の活用意向」(図表10)を聞いたところ、56.8%が活用意向を持っており、明確に必要性を感じていない「あまり取り入れたいと思わない」、「取り入れたいと思わない」は1割程度に留まる。
→コーチング力強化施策は、現場の管理職からも比較的好意的に受け入れられるのではないかと考えられる。
<図表10>コーチング手法の活用意向(現場管理職)(n=349名)
Q: 職場でのよりよいマネジメントのために、「コーチング」の手法を取り入れたいと思いますか。※既に取り入れている方も、今後も取り入れたいかどうかでお答えください。
まとめ
ここまで見てきたとおり、近年、マネジメントの難度が増すなかで、マネジャーがコーチング力を活用する必要性が高まりそれにともない、マネジャー向けにコーチング力向上の取り組みを導入する企業が増えています。
弊社でも、以前よりこのテーマに関する支援の機会が増加していますが、そのなかで、「職場での実践」をご期待いただくことが増えました。多くのマネジャーがより実践的な「現場で使える」コーチングスキルを習得し、マネジメントの質の向上を目指していくことが、昨今のマネジメントにおける重要課題の1つと考えます。
弊社では、日常のマネジメントに、コーチングスキルを効果的に取り入れていくための実践型研修「コーチングワークショップ」を提供しております。ぜひご相談ください。
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