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わかりやすく伝える力がますます重要になる

「考える」を味方につける。 〜未来を航海するためのロジカルシンキング〜

  • 公開日:2009/07/06
  • 更新日:2024/05/16
「考える」を味方につける。 ~未来を航海するためのロジカルシンキング~

ビジネスにおいて、正解のない問題を突きつけられることが多い時代。それらの問題を、徹底的に議論し解決するために、自ら主体的に考え、誰もが共有できるようにわかりやすく伝える力がますます重要になっています。弊社が提供する『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』は、これからのビジネスパーソンに必須の思考法やスキルを身につけていただくための研修プログラムです。今回のコラムは、同プログラムの開発元である株式会社HRインスティテュートのコンサルタントであり、研修講師としても活躍する三坂健さんが「考えること」をテーマに語ります。

考えている「つもり」の自分に、揺さぶりをかける。
“仲の良い喧嘩”をしよう。 ~「悩む」のではなく「考える」自分を体感する~
「考える人」が、時代を創る。「考える人」よ、出でよ。

考えている「つもり」の自分に、揺さぶりをかける。

ロジカルシンキングの研修というと、文字通り物事を論理的に考えるためのテクニックやスキルを身につけるものと思われる方が多いのではないでしょうか。しかし、私たちが提供する『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』では、テクニックを学ぶだけではなく、背景にある「考える」ことの本質的な意味をしっかり理解していただくことを重視しています。物事を論理的に捉えることも、整理することも、体系化することも、ベースになる「考え」がなければなんの意味もなさないからです。では、「考える」とは一体なんでしょうか。「考え」は、まず自分を主語におく、つまり主体的になること、そして徹底的に思考し、深めることから生まれます。さらにその「考え」は外にわかりやすく伝えられ、かかわりを持つ人たちに共有されることではじめて実践的なものになっていきます。つまり、『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』は、主体的かつ論理的に「考える」ことの大切さに気付き、日常で実践することができるような方法を学んでいただける研修なのです。
“考える力”は、社員がトップの指示に従い後をついていく、というスタイルの組織では育ちにくい傾向にあります。例えば、強力なリーダーシップを持つオーナー社長が率いる中堅中小企業のようなケースでは、社員自ら考える癖がなくなり、やがて考えない社員ばかりになってしまいます。また、企業の大小にかかわらず、考える力が「思い込み」という殻で覆われている人も非常に多いと感じます。思い込みがあると自分の経験値でしか物事を判断できなくなり、正しい結論に辿りつけなくなる恐れが出てきます。『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』受講者は、いずれかの傾向に近いことが多く、自分の考え方に漠然とした悩みを感じながらも、どうしていいかわからないという方々がほとんどです。研修は、こうした受講者の皆さんの思考に揺さぶりをかけます。

考えている「つもり」の自分に、揺さぶりをかける。

“仲の良い喧嘩”をしよう。 ~「悩む」のではなく「考える」自分を体感する~

『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』は、まずロジカルシンキングとは何か?を理解していただくことから始まります。「考える」と「悩む」の違い(このコラムを読んでいる皆さんは、わかりますか?)、ロジカルな人とそうでない人の違いや特徴などを紹介しながら、自分の“ロジカルシンキング度”を確認していただくことが狙いです。また、公開コースの場合、このセッションは受講者の緊張を解きほぐし、チームワークを醸成する場ともなります。組織や職種などさまざまなバックボーンを持つ皆さんが悩みを共有し、「よし! 考えることを学ぼう」という状態に変わっていく。我々としてもワクワクする時間です。
準備運動ができたところで、次は具体的な思考法を使ってロジカルシンキングを学んでいきます。自分の考えをわかりやすく“見える化”し、伝えるための「フレームワーク思考」や「ロジックツリー」、思い込みの壁を取り払う「ゼロベース思考」。いずれも単に理論を学ぶだけでなく、さまざまな演習を交えることで、物事を体系的に組み立てわかりやすくすることを実際に体験していきます。
例えば「ロジックツリー」は、ロジカルシンキングの基本となるモレやダブリが起こらないようにフレームをつくるツールです。演習では例題に対して自分で結論を描き、その根拠を3つ考え提示してもらいます。実はこの“3つ考える”というのがなかなか難しいのです。最初は、1つ2つまでしか考えられない人が続出することもあります。しかし、この思考法をさまざまなケースで繰り返していくと、最初は1つの視点でしか根拠を見出せなかった人が3つ出せるようになり、ロジカルシンキングの手法を知識として吸収するだけでなく、「癖」として身につけていくことを体感します。そして、広く、深く考えられるようになっていく自分を通じて、物事を複眼的に捉えることの意味と重要性を実感するのです。
研修の仕上げは、ディスカッション形式のグループワークです。思考法やスキルを身につけた個人がチームとして機能することにより、より高い成果に結びついていくことを体感してもらいます。この段階まで来ると、受講者の皆さんが語る言葉はシンプルになっていきます。それまで、変数を増やし難しく考えていた人が、自分にも周りの人たちにもわかりやすく考え、伝えられるようになる。議論からは余分なものがそぎ落とされ本質が見えてくる。メンバー同士が“仲の良いケンカ状態”になることもよくあります。一人ひとりが結論と根拠を持ち、それらをぶつけ合いながらより良い結論を導き出していく様子はなかなか壮観です。人と建設的に意見をぶつけ合う中で、さらによい結論へとダイナミックに議論を昇華させていく体験は、参加型研修ならではの魅力です。そして、その体験は今後ますます増えていく社内外のさまざまな枠組みを超えたプロジェクト活動にも、非常に役立つはずです。

“仲の良い喧嘩”をしよう。 ~「悩む」のではなく「考える」自分を体感する~

「考える人」が、時代を創る。「考える人」よ、出でよ。

研修を通じて毎年数百人もの受講者の方々とお会いする機会があります。講師として大切にしたいと思っているのは、受講者一人ひとりの個性を理解した上で、本人の主体性を引き出すことです。考えることと同様に、人は主体的でなければ本当の意味で学ぶことはできません。そのベースとなる個性を知るためには、受講者一人ひとりときちんと向き合い、大切にしているものや、悩みにしっかりと耳を澄ますことが必要です。その結果として、受講者の皆さんから次のような言葉をいただけたときは、本当に嬉しく思います。
「電車の中吊りを見ていつもロジックツリーを実践しています」「お堅い職場ですが考えたことを“見える化”していこうと思っています」「もっと早く受けていればよかった」……。中でも一番うれしいのは「ロジカルシンキングって面白いですね」「考えるってこんなに楽しいことだったんですね」という感想をいただいたときです。
考えることは、人間の本質に触れることでもあります。現在の日本の礎を築いた人物たちは、例外なく「考える人」でした。彼らはいつもゼロベース思考で考え、それを周りに伝えるために全身全霊で向き合ったはずです。もちろん苦労はあったでしょうが、心の中は喜びで満ちていたのではないでしょうか。100年に一度の危機と言われ、パラダイムや時代が大きく変わろうとしている今、「考える人」がもっともっと必要なのだと思います。『ロジカルシンキングのノウハウ・ドゥハウ』を通して、考えることの楽しさ、面白さを一人でも多くの方に感じてほしい。そして、自分のチームに、組織に伝えてほしいと思っています。

執筆者

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株式会社 HRインスティテュート
代表取締役社長
シニアコンサルタント

三坂 健

(株)損害保険ジャパン退社後、HRインスティテュートに参画。経営コンサルティングを中心に、思考力強化等を担当。

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