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リフレクションとは? 意味やビジネスで重要になる場面を解説

  • 公開日:2023/06/20
  • 更新日:2024/07/24

リフレクション(reflection)は内省を意味する言葉で、自分の考えや言動、行動などを深く省みることです。ビジネスシーンにおけるリフレクションは、業務から一時的に離れ、自分の経験や考えを振り返ることを意味し、人材育成の手法として定着しています。 初めてリフレクションに注目したのは、マサチューセッツ工科大学のドナルド・ショーン氏だといわれています。彼は研究のなかで専門職に就く人々を観察した結果、多くの人が働きながら状況を振り返り、自分がどうすべきかを考えていることに気付き、この行動を「行動のなかの内省(reflection in action)」と呼びました。 人材育成にはさまざまな手法がありますが、どのような手法もやらされている感覚では効果がありません。人材育成の効果を高めるためには、自分自身で考え、気付くことが重要です。この「自分で考え、気付く」という部分がリフレクションになります。

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リフレクションとはどのような意味?

リフレクションとはどのような意味?

反省・フィードバックとの違い

リフレクションは振り返りの意味を持ちますが、反省やフィードバックとは異なります。 反省とは、自分の言動を振り返り、同じ過ちを繰り返さないよう考えることです。これに対し、リフレクションでは、自分の行動を主観や感情ではなく俯瞰して考え、悪かった点だけでなく良かった点も振り返ります。

また、フィードバックは上司など他者が主体となり、自分の行動に対して評価をもらうことです。一方、リフレクションでは自分自身が主体となって振り返ります。

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リフレクションを取り入れるメリット

リフレクションを取り入れるメリット

リフレクションは人材育成に大きな効果が期待でき、生産性向上、リーダーシップの発揮、従業員の成長といったメリットがあります。

生産性の向上

リフレクションは自分自身で振り返り、評価を行うため、仕事に対する意識が高まります。また、自分の業務や立ち位置から離れることで自分を客観視できるようになり、仕事への理解や今後の対応まで視野を広げることが可能です。従業員一人ひとりが自分の行動を客観的に振り返れば、業務が改善および効率化され、組織全体の生産性アップにつながります。

リーダーシップを発揮できる人材の育成

リフレクションは主体的に自身の行動を振り返り、改善していくため、自分自身で目標を決め、目標達成に向けて物事を主体的に進めるセルフリーダーシップを養成できます。セルフリーダーシップは、客観的な思考力と全体を俯瞰する力にも通じ、チーム全体を牽引するリーダーにも必要となる素養です。

リフレクションやセルフリーダーシップを身につけた人材がリーダーになれば、ほかのメンバーのリフレクションにもつながり、より強固なチームを形成できるでしょう。

従業員の成長

リフレクションを取り入れると、日々の業務一つひとつに対して振り返り、改善する習慣が生まれるため、従業員の成長につながります。

誰かに指示されないと動けないような状況では、業務改善はもちろん、効率化やモチベーションアップも期待できません。しかし、リフレクションで振り返りができるようになれば、自主的に問題点を見つけて改善しようとするため、学ぶ力が向上します。これにより、スキルアップやモチベーションアップが期待できます。

リフレクションを導入する際のプロセスやフレームワーク

リフレクションを効果的に実施するためには、3つのプロセスと主要なフレームワークを理解しておくことが大切です。

リフレクションを実施する際の3つのプロセス

リフレクションを実施する際は、以下3つのプロセスで行います。

プロセス1:過去に起こった出来事を振り返る

まずは、過去に起こった出来事を客観的に振り返ることから始めます。

プロセス2:経験した出来事における周囲の影響を振り返る

次に、過去に起こった出来事における因果関係を振り返ります。経験した出来事に他者や環境を照らし合わせて振り返りましょう。

プロセス3:自分自身の行動について振り返る

最後に、プロセス1と2の振り返りを通して、自分自身の行動を振り返ります。振り返りの際は、実際の行動よりもさらに良い行動を考えるようにしましょう。

大抵の場合はプロセス1もしくは2で終わってしまいますが、プロセス3まで振り返りを行うことで、新たな気付きや改善につながります。

リフレクション教育に用いられるおもなフレームワーク

3つのプロセスを実践するうえでは、以下3つのフレームワークを用いるのが効果的です。

KPT法

KPT法とは、「Keep(良かった点を続ける)」「Problem(問題点や課題を見つける)」「Try(問題点や課題に挑戦する)」を中心に振り返りを行う手法です。
KPT法は、課題の早期発見や、改善のためにやるべきことを明確化したい場合に有効で、個人はもちろん、チーム全体での振り返りなどでも活用されています。

KDA法

KDA法は、「Keep(今後も続けること)」「Discard(今後はやらないこと)」「Add(新しく始める、挑戦すること)」を中心に振り返りを行う手法です。
KPT法と似ていますが、KDA法は今後やめるべきことを明確化するのに効果的で、活用すれば改善タスクの増えすぎを防止し、本当に必要なタスクのみを見極められます。

YWT法

YWT法は、「Y(やったこと)」「W(わかったこと)」「T(次にやること)」を中心に振り返りを行う手法です。
YWT法は出来事ではなく自分を軸とした振り返り手法で、自律的な人材育成が本質となります。業務や出来事の振り返りでは自分の考えや個性が埋没しがちですが、YWT法を活用することで一人ひとりの個性や潜在能力が引き出され、リフレクションの効果を高められます。

リフレクションの具体的な実践方法

リフレクションの具体的な実践方法

リフレクションは、以下のような個人・組織の学習の中でよく用いられます。

経験学習モデル

経験学習モデルは以下4つのプロセスを繰り返すことで、リフレクションで得た学びを活かせるようになります。

(1)経験

実際に経験したことに対して自ら考え、動き、その結果を自分自身で受け入れることで、さまざまな気付きを得ます。

(2)省察

自分が経験した出来事をさまざまな視点から客観的に振り返り、考察します。

(3)概念化

内省的反省で得た気付きを、ほかの場面でも展開できるように概念化するプロセスです。その際、自分以外に展開するまで表現できると、組織全体の成長につながります。

(4)実験

概念化された気付きを、ほかの業務に応用します。こうすることで効果や改善点が明確になり、経験から得た学びを活かせるようになります。

ダブルループ学習

ダブルループ学習は、ハーバード大学の研究者であるクリス・アージリス氏によって考案された手法で、目的を達成するための軌道修正力や変容力を高める学習モデルです。

クリス・アージリス氏によると、組織における学習プロセスには「シングルループ学習」と「ダブルループ学習」の2つがあり、これら両方を繰り返すことで組織の競争優位が保てます。

シングルループ学習

過去の学習や成功体験で得た行動、考え方などから問題解決を図り、その過程で学習すること。

ダブルループ学習

起こった問題だけでなく、既存の目的や前提までさかのぼって考え、軌道修正を行うこと。

ダブルループ学習は、シングルループ学習に比べてさらに深い思考が必要となり、シングルループ学習では解決できないような問題に効果的です。リフレクションの目的は自分の行動の改善にあることから、内省につながるダブルループ学習は実に効果的なモデルといえます。

まとめ

優秀な人材を育成するためには、リフレクションの導入がとても効果的です。リフレクションでは、出来事に対して自分で振り返り、改善を行うため、個人の成長はもちろん、リーダーの育成や生産性の向上などが期待できます。

ただし、リフレクションは体系化されている部分もあるため、プロセスやフレームワーク、手法などを理解したうえで実施しましょう。

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