人材育成・研修・マネジメント用語集GLOSSARY

ワーク・ライフ・バランスとは

ワーク・ライフ・バランスをそのまま日本語に訳すと、「生活と仕事の調和」となり、生活と仕事の両者が本人にとって快適なバランスでつり合っている状態を指します。ワーク・ライフ・バランスは、仕事と生活どちらを重視するかの意味で誤解されやすいですが、どちらかを犠牲にすることなく両者を重視し調和させることが大切です。
近年は育児や介護など、仕事外の家庭内の役割などでまとまった時間を使うことが必要な労働者も増えています。そのため、多様な側面からのワーク・ライフ・バランスの認識が必要になってきています。

ワーク・ライフ・バランスの定義

ワーク・ライフ・バランスの定義
内閣府によると、仕事と生活の調和が実現した社会は以下のように定義されています。

「国民一人ひとりがやりがいや充実感を感じながら働き、仕事上の責任を果たすとともに、家庭や地域生活などにおいても、子育て期、中高年期といった人生の各段階に応じて多様な生き方が選択・実現できる社会」

具体的には、以下のような社会を目指すべきとされています。

・就労による経済的自立が可能な社会
・健康で豊かな生活のための時間が確保できる社会
・多様な働き方・生き方が選択できる社会

引用元:仕事と生活の調和とは(定義) - 「仕事と生活の調和」推進サイト - 内閣府男女共同参画局
http://wwwa.cao.go.jp/wlb/towa/definition.html

■「ワーク」と「ライフ」の関係性と境界

かつては公私が明確に分けられ、「ワーク」と「ライフ」は対立する関係にあるとの考えが一般的でした。
しかし、両者は完全に切り離せるものではなく、プライベートの充実が仕事にも好影響をもたらすと認識している企業が増えています。
また近年、テレワークを導入する企業が増えたことにより、生活空間で仕事を行うケースも増えており、「ワーク」と「ライフ」の境界は曖昧になってきています。
この変化をネガティブに捉えるのではなく、ワーク・ライフ・バランスについての認識を改めるきっかけとしていくことが求められているといえるでしょう。

ワーク・ライフ・バランスが重要視される要因

ワーク・ライフ・バランスが重要視されるに至った背景には、日本の社会構造の大きな変化があります。
ここでは、その5つの要因をご紹介します。

■少子化対策

日本における、少子化の進行は深刻です。少子化にはさまざまな要因がありますが、その1つに「就業と育児が二者択一の関係にあること」が挙げられます。非正規労働者の増加や長時間労働の常態化など、女性が妊娠・出産を経て働き続けることが困難になる場合があります。
しかし、ワーク・ライフ・バランスの実現によって、仕事と育児の両立を図るという選択肢が生まれます。
また、男女ともに未婚・晩婚率は上昇傾向にあります。地域社会への参加機会や出会いの機会を増やすためには、仕事以外の時間を充実させることも重要です。
従業員が十分な余暇時間を取ることができるよう、ワーク・ライフ・バランスへの取り組みが必要だといえるでしょう。

■高齢化への対応

「人生100年時代」ともいわれるように平均寿命が年々伸び、日本は超高齢社会となっています。それに伴い、家族の介護や看護のために仕事を辞める、いわゆる「介護離職」が増えています。
優秀な人材が介護のために離職を余儀なくされることは、人材不足の職場にとっては大きな痛手となります。
それらに加え、高齢化と長寿社会によって定年の延長や老齢年金の受給開始年齢上昇の可能性もあり、多くの人が健康で長く働くことの重要性も増しています。長時間労働を是正し、個人に合った働き方を選択できるよう企業や社会が変化していくことで、年を重ねても無理なく働き続けられる社会の実現につながるでしょう。

■労働者・人材不足

少子化や高齢化の進行にともなって、労働人口も年々減少しています。企業間の人材獲得競争が激化し、人手不足によって危機に陥る企業が増える可能性もあります。「ブラック企業」などと呼ばれる、劣悪な労働条件を強いる会社は働き手に選ばれなくなるでしょう。
各企業はそのような状況下で生き残りを図るため、優秀な人材を確保しなくてはなりません。
そのためにも、企業単位でワーク・ライフ・バランスの実現を目指す必要があります。

■日本の社会全体の変化(女性の社会進出、共働き家庭など)

労働人口の減少から、夫婦共働きが当たり前の世の中になりました。1990年代後半に共働き世帯が片働き世帯を上回って以降、その割合は右肩上がりで増加しています。現在は共働き家庭が全体の5割を超えると同時に、核家族も増加しています。
また男性が家事や子育てをすることも当たり前となり、仕事だけに専念していればよいという価値観は過去のものになっています。働くすべての人が、従来の働き方を見直す必要性を感じているといえます。

■働き方改革の取り組み

アベノミクスの成長戦略の一環として、2019年4月から「働き方改革関連法」が順次施行されました。
長期にわたる経済の低迷や労働人口の減少に直面する今、生産性向上による経済持ち直しのためにも働き方改革が急務といわれています。
長時間労働や十分な休日を設けないなどの悪しき慣習を改め、国民一人ひとりが心身共に健康で満足度の高い生活を送ることが重要とされています。

ワーク・ライフ・バランスの必要性については、以下のインタビュー記事でも詳しくご紹介しています。
●ワーク・ライフ・バランスを成功させる小さなヒント

ワーク・ライフ・バランスを実現するメリット

ワーク・ライフ・バランスを実現するメリット
ワーク・ライフ・バランスを実現させることにより、企業と従業員の双方に以下のようなメリットがもたらされます。

■企業側のメリット

企業にとってのメリットは、優秀な人材の確保や社員のモチベーション向上です。労働人口が減少するなか、多くの企業が人材の確保に苦戦しています。ワーク・ライフ・バランスを軽視する企業には優秀な人材は集まらないでしょう。
また、時間をかけて育成した優秀な社員が出産・育児・介護を理由に離職することは企業にとって大きな痛手です。
ワーク・ライフ・バランスの実現によって社員の心身の健康が保たれれば、モチベーションの向上も期待できます。一人ひとりにスキルアップや自己啓発を行う余裕が生まれたり、限られた時間の中で最大限の効果を出すことを目指したりすることで、結果として企業全体の生産性アップにもつながるでしょう。
ただし、企業側もただ労働時間の削減を提言するのではなく、無駄な仕事を減らしたり会議を少なくしたりする努力も必要です。
また、ワーク・ライフ・バランス実現の取り組みによって企業イメージが向上し、優秀な人材の確保にもつながります。

■従業員側のメリット

ワーク・ライフ・バランスは従業員にも大きなメリットをもたらします。
出産や育児、介護などライフの比重が高くなる時期も仕事を辞めずに両立できることは喜ばしいことです。
長時間労働のストレスを回避し、休息やレジャー、育児・介護の機会が得られることで、従業員当人だけでなくその家族にも充実感が生まれるでしょう。
また、仕事への好影響も期待できます。家庭でのコミュニケーションや社会活動の経験が視野を広げ、仕事をする上でのヒントになることもあるでしょう。仕事以外の情報を数多く得ることや人間関係の拡大が、新たな発想を生む可能性もあります。

ワーク・ライフ・バランスの取り組み事例

ここからは、ワーク・ライフ・バランスを実現するための具体的な取り組み事例をご紹介します。
ワーク・ライフ・バランスは一朝一夕で実現するものではありませんが、制度や意識を変えて徐々に成果につなげていきましょう。

■所定外労働時間の削減

世界的にも、日本国民の労働時間の長さは問題視されています。2019年に施行された「働き方改革関連法」でも長時間労働の是正が、優先的に取り組むべき課題として掲げられました。
職場で残業が常態化しているなら、制度の見直しと社員の意識改革が必要です。ノー残業デーやフレックス制度の導入、社員間での業務負荷状況の共有を行うことなどで、所定外労働時間の削減につなげられます。

■有給休暇取得の推進

働き方改革関連法には、年次有給休暇取得の義務化も盛り込まれています。有給休暇の取得はすべての従業員に認められた権利ですが、日本の有給取得率は諸外国のなかでも極めて低い状況にあります。
有給休暇を取得しやすい仕組み作りは、企業にとっての急務でしょう。

■男性の育児休暇取得

女性の育児休暇取得率は、現状でも8割を超えています。その一方で、男性の育休取得率は上昇傾向にあるものの、依然5%前後と低い水準にとどまっています。男性も育児休暇を取得して子育てに参加できるよう、制度の充実と企業単位で取得を後押しする流れを生むことが重要です。

■短時間勤務制度

企業が定める所定労働時間は8時間が一般的ですが、正社員でも6時間などの短時間勤務を採用している企業もあります。また、フレックスタイムやテレワークを併用することでさらに柔軟な働き方を実現できます。
このような制度下においては働いた時間だけではなく、成果による評価を併せて導入することも必要です。

■社外活動の充実

ボランティアや地域貢献活動に取り組むことで、多様性の理解につながったという事例もあります。充実した社外活動を送って柔軟な対応力を身につけることで、職場においても業務への好影響が期待できるでしょう。

おわりに

ワーク・ライフ・バランスの実現は、今や社会全体で取り組むべき課題です。少子高齢化に歯止めをかけるため、また人々が充実した人生を送るためにも、ワーク・ライフ・バランスの実現は必須事項です。
企業が現状を大きく変えることには困難もともないますが、その先には業務生産性の向上、競争力強化など多くのメリットがもたらされることが期待できます。
少しずつでも制度や意識を変革し、誰もが生き生きと働ける社会を目指しましょう。

ワーク・ライフ・バランスについてはこちらでもご案内しています。ぜひこちらもご覧ください。
●ワーク・ライフのポジティブな関係性
●ワーク・ライフ・バランスを成功させる小さなヒント
●RMS Message vol.61

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