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導入事例

「女性経営塾」の先に見据える 真のダイバーシティの実現

株式会社損害保険ジャパン

「女性経営塾」の先に見据える 真のダイバーシティの実現
  • 公開日:2013/06/26
  • 更新日:2024/04/19

事例概要

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背景・課題

損害保険業界における「お客さま評価日本一」を達成するために、多様な社員の力を引き出す「ダイバーシティ」に注力。その取り組みの一つとして、女性活躍推進を目的とした「女性経営塾」をスタートしました。

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検討プロセス・実行施策

対象者に綿密なヒアリングを行い、損害保険ジャパンの女性社員に特化した部長職以上の育成カリキュラムを構築。経営トップが本施策の意義とそこにかける想いを受講者に訴える機会も作りました。

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成果・今後の取り組み

「女性経営塾」は成功をおさめ、第三者機関からもダイバーシティ推進企業として高い評価を受けました。より裾野を広げる意味で、次の「プレ女性経営塾」「キャリアアップ研修」も実施。ダイバーシティの実現に向け今後も活動を継続します。

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背景・課題

全社員の6割を占める女性の力を引き出したい

全社員の6割を占める女性の力を引き出したい

当社は「お客さま評価日本一」を最重要の経営戦略目標に掲げ、国内損保における“真のリーディングカンパニー”を目指す損害保険会社です。「保険」は目に見えないサービスであるため、商品そのものだけでの差別化は難しく、お客さまの評価は当社で働く「人」の評価が大きく影響する傾向があります。つまり「お客さま評価日本一」を実現するためには、「人材力日本一」を目指す必要があると考えました。
では「人材力日本一」を目指すためには、どうすべきか。世の中のニーズが多様化している今、さまざまなバックグラウンドを持った人材が魅力を発揮するダイバーシティの実現が不可欠です。「モノカルチャー」は変化に弱く、「マルチカルチャー」は変化に強い。すなわちダイバーシティの推進は、変化の激しいこの時代に立ち向かう、強い組織をつくることにもなります。

その取り組みの一環として、2010年より社員の約6割を占める女性の活躍推進を「戦略」と位置づけ、それまで業務職と総合職に分かれていたコース別人事制度を廃止して区分を一本化するなど、人事制度改革を行ってきました。

2011年度には「女性経営塾」という施策を開始。その目的は、部長職以上の女性管理職育成と、現状約3.9%の女性管理職比率を2015年度末までに10%以上に引き上げることです。女性が活躍できる組織には、出産や育児などへの支援施策はもちろんのこと、未来を描くキャリアパスと、その道を歩んでいるロールモデルが必要です。そのため、対象となる彼女たちには女性社員の手本になってもらいたいと考えました。

2010年度から2011年度、私たち人事担当者は約10カ月かけて全国の拠点を回り、約600名の係長クラスの女性社員にヒアリングを行いました。そこで浮き彫りになった課題は女性社員のリーダー志向が弱いこと。リーダーシップを積極的に発揮したいという女性社員は全体のわずか3割ほどで、「リーダーになるつもりでやってきていない」「社員を率いていく自信がない」などの消極的な声も多かったのです。私たちはその理由の一つを、社内にロールモデルが不足しているからだと分析しました。身近にお手本がいないので、リーダーとして手腕を発揮する姿をイメージしにくいというわけです。一方で、男性管理職には、能力の高い女性社員にふさわしい活躍の機会を与える経験が不足していました。女性社員の昇進の障壁となる「ガラスの天井」。まずはこれを取り除くことが、私たちの仕事だと痛感しました。

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ソリューションプランナーの声

我々が目指すのは事業課題の解決であり、パッケージ研修の提案ではありません
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当ソリューションプランナー

「女性経営塾」のご相談をいただいたとき、損害保険ジャパン様がそれを行う理由について深く理解するために、さまざまな方にお会いしてヒアリングさせていただきました。「『女性経営塾』を始める真の目的とは」「損害保険ジャパンにおける顧客満足とは」など、集めた情報を精査した上で、事業課題を解決につなげる施策をご提案するためです。嬉しいことに、提案・納品の過程で藤中様をはじめとするみなさまから、「私たちよりも当社のことを良く知っている」とお褒めの言葉をいただくことも。今後も、情熱を持ってダイバーシティの推進に取り組む藤中様とともに「真のダイバーシティ実現」とその先にある「お客さま評価日本一」を達成するため、力添えしていきたいと思っております。

検討プロセス・実行施策

「なぜ女性だけ?」という声に、言葉を尽くして施策の重要性を説く

「なぜ女性だけ?」という声に、言葉を尽くして施策の重要性を説く

「女性経営塾」の実施に至るまでには苦労もありました。例えば、対象メンバーの選抜。職務能力とリーダー志向を持った女性社員を選抜して参加を要請したところ、本人やその上長から「なぜ女性だけ集めるのか」「通常業務だけでも忙しいのに、さらに負荷をかけるのか」など、反対意見が上がってくることもしばしば。この取り組みが「お客さま評価日本一」の目標達成に向けて、欠かすことのできないものであること、女性活躍推進はトップから発信されている戦略メッセージであることなど、一人ひとりに言葉を尽くして理解を得ていきました。

また、「女性経営塾」の内容についても頭を悩ませました。当初はマネジメントスキル習得に重きを置いたMBAのカリキュラムなどを考えていましたが、他社の事例を調べてみると継続性が低いことが分かったのです。やるからには長く続ける施策にしたい、他社がやっていないような新たな価値を生み出す施策にしたい。そのため、リクルートに「女性経営塾」について相談し、当社にフィットするプログラムを二人三脚で作っていくことにしました。

10カ月にわたるプログラムで、受講者の「自信」と「覚悟」を駆り立てる

リクルートから「研修カリキュラムを組み立てる前にヒアリングしましょう」という提案をいただき、事務局の同席なしで、対象者、対象者の上司・部下にヒアリングを実施いただきました。その結果、「部下の育成の仕方が分からない」「キャリアビジョンを描くことができない」など共通の悩みがあると分かったのです。さらに調査を行った結果、メンバーの話を「きく力」が弱い傾向にあることなども分かりました。女性はコミュニケーションが得意だから、きく力も優れているものと思い込んでいたので、これはとても意外でしたね。これらの情報を参考に、マネジメントスキルだけでなく、「きく力」をはじめとするヒューマンスキルの向上、そして最も重要なリーダーとしての「自信」と「覚悟」を持つことのできるカリキュラムを組み立てました。

具体的には、10カ月間に2泊3日の研修を6回実施し、研修で持ち帰った課題とその解決に向けた行動計画を上司と職場に報告することをルールとしました。研修前は、受講者が上司に遠慮しがちで、「上司に対するリーダーシップ」が弱いことが分かっていましたが、報告を義務付けたことで、中間管理職に欠かせない上司に対するリーダーシップも身に付いてきたようです。なにより、研修を通じて対象者とその所属する部署に、損害保険マーケットという特異なフィールドでビジネスをしているという自覚が生まれたことが、一番大きな変化と言えるかもしれません。

「女性経営塾」に当社の役員が積極的に参加したことも、研修の効果に大きな影響を与えていると思います。社長をはじめとする経営陣が、一期生16名のためだけに山梨の研修所に出向き、本施策にかける思いを熱く語ってくれたのです。研修中の彼女たちの表情から「自信」と「覚悟」を掴もうとする意志が感じられたのは、そのおかげもあったと感じています。

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トレーナーの声

メンバーが成長していく10カ月
株式会社リクルートマネジメントソリューションズ 担当トレーナー

受講者の中で「女性経営塾」の取り組みには、これまでの女性活躍推進施策と同様に受け止め、「またか」という思いが少なからずありました。しかし、経営トップからの再々の期待を直にきく機会を得て、またマネジメントやマーケティング学習から大きな気づきを得ていきました。私も回を重ねるごとに同期意識が醸成され、成長していくメンバーをみて経営塾の成功を確信しました。研修ではコンセプチャルスキルとヒューマンスキルの強化を狙い運営しましたが、確実に変化するメンバーを実感した10カ月でした。

成果・今後の取り組み

「女性ならではの視点」と「率直な物言い」 研修で見えた女性社員の可能性

「女性ならではの視点」と「率直な物言い」 研修で見えた女性社員の可能性

「女性経営塾」の最終課題は「経営陣への提言」です。その総仕上げ中に、新たな課題が見えてきました。提言の論拠がとても曖昧で、役員たちから「なぜ?」と厳しいツッコミが入るのが目に見える内容だったのです。そのため、リクルートにもフォローしていただき、チームごとに前日のギリギリの段階まで内容を練ることになりました。

そして迎えたプレゼン当日。滅多に足を踏み入れることのない役員室の中で、ずらりと並んだ経営陣に意見するのは緊張して当然のはず…なのですが、彼女たちは意外にも堂々していたのです。女性ならではの視点にもとづいた提言が出てきたときには、経営陣より「すぐに実践するように」と、その場で指示が飛びました。こんな風に経営陣を前にしても物怖じせず提言が行える女性ならではの強さは、ともすると右に倣えになりがちなモノカルチャー脱却の原動力となるでしょう。
また、研修に対して真剣に取り組み、「自信」と「覚悟」を手にした彼女たちが、上層部に熱く語りかける姿を見て、とても嬉しく、また頼もしく感じました。「女性経営塾」に対してトップが抱いていた、「女性ならではの視点」と「キラリと光る人材の発掘」という二つの期待を叶えることもできたようです。

世界中5万人の社員が、のびのびと力を発揮する会社へ

2013年3月には「女性経営塾」の活動も含めたダイバーシティ推進の取り組みが評価され、NPO法人J-Win(ジャパン・ウィメンズ・イノベイティブ・ネットワーク)主催のダイバーシティ推進に積極的に取り組んでいる企業を顕彰する「2013J-Winダイバーシティ・アワード」で「ベーシックアチーブメント大賞」を受賞することができました。しかしながら、これで満足するつもりはありません。「女性経営塾」はこれからも継続していきますし、より裾野を広げる意味で、次のリーダー候補を育てる「プレ女性経営塾」「キャリアアップ研修」も開始しています。

現在は女性活躍推進が活動のメインですが、NKSJグループでは、世界中で5万人の国籍、性別、年齢、出身などが異なるさまざまな役職員が働いています。このような社員の多様性を認め、力にかえていくことがグループがさらに成長し、世界で伍していくために必要不可欠であると考えています。
真のダイバーシティの実現は、一朝一夕でできるものだとは思っていません。多様な社員がのびのびと力を発揮できる環境をつくるために何が求められるのかを常に考え、継続的に施策を行っていきたいと考えています。

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受講者の声

  • 最初は「なぜ女性だけが集められるの?」と疑問を抱いたまま参加していました。しかし、「顧客価値」について徹底的に考えたことが転機となり、顧客目線を意識して仕事に取り組むように。職場も巻き込んで「顧客目線ではなく自分本位の仕事になっていないか」をチェックする習慣が生まれました。
  • 「自分が成し遂げたいこと」「職場に欠けていること」など、目の前の仕事に追われているときには、なかなか考えられないこととじっくり向き合う機会になりました。10カ月かけて学んだことを、しっかりと職場にフィードバックしていきたいです。
  • 同じ職場でスペシャリストを目指せばいいと思っていましたが、女性経営塾の参加者の刺激を受け、一つ上のステージに挑戦したいと考えるようになりました。

取材日:2013/06/26

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企業紹介

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