カタリ場研修 参加者座談会 高校生との対話を通じて、心に火が灯りました

高校生の心に火を灯すキャリア学習プログラム「カタリ場」。その運営を担うNPOカタリバと弊社は連携して「カタリ場研修」を展開しています。目指す成果は、会社での立場や役割を外し、「個人」として高校生やカタリ場を運営する大学生などの多様な価値観に触れることによって、受講者たちの新しいチャレンジに向けた決意や行動を促すことです。
今回はカタリ場研修を採用した日本ランズエンド株式会社の参加者のみなさんに、研修中に感じていたことやそこで得た気づき、ご自身が影響を受けたエピソードを、ざっくばらんに語っていただきました。

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PROFILE

佐藤さん マーチャンダイジング部米国ランズエンドと日本のマーケットをつなぐ日本ランズエンドのマーチャンダイザー

林さん マーケティング部マーケティング部でデータ分析を担当。分析をもとに販売促進の最適化を行う
川村さん 人事総務部採用・教育など人事業務全般を担当。カタリ場研修の導入担当者

※以下、敬称略
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カタリ場を社会貢献活動と捉え、前向きに参加

川村:2人は最初、カタリ場がどんなもので、自分が何をすることになるのか理解していましたか?

林:最初は軽く高校生と関わるだけかなと思っていたし、当日どんなことをするか全然想像できていなかったです。今回みたいに生徒5人を相手に話すと思っていなかったから、内容を知ってゾッとしました。私はあまり人と話すのが得意じゃないのでとても心配でしたね。

佐藤:生徒に話をするのがカタリ場を運営するキャスト(ボランティアスタッフ)の役割で、僕らはそのサポートをするのかなと思っていました。ガッツリ話を聞くことになると知ったのは、カタリ場研修の事前プログラムのときですね。ちなみにカタリ場の当日、会場の高校の最寄り駅に大勢の大学生がいて「何の集団だろう?」と思っていたんですが、全員が語り場のキャストだと知って驚きました。

林:私もボランティアであんなに集まるんだって思ってびっくりしました。

川村:カタリ場研修で、合計で2日半くらい費やすことに対して抵抗はなかった? 僕は2人に「忙しい」って言われないか心配だったんですよ。

林:私は会社として社会貢献活動をするのはいいことだと思っていたので、全く嫌とは思わなかったです。

佐藤:そうですね。たかだか数日だから業務に支障が出るとは思わなかったですね。むしろ、外に行けてラッキーくらいの感覚でした。まあでも、カタリ場の当日はエネルギーを消耗して、へとへとになりましたけど。

大学生のキャストからダメ出しを食らう

川村:カタリ場出張授業の当日の朝、大学生のキャストのみなさんから、対話の進め方について手ほどきを受けましたよね。みんな別々のグループに割り振られてはなればなれになったので、2人の様子が分からなかったんですがどんな感じでした?

林:私は高校生たちの話を引き出せるかどうか不安で、キャストのアドバイスを聞きながら必死に対話の練習をしました。直前までできる気がしなかったのですが、キャストの励ましもあり、最後には「私にもできるかも」と思えるようになりました。

佐藤:あの時間はすごくよかったですね。カタリ場がどんな風に展開されるのかよく分かりました。ただ僕は、大学生のキャストから結構ダメ出しされました。「しゃべるのが速すぎませんか?」とか「勢いはあるけど、もっと届くように話した方がいいですよ」とか言われて。はい、すみません……みたいな。

林:結構、厳しく言われていたんですね(笑)。私は褒めてもらいましたよ。

川村:僕も褒めてもらいましたね。キャストの子が優しかったので。キャストが個性豊かなのもカタリ場の面白いところかもしれないですね。

カタリ場でしか生まれない一期一会の対話

川村:いざカタリ場が始まってからはどう? 高校生とうまく話せましたか?

佐藤:僕は勢いでいった感じですかね。とにかくしゃべらないといけないって思っていました。生徒と2人になったらなるべく聞くようにしていたんですが、自己紹介では僕が8割くらい話していたかな。ちなみに「何か質問ある?」と聞いたら、ある生徒に「何歳?」って聞かれまして。周りが大学生のキャストばかりだったから、40代の僕が異質に見えたんでしょうね。

林:私は「真向かいには座らない」とか「高校生となるべく近い距離で話す」など習ったことを必死で実践していました。でも、いざ言葉のキャッチボールが始まると、5人を相手に話すのは大変で。2人くらいとはじっくり話せたのですが、終わったときは「ちゃんと話を聞いてあげられなかったな」と反省しました。

川村:僕はパッと見はおとなしそうな男の子が、中学校時代の辛い経験を経て、「勇気のある大人になりたい」と話してくれて感動しました。2人は印象に残ったことはありましたか?

林:美術の道に進みたいけれど、家族の賛成を得られない女の子の話ですね。「素直な気持ちを、お父さんに話してみれば?」としか言えなかったけれど、目を大きく見開いて聞きながら、「やってみます」と言ってくれたことが印象的でした。

佐藤:カタリ場って「斜め上の関係」だからこそ生まれる対話がテーマだと思うんですが、僕は斜め上ではなく先生みたいになってしまって。生徒に寄り添うつもりでやっていたんですが、振り返ってみると関わり方が100点満点ではなかったと思いますね。次にやる機会があれば、この反省を生かしたいです。

カタリ場は終わってからが本当の始まり

林:カタリ場が終わったときは、疲労感がドバっと出ましたよね。

佐藤:やりきった感じの疲労感がありました。

川村:カタリ場の直後は独特の高揚感があって、疲れているんだけど、感情があふれているような状態。その場にいたみんなともっと話したいし、感動を分かち合いたいと思っていました。それで、キャストのみなさんの打ち上げにも参加したのですが、会場に向かう電車のなかで急に猛烈な疲れを感じて。改札を出てそのまま帰ろうかと思ったくらい(笑)。でも、打ち上げも素敵な時間でしたよ。

林:後日、カタリ場の振り返り研修をしたとき、「高校生がとらわれていた枠ってなんだろう」というテーマで話をしましたよね。そのとき私は、「親子代々この町に住んでいるから、自分もこの町で仕事をして結婚して子供を産んで育てるんだ」って思い込んでいる子のことを思い出しました。高校生でまだ若いのに、自分の可能性をあきらめちゃっているというか……。

川村:僕は「二次元にしか興味がない」と言っていた男の子が印象的でしたね。現実は大変だし、努力しても意味がないから、だったら二次元が楽しければいいという感じ。自分で自分の境界線をつくってしまっている気がしましたね。

自分たちも見えない枠にとらわれていたと気づく

佐藤:自分はこういう人間っていう決めつけは、僕もしていたなぁと思います。仕事や家事で忙しくて時間がないって思い込んでいたかもしれないなと。自分の可能性を広げる時間を、もっと増やしてもいいんじゃないかと思いました。

林:私は自分がポジティブな人間だと思い込んでいて、そうじゃない考えや行動を許せなかったんです。だけど、カタリ場研修後、ダメなところも素直に受け入れられるようになったかな。あとは、私は新しいことを始めるのが好きな半面、1つのことを極めた経験がないから、何か1つにフォーカスして、誰にも負けない何かをつくりたいと思うようになりました。

川村:僕は人と関わるときに、強く、大きく出ようとしすぎていたのかなと。大きく見せようとするのは、自分がすごく小さい存在だと自覚しているからなんですよね。「人が変わるためには信頼感、安心感がある他者が必要」というカタリ場のキャストの声がずっと頭のなかにあったのですが、これからはその「他者」を目指したい。強く、圧迫的に関わるのではなく、安心感を与えられる存在になりたいですね。

目が合うと「ニヤッ」とする、同期のような関係

川村:カタリ場研修を受けてから、受講したメンバーとのコミュニケーションがずいぶん変わりましたよね。以前はすれ違うときに「お疲れさまです」と軽くあいさつを交わすくらいでした。

佐藤:それが、目が合っただけで「ニヤッ」とするようになりましたよね。あのカタリ場という独特の場を共に乗り切った戦友というか、「同期」のような関係になった。

林:それ、なんとなく分かります。私もみなさんと会ったら、とくに用事がなくても立ち話をするようになりました。仕事でのやり取りも変わりましたよね。例えば、これまでメールでやり取りするとき、敬語で堅苦しかったのが、ずいぶんフランクになったと思います。親近感がすごく湧きました。

佐藤:仕事中、ふとカタリ場を思い出すことがあるんですよね。ミーティングなどのときに「あ、今、自分は上っ面で話している。これではいけない」と戒めることもあります。

林:私は人の話を「へー」で終わらせてしまうことが結構ありました。だけど、最近は1つ質問をぶつけてみたり、あまり興味が湧かなかったことにも興味を持つようにしたり、という風に意識が変わりましたね。こっちが興味を持っていることを知ると相手も話しやすくなるようで、友人や同僚とのコミュニケーションも変わりました。

川村:僕は元気になったかな。感情のエネルギーが高まったというか。例えば、電車のなかで全然知らない人たちのほっこりシーンでもにっこりしちゃうくらい感度が上がっていて、心から「よかったね」と思うんですよ。

佐藤:それはちょっと……電車のなかでニヤニヤしちゃうと怪しいから気を付けた方がいいね(笑)。

川村:そうかも(笑)。とにかく、カタリ場でいろいろな人と本質的に関わって、感情の揺らぎを受けて、元気になれたのかもしれません。

過去を振り返り、現在地を確認して、未来に一歩踏み出す

林:カタリ場をきっかけに、これからどうしていきたいのか真剣に考えるようになりました。高校生のためにカタリ場を頑張ったんですが、結果として、自分の対話姿勢が変わったり、仕事に取り組む姿勢が変わったり、仕事以外の部分でもプラスの変化がありました。

佐藤:それは僕も同じ。高校生の心に火を灯すことができたかどうかは分からないけれど、カタリ場は自分にとって100%いいものでした。

川村:今の自分を理解すると、何をしたいのか見えてくる、そのことにあらためて気づかされました。組織をよくしようと考えたとき、まず現状を分析するのがセオリーですよね。でも、個人になると今の状態を整理することがあんまりない。だから、会社から出て、カタリ場という特殊な空間で、そこにいる人たちと太い関わりを持って、素の自分と向き合うのはとても有意義でしたね。

林:目の前の仕事に追われて、キャリアを設計する時間がないという人にこそ、カタリ場を体験してほしいです。

佐藤:多分、僕が25歳のときに人生を振り返っても、経験がないから見えてくることが少ないと思う。反対に50歳でカタリ場研修を受けて気づきを得ても、なかなか人生を軌道修正するのは難しい。そういう意味で、最高のタイミングでのカタリ場だったのかもしれないです。40歳の今、カタリ場を経験できたことに、心から感謝しています。

※「カタリ場研修」の詳細をご覧になりたい方はこちら


企業・団体PROFILE

日本ランズエンド株式会社
1993年10月設立。米国ランズエンドが企画、製造、販売する紳士服、婦人服、子供服、雑貨、装身具、靴、鞄などの通信販売を行う。「洋服だけでなく、よりよい未来づくりの担い手でもありたい」という願いから社会貢献活動にも積極的。

認定NPO法人カタリバ
高校生の意欲を引き出すことを目指したキャリア学習プログラムを運営。「一生懸命に何かを頑張ることは、ダサくないと分かった」「こんなに自分のことを、話したのは初めて。うれしかった」など、“ナナメの関係”にあたる大学生や社会人との対話によって、高校生の心に火を灯す。
「自分もこんな大人になりたい!」と思える出会いをきっかけに、将来へ主体的な“一歩”を踏み出せるよう、年間300校以上で授業を行う。

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