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調査レポート

会社や上司からの管理に関する意識調査

管理過剰感に関係する会社や上司の特徴とは

  • 公開日:2024/05/28
  • 更新日:2024/05/28
管理過剰感に関係する会社や上司の特徴とは

会社や上司による管理は、組織としての効率性やリスク回避の観点からも必要なことだ。従業員の成果創出や安全配慮義務の履行を目的とした管理もある。ただし、その管理が行きすぎると、従業員としては、管理されすぎて息苦しい、わずらわしいと思うこともあるかもしれない。どのような管理がどれくらい行われると過剰だと感じるかは、個人の感じ方や置かれた状況によっても異なるだろう。そこで、本調査では、会社や上司からの管理をどの程度過剰だと感じているかという「管理過剰感」の把握を試みた。その実態を会社員930名のアンケートをもとに探っていきたい。

目次
5~6割が会社に対して、3~4割が上司に対して、管理過剰感がある
対会社は「ノルマ・監視・規則」など、対上司は「細かな指示・報連相・介入」などの具体的なエピソード
会社管理過剰感と関係あるルール形骸化や閉塞感
上司管理過剰感と関係ある細かな報連相と支援のなさ
オープンでもルール形骸化なら管理過剰感は高く
細かな報連相が必要でも支援あれば管理過剰感緩和
会社や上司からの管理過剰感が高いと、適応感や主体性は低く、疲弊感や離職意向は高い

5~6割が会社に対して、3~4割が上司に対して、管理過剰感がある

会社員は、会社や上司からの管理を過剰だと感じているのか(以下、本稿では「管理過剰感」とする)。どのような場面や状況でそう感じるのか。その実態を把握するために調査を実施した。調査概要は図表1のとおりである。

<図表1>調査概要「会社や上司からの管理に関する意識調査」

調査概要「会社や上司からの管理に関する意識調査」

まず、会社からの管理、上司からの管理、それぞれ4つの視点から現在の管理過剰感を捉えることを試みた。シンプルに1.管理しすぎと感じているか、ということに加え、2.管理に息苦しさを覚えるか、3.管理がわずらわしいと感じているか、といった心理的な負担感、そして、4.この管理がなければもっと高い成果が出せるのにというもどかしさがあるか、の4つである。調査では、あえて「管理」という用語の定義は行わずに、回答者自身が考える「管理」に基づいて回答してもらった(図表2)。

<図表2>会社や上司からの管理過剰感〈単一回答/n=930/%〉
あなた自身は、現在お勤めの会社について、以下のことはどの程度そう思いますか。
あなた自身は、現在のあなたの上司について、以下のことはどの程度そう思いますか。

会社や上司からの管理過剰感

管理過剰感がある(「とてもそう思う」「そう思う」「ややそう思う」)という回答は、会社については1~3は46.3%、45.9%、46.9%と5割弱で、4は60.0%とやや選択率が高い。上司については1~4の順に32.5%、34.7%、35.9%、39.1%と約3~4割は管理過剰感があるとの認識である。管理過剰感があるという人の割合は、会社からの方が上司からに比べて高いようだ。

対会社は「ノルマ・監視・規則」など、対上司は「細かな指示・報連相・介入」などの具体的なエピソード

先に「管理」の認識は回答者に委ねたと記載したが、どのようなことを念頭に置いて回答したのだろうか。図表2の各項目への回答の後に、管理しすぎ、息苦しい、わずらわしいなどと感じるのは、どのような場面か、具体的な内容やエピソードをたずねた。自由記述回答の抜粋を紹介したい(図表3)。

<図表3>管理過剰感に関するエピソード〈自由記述から抜粋〉

管理過剰感に関するエピソード

会社からの管理過剰感に関するエピソード(図表3左)としては、ノルマ・行動管理、監視、規則・手続きが多い、決裁・根回しの煩雑さ、数値管理への偏り、働き方の制約などの具体的な記載が確認された。出来事と共に、「業務を圧迫している」「自分で考えなくなる」「前向きな仕事に着手できない」「話が先に進まない」「機会損失とやる気を失わせる」といった影響についても記載が見られた。

紹介したコメントは一部であるが、決裁・根回しの煩雑さをはじめとして、管理職によるコメントも散見された。調査前には、管理職の方が管理する側の立場を理解しているために、管理過剰感は高くない可能性も想定していたが、管理職だから遵守しなければならないルールや規律、業績圧力などもあり、管理職の業務量や心的な負担感を増長している可能性も垣間見えた。

続いて、上司からの管理過剰感に関するエピソード(図表3右)としては、細かな指示や口出し、報連相、終業後や休日の連絡、業務を理解していないのに管理・介入、押し付ける・受け入れないといったコメント群が確認された。「逐一」「瑣末な」「いちいち」など、指示や報告が本人にとって必要な支援につながっていないと感じていることが分かる。その他に挙げたコメントは、上司が会社から言われるがまま行う管理への不満である。理解していないのに介入してくるというコメント群と同様に、意図に納得できない管理には、過剰感を抱くのかもしれない。回答者の属性によってコメントの特徴に違いは確認されなかったため、上司・部下間の個別の関係性の影響が大きいようだ。

会社管理過剰感と関係あるルール形骸化や閉塞感

ここからは、会社の特徴によって会社管理過剰感が異なるかを見ていきたい。会社からの管理に対する意識に関係しそうなルールの制定・運用、いわゆる大企業病のような閉塞感、失敗許容や成長支援、情報開示などの会社の特徴について、回答を求めた。項目ごとに、「わからない」を選択した回答を除き、「高群」(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)、「中群」(「どちらともいえない」)、「低群」(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)の3群ごとの会社管理過剰感を集計した。図表4は高・低群間に統計的に有意な差が確認された11項目である。得点差(高群-低群)をプラス・マイナスに分け、差が大きい順に並べている。グラフの右側には、各項目の高群・低群の選択率を示した。

<図表4>会社管理過剰感(会社の特徴別)〈単一回答/ n=930〉
あなたのお勤めの会社について、以下の特徴はどれくらいあてはまりますか。

会社管理過剰感(会社の特徴別

ルールに関しては、「2.一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」というように形骸化していると会社管理過剰感は高く、そうでなければ低い。一方、「5.社内のルールや制度について、従業員が意見を言える」「9.新しくルールや制度ができたときには、背景や意図について説明がある」といった決まりだから従うようにということでないコミュニケーションがあると、会社管理過剰感は低い。

閉塞感に関しては、「1.内向きで現場や顧客の声が通らない」「3.部門の縦割り意識が強く、組織間の対立が起こりやすい」「4.意思決定に際し、稟議や根回しが煩雑である」という状態にあると会社管理過剰感は高い。反対に、「7.たとえ失敗してもチャレンジすることを奨励している」「10.意思決定スピードが速い」「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」という状態にあると会社管理過剰感は低い。

また、「6.従業員や関係者の健康や安全を重視している」「8.従業員にとって、成長できる機会が多くある」という認識のもとでは、会社管理過剰感が低い。同じようなルールや制度であったとしても、従業員側が自分たちの健康や安全、成長を考慮した管理だと受け止めていると、管理過剰感は生じにくいのかもしれない。そのことからも、ルールや制度の意図を伝えることの重要性がうかがえる。

上司管理過剰感と関係ある細かな報連相と支援のなさ

同様に、上司の特徴によって上司管理過剰感は異なるかを見た結果が図表5である。「1.なぜこんな指摘や指導をするのかと思うことがある」という懐疑心や「2.あなたに細かく報告・連絡・相談を求める」というマイクロマネジメントの要素があると、上司管理過剰感は高い。逆に、「4.あなたが自律的に働けるよう任せてくれる」「5.あなたの考えや意見を尊重してくれる」の自律・尊重の態度があると認識していると上司管理過剰感は低い。

<図表5>上司管理過剰感(上司の特徴別)〈単一回答/ n=930〉
現在のあなたの上司について、以下の特徴はどれくらいあてはまりますか。

上司管理過剰感(上司の特徴別)

これらは想定していた結果である一方、意外なことに「3.放任であり、適切な業務上の支援がない」場合の上司管理過剰感は高い。先述のエピソードから類推すると、普段は放任で業務上必要な支援がないにもかかわらず、急に口出ししてきたり、勤怠や工数などの管理には細かかったりする可能性がある。「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる」「7.あなたが望むタイミングで支援してくれる」と認識していると管理過剰感は低いことからも、放任かどうかより適切な支援があるかどうかがポイントとなるようだ。「8.担当する仕事について、社会や自組織にとっての意義や意味を言葉にしている」「9.仕事の成果やあなた自身の成長のために支援してくれる」という認識のもとで上司管理過剰感が低いのは、先述の会社からの管理の受け止め方によって会社管理過剰感が低くなるのと同様に、上司の管理行動の意図を理解できる、理不尽さを感じないようなコミュニケーションがとれていると、上司管理過剰感は低くなる可能性が示唆された。

オープンでもルール形骸化なら管理過剰感は高く

管理過剰感の高低に関係する会社や上司の特徴を見てきたが、各特徴がかけ合わされたときに管理過剰感の傾向が興味深かったものを紹介したい。まず、会社の特徴(図表4)からは、「2.一度作ったルールや制度は、なかなか撤廃・改善されない」(図表中、ルール形骸化)と「11.現場判断ができるよう、社内外の情報が開示されている」(同、情報開示)の2項目である。それぞれの高群(「あてはまる」「どちらかといえばあてはまる」)と低群(「あてはまらない」「どちらかといえばあてはまらない」)をかけ合わせた4群ごとの会社管理過剰感の平均値を示したのが図表6-1である。

<図表6-1>会社管理過剰感(ルール形骸化と情報開示の程度別)

会社管理過剰感(ルール形骸化と情報開示の程度別)

会社管理過剰感は、ルールが形骸化していない場合(AとB)、情報開示・高のBの方が低く、4群においても最も低い。これは図表4で見た各項目の傾向どおりである。一方、ルールが形骸化している場合(CとD)、情報開示の程度にかかわらず高い。Dの情報開示・高は、ルール形骸化・低かつ情報開示・低のAと比べても高いくらいである。ルールが形骸化していれば、情報開示されていても会社管理過剰感は高まるのだ。情報がオープンだからこそ、ルール形骸化の状態も見えやすいともいえ、ルールの運用について何をどう伝えるかが重要であることがうかがえる。法律やコンプライアンスなど自社都合だけでは決められないルールもある。一度作ったルールを変えることも簡単ではない。それでも、決まりだからということだけで従わせるのではなく、ルールの意図や必要性について継続的にコミュニケーションして、時には従業員の声にも耳を傾けながら必要な改変を行っていける可能性を従業員が感じることができれば、会社管理過剰感は低くなるのではないだろうか。

細かな報連相が必要でも支援あれば管理過剰感緩和

上司管理過剰感については、図表5の「2.あなたに細かく報告・連絡・相談を求める」(図表中、報連相要求)と「3.放任であり、適切な業務上の支援がない」(同、放任で業務支援なし)、「6.上司には、気軽に支援を求めたり相談したりできる」(同、支援要請可能)のかけ合わせが特徴的だった。同様に4群ごとの上司管理過剰感の平均値を示したのが図表6-2である。上司管理過剰感は、報連相を細かく求められている状態において(CとD)、放任で業務支援がないと高く(左側のD)、上司に支援要請できると低い(右側のD)。細かく報連相を求められていない状態では(AとB)、放任の程度にかかわらず低く(左側のAとB)、支援要請できると低い(右側のB)。細かな報連相を求められるマイクロマネジメントともとれる状況下にあったとしても、上司から適切な業務上の支援がある、上司へ支援を求めたり相談したりできると感じていれば、上司管理過剰感は抑制される可能性が示唆される結果である。

<図表6-2>上司管理過剰感(報連相要求と放任で業務支援なし、支援要請可能の程度別)

上司管理過剰感(報連相要求と放任で業務支援なし、支援要請可能の程度別)

会社や上司からの管理過剰感が高いと、適応感や主体性は低く、疲弊感や離職意向は高い

最後に、管理過剰感が本人の心的コンディション、主体的行動、離職意向とどう関係しているかを見ておく。会社管理過剰感と上司管理過剰感の高群(4点以上)・中群(3点以上4点未満)・低群(3点未満)別の個人の状態について確認した(図表7)。

<図表7>管理過剰感が個人の状態に及ぼす影響

管理過剰感が個人の状態に及ぼす影響

会社管理過剰感と上司管理過剰感とで、群間で有意差があるところは共通である。いずれの管理過剰感も高群は低群に比べて適応感が低く、高群だと疲弊感が高い。また、低群は「自律的・主体的に仕事をしている」傾向で、高群ほど「現在勤めている会社には、あまり長く勤めていたくない」と答えている。今回の結果だけで因果を特定できるものではないが、会社や上司からの管理を過剰だと感じることが、本人の適応感や主体性の低下、疲弊感や離職意向の上昇に影響する可能性を示す結果となった。

実際に、会社や上司からの管理が過剰なのか、適正なのかを判断するのは難しいことだが、従業員側の管理過剰感の認識は、実体験に加えて、会社や上司への認知が複合的に合わさっていることが確認された。会社や上司は、必要な管理だから仕方ないということではなく、従業員がその管理をどう受け止めているかに意識を向けることが、適正な管理の在り方を模索する上で大切だといえよう。

※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.74 特集1「オーバーマネジメント─管理しすぎを考える」より抜粋・一部修正したものである。

本特集の関連記事や、RMS Messageのバックナンバーはこちら

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技術開発統括部
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組織行動研究所
主任研究員

藤村 直子

人事測定研究所(現リクルートマネジメントソリューションズ)、リクルートにて人事アセスメントの研究・開発、新規事業企画等に従事した後、人材紹介サービス会社での経営人材キャリア開発支援等を経て、2007年より現職。経験学習と持論形成、中高年のキャリア等に関する調査・研究や、機関誌RMS Messageの企画・編集・調査を行う。

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