職場力を高めるためのマネジメントの再点検 マネジメント研修における職場力向上へ向けた取り組みについて

執筆者情報
HRDトレーナー
齋藤 芳明

近年、問題として取り上げられる、「職場崩壊」や「職場力向上」に着目し、弊社のマネジメント基礎研修であるMBCのプログラムの改訂を行いました。 今月のレポートでは、MBCにより「職場全体の力を高めるマネジメント行動」を身につけていただくステップを、改訂ポイントを中心にご紹介します。


背景

最近、社員同士の協力関係が希薄になった企業の職場の実情を紹介した『不機嫌な職場』(講談社 2008年)がベストセラーとなり、ビジネス系の雑誌でも「職場崩壊」といった特集が組まれるなど、職場での協働が失われつつあることに注目が集まっています。

実際、職場の実態はここ数年で激変しており、相互成長のかかわりがなく孤独になってストレスにさらされたりメンタル不全に陥ったりするケースや、以前は協働や連携の中でカバーされていた部分をだれもフォローできず、ミスや事故につながるといったケースが発生しています。

本来職場の仕事は分業と協業の中で成り立っています。職場での協業がなければ、継続的に成果を上げ、組織を成長させていくことはできません。競争が激化する中、緊密なコミュニケーションをとりながら、共通の目標に向かって協働していく職場につくりなおすことが、今、管理者の役割として強く求められています。

このような背景の中、トレーニングサービスを提供する弊社では、マネジメントの基本を学習するプログラムであるMBCの改訂を行いました。マネジメントの基本を理解するだけでなく、グループ活動を通じて職場における協働とはどういうことなのか、自分のマネジメントの考え方や行動にはどんな特徴があるのかを実感し、より実践的な計画が立てられるようになることをねらいとしています。以下に改訂のポイントをご紹介します。

MBCとは

MBC(Management Basic Course)はマネジメントの基本を理解し、より意識的な管理行動がとれるようになることをねらった管理者基礎研修プログラムです。年間520社、約11000名(平成19年度実績)に受講いただいています。

先に述べた時代背景に即し、実感をもってマネジメントの基本を理解し、マネジメント行動を通じて職場全体の力を高められるよう、このたびプログラムの改訂を行いました。

研修の目的・運営・ゴール状態は以下のとおりです。

〔研修の目的〕
マネジメントの基本となる知識を単に学ぶだけではなく、それを使いこなすことでマネジメントレベルを向上させ職場全体の力を高めること

〔研修の運営〕
知識学習で終わらせないために、マネジメントの各テーマに基づく演習問題やケースに取り組み、単に講義を行うのではなくグループや全体で討議を行うことを中心にした運営

〔ゴール状態〕
受講者は自分のマネジメント行動や考え方の特徴をつかみ、職場力向上のために自分のマネジメントのどこを変えればよいかを明確にして職場に戻る


今回の改訂では、グループの成長過程の実感や、自分のマネジメントの考え方や行動の特徴把握、自職場を見る観点・自職場の職場風土の現状確認といったことを通じて、実感をもってマネジメントの原理原則を理解し、職場全体の力を高められるような実践計画を立てられるようにしました。

※これまでご提供していたMBCは、日常の行動やマネジメントに対する考え方をふりかえり、原理原則を体系的に理解した上で職場で活用することを目指すという内容に更新の上、MBC-fとして提供しています。

改訂のポイント

MBCでは、図表01のようにすべての学習コンテンツやプロセスを「職場力を高めるためのマネジメントの再点検及び実践計画」につなげることを目指しています。MBCにおける学習の全体像と改訂を行った4つのポイントを順にご紹介します。

■改訂のポイント1:研修におけるグループの成長過程の実感

職場力を高めるマネジメントを身につけるためには、まず職場のよい状態とはどのような状態なのかを知ることが必要です。そのために、MBCでは研修におけるグループを“擬似”職場に見立て、変化の過程及び成長を実感していきます。

具体的には、まずグループ(擬似職場)の状態を的確に把握できるようにするために、グループを見る観点を確認します。その観点は、「グループの雰囲気」「コミュニケーションの状況」「決定のあり方」「影響関係」「参加姿勢」の5つです。それぞれの観点においてグループの現状把握から目標設定、ふりかえりを行います。この「現状把握⇒目標設定⇒ふりかえり」のプロセスを繰り返すことで、グループの成長を実感し、よりよい職場づくりのための手がかりをつかむことが可能となります。

実際の研修では、同じ会社であっても初めて顔を会わせるメンバーもおり、 本音ではなく表面的なコミュニケーションとなりがちです。その結果、グループ討議でも結論がなんとなく決まるという状態が多く発生します。しかしながら、ふりかえりのプロセスを繰り返すことで、グループの成長を実感でき、「信頼感の高まり」や「自由に発言し合える風土の醸成」といった場の変化を受講者自身がとらえることができるようになります。成長したグループの状態と自職場の現状を対比することで、自職場におけるよい状態を描きやすくなります。

■改訂のポイント2:自分のマネジメントに関する考え方や行動の特徴の把握

職場力を高めるマネジメントを身につけるためには、マネジャー自身が自分のマネジメントの考え方や行動の特徴を知り、職場に与えている影響を把握することも必要となります。

研修では、学習内容と併せて、自分のマネジメント行動や考え方が職場に与えている影響についてもふりかえります。このふりかえりでは、今まで無意識あるいは、自分の経験則により行ってきたマネジメントを、マネジメントの原理原則に照らして考えることで、自分のマネジメントが職場にどのような影響を及ぼしていたのかを確認します。

たとえば、これまで部下のためを思って行ってきたサポートが、実は部下の創意工夫の余地を狭め成長の機会を奪うことにつながっていたといったことや、部下に権限や仕事の基準を明確に提示しておらず、任せていたと思っていたのは実は放任だったということに気づくことができるのです。

さらに研修の後半では、研修におけるグループのメンバー間でフィードバックメモの交換を行います。グループにおいて観察された自分のマネジメント行動や考え方の特徴についてメンバーから率直にフィードバックされることで、研修の最後に作成する“現実”の職場でのマネジメント実践計画をより具体的、実践的なものにすることができます。

■改訂のポイント3:自職場を見る観点及び自職場の職場風土の現状確認

具体的によい職場の状態を実感できるようになるために、これまで学習してきたコンテンツならびに“擬似”職場におけるグループづくりのプロセスのふりかえりを通じて、いきいきとした“現実”の職場を構築・継続する上で必要となるポイントをグループで討議します。たとえば、「組織目的・目標を明らかにして共有すること」がいかに重要であるかについては、コンテンツの中で学習したり、グループの成長によって身をもって実感したりしていますが、その必要性をグループメンバー間であらためて確認するのです。

さらに、より現状の課題を明確にし、職場実践につながりやすくするために、職場活性の4機能である「意欲性」「効率性」「目標指向性」「開放性」の4つの観点で、自職場のセルフチェックを行うことで職場の現状をより具体的に確認します。たとえば「仕事の方針や計画が全員に徹底しているか」といった指標にてチェックし、自職場の現状を確認します。

■改訂のポイント4:マネジメント再点検・実践計画

職場の現状は自分のマネジメント行動の結果そのものであるといえます。研修では最後に実践計画を立てますが、より実効性を高めるため、具体的に計画を立てる前に、自分のマネジメントの再点検を行い自分のマネジメントと職場とを、つながりをもった一体のものとしてとらえます。

日常のマネジメントや職場の現実を原理原則に照らし視野を広げることで、自分のマネジメントと職場の現状が密接に絡み合い一体となっていること、そして自分のマネジメント行動が職場・仕事・部下に大きく影響を及ぼしていることを実感します。すべてが絡み合っており、影響を及ぼし合っていることがわかると、どこに手を打てば仕事や職場や部下の状況が大きく変わりそうか、その焦点が見えてきます。

その上で、その焦点に基づきどんなマネジャーになりたいのか、どんな職場にしたいのか、具体的な実践計画を立てていきます。

受講者における変化

研修受講前はビジネス書での学習や、被マネジメント経験をもとに手探りでマネジメントを行っていた受講者も、3日間の学習体験を生かして、「人を育て、職場としての総合力を上げる」ことこそがマネジメントの核心であることが実感できるようになります。

受講後の感想としては、
「職場の力を高めていくことが業績向上につながるだけでなく、人を育てることにつながる」
「職場を変えていきたいと本気で思った」
「メンバーの力を高め、集結することこそマネジャーの仕事」
といった声が聞かれ、前述の「職場全体の力を高めるマネジメント行動を身につける」というねらいが達成されていることがうかがえます。

職場づくりの中心となるのはマネジャーであり、そのマネジャーが実感をもってマネジメントを理解し、自分の特徴も把握した上で、どんなマネジャーになりたいのか、どんな職場にしたいのか、具体的な実践計画を立てて職場で実践することが、職場力向上につながると考えています。

最後に

職場において、緊密なコミュニケーションをとりながら、共通の目標に向かって協働するという実感のもちにくい時代だからこそ、職場のよい状態の具体的なイメージをつかみ、実践できる研修を提供すること。そして、それをマネジメント基礎研修である、MBCにて実現することこそ、研修事業に携わるわれわれの責務であると考えています。この研修が、職場を立て直すきっかけになることを願っています。

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