用語集
タレントマネジメントのメリットとは? 具体的な導入方法について解説
- 公開日:2023/10/25
- 更新日:2024/03/13
タレントマネジメントとは
タレントマネジメントとは、社員の情報を一元管理して人材戦略に活用する手法です。年齢や性別、所属先といった基本情報はもちろん、スキルや実績、志向といった個人的な情報まで集約し、可視化。それらをもとに採用や配置、育成などを最適化することで、一人ひとりのパフォーマンスを最大限に引き出すことを目指します。
タレントマネジメントは、1990年代のアメリカが発祥。しかし慢性的な人材不足や働き方の多様化、テクノロジーの発達による市場の急速な変化などにより、最近では日本でも導入する企業が増えています。
タレントマネジメントシステムの導入方法については、以下で詳しくご紹介しています。
導入事例:株式会社オオバ様
「カオナビ」導入によって、短期間で支店の垣根を取り払うことに成功し、「多支店協働プロジェクトチーム」が生まれてきた
タレントマネジメントのメリット
タレントマネジメントは、人事戦略において多くのメリットがあります。ここでは具体的に6つご紹介します。
適材適所の人材配置
人材配置を最適化するには社員のスキルやノウハウを正確に把握することが重要ですが、人数が多くなればなるほど難しくなります。タレントマネジメントでは社員の職歴や経験、スキルやノウハウなどをデータ化し、見える化。各部署が求める人材を効率的に見つけ出し、的確に配置できます。
個人に合わせた育成
タレントマネジメントでは、社員の経験や実績はもちろん、志向やキャリアビジョンといった個人的な情報も把握します。それらの情報から「この社員にとって本当に必要な研修は?」「将来の目標を実現するために有効な部署は?」といった、一人ひとりに適した育成プランを立てることができます。
社員のモチベーション向上
上記に挙げた「個人にマッチした育成」「適材適所の人材配置」は、社員のモチベーションアップにもつながります。社員が望むキャリアを効果的に支援することで、社員自身も成長を実感できます。また自分に合った部署で働くことで、やりがいも高まるはずです。会社への信頼や愛着も増すでしょう。
採用基準の明確化
採用基準とは、自社が求める人物像を明確に言語化した指標。採用基準がブレていると、入社後のミスマッチにつながります。
タレントマネジメントを活用すると「どの部署にどのような人材が必要なのか」といった人材要件が見えてきます。また、自社で実際に活躍している社員がどのような志向や行動特性を持っているかなどの分析も可能。分析結果をもとに採用基準を定めれば、応募者の見極めがしやすくなるでしょう。
内部人材の発掘
必要な人物像が明確になれば、タレントマネジメントのデータと照らし合わせて内部から人材を発掘することも可能になります。将来のリーダー候補や「営業部では埋もれているけれど、人事部では力を発揮できそう」といった潜在能力を持つ人材も見つけやすくなるでしょう。必要な人材の調達にあたって、外部からの採用に頼らず、内部の人間を異動させることは、採用コストや育成コストの削減にもつながります。
人材の代謝の促進
人材の代謝とは、優秀な人材を確保しながら自社に適さない人材を手放すことで、会社の新陳代謝を図ることです。人材の流動性が増す昨今、重要な課題といえるでしょう。タレントマネジメントでは、社員の能力やスキルを数値化できるため、客観的な評価ができます。
タレントマネジメントの2つの留意点
メリットの多いタレントマネジメントですが、注意点もあります。導入を検討する際は、以下のポイントに留意し、対策を練ると良いでしょう。
社内への浸透に時間がかかる
タレントマネジメントは、人事だけで実施できるものではありません。経営層から現場の社員まで、全社で連携する必要があります。
導入する際には、タレントマネジメントで何を実現したいか経営戦略を明確にする必要があるため、経営層の理解を得る必要があります。またデータの収集には全社員の協力が不可欠。認知不足などによりスムーズに集まらない恐れもあります。長期的な視点を持って、根気よく取り組む姿勢が重要です。
既存制度の見直しが必要になる
タレントマネジメントを導入するにあたって、人事戦略を根本から見直す必要があります。後継者育成のために新たな評価基準を設けたり、社員のキャリアプランに合わせて育成制度を変更したりするなど、既存制度を見直す必要も出てくるでしょう。導入の際は、それらにかかる時間も考慮しなければいけません。
タレントマネジメントシステムを導入する目的
タレントマネジメントは紙やExcelで行うことも不可能ではありません。しかしタレントマネジメントシステムを活用すると断然効率的です。
タレントマネジメントシステムは、人材に関するあらゆる情報をデータベース化し、一元管理するシステム。配属管理や育成計画の管理、データ分析といった、さまざまな機能もついており、人事業務の効率化を後押しします。
タレントマネジメントシステムを導入するメリット
タレントマネジメントシステム導入のメリットは、人事業務の効率化と、客観的なデータにもとづく人事戦略を実行できることです。具体的にご紹介しましょう。
人材データ把握の効率化
タレントマネジメントの要は、社員の情報を細かく収集・管理すること。社員が多ければ多いほどコストと労力がかかるでしょう。また社員が少ない企業にとっては、管理業務が大きな負担となる恐れもあります。
タレントマネジメントシステムでは社員が情報を直接入力できるため、情報を効率的に収集できます。またアンケート機能を使って、プラスアルファの情報を収集することも可能なシステムもあります。例えば社員満足度や研修の感想など、その都度知りたい情報をスピーディに入手できます。
人材配置の最適化
人材の情報を収集しても、膨大なデータのなかから最適な人材を見つけ出すのは難しいものです。
多くのタレントマネジメントシステムには検索機能があり、情報へのアクセスが簡単。キーワードを使ってさまざまな角度から人材を見つけ出すことができます。またシステムによっては顔写真付きで配置をシミュレーションできるものもあり、検討もスムーズに行えます。
計画的・効率的な人材育成
社員の育成計画を立てる際、上司の経験や勘だけに頼っていては、効率的な人材育成はできません。
タレントマネジメントシステムでは、社員一人ひとりのキャリアプランや育成状況も可視化。面談や研修の受講履歴などを蓄積できるほか、スキルやパフォーマンスの分析もできるので、客観的なデータをもとに育成計画を立てられます。また育成計画が順調に進んでいるか、進捗状況も一目瞭然。異動の際にもデータを引き継げるので、円滑な育成が可能です。
タレントマネジメントシステムを導入する留意点
タレントマネジメントシステムで人材データベースを構築したけれど「必要な情報をうまく検索できない」という失敗例もあります。
例えば情報が不完全だったり古かったりする場合は、社員にデータを定期的に更新してもらえるように業務プロセスを設計する必要があります。また「どんな切り口で人材を検索したらいいか分からない」というときには、検索の目的を明確にして、それに合った項目を整理すると良いでしょう。
タレントマネジメントシステムには便利な機能が多くついていますが、使いこなせなければ宝の持ち腐れ。導入前も導入後も十分なサポート体制が整っているシステムを選ぶと安心です。
タレントマネジメントシステムを導入するステップ
タレントマネジメントシステムは、ただ導入すればいいというわけではありません。システムの効果を最大化するためには、事前の準備が重要です。ここでは導入までにどのようなステップが必要なのか、基本的な流れをご紹介します。
【ステップ1】業務要件を整理する
「タレントマネジメントシステムで何を解決したいのか」という目的を明確にし、目的を達成するためには何が必要か具体的な課題を整理します。例えば後継者育成が目的なら、「キーポジションはどこか?」「評価要素やフローは適切か?」といった課題を洗い出していきましょう。
【ステップ2】システム要件を整理する
タレントマネジメントシステムでは、登録する社員情報の項目を自由に設定できます。自社の状況や分析したいテーマに合わせて項目や検索条件を整理しましょう。
【ステップ3】関連部門と調整する
プロジェクトをスムーズに推進するために、運用側の人事部門と設備投資をするIT部門とで調整を行います。
【ステップ4】運用計画を策定する
システム導入後、どのようにデータの収集や分析をするか、運用計画を立てます。それにともないチームを編成したり、必要な人材を調達したりするなどの体制を検討しましょう。
おわりに
人材不足や人材流動化が進むなか、多くの企業は人材戦略に課題を抱えています。人材データを一元管理するタレントマネジメントは、人事業務を効率化するだけでなく、組織の成長を後押しするための有効な手段です。
タレントマネジメントを成功させるカギは、「何を解決したいか」という目的意識を持つことです。まずは中長期的な経営戦略のもとで人事課題を整理することからはじめましょう。
タレントマネジメントシステムの導入方法については、以下で詳しくご紹介しています。
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