用語集
テレワークとは
- 公開日:2021/03/19
- 更新日:2024/07/24
テレワークとは、英語で「telework」と表記され、「tele = 離れた所」と「work = 働く」の2つの言葉を組み合わせた造語のことで、時間や場所の制約がない柔軟な働き方のことを指します。
リモートワークと呼ばれることもあります。一般的には、情報通信技術(ICT = Information and Communication Technology)を活用としたシステム構築が必要となります。通勤や移動時間の削減などテレワーク導入によるメリットもありますが、テレワークならではのコミュニケーションの取り方やオンラインミーティングの効果的な進め方など解決するべき課題もあります。
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テレワークの形態
時間や場所の制約がない働き方すべてをテレワークと称しますが、おもに働く場所は次の3つです。いずれも情報通信技術を活用する点は共通しています。
在宅勤務
在宅勤務とは、従業員が自宅で業務を行うことです。オフィスの固定費や通勤交通費の削減、そして現在においては、感染症対策への有用性などといったメリットがあります。
一方で、自宅内に書斎や個室がない場合は、別途仕事をする場所の確保をする必要があります。通勤で外に出る必要がなくなることから、運動不足になりがちな点も問題視されています。
モバイルワーク
モバイル端末を利用し、カフェ、移動時の電車や飛行機、顧客先など、さまざまな場所で働くことをモバイルワークといいます。モバイルワークが実現することで時間の有効活用ができ、業務効率を向上させる効果が期待できます。
公共の場で仕事をするため、公衆無線LAN(Wi-Fi)を利用した際に第三者によって通信内容を傍受されたり、パソコン画面を後ろから覗き込まれたりといったセキュリティリスクには注意が必要です。
サテライトオフィス勤務
企業の本社、本拠地から離れた場所に設置されたオフィスをサテライトオフィスと呼びます。支社や営業所との違いは、設置目的です。サテライトオフィスは、本社以外の場所で働きたい従業員のために設けられる一方で、支社や営業所は会社の営業活動を行うために設けられます。
サテライトオフィスは在宅勤務やモバイルワークと異なり、固定費用がかかる点がネックとなりますが、共有型のサテライトオフィスでは不特定多数の利用者がいるためセキュリティ対策が必要になりますが、占有型のサテライトオフィスは原則自社の従業員のみが利用するためセキュリティ対策の必要がありません。
テレワークによる「新しい働き方」
以前より、アベノミクスの成長戦略の一環としてテレワークをはじめとした「働き方改革」が推進されていましたが、テレワークの実施率はなかなか上がりませんでした。
しかし、2020年に新型コロナウイルス感染症の影響で在宅勤務の必要性が差し迫り、この機会にテレワークを導入する企業が一気に増加しました。
近年では感染状況が落ち着いてきていることから出社する企業も増えてきていますが、引き続きテレワークを継続している企業も多い状況です。
テレワーク導入以前の働き方では、メンバー同士がオフィスで顔を合わせて仕事をするためコミュニケーションを取りやすい環境にありました。しかし、テレワークでは各従業員が離れた場所で対面時間やコミュニケーション手段も限定的な状況のなか、仕事を進めていく必要があります。
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「働くこと」についてのこれまでとこれから
日本におけるテレワークの導入状況
総務省が2021年に公表した「令和3年版 情報通信白書」によれば、日本のテレワーク実施率を1回目の緊急事態宣言前後で比較すると、宣言前は17.6%、宣言後には約3倍となる56.4%に上昇しています。その後、緊急事態宣言の解除にともない一時は30.7%まで低下したものの、2回目の緊急事態宣言が発令されると38.4%へと上昇しました。
なお、この38.4%という数値は、2021年3月時点の企業全体の推移を表したものです。企業規模別にテレワーク実施率を見ると大企業は69.2%、中小企業は33.0%となり、中小企業より大企業での導入が進んでいることがわかります。
2020年11月時点の業種別のテレワーク実施率も公開されており、最も高い業種は「情報通信業(55.7%)」、その次に「学術研究、専門・技術サービス業(43.2%)」が続いています。一方、最も低い業種は「医療、介護、福祉(4.3%)」です。
同時点における地域別のテレワーク実施率を見てみると、関東が36.3%と最も高く、それに次いで近畿が20.8%となっています。逆に最も低い地域は、中国・四国・九州で11.2%でした。
また、弊社が2020年3月26日~28日に実施した「テレワーク緊急実態調査」では、テレワーク経験者は全体の3割弱となり、販売系の職種は1割を下回る結果となりました。そして役職別で見ると、業務内容を問わず、一般社員より管理職のほうが経験者率は高い傾向にあります。
テレワーク導入のメリット
テレワーク導入には、メリットとデメリットの両面があります。メリットだけではなく、デメリットも把握した上で対策をしっかり講じましょう。
テレワーク導入のメリット
テレワークを導入すると、以下のようなメリットが生じます。
- 感染症拡大防止対策
- コスト削減
- ワークライフバランスの実現
従業員の健康だけではなく、企業経営にも良い影響を与えられるので、しっかり把握しておきましょう。
◇ 感染症拡大防止対策
新型コロナウイルス感染症の世界的流行が、テレワークを大きく推し進める要因となったことはご存じのとおりです。人と人との接触を抑えることが有効な感染対策となる状況下において、テレワークを導入するメリットは大きいでしょう。仮に、従業員に感染者が出たとしても感染拡大を防ぐことができ、事業や社会への影響を最小限に食い止めることが可能です。
◇ コスト削減
テレワーク導入により、企業にとってはコスト面でのメリットも大きくなるでしょう。通勤交通費をはじめ、オフィスの賃料、光熱費、通信費などの固定費を大きく削減できます。仮に、社員全員が恒久的なテレワークを実施できれば、オフィスそのものが不要となる可能性もあります。
◇ ワークライフバランスの実現
テレワークは、働き方を大きく変える可能性があります。通勤時間の削減によりプライベートの時間が増えたり、転勤制度そのものが廃止されたりといった可能性を秘めているためです。テレワーク導入によりワークライフバランスを実現できる人が増えれば、社会全体もさらに豊かになることが期待できるでしょう。
テレワーク導入のデメリット
テレワークの導入は有益な取り組みですが、以下のようなデメリットが発生するケースもあります。
メリットとデメリットの両方を押さえて、導入を検討することが大切です。
◇ 対話量
テレワーク導入にあたって大きな懸念となりやすい点が、メンバー間でのコミュニケーション不足です。必要な情報が共有されず業務に支障をきたしたり、問題を相談できず孤立したりするなどの問題が生じる可能性があります。
◇ 全方針の浸透
同じ会社でも、テレワークを導入しやすい職種と、しづらい職種があります。デスクワークで、かつ成果が明確な業務ではテレワークを導入しやすい反面、現場や対面での対応が主となる仕事では導入が困難です。企業内においても、テレワークが可能な社員と難しい社員が混在することとなり、不平等と感じられる恐れがあります。
◇ 評価
日本労働組合総連合会が発表した「テレワークに関する調査2020」によると、テレワークを実施している人の20%程度が「業務の効率が低下する」と回答しています。全体から見れば少数派の意見ですが、決して軽視できないでしょう。
◇ 自律
オンとオフの切り替えが難しくモチベーションが維持しにくい点や、長時間労働に陥りやすくなるといった課題もあります。
◇ 通信回線やセキュリティへの不安
テレワークには、セキュリティ面での不安もともないます。個人情報や機密情報の漏えいを防ぐ仕組み作りが必須になるでしょう。また、テレワークを実施するためには、社員それぞれが安定した通信環境を確保しなければなりません。
テレワーク導入において留意したいこと
先にご紹介したメリット・デメリットを踏まえ、テレワーク導入において企業や人事の方が留意しておきたいことをご紹介します。
コミュニケーション、やり取りを意図的に増やす
信頼関係の構築にはオープンなコミュニケーションが有効です。テレワークではどうしてもコミュニケーション量が減ってしまう傾向があるので、些細なことでも感謝の気持ちを示すことや、ノウハウを共有することなどを意識してやり取りをするよう促しましょう。必要に応じ電話やテレビ会議、チャットなどのツールを使い分けることもお薦めです。
また、業務上の報告はもちろん大切ですが、休憩時間などにおける私的なコミュニケーションも、孤独感の払拭や新たなアイディアの創出の一助となることがあります。
定期的に業務報告ができる場を作る
テレワークに限らず、組織で仕事をする際には報告・連絡・相談が必須です。特にテレワーク下においては、抱えているトラブルや課題が社員間で共有されにくいため、社員自ら進んで報告できる仕組みを組織全体で作ることが大切です。業務報告の具体的な方法やルールを決め、管理職はコミュニケーションしやすい雰囲気作りに努めましょう。
メンバーの自律を促す
テレワークでは、メンバー一人ひとりが自律的に仕事を進めていく必要があります。自分の仕事をどのように設計して進めていくか、メンバーが成長段階に合わせて自分で考えて進められるように管理職も関わっていく必要があります。また、会社全体で、テレワークに従事する社員が自律的に職務を遂行できる環境や仕組みを整えることも大切です。
評価制度や勤怠管理システムを整える
テレワーク中は、上司が社員一人ひとりの様子を細かくチェックすることが困難です。そのため、人事評価が難しい、メンバーの側からしても納得感が持ちづらい、という声が聞かれます。テレワーク実施率が高まると、自社の人事制度や運用の仕方を見直していく必要が出てきます。
また、テレワークの導入でプライベートと仕事時間の区切りがつけにくくなり、働きすぎに陥るケースも増えています。そのため、適切な勤怠管理も重要です。
テレワーク導入のメリット
テレワークを導入する際には、一定の要件を満たすことで助成金を活用できる可能性があります。必ず支給されるものではありませんが、支給されれば数百万円もの費用をカバーできるため、忘れずに申請したいところです。助成金の一例もご紹介するので、ぜひご確認ください。
◇ IT導入補助金(経済産業省)
IT導入補助金とは、経済産業省(中小企業庁)監修のもと推進されている助成金制度です。小規模事業者や中小企業がITツールを導入するにあたり、経費の一部補助を国から受けることができます。 2023年度のIT導入補助金には5種類の対象枠があり、それぞれ補助額や補助率、要件などが異なっています。
- 通常枠(A類型、B類型)
- セキュリティ対策推進枠
- デジタル化基盤導入類型
例えば、通常枠A類型の補助額は5万~150万円未満ですが、より要件が厳しいB類型は150万~450万円以下なので、多くの助成金を受け取ることが可能です。
おわりに
昨今の情勢を鑑みても、テレワークの導入や推進はあらゆる企業にとってこれからの課題となっていくでしょう。テレワークには感染対策やワークライフバランスの向上、コスト削減などさまざまなメリットがあります。
しかし、スムーズな導入を実現するには今回ご紹介したデメリットの克服も欠かせません。
組織内における課題を洗い出したうえで、自社に適したテレワークの導入を実現しましょう。
テレワークについてコラムでもご案内しています。ぜひこちらもご覧ください。
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