カタリ場での越境経験が、個の挑戦を促し、組織を元気にする

プロジェクト概要

背景・課題

米国大手のカジュアルウェア通販会社ランズエンドが企画、製造、販売するアパレルを日本で展開する日本ランズエンド。マーチャンダイジング、マーケティング、カスタマーサポートなど、各部署の仕事が高度化し、縦割りが進んだ結果として、コミュニケーションの機会が減少する傾向が見られるようになっていました。

検討プロセス・実行施策

社内での立場・役割を外した「個人」として他者と向き合い、高校生や大学生のキャストなど、新しい価値観に刺激され、新しいチャレンジを促すことを期待して「カタリ場研修」を採用。社内で選抜された6名が参加し、これまでの歩みを振り返り、コミュニケーションのあり方、今後のキャリアなどについて内省しました。

成果・今後の取り組み

カタリ場研修参加メンバーの間に同期のような一体感が醸成されました。カタリ場研修の成果が経営陣にも伝わり「カタリ場研修に参加したメンバーで新しいアクションを起こせないか」というアイディアも。どのようなプロジェクトになるかは未定ですが、組織を活性化する取り組みになるよう、内容を検討している最中です。

背景・課題

心に刺さった問い「生きている実感ありますか?」

私がカタリ場を知ったきっかけは、企業・組織における人々の学習、コミュニケーション、リーダーシップを研究している東京大学の中原淳先生のブログでした。当初は高校生たちと「対話」をする社会貢献的な取り組みという認識しかありませんでしたが、リクルートマネジメントソリューションズの「カタリ場研修」の存在を知り、「カタリ場と企業研修がどう結びつくのだろう?」と興味が湧いたんです。そこで実際のカタリ場の様子を見学させていただくことにしました。研修として導入した場合、どんな効果を得られるのか、ピンとこなかったからです。

見学中は大学生のキャスト(カタリ場を運営するボランティアスタッフ)のみなさんのエネルギーに圧倒されました。彼らは心の底から、カタリ場をそこにいる全員にとって意義あるものにしたいと考え、そのために汗を流していたのです。1人の女性キャストに、私が「なんでカタリ場をやっているの?」と聞くと、彼女は照れくさそうに「生きている感じがするから」と教えてくれました。そのセリフが、あたかも「生きている実感を持てていますか?」という問いかけのように聞こえたんです。彼女の言う「生きる実感」がどのようなものか、それを知りたいという気持ちが、カタリ場研修を検討するきっかけの1つになりました。

コミュニケーション不足を解消する糸口を見つけたい

当社は、米国大手のカジュアルウェア通販会社ランズエンドが企画、製造、販売する紳士服、婦人服などのアパレル商品を国内で展開しています。仕事が高度・専門化し、縦割りが進んだ結果としてコミュニケーション機会の減少を感じており、これまで以上に組織を活性化させる必要性を感じていました。そのため、社内での立場・役割を外した「個人」として他者と向き合い、高校生やキャストといった新しい価値観に触れて、新しい挑戦を促すカタリ場研修が、個人と組織を元気にするきっかけになるかもしれないと考えたのです。

社内でカタリ場研修を提案する際には、「3つの柱」を立てました。まずは、対話を通じて高校生の心に火を灯す社会貢献活動であること。次に、新しいコミュニケーションのカタチを学ぶことでスキルを高められること。そして、参加メンバーたちの変化を通じて組織の活性化が期待できることです。この3つの柱を打ち出し、社内の合意を得ました。

なかでも、特に重視したのは、参加メンバーの変化です。今回の取り組みの組織への影響を考えると、1人でも多くの参加メンバーが元気になって職場に戻ってくれることが、最も重要な変化だと考えていました。

研修に参加するメンバーは、私のほかに、各部門で中核的な役割を担っている中堅社員5名。事前プログラム1日、カタリ場当日1日、事後プログラム半日と計2日半業務から離れることになりますが、「高校生のために役立てるのなら」と参加者はみんな前向きに捉えてくれました。

検討プロセス・実行施策

高校生の気持ちに寄り添う対話が、気づきを生む

カタリ場本番の1週間前、カタリ場のキャストを招いて事前トレーニングを行いました。本番さながらのシミュレーションをしたおかげで、当日の流れやコミュニケーションのコツが大まかに理解できました。
迎えた当日。カタリ場が行われる高校で、6名のメンバーは別々のグループに割り振られて、あらためて事前シミュレーションを行いました。一回り以上年の離れた大学生のキャストに指導してもらい、とても新鮮な経験だったようです。

いよいよ訪れた本番では、それぞれが3〜5名の高校生のグループに入って、個々の気持ちに寄り添い、対話をしました。
私が担当した男子高校生の一人は、中学校時代の辛い経験からたどり着いた将来の夢、「勇気のある大人になりたい」という想いを、自分の言葉で語ってくれました。物静かでいじられキャラの男の子が語る、骨太な夢。対話が終わったとき、「頑張ってね」と背中を押すと、彼は「頑張ります。応援していてください」と言いました。

まだまだ子供っぽい表情で、ゲームやアニメについて語る高校生たちも、心の奥底には熱いものを持っている。その気持ちに寄り添って対話することで化学反応が起こる。「これがカタリ場なのか」と思いました。

人生を変える一期一会がカタリ場にはあった

カタリ場の余韻は校舎を出てからも続きました。帰りの電車のなかで大学生のキャストと話したのですが、彼は次の日から福島で新しい挑戦をするそうで、なぜ今そこに行くのか熱心に語ってくれたのです。
カタリ場のあとには、独特の高揚感があります。何でも話せるし、聞きたくなる。同じ場を経験した同士、繋がりたくなる。そんなコミュニケーションの本質のようなものが、そこにありました。キャストのみなさん、高校生のみなさんともう一度会いたいと思わずにいられないような、濃厚な時間が流れていました。
会社にはないコミュニケーションを経験でき、それだけでもうカタリ場研修は大成功だったのかな、と感じたほどです。人事としてカタリ場研修で得たものすべてを、会社に還元したいと思いました。

カタリ場には人生を変える一期一会がたくさんあります。あの日以来、私は「これから出会う人、身の回りのすべての人と、お互いに幸福感を抱けるような関わりを持ちたい」と考えるように。カタリ場当日はほかの社員の様子を見る余裕がなかったのですが、みんな私と同じように気づきを持ち帰っていたようです。

成果・今後の取り組み

カタリ場参加メンバーに「同期感」が生まれる

カタリ場研修の事後プログラムでは、当日の様子や、「高校生がとらわれていた枠とは?」「自分たちがとらわれている枠とは?」などのテーマで話し合いました。それぞれのテーマで新たな気づきがあり、自分のキャリアやコミュニケーションのあり方を内省するいい機会になったと思います。

何より強く感じたのは、カタリ場参加メンバー間の一体感の醸成。これまでは、社内ですれ違うときに軽く会釈するだけだったのに、今は目が合うと「ニヤッ」として、「どうなの最近?」と自然体で会話をすることも。カタリ場研修では自己開示をする機会が多かったので、お互いを知る仲として、同期のような関係性が生まれました。

高校生の心に火を灯すということがカタリ場のテーマですが、参加者の心にも新しい火が灯ったように思います。事後プログラムで、ある社員は、「今は離れている地元に貢献するアクションを起こしたい」と語りました。またある社員は、「目指していた夢にもう一度取り組みたい」と決意を述べました。それぞれ、毎日の仕事に追われて、どこかに置いてきてしまった「やりたいこと」を取り戻したようです。

カタリ場研修の影響を組織に浸透させたい

カタリ場研修の成果が経営陣に伝わると、今度は、この一体感のあるカタリ場参加者チームで何か新しいアクションを起こせないか、という話が出てきました。どんなプロジェクトが生まれるのかは分かりませんが、仕事と関連するところで組織を変化させるきっかけになればと期待しています。部署を横断してメンバーが集まり、プロジェクトを行うこと自体が大きな変化といえるかもしれません。

会社は仕事をするためだけの場所ではなく、社員が生かされる場であってほしいと思います。また、そういう環境をつくるのが私たち人事の役目。日頃、ビジネスで生産性を追い求めているからこそ、カタリ場研修のような時間も大事だと思います。当社は約50名の社員がいますが、カタリ場研修に参加したのは6名。インパクトは小さいかもしれないけれど、組織の変化の兆しは見えています。

もしも私が今回のカタリ場研修を人に勧めるとしたら、「カタリ場研修をやることで業績があがるのか」と批判する人や、「カタリ場研修みたいな得体の知れないものには絶対に参加したくない」という人に推したいですね。そういう人たちの方が、受講後の変化が大きくなり、組織に与えるインパクトも比例して大きくなるはずだからです。

相手に興味を持ち、理解を深めることが習慣に

日本ランズエンド株式会社 マーケティング部 林 様
私は以前から、会社として社会貢献活動に取り組む機会があってもいいのではないかと思っていました。ですから、高校生との対話を通じてその心に火を灯す「カタリ場」にも前向きな気持ちで参加。でも実際に体験し、人の話に耳と心を傾けて、話を引き出す難しさを知りました。

「真向かいには座らない」「なるべく近い距離で話す」など事前に習ったことを必死に実践して、高校生から話を引き出す努力をしましたが、果たして自分が彼女たちにいい影響を与えられたかどうかは分かりません。普段とは全く違うコミュニケーションを取り続けたからか、カタリ場が終わったとき疲労感がドバっと湧きました。

カタリ場研修での学びは、何気ない会話のなかでも生きています。これまで「へー」で終わらせていた話にも、1つ質問をぶつけてみたり、あまり興味が湧かなかったことにも興味を持つようにしたり、という具合に意識が変わりました。こちらが興味を持っていることを知ると相手も話しやすくなるので、友人や同僚とのコミュニケーションも変わりましたね。話を聞き流すようなことはせず、質問を重ねて理解を深めることが習慣になってきました。

人生の折り返し地点でカタリ場に参加できたことに感謝

日本ランズエンド株式会社 マーチャンダイジング部 佐藤 様
社会人になって15年。仕事に打ち込み、結婚して、家族も増えて、今私は人生の折り返し地点にいます。そんな40歳の今、カタリ場を体験できたことに感謝しています。

カタリ場研修のなかで自らを振り返る瞬間がたくさんありましたし、カタリ場のキャストや高校生など、仕事では接点のないみなさんと本音で話すことで、これから先の人生をどう生きるべきか真剣に考えるいい機会になりました。これがもし10年後だったら、そこから人生を軌道修正しようとしても、なかなか難しいと思います。

大学生のキャストや高校生たちと、自分を繕うことなく真剣に話したからこそ、職場に戻ってからのミーティングのときに「今僕は上っ面で話してしまっている。これではいけない」と自分を戒める瞬間があります。カタリ場で高校生たちに熱く語りかけ、背中を押したからこそ、自分の言葉に責任を持ち、やるべきことをやろうという気持ちが、今まで以上に大きくなりました。

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