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新入社員にはどんなフォロー研修がよいのか

効果的な新人フォロー研修をデザインするポイント

  • 公開日:2007/06/02
  • 更新日:2024/04/11
効果的な新人フォロー研修をデザインするポイント

新入社員を現場に送り出した後に、人材開発担当者の頭を悩ますのが、「今年の新入社員には、どんなフォロー研修がよいのか」というテーマです。

実際に担当者の方に伺ってみると、いろいろな研修メニューを考えることができるわりに、実際の研修日程は短く、どれをどのように組み合わせたらよいのか悩む、という声が多いようです。

こういった悩みをすっきりさせるために、今回は、「効果的な新人フォロー研修」をデザインする際のポイントをお伝えします。

新人フォロー研修のキーワードは「元気回復」
新人フォロー研修に求められる3つの要素(1)
新人フォロー研修に求められる3つの要素(2)
新人フォロー研修に求められる3つの要素(3)
人事スタッフは、新人にとって最後の砦

新人フォロー研修のキーワードは「元気回復」

現場の期待は「元気に頑張ってほしい」

新人フォロー研修を成功させるための一番のポイントは「現場の期待に応える」研修にすることです。

現場の上司や先輩からすると、春に元気だったはずの新入社員が、夏から秋にかけて「元気が無い」、「何かに悩んでいる」、「壁にぶつかっている」という状態が気になるものです。とはいえ、なかなか忙しくて声をかけられない……「せっかく研修に行くのなら、元気になって帰ってきてほしい」ということが、一番の期待でしょう。

また、採用した経営の側の期待としては、早く一人前になってほしい。そのために、「まずは一つの仕事をやりきってほしい」、そのことを通じて、「自社の仕事の意味や価値を実感し、自信を持ってほしい」。こういったことが、今も昔も変わらぬ期待なのではないでしょうか。

新人本人の側でいうと、入社からの半年~1年は、大学生のころと生活のリズムが変わり、人間関係が変わり、周囲の期待や要望・責任が変わる時期です。環境変化が激しく、心身共に疲れが出やすいころです。
本人も、「久しぶりに同期と会って、元気になりたい」と思うのがホンネでしょう。

では、「元気回復」につながる研修をどうやってデザインしたらよいのか、ポイントを一つひとつ確認していきます。

新人フォロー研修のキーワードは「元気回復」

新人フォロー研修に求められる3つの要素(1)

「元気回復」ということを実現させるために、新人フォロー研修では外せない要素が3つあります。

1.「ふりかえり」
社会人の1年目は先ほど述べたように、本人にとって、大きな環境変化が起こる時期です。また、覚えるべき知識、身につけるべきスキルも多く、消化不良になっていることも多いことでしょう。
多くの新入社員は、目の前のことに精いっぱいで、緊張の日々を過ごしてきており、自分のことをふりかえる余裕も無い、というのが実態だと思います。
いろいろなことを、一度ふりかえり、整理をすることが必要な時期にきています。効果的に「ふりかえり」をする時間を取ることが、新人フォロー研修の要素としては欠かせません。

2.「悩みの解消」
多かれ少なかれ、新入社員は何かに悩んでいます。そして、多くの場合は、悩みそのものも漠然としているケースが多いようです。
「自分が何に悩んでいるのか」を、まず、自覚させることが解消の早道だといえましょう。

3.「明日からの行動姿勢の確認~目標作り」
現場に帰ってからも「元気」な状態を続けるためには、「明日から現場でこうしていきたい」という明確な行動目標が必要になります。
1→2を経て、自分の状況が整理された状態で描くことがポイントとなります。

新人フォロー研修に求められる3つの要素(1)

1.効果的な「ふりかえり」をさせる技法

新入社員の受講者に、効果的なふりかえりをしてもらうための技法ご紹介しましょう。

1)時系列でふりかえらせる

新入社員にとっての社会人生活は「すべてが初めて」のことばかりです。いったんは「入社~今まで」に体験してきたことを、事実ベースで時系列に整理してもらうことで、だいぶ落ち着くものです。

2)相互に語らせる

相互に語らせながらふりかえりをさせると、効果が高まります。これは、「人に話す」こと、他人からの質問に答えることを通じて、自分の体験を客観的に眺め、整理することができるからです。
また、他人のふりかえりを聴くことを通じても、類似の体験が出てきたりして、自分の状態や体験の整理がつくものです。

3)図式化する

感情の変化を線で描いたり、絵を描く、などの方法を使うことによって、言葉では伝えづらい部分のふりかえりが効果的にできるようになります。

4)単純なフレームを提供する

新入社員は、バランスが取れたものの見方ができない人がまだ多いようです。偏った見方で、偏った部分のみふりかえりの光を当てると、見落としが出てしまいます。
とはいえ、余り複雑なフレームを提供すると、「お勉強」的な色彩が強くなり、効果的なふりかえりになりにくいものです。単純なフレームを提供し、自分の経験してきたことをふりかえってもらうのがよいでしょう。

例)できたこと/できなかったこと
  変わったこと/変わらないこと
  仕事に対する充実度のプラス/マイナス
  喜/怒/哀/楽

新人フォロー研修に求められる3つの要素(2)

2.新人の悩みを解消する「場作り」

新入社員の「悩み・不安」は、常につきまとうもの。つまり、それを「ゼロ」にすることはできません。
ただし、「悩んでもしょうがない、と思えた」「気にせず仕事をすることも大事だと気付いた」という状態にすることはできます。そして、それは本人の感情の問題ですから、本人が吹っ切るしかありません。
つまり、ポイントは「悩みを解消する場」を、研修の中でいかに作ることができるか?ということになります。

以下、そういった「場を作る」ためのポイントを挙げておきます。

1)「悩み・不安を話してもよい」ルール作り

新入社員はたいてい「研修でどこまで話してよいか分からない」ものです。講師が新人時代の悩みを語る、「新人なんだから、悩みがあって当たり前だよ」と強く言う、などの工夫をして、「話してもよい」場のルールを先に作ってしまうと、うまく進みます。
話したい悩みを大いに話し、聴いてもらうことで、悩みの半分は解消するものです。

2)「悩み」を明確にする環境づくり

新入社員の多くは自分が何に悩んでいるのか、不安を感じているのか、よく整理されていないものです。
自分の悩みの「正体」を、ケースを使ったり、他の人の悩みと比較することによって、明確にすることで、その対処のヒントも見えてきます。

3)ヒントを多く出し合うディスカッションをリードする

悩み・不安に対処するためのヒントやパターンは、人によって違うものです。また、「これが正解」というものはなかなか見つからないものです。
したがって、「正解を探しにいく」というよりは、「多くのヒントを出し合う」ようにディスカッションをリードすることがポイントになります。
「評価しない」「思いついたことはいったん場に出す」ようにリードしていく、つまり、「意見をたくさん引き出す」ことが、講師側のポイントになるでしょう。

新人フォロー研修に求められる3つの要素(3)

3.「自分の目標」と思える目標作り

研修の最後には、効果的な目標の再設定、これからの計画などの作成をするわけですが、何せ相手は新入社員ですから、ここを丁寧にやらないと、

・具体化せず、お題目的なもので終わる
・一応書くが、実感値が湧かない(とりあえず書いた)
・もともとの業務目標をそのまま書く(下期目標10件、など)

などのことになりがちです。

「1年目の残り、自分としてはこういうことをやりきっておきたい」という、「自分の目標・計画」と思えるものを描いてもらうための材料として、以下のものがあります。

1)入社動機(入社当時の思い)

2)自分の強み・弱み

周囲や職場からのアンケートやフィードバックが、本人が気付く有効な手段となります。

3)職場からの期待

「職場レター」などで、改めて周囲の期待を知ることは、自分の目標を描く上でヒントになるものです。

4)将来の夢・目標

5)自分のワークスタイル

仕事経験のたな卸しなどを通じ、「自分が障害に負けず前に進むためのスイッチ」「好調を保つコツ」などを自覚することで、先の働き方の見通しなどが見えてくるものです。

研修の最後に「明日からの目標づくり」をすることが多いと思います。新人の方々に上記のような素材をまず準備してもらってから、目標作りをしてもらうとより効果的です。

新人フォロー研修に求められる3つの要素(3)

人事スタッフは、新人にとって最後の砦

最後に、新人フォロー研修を設計する人事スタッフの役割について述べておきたいと思います。

1)人事スタッフは、新人にとって最後の砦

すべての職場が、新人が成長する・定着するために望ましい職場とは限りません。
そのことが原因で新人が深く悩み、不安を覚えるケースも起こりえるのが、今の日本の企業の現実です。
そういった新入社員を最後に救うことができるのは、人事スタッフである、ということを再度認識しましょう。

2)新人フォロー研修を通じて、新人の状態を把握する

新人の人数が多い、普段の仕事ぶりが分からないなど、新人の状態がつかみづらいケースも多いと思われます。
外部の研修会社を利用することは、確かにコストはかかるかもしれませんが、自分が「新人の状態を観察する」ことに集中できるというメリットがあります。
自社のみの研修であれば、研修期間中、運営は外部講師に任せ、観察をする、気になったメンバーは個別面談をする、ということに力を割くことができます。
また、公開型の研修を活用したとしても、そこでのワークシートを元に面談を行えば、かなりの情報を得ることができ、本人の状態も把握しやすくなるものです。

3)新入社員の状態から、職場の課題を把握する

新入社員のような、ある意味「弱い」存在は、リトマス試験紙のように、職場の健全性の良し悪しを浮かび上がらせるものです。
また、新入社員を育てられるかどうかは、管理職の育成技量のレベルを問われる部分が大きいものです。
新入社員の状態から、職場の現状を把握し、次の手につなげていくこと、これも人事スタッフの重要な役割であると思います。

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