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さあ、扉をひらこう。Jammin’2023 owner interview

伊藤忠の社内常識が通用しない場所でチャレンジしてほしい〈Jammin’オーナーインタビュー・伊藤忠商事様〉

  • 公開日:2024/05/27
  • 更新日:2024/05/27
伊藤忠の社内常識が通用しない場所でチャレンジしてほしい〈Jammin’オーナーインタビュー・伊藤忠商事様〉

共創型リーダーシップ開発プログラム「Jammin’」、5年目のJammin’2023が終了した。41社253名の次世代リーダーたちが全15コースに分かれ、「不」を基点に新価値を生み出すプロセスに取り組んだ。この41社は、どのような考えに基づき、何を期待して社員をJammin’に送り出しているのだろうか。当然、各社それぞれだと思われるが、一方で多くの会社に共通する理由や背景もあるはずだ。そこで、Jammin’2022から活用を始めた伊藤忠商事様に、Jammin’活用のきっかけや背景、社内でのJammin’の位置づけ、期待や成果などを詳しく伺った。

  • インタビューしたのは
    林哲生 氏:伊藤忠人事総務サービス株式会社 グローバル人材開発部 部長(写真左)
    尾崎眞帆 氏:伊藤忠人事総務サービス株式会社 グローバル人材開発部 ITCサポート第一課(写真中央)
    能登隆太 氏:伊藤忠商事株式会社 人事・総務部 人事考査室 考査ユニットリーダー(兼)Virtual Office Design Team / Chief Designer(写真右)

インタビュー

目次
社員の「社内外を巻き込みながら前進する力」を伸ばすためにJammin’活用をスタート
Jammin’導入と同時期に全社でスタートした「バーチャルオフィス」で社員が組織横断プロジェクトを主体的に推進
「厳しくとも働きがいのある会社」を実現する施策の1つがJammin’
世の中を変えるリーダーを社内だけで育成するのは難しい

社員の「社内外を巻き込みながら前進する力」を伸ばすためにJammin’活用をスタート

――Jammin’の活用を始めたきっかけを教えてください。

能登:実は、Jammin’2022は、私が事業部人事として人事総務を担当していた「第8カンパニー」という部署において、リーダーシップ研修として導入しました。Jammin’2023からは全社施策に切り替わり、第8カンパニー以外のメンバーも参加するようになっています。

第8カンパニーは特殊な組織で、他カンパニーと協働し、特に生活消費分野に強みを持つ当社の様々なビジネス基盤を最大限活用しながら、「異業種融合・カンパニー横断の取り組み」を加速させることをミッションとしています。

ミッションの実現に向けては、過去から続くビジネスを拡大させるために求められる能力とは異なり、「自由な発想でビジネスを創造し、自らの言葉を武器に、社内外の関係者を巻き込みながら前進する力」が必要だと強く感じていました。しかし、この種の能力を社内だけで育成するのは難しいのが実情です。通常、社員は所属部署において担当領域の商習慣は身につきますが、領域や価値観が異なるメンバーを集めチームのパフォーマンスを高めるようなリーダーシップを磨く経験は多くありません。

そんな中、私は2021年にJammin’の存在を知りました。まさにそうした経験を積んで刺激を得てほしいと思い、第8カンパニーの社員にJammin’2022へ参加してもらいました。それが始まりです。

Jammin’導入と同時期に全社でスタートした「バーチャルオフィス」で社員が組織横断プロジェクトを主体的に推進

能登:Jammin’は主に社外のメンバーとの協働が中心ですが、社内の組織のタテ割りを打破し、他部署のメンバーが協働しながら組織横断案件の推進や新規事業創出を目指す組織横断協業プラットフォーム「バーチャルオフィス」という取組みを2023年度からスタートさせました(図表1)。

バーチャルオフィスでは、まずいくつかの組織横断案件・新規事業案件をイントラネット上で社員に提示します。これらの案件は、各カンパニーの案件候補からバーチャルオフィス事務局である“Virtual Office Design Team”が精査して選定します。次に、「この案件にチャレンジしてみたい!」と高い関心・熱意がある社員が、自らの意思で手を挙げ、案件に参加します。案件毎に、部署の壁を超え年齢や職掌、役職等に関係なくメンバーが集まりバーチャルでチームを結成するため「バーチャルオフィス」と名付けています。

「初めまして」のメンバーが集まり、お互いの知見を共有し合いながら短期間で効率よくビジネスを創り上げていきます。

これまでにいくつものチームが立ち上がり、プロジェクトを進めています。そのなかには、「バーチャルオフィス」を活用したことで大きく前進した案件が複数あります。例えば「持続可能アグリビジネス」という案件では、スウェーデンの肥料メーカー、シニス・ファーティライザー社と協業し、環境配慮型肥料を広める取り組みをスタートしました。環境配慮型肥料は、当社ではエネルギー・化学品カンパニーだけでなく、食料カンパニーや繊維カンパニーにも深く関わるテーマです。そこで、持続可能アグリビジネスチームは、エネルギー・化学品カンパニー、食料カンパニー、繊維カンパニーに加え、コーポレート部門から集まった8名で活動しました。

また、「フェムテック」案件も積極的に活動しており、フェムテック業界を牽引するfermataと協業して、伊藤忠グループ社員向けフェムテック社内展示会を開催、また、最近ではファミリーマートとも協業し、ファミリーマートの一部店舗で新たにフェムテック商品を取り入れるなどの試みを行っています。他にも「生成AIを活用した新規ビジネス開発」案件など、多種多様な案件が主体的に立ち上がり、活動してきました。

図表1:伊藤忠商事のバーチャルオフィスとは

伊藤忠商事のバーチャルオフィスとは

能登:バーチャルオフィスは好評で、導入初年度の2023年度は参加者約80名の96%が自身の成長を感じ、働きがいが高まったと回答しました。また、「実は転職を考えていたが、バーチャルオフィスに参加し、異動せずにやりたいことにチャレンジできたため、辞めるのを辞めた」というコメントや「他部署と一緒に仕事をしたことで、見えていなかった自部署のすばらしさに気づくことができました」と語ってくれた若手社員もいます。

案件のリーダーを務めた社員からは「普段の業務とは異なり、多種多様なメンバーを集め成果を出すためのリーダーシップを実践を通じて学ぶことができた」という意見もありました。

社内版Jammin’とも言えるでしょうか。全社単位でのアイディアやリソースの共有のみならず、若手・中堅社員のエンゲージメント向上や育成にも寄与する施策として、十分に機能していると考えています。

「厳しくとも働きがいのある会社」を実現する施策の1つがJammin’

――Jammin’のみならずバーチャルオフィスなどの活動も盛んに行われていますが、第8カンパニーから始まったJammin’を2023年度から全社施策にしようと思われた経緯を教えてください。

林:伊藤忠では今、企業理念に「三方よし(売り手よし、買い手よし、世間よし)」、企業行動指針に「ひとりの商人、無数の使命」を掲げています。社員一人ひとりが、「求められるものを、求める人に、求められる形で」お届けするために、自らの商いにおける行動を自発的に考えることにより、伊藤忠の強みである「個の力」が発揮できる。そんな伊藤忠らしさをあらわすのが「ひとりの商人、無数の使命」です。これはまさに、創業者・伊藤忠兵衛の商いの哲学であり、当社の企業理念「三方よし」を実践するための道です。また、この企業理念と企業行動指針を実現するために、当社は、「厳しくとも働きがいのある会社」を標榜し、経営トップがその実現にコミットしています。

伊藤忠の場合、個の力はOJTで学ぶのが基本です。お客様の求めるものを把握し、自分が担当する領域の専門性を深く身につけるためには、現場の実践のなかで鍛えられることが欠かせません。ただ一方で、OJTでは学べないこともあります。例えば、経営スキル・知識やリーダーシップ・事業管理の知識などはOJTでカバーできませんが、これらを体系的に学ぶことは、実力向上につながります。そこで、私たちはOJTを軸にしながら、こうした研修を補完的に提供する人材育成施策を実行してきました。

最近はさらに、主体的なキャリア形成の支援を強化する必要が出てきました。そこで始めたのが、若手・中堅社員に向けた新たな学びの場「ITOCHU MBA(IMBA)」です。若手・中堅社員の主体的なキャリア形成を支援するために、4種類の学びの場を用意しました。その1つがJammin’です。私たちは能登からJammin’の存在や内容を聞き、ぜひIMBAの一環として導入したいと思いました。

Jammin’の最大の魅力は、社外の多様な価値観とぶつかり合いながら、「ひきつける」「いかしきる」「やってみる」を経験できる点です。私たちにとっては、特に「やってみる」の価値が高いと感じています。というのも、私たちの場合、本業では各自が常に高い専門性を発揮し、業務を完璧に遂行することを求められるからです。まずやってみて、失敗しながら完成度を高めていくアジャイルな手法にはなかなかチャレンジできないのです。だからこそ、Jammin’のような場でアジャイルに事業案を創り上げる体験を積むことが貴重だと考えています。

また、伊藤忠の社員は普段、業務を遂行するうえで自身の担当業務領域の関係者との遣り取りがほとんどであり、共通言語を持たない異業種の皆さんと協業して、複雑な課題にチャレンジして事業案を共創する機会は非常に稀です。その点でも、Jammin’はとても魅力的です。

世の中を変えるリーダーを社内だけで育成するのは難しい

――2年間、Jammin’を活用してみて、手応えや成果をどのように見ていますか?

尾崎:2023年度は、4名の社員がJammin’に参加しました。4名とも良い経験を積めたようで、例えば「チームメンバー間に利害関係がないので、遠慮なく皆に自分の本音をぶつけることができたのが嬉しかった」「チームメンバーのなかには年上の人もいたが、年齢差なども気にせず、率直に意見を交わし合えるチームになれた」といった感想をもらっています。私自身、何度かセッションを視聴しましたが、どのコースも開放性が高く、意見を言いやすい雰囲気が醸成されていると感じました。

また個人的には、私自身が対面でのオーナーセッションに参加して、Jammin’卒業生の話を聞き、他社の人事の皆さんと意見交換できたことが貴重でした。例えば、ある卒業生が「卒業後、時間がある程度経ってから、Jammin’での経験を思い出して気づきを得られることがある」と話していたのが印象に残っています。Jammin’での学びには、中長期的な効果があるというのです。それを聞いて、私もJammin’の成果を長い目で考えたいと思うようになりました。先行してJammin'に参画されていた他社の人事や卒業生の皆さんの話を聞くと、参考になることも多く、とてもいい機会になりました。

能登:これからの伊藤忠社員は、社内で専門性を磨くだけでなく、Jammin’のように伊藤忠の社内常識が通用しない場所でチャレンジして、自分がどれだけできるか力試しをする必要があると感じています。繰り返しになりますが、世の中を変えるリーダーを社内だけで育成するのは難しく、Jammin’のような場が欠かせません。

また、Jammin’で、世の中の「不」を基点に新価値を生み出すプロセスを学び、困っている人たちを助けたいと本気になることは、商人のあり方にもつながると考えています。私たちの企業理念「三方よし」とは、「売り手よし」「買い手よし」「世間よし」であり、世の中に良き循環を生み出し、持続可能な社会に貢献する伊藤忠の目指す商いの心です。Jammin’を通じて、三方よしをあらためて学ぶこともできるのではないかと思います。

林:私は2023 Jammin’ Awardを視聴しましたが、発表された事業案はどれも具体性やリアリティーが他の研修とはまったく違うと感じました。皆さんがなぜそれほどレベルの高いアウトプットを生み出すことができるのか、興味深いです。

今後は、Jammin’を終えて帰ってきた人たちが、学んだことを生かせる仕掛け、孤独を感じないような仕掛けをしていきたいと考えています。鍵の1つは上司です。私たちは2001年にキャリアカウンセリング室を立ち上げて以来、キャリア育成を一貫して重視してきました。最近は特にキャリアビジョン支援に注力しています。上司のキャリアマネジメント意識をさらに高めて、Jammin’卒業生のキャリア支援をより重視していきたいと考えています。もう1つの鍵は、私たち人事自身です。人事がJammin’参加者に伴走して、卒業後は彼らの味方になることが、彼らの孤独感を減らし安心感を高める一助になるはずです。

【text:米川青馬、illustration:長縄美紀】

※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

 

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