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THEME 組織開発

企業事例ワーク・エンゲージメントを高める仕組み コンカー

国内IT企業で最も働きがいのある企業になる

Great Place To Work Institute Japan が発表する「働きがいのある会社」ランキングで、従業員100〜999人部門において2年連続1位に選出されたコンカー。働く個人が仕事に能動的に取り組み、楽しみ、没頭する背景にはどのような仕組みや考え方があるのだろうか。株式会社コンカー 代表取締役社長 三村真宗氏にお話を伺った。

働きがいを高める3つのドライバー

クラウドによる出張・経理管理ソリューションを提供しているコンカー。本社のコンカー・テクノロジーズは米国のシアトル郊外にあり、その日本法人であるコンカーは2010年に設立された。設立後、2011年10月に代表取締役社長に就任し、現在に至るまで日本法人を率いているのが三村真宗氏だ。三村氏は、「働きがいを高めるのは事業成長のため」と言い切る。

始まりは2013年1月の「オフサイトミーティング(合宿)」。このとき、三村氏は5年後の夢として、「全世界のコンカーのなかで米国に次ぐナンバー2の事業規模になる」と共に「国内IT企業で最も働きがいのある企業になる」を掲げた。

「前者は外的かつ定量的な夢だが、それだけでは社員が疲弊してしまう。そこでそれとは対照的な内的かつ定性的な夢も必要だと考えました」

働きがいを高めるドライバーは「夢や志、大義との一体感」「視座の高さと裁量の大きさ」「成果や失敗を通じた成長の実感」の3つであり、それぞれの要因は関連し合っているとも、三村氏は説明する。

「まず大事なのは、日々の仕事を積み重ねた先に会社が目指している夢や志、大義があり、それに自らが貢献し、それがお客様の幸福につながっているかどうかを実感できること。視座が低くて裁量が小さいと言われたことしかできませんし、サイロ化も起きやすい。成果や失敗を通じて成長を実感するためには、各自の裁量が大きいことが欠かせないと思います」

具体的な施策を回す上では、「社員の声が原点」「徹底的な仕組み化」「社員による主体的な活動」の3つを心がけている。例えば、年に1度の「コンストラクティブフィードバック」。ここでは、全社員から会社全体、他部門、上司のそれぞれに対して「強み」と「要改善点」を吸い上げて聞く。加えて重要視しているのが、四半期に1度の「パルスチェック」だ。これは脈拍を測定するように全社員の状況を定期的に把握しようとする試みで、具体的には4つの軸から成る8つの質問に答えてもらう。

1つは仕事軸(仕事量が適切か、仕事の優先度や順番を自分の裁量でコントロールできているか)、2つ目は組織軸(自分の部門の雰囲気、上司との関係性はどうか)、3つ目が心身軸(心と体の調子はどうか)、4つ目がやりがい軸(過去3カ月間の充実感とこれから3カ月間のワクワク感)。仕事量が課題でも優先順位を自分でコントロールできている人はそれほど大きな問題が起こらず、体が極端に疲れていても、過去3カ月間の充実感が高い人は自発的に頑張っているなど、わずか8つの質問でも社員がどのような状況にあるかを把握できる。

パルスチェックで気になる結果が出た場合、三村氏と本部長との間でその一人ひとりに関して話し合い、対策を練っている。場合によっては、カウンセリングが得意な人事担当者が介入することもある。長期的に定点観測した結果、転職しそうな人を事前に予測できるようになり、手を尽くしても結果が改善されない場合、仕事内容や上司との相性を見ながら異動を打診するなどの対策を講じられるようにもなった。

部門間の連携調査で小さなほころびを発見

2018年から、部門間の連携調査も開始した。「全社員にどの部門と働いているかを聞き、その連携しやすさを4段階で評価してもらっています。連携しにくいという結果が出るのは数千パターンのうちのわずか数パーセントですが、そうした小さなほころびを放置しないことが社員の働きがいを高める上では重要だと思います」と、三村氏は言う。ほころびが見えた場合、連携している部門のマネジャー同士が話し合い、課題は何か、原因は何か、打ち手は何かを明らかにして、全社員の前で発表してもらう。

三村氏から全社員に対しては、四半期に1度の「オールハンズミーティング」で戦略や事業状況、課題などを説明している。社員を大切なステークホルダーと位置付けて説明責任を果たすことは、社員の視座を高める上でも欠かせない取り組みだ。

このような取り組みの結果、コンカーでは社員による自発的な活動も活発になっている。なかでもユニークなのは、社員有志で会社の横断的な課題解決に取り組む「タスクフォース」の存在だ。

コンカーには、社内イベントを通じて社内の文化づくりを行う「文化部」と呼ばれるタスクフォースの他、社員同士のコミュニケーションを促進するタスクフォース「ハ部」などがある。「ハ部」は、インサイドセールス(電話による営業職)の若手社員が、社員数の増加と共にコミュニケーションが希薄化することに危機感をもち、「こんな活動をしたい」と三村氏にメールで訴えてきたことから立ち上がった。従業員入口のモニターに流すための社員の顔写真と名前、プロフィールをまとめたスライドを作成するなど、社員同士がコミュニケーションを始めるちょっとしたきっかけとなるような活動をしている。

コンカーにはこのような草の根のタスクフォースが複数あり、メンバーは業務時間の5%未満をその活動に充てている。それぞれのタスクフォースの人数は約10人で、1年経つと自分たちで後継者を募集し、自主的に代替わりしている。さらに、コンカーの文化醸成に取り組む「CCO(チーフ・カルチャー・オフィサー)」がタスクフォースの活動を支えており、こちらも本業との兼務で、業務時間の20%をCCOとして社内の文化づくりに充てている。

このようにトップダウンではなく、ボトムアップの取り組みでコミュニケーションを活性化させていることも、働きがいを高める重要な要素になっている。

【text:曲沼美恵】


※本稿は、弊社機関誌 RMS Message vol.57 特集1「ワーク・エンゲージメントを高める」より抜粋・一部修正したものである。
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※記事の内容および所属等は取材時点のものとなります。

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