【解説】その理由は「全体のなかである分類に属するものの割合が示され、さらにそのなかの部分集合が全体に占める割合が答えとなる」という問題の構造が共通しているからです。
計算式に直すと、(全体に占めるある分類に属するものの割合×ある分類に属するもののなかでの部分集合の割合=答え)という構造となっています。
SPIの構造的把握力検査とは?
就職活動を進めていくと、一度は受ける可能性が高いテストです。
SPIの能力検査には「基礎能力検査(言語分野と非言語分野)」、「英語検査」と「構造的把握力検査」 があります。ここでは構造的把握力検査について紹介します。
構造的把握力検査とは?
構造的把握力検査では、ものごとの背後にある共通性や関係性を、 構造的に把握する力を測定します。この能力は、情報を俯瞰(ふかん) 的に捉えて自分なりに分類・整理したり、未知の問題を過去の経験と関係づけて理解した上で、すでに獲得している知識を応用して対応策を考えたりするのに必要な力ということができます。
基礎能力検査と構造的把握力検査の違い
基礎能力検査では、 既知の正しい手順に沿って解を導き出す力を測定しています。(詳しくは「SPIの能力検査とは」参照)
例えば非言語能力の検査では、 与えられた設定や数値情報を理解し、既知の適切な解法を適用して四則演算などを行って解を算出することが求められています。これに対し、構造的把握力検査では、与えられた情報の構造を自分なりの観点で捉えなおし 、複数の可能性があるなかから共通の構造を見出すことが求められます。
構造的把握力検査で測定している「ものごとの背後にある共通性や関係性を構造的に把握する力」は以下のような場面で発揮されます。
- 未経験の問題に直面したとき
-
- 過去に経験した問題との共通項を見つけ、対応の糸口をつかむ
- 一見複雑な問題を“要するにAとBという問題だ”と要点を抽出し、捉えなおす
- 新しいサービスを考えるとき
-
- 既存のサービスモデルの中から他のサービスモデルに転用し得るポイントを見つける
- さまざまな顧客のニーズや課題を俯瞰し分類・整理する
- 合意形成をするとき
-
- 相手から聞いた内容を整理し、“つまり●●ということですね”と理解する
- (双方の表現は異なっていても)“AさんとBさんが言っていることは▲▲という点で同じだ”と共通点を見つける
基礎能力検査と構造的把握力検査の得点には一定の相関はあるものの、基礎能力検査の得点が高くても構造的把握力検査の得点が低い人、また逆に基礎能力検査の得点が低くても構造的把握力の得点が高い人もおり、それぞれ種類の異なる能力を測定しているといえます。また、構造的把握力の得点は「幅広い職種で活躍できる可能性が高い」「さまざまな環境に適応していける柔軟性がある」「将来の海外勤務など、現在とまったく異なる環境に置かれたとしても、 柔軟に適応していけるイメージが持てる」といった項目で上司評価との相関が高くなっています。
構造的把握力検査の問題例
SPIの構造的把握力検査にはどのような問題が出題されるのでしょうか? 以下で問題例を紹介します。
- 問題例1
- つぎのア~エのうち、問題の構造が似ているものの組み合わせを、A~Fのなかから1つ選びなさい。
- アSの蔵書の8割は文学書で、そのうちの3割が詩集である。詩集は蔵書全体の何割か。
- イ共同経営者のTとUは3:2の出資額に応じて利益を分配している。Uの取り分は利益の何%か。
- ウある日、庭の草むしりをするのに、兄は2m四方、弟は1m四方の広さを担当した。兄の仕事量は弟の仕事量の何倍か。
- ェ大学の3年生と4年生に家庭教師の経験の有無をたずねたところ、半数が「ある」と答え、4年生がその60%を占めた。家庭教師経験のある3年生は全体の何%か。
- A.アとイ
- B.アとウ
- C.アとエ
- D.イとウ
- E.イとエ
- F.ウとエ
- 問題例2
- つぎのア~オを、各問題の指示に従ってP(2つ)とQ(3つ)の2グループに分けるとする。
ア~オの会話を、Xに対するYの応じ方によって、P(2つ)とQ(3つ)の2グループに分けるとする。
- X「私はRキャンプ場が好き。屋根付きのバーベキュー場があるから。」
- Y「じゃあ、おいしいレストランがあるキャンプ場ではだめかしら。」
- X「私はSキャンプ場に行ってみたい。去年オープンしたばかりだから。」
- Y「じゃあ、昔からあるキャンプ場ではだめかしら。」
- X「私はTキャンプ場に毎年行ってるの。川遊びができる場所があるから。」
- Y「じゃあ、川がないキャンプ場ではだめかしら。」
- X「私はUキャンプ場がいいわ。夜、カブトムシとクワガタがくる木があるから。」
- Y「じゃあ、ホタルがいるキャンプ場ではだめかしら。」
- X「私はVキャンプ場に行きたい。富士山が見えるところにテントを張りたいから。」
- Y「じゃあ、南アルプスが見えるキャンプ場ではだめかしら。」
このとき、Pに分類されるものはどれとどれか。A~Jの中からあてはまるものを1つ選びなさい。
- A.アとイ
- B.アとウ
- C.アとエ
- D.アとオ
- E.イとウ
- F.イとエ
- G.イとオ
- H.ウとエ
- I.ウとオ
- J.エとオ
【解説】ア、エ、オではXが好むものに対し、そのものではないけれど似たものがあるキャンプ場が提案されているのに対し、イとウではXが好きだと言っているものと正反対の特徴を持つキャンプ場とXが好きだと言っている川がないキャンプ場が提案されているためです。
こうした問題は、実際に受検するパソコン画面上では以下のように表示されます。
以上が問題例でした。構造的把握力検査についてどんなものかイメージいただけましたでしょうか。
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