一つひとつの仕事に意味を
見出すことの大切さ

一つひとつの仕事に意味を見出すことの大切さ

「世界は誰かの仕事でできている」
これはある飲料メーカーのテレビCMのキャッチコピーです。
さまざまな仕事に就く人が登場し、缶コーヒーを飲んでいるテレビCMを見たことがある方も多いことでしょう。

仕事では多くの喜怒哀楽を感じる場面があります。
ミスをして落ちんだり、繁忙期で残業が続いて疲れてしまったり、逆にお客様や協働者に「ありがとう」と言われたり、頑張ったことが成果につながってやりがいを感じたり、など。上記のCMにもそんな場面が出てきます。

そんな時に「世界は誰かの仕事でできている」という考え方は、働く人を励まし、時には背中を押してくれるのではないかと思います。

社会人になったばかりの新入社員は、仕事をしてみてどのようなことを感じているのでしょうか。
就職活動中に、志望する業界や企業についての研究や分析を重ねることも多いと思います。
どのようなサービスを、どのようなお客様に提供しているのかを知るのはもちろん、実際に企業で働く先輩社員に会って話を聞くこともあるでしょう。
入社時は、そういった情報から実際に取り組む仕事をイメージし、期待と不安を胸に新入社員としての生活をスタートするものだと思います。

入社1年目の壁「仕事の意味・やりがいが感じられない」

当社が新入社員を対象に実施した調査(2019年実施)によると、入社1年目に「与えられた仕事の意味・やりがいが感じられず、やる気が出なかった」という壁にぶつかった人は全体の23.6%でした。希望の部署に配属されなかったり、配属されてもイメージしていた仕事と違ったり、職場の人間関係に悩んだりするなど、やりがいを感じない理由はさまざまあると思います。
意味ややりがいが感じられないと、仕事をすることに前向きに取り組めなくなりがちです。
しかし、自ら、「仕事に意味を見出す」ということは、社会人として成長していく上で大切な姿勢の1つです。
そこで、ここでは「目の前の仕事に意味を見出していくことの重要性」についてお話していきます。

仕事をする、とはどういうことか?

ある新入社員Aさんの例で見ていきましょう。
※新入社員Aさんの例※

新入社員のAさんは希望していた営業部に配属され、契約獲得に向けて日々奮闘中です。
ある日お客様から、
「御社の新商品Xの導入を検討している。具体的に導入するイメージを持てるような説明をしてほしい」
と言われました。
Aさんは気合を入れて、早速資料作成に着手します。

完成した資料を上司に見せると、
「ここのフォントが違う」「文章が分かりづらいから修正して」など、内容とは直接関係のないと思われる細かい指摘をたくさんもらいました。
Aさんは内心、(そんな細かいこと関係あるのかな……)と思いながらも資料を修正しました。

やっと資料が完成すると、上司から「次のアポイントは一緒に行こう」と持ち掛けられました。
しかし、上司は忙しくなかなか日程が合いません。
結局、お客様と上司の日程を調整するのに30分もかかってしまいました。
Aさんは内心、(調整に無駄な時間がかかってしまった。早くアポイントに行きたいのに……)と思っています。

資料を持って訪問すると、内容はお客様の期待に沿うもので、契約はほぼ決定しました。
最後にお客様から「社内でも説明したいので、追加で資料を作ってほしい」と言われました。
Aさんは、また内心(自分一人では分からない内容だし、手間がかかりそうだな。適当な資料がないか先輩に聞いてみよう。営業の仕事って結構めんどうなことが多いなぁ……)と思いながら商談を終えました。

複数の活動が一つの仕事の価値につながる

これは一例ですが、「営業活動をして契約を獲得する」という仕事のなかには、複数の細かな活動があります。
Aさんのように
「内容が分かればいいのに資料の体裁なんて関係あるの?」
「調整に時間のかかる上司を連れていくことって必要なの?」
「契約が決まった後もさらに資料作りのお手伝いをしないといけないの?」
などと、感じる人もいるでしょう。

できるだけ効率的に仕事を進めたいと思うほど、細かいことは煩わしく感じるでしょう。
しかし、Aさんがそれらの活動を怠っていたら、契約にたどりつけていたでしょうか?
資料の体裁が整っていないことが、お客様からの信頼を失うことにつながったり、上司がいないためにお客様からの質問に答えられなかったりしたかもしれません。
さらに、お客様の社内説明用の資料作成を支援することが、効果的な活用につながり、継続的なご利用にもつながるかもしれません。
仕事とは、一つひとつの小さな活動の積み重ねです。
一見めんどうに感じること、意味がないように思うことであっても、それらは最終的な成果、価値につなげていくためには欠かせない活動なのです。

一つひとつの活動の意味とは?

仕事を構成する一つひとつの小さな活動は、仕事の成果だけでなく、ビジネスパーソンとしての成長にとっても意味があります。
資料の体裁を指摘されれば、「もっと効率的に、きれいな資料を作成できるフォーマットを作ろう」というアイディアが浮かぶかもしれません。
上司が忙しく日程調整に時間がかかるのであれば、もっと早い段階から調整しておこうという次の行動につながります。お客様からお願いされた社内向け資料作成も、自分の知識を深めることにつながり、次の営業活動に役に立つかもしれません。

このように、仕事上のすべての活動には、仕事上の成果や価値の上でも、自分自身の成長にとっても意味があります。「やりがいを感じない……」と思い込んでしまう前に、自ら意味づけをしたり、初めは分からなくても意味を捉えようとしたりすること自体が、成長につながり仕事経験を豊かにしてくれるのです。
めんどうだと思いながら取り組むのか、それをチャンスと捉えて取り組むのかは自分の捉え方次第ということです。

同じ仕事をしていても、生き生きしている人とそうでない人がいるとしたら、仕事の捉え方に違いがあるのかもしれません。仕事内容や職場環境は、自分で変えるのはなかなか難しいですし、どのような仕事にも大変なことはありますが、仕事の捉え方は自分で変えられますよね。

社会には、実にさまざまな仕事があります。
世界は誰かの仕事でできているし、仕事は一つひとつの小さな活動でできています。
その一つひとつの活動を機会と捉え、自分なりに、時には上司や先輩と一緒にその意味を見つけ、糧にしていってほしいと思います。

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