SPIの能力検査とは?

就職活動を進めていくと、一度は受ける可能性が高いテストです。
SPIには、大きく分けて「能力検査」と「性格検査」がありますが、ここでは能力検査についてご紹介します。
SPIの能力検査とは?
能力検査では、職種の違いを越えて共通して要求される「知的能力」を測定しています。具体的には、課題に対して合理的に思考し、目的を定めそれに沿って行動し、効果的・能率的に事態を処理していくような、実際の仕事場面で求められる能力です。この能力は、暗記や受検対策によって簡単に得点が上がるものではなく、長期の日常的な努力によって培われるものです。
言い換えれば、複雑なことを整理したり判断したりする能力、新しいことを学んだり持っている知識を応用したりする能力ともいえるでしょう。こうした能力は、企業で仕事をする上で必要な力です。
実際、SPIで測定された能力と、入社後に活躍するかどうかとの関係性を定期的に確認しており、それらには関係性があることが実証されています。SPIは、科学的で客観的な情報を提供し、企業の公平な採用選考を支援するための検査です。
学校のテストのように「高い得点を取らないと、ダメなのでは……」と不安に思う方もいるかもしれませんが、必要とされる能力検査の得点水準は企業によってそれぞれで、一律に〇〇点以上でなければならない、といった基準はありません。なぜなら、「その企業が求める能力水準を満たしているかどうか」という観点で見ているからです。
能力検査の問題は、「言語分野」と「非言語分野」の2種類があります。言語分野では、「言葉の意味や話の要旨を的確に捉えて理解できるかどうか」、非言語分野では、「数的な処理ができるか」「論理的思考力があるかどうか」を測定しています。
企業によって、能力検査で「構造的把握力」や「英語」の問題が出題される場合もあります。
「構造的把握力」の詳細については、「SPIの構造的把握力検査とは」をご確認ください。
能力検査の問題例
では、具体的にどのような問題が出題されているかご紹介します。
SPIの能力検査には、さまざまな種類の問題が用意されていますが、代表的な問題例として、言語分野から2題(語彙、文章読解)、非言語分野から2題(計算、推論)をピックアップして紹介します。
言語分野
- 問題例1 語彙
- 下線部のことばの意味を考え、意味が最もよく合致するものを1つ選びなさい。
- A.火事
- B.火気
- C.消火
- D.発火
- E.放火
こうした問題は、実際に受検するパソコン画面上では以下のように表示されます。
- 問題例2 文章読解
- 豊かな森林土壌は、小動物や微生物によって粉砕され分解された枯葉や枯枝が堆積(たいせき)しており、隙間が多くスポンジ状である。このスポンジ状の土壌は一時的に雨水をそのなかにため込むことができる。雨が降ると、土壌表面の枯葉・枯枝が上から落ちてくる雨の勢いを止めるクッションの役割を果たし、水はどんどん土壌に吸収されていく。雨がやむと、森林土壌は吸収した水をゆっくりと放出し、その水はやがて河川に供給される。森林がしばしば「緑のダム」と呼ばれるのは、雨水を一時的に貯える機能が、河川の流量の平準化に役立っているからである。
樹木が水を消費するので、流域に森林があると利用できる水資源が少なくなる、と考える人もいるだろう。確かに、森林が失われると河川の総流量自体は増加する。しかし、大雨のときには洪水になりやすく、雨が降らなければ渇水になりやすく、安定的に水を利用していくことが困難になるのである。
Q1.森林が多量の雨水をためることができるのはなぜか。
- A.森林には小動物や微生物が多いから
- B.森林土壌がスポンジ状であるから
- C.森林の樹木が水を消費するから
- D.森林から雨水が徐々に河川に流れるから
Q2.森林が失われるとどうなるか。
- A.河川の総流量が減少する
- B.大洪水が起こりにくくなる
- C.渇水になりにくくなる
- D.安定的な水利用が困難になる
非言語分野
- 問題例1 計算
- つぎの文を読んで各問いに答えなさい。
ある書店で、Pさんは400円の文庫本を4冊と300円の雑誌を1冊、Qさんは600円の文庫本2冊と400円の雑誌2冊を購入しました。
Q1.Pさんが購入した文庫本はQさんが購入した文庫本より何冊多かったか。
- A.1冊
- B.2冊
- C.3冊
- D.4冊
Q2.Pさんが文庫本の代金として書店に支払った金額はいくらか。
- A.300円
- B.400円
- C.600円
- D.900円
- E.1000円
- f.1200円
- G.1600円
- H.2000円
- I.AからHのいずれでもない
Q3.Qさんが書店に支払った代金は総額いくらか。
- A.600円
- B.800円
- C.1000円
- D.1200円
- E.1400円
- f.1600円
- G.1800円
- H.2000円
- I.2200円
- J.AからIのいずれでもない
- 問題例2 推論
- つぎの説明を読んで、各問いに答えなさい。
P、Q、R、S、Tの5人が順番に並んでいる。
- I.Rは一番前に並んでいる
- II.Rの4人後ろにSが並んでいる
- III.PはQのすぐ後ろに並んでいる
Q1.Pの位置として考えられるのはどこか。あてはまるものをすべて選びなさい。
Q2.Tの位置として考えられるのはどこか。あてはまるものをすべて選びなさい。
以上が、能力検査の問題例です。少し易しめの問題を中心にピックアップをしましたが、参考になりましたでしょうか。
SPIの能力検査で測定したいと考えている思考プロセスをご理解いただくために、やや難度の高い問題についてもピックアップして説明をします。
- 問題例3 確率的思考
- 以下のような丸テーブルに①から⑥の6つの席が用意してある。そこに、P、Q、R、S、T、Uの6人が座る座り方を考える。
Q1.PとQが向かい合って座らない座り方は何通りあるか。
- A.48通り
- B.72通り
- C.120通り
- D.144通り
- E.288通り
- f.432通り
- G.576通り
- H.648通り
- I.720通り
- J.AからIのいずれでもない
こちらの問題は例えば、以下のような思考プロセスを経て、正答に至ります。
単なる計算力や公式含めた解法の暗記をしていれば解けるような問題ではなく、「情報の理解→情報整理~判断→数的処理→解の導出」という一連の思考プロセスを経た上で、正答に至ることがご理解いただけるかと思います。
実際に解いてみると、能力検査には特別な解き方はなく、与えられた情報をいかに正確に把握し、整理し、必要なプロセスにしたがって正解を導いていけるかどうかをみているという意味が理解してもらえたのではないでしょうか。
こうした能力は、付け焼刃の対策では、得点を大幅に上げることが難しく、実際、過去に行った研究においても、対策による本受検での得点向上の効果は「慣れ」程度のものでほんのわずかであることが分かっています。
逆にいうと、受検に「慣れ」ておくことは非常に重要となります。具体的には、「出題される問題形式について事前に知っておくこと」「パソコンでの受検に慣れておくこと」は大切です。手元で計算して画面上で答えを選ぶ、次の画面に進むと前の画面には戻れないなど、パソコンでの受検には独特の回答方法や形式があり、何も準備せずに本番に臨むと手間取ってしまう可能性があります。実際に受検するときに、「説明画面」や「練習画面」が用意されていますので、本番で実力を出せるよう、あらかじめ画面を確認しておくとよいでしょう。
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