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調査サマリー
職場の障害者活躍支援とインクルージョン風土が職場にもたらす影響とは
「障害のある人と一緒に働くことに関する実態調査」の実施概要は下表のとおりです。
調査結果の詳細は、・弊社機関誌 RMS Message vol.71 特集1「障害者雇用・就労から考えるインクルージョン」調査報告(P.23~30)・調査レポート「職場の障害者活躍支援とインクルージョン風土が職場にもたらす影響」をご参照ください。
今回実施した調査の結果から、以下のような実態を確認することができました。
・回答者の所属組織の「特例子会社等」(「障害のある人の雇用のために設けられた特例子会社」「その他障害のある人の雇用のために設けられた組織」を選択した78名)と「一般組織」(それ以外の302名)ごとに結果を確認した。
・共通して最も多く選択されていたのは「対人関係や対人コミュニケーションに関する困難を抱えている人」(「特例子会社等」61.5%、「一般組織」44.7%)。次いで「特例子会社等」では「体力的、気力的な困難を抱えている人(50.0%)」「行動や感情をコントロールすることに困難を抱えている人(50.0%)」が、「一般組織」では「移動や視聴覚に関する困難を抱えている人(39.7%)」「体力的、気力的な困難を抱えている人(27.5%)」が多く選択されていた。
・職場で障害のある人に対して行っている配慮としては、「特例子会社等」では「調子の悪いときに休みをとりやすくしている(69.2%)」「能力が発揮できる仕事に配置している(66.7%)」が、「一般組織」では「能力が発揮できる仕事に配置している(59.6%)」「苦手なタスクを避けて得意なタスクを任せるようにしている(59.6%)」が多く選択されていた。
・両群間で差が大きかったのは、「支援スタッフを配置している(特例子会社等38.5%、一般組織13.6%)」「職場でのコミュニケーションを容易にする手段を用意している(同53.8%、33.8%)」「働く場所に関する自由度を高くしている(同56.4%、38.4%)」「調子の悪いときに休みをとりやすくしている(同69.2%、52.6%)」だった。
・ここからは、より回答数が多く、今後一層の事例拡充が求められるであろう「一般組織」(302名)に対象を絞って、傾向を見ていく。
・回答者個人による支援的コミュニケーションに関する3項目(「うまく仕事を進められるよう、仕事を手伝ったり問題解決に協力したりしている」「必要とするときに、話を聞いたり相談にのったりしている」など)はいずれも「あてはまる」「どちらかというとあてはまる」の合計が約6割と半数を超え、「どちらともいえない」が約3割、「あてはまらない」「どちらかというとあてはまらない」の合計が約1割だった。
・個人的に障害のある人に対する理解を深める経験(「学校や地域において、障害のある人と日常的な接点がある(あった)」など)の有無により、働きかけの程度には一定の差が見られた。
・職場の取り組み経験(「人事や上司から障害特性や必要な配慮についての説明があった」「本人と障害特性や必要な配慮について話し合った」「どのような支援をしていけばいいかについて、職場で話し合った」)がある方が、個人的な働きかけの程度が高かった。
・「障害のある人の就労に対する理解が深まった(75.5%)」「仕事や環境を整えれば、障害がある人も十分に職場の戦力になると感じた(78.5%)」というように、一緒に働く経験が、障害者の就労や活躍に対する理解を促進している。
・自由記述では、「認識が変わった・戦力になると感じた」「うまくできないことがあるのは特別なことではないと感じた」「自分の偏見や思い込みに気づいた」「働きぶりに影響を受けた」といった内容についてのコメントが確認された。
・職場全体の働き方や業務プロセスへの影響(7項目)について、最も多く選ばれていたのは「お互いの個別事情への配慮が高まった(53.6%)」だった。「職場全体のコミュニケーションが向上した」(33.4%)がそれに続く。
・自由記述では、「個別配慮・働き方の自由度」「コミュニケーション」「執務環境」「業務整理・生産性向上」に関するコメントが確認された。
・自由記述では、障害者支援の拡充に関するもの(「事前の説明」「サポートする側に対する学習機会の提供」「障害がある人への待遇や執務環境の改善」)と、サポートする側への配慮や要望に関するもの(「サポートする側への配慮」「上司の理解・対応」)が確認された。
・「職場の障害者活躍支援」「職場のインクルージョン風土」いずれも高いHH群は、「個人の適応感」(3.94)が最も高い。
・一方、「職場の障害者活躍支援」は高いが「職場のインクルージョン風土」が低いHL群の「個人の適応感」(3.07)は、いずれも低いLL群の「個人の適応感」(2.67)に比べれば高いが、HH群と比べて有意に低い。障害者活躍支援において進んでいるだけでなく、障害のあるなしにかかわらずすべての人を尊重するインクルージョン風土も高いと感じられることが、個人の適応感に強く影響を与えることが示唆される。
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